お土産売り場を出るとみんなもう出口に向かって歩いている、

ホクホク笑顔の雪沙ちゃんも、もう満足といった感じで出口へ・・・

 

雪沙「今日はありがと〜〜」

僕「うん、僕も楽しかったよ」

雪沙「またどこかいこ〜ね〜」

 

また、どこか、か・・・

今度ネズミーランド行くけど、

それとは別に、ふたりきりで、かな?

 

雪沙「あ〜〜!!」

也幸「・・・・・」

雪沙「も〜!この中にたべものはないよ〜?」

 

な、なりゆきくん!!

さっき買ってあげたお土産の袋をじーっと・・・

 

雪沙「あげられるものはないったら〜〜」

也幸「・・・・・・・・」

雪沙「あめなんかはいってないってば〜〜」

 

と、いうことは・・・

やっぱり!雪菜ちゃんたちもやってきた!!

 

雪菜「お兄ちゃん・・・一緒に帰ろ」

僕「う、うん・・・いいよ」

雪沙「も〜〜〜」

 

帰りくらいは、ね・・・

 

 

 

電車の中、夕日が窓越しに照らしてくる・・・

雪沙ちゃんや雪絵ちゃん雪音ちゃんといった小さい女の子は、

疲れたのかうとうとと半分以上寝ちゃってる・・・あ、生意気な隆幸くんまでも寝てる!

雪菜ちゃんは・・・隣の雅幸くんと何やら会話してるぞ?

 

雅幸「雪菜おねぇえちゃーん・・・」

雪菜「・・・なあに?」

雅幸「おうち、かえってきてよ・・・」

雪菜「だめ・・・おしごと、あるから・・・」

雅幸「僕、ご飯作ったり雪絵とかの世話するの・・・もうやだ」

雪菜「・・・私も大変だったんだから・・・雅幸だって・・できる、よね・・・」

雅幸「やだ・・・雪菜ねえちゃん・・帰ってきて・・やって・・・」

 

あーあ、だだこねちゃってる。

 

雪菜「もう・・・雅幸の年には・・私・・全部やってたよ・・・」

雅幸「でも・・・ぼく、男だもん・・・」

雪菜「関係ないよ・・・ちゃんとやらなきゃ・・だめ」

雅幸「だって・・・広幸お兄ちゃんたち・・いじめてくるし・・・」

雪菜「私とか雪巳お姉ちゃんみたいに・・今度は雅幸が・・・雪絵たちを守って・・」

雅幸「やだ・・やだよ・・・お姉ちゃんたち戻って・・僕たちを・・・守ってよ・・」

雪菜「だめ・・・だめ・・・もう、できるように・・・なって・・・」

 

・・・ちょっと、かわいそうだな、

でも雅幸くんの言ってる事は、我侭だ。

この隣で寝てる雪沙ちゃんだって大変だったんだし・・・っ!?

 

也幸「・・・・・」

 

寝てる雪沙ちゃんの膝の上ににあるお土産袋を、

その隣に座ってじーーーーーっと凝視し続ける也幸くん!

そーーっと手を伸ばしては雪沙ちゃんの僅かな動きにビクッとして手を引っ込める、

しばらくして再びそーーーっと手を出してはビクッ、と引っ込めて・・・何だか面白いなあ、

こういう子なら、ウチに上げてもいいかも・・・いや、いけない!これ以上住まわせる訳にはいかない。

 

雅幸「ゆきなおねーちゃん・・・」

 

あー、いつのまにか雪菜ちゃんの胸に甘えてる!

いいなあ・・・ま、駅につくまでの間だから、いいか・・・

って、姉弟だから別にいつああやってもいいじゃないか、うん・・・

 

 

 

駅について電車を降りる、

ちゃんとみんな降りてるな、うん、

あれ?雪菜ちゃんは?・・・あ、売店で100円の飴買ってる、

6個入りの・・・それをほどいて、1個ずつ弟妹にあげてる・・・

残ったお金を使い切ったのかな?律儀だなあ、みんな喜んで舐めてる・・・

 

駅から長く歩いてマンションが見えてきた、

気が付けばもうすっかり日は沈んでしまっている・・・

玄関をくぐって・・・エレベーターへ・・あれ?雪菜ちゃんが雅幸くんに引っ張られてる

 

雅幸「ゆきなおねえちゃん・・・かえろ」

雪菜「だめだって・・・わたしがかえるの・・・上・・・」

雅幸「ゆきなお姉ちゃんだけでも・・・帰ってきてよ・・・」

雪菜「だめ・・・だめなの・・・はなして・・・」

雅幸「お姉ちゃん・・・きっとだまされてる・・・おかしいよ・・・」

 

人聞きの悪い!

でも・・これは助けた方がいいかな?

と思ったら雪菜ちゃん、ぐいっ、と振り払ってエレベーターへ!

 

雪菜「お兄ちゃん・・・乗って」

僕「あ、うん、そうだね」

雪沙「たかゆきは入っちゃだめ〜」

隆幸「いいだろーいれろよーついてくよー」

僕「こら!エレベーターが壊れる!」

 

何とか扉が閉まり、上へ・・・

雪菜ちゃんも雪沙ちゃんも、無言だ・・・

19階について、階段で20階へ・・・中は暗い、雪巳ちゃんはまだだ。

 

僕「ただいま」

雪沙「ただいま〜〜」

雪菜「ただいま・・・」

 

あーあ、雪菜ちゃん、へたりこんじゃった。

大変だったもんなー、弟妹5人の引率、気苦労も多かっただろう。

 

僕「お風呂入るといいよ、自動でもうお湯入ってるはずだから」

雪菜「うん・・・」

雪沙「後でおにいちゃんとはいるー」

僕「雪菜ちゃんと一緒に今から入ってきな」

雪沙「ぢゃあ、おにぃちゃんも〜」

 

・・・・・断っちゃいけなかったんだっけ。

美鈴姉さんに注意されたことだし・・・3人で入るか。

 

 

 

 

 

緊張のお風呂を終え、休んでるうちに時間は午後8時半・・・

雪巳ちゃんはまだ帰ってこない、一体どうしたんだろう?

学校はとっくに閉まってるはずだし、ひょっとして何かあったのか?

夕食の用意はもう終った、昼食が遅かったから食事を待つのはそんなに苦じゃないけど、

心配だ・・・携帯電話でも持っていれば良かったのに・・そうだ、留守番電話に何か入ってるかも?

 

玄関に行くと、丁度雪巳ちゃんが帰ってきた!!

 

雪巳「ただいまー」

僕「おかえり、遅かったね、どうしてたの?」

雪巳「学校の後、図書館行ってたのー」

僕「それでか・・・あそこは午後8時までやってるもんな」

雪巳「自由研究とー、夏休みの宿題全部終ったよー」

 

全部か!?

 

僕「じゃあ、雪巳ちゃん、全部終わり!?」

雪巳「そうだよー、自由研究の星図もぜんぶー」

僕「えらーーーい!!」

 

部屋へ行くと雪沙ちゃんが出迎える。

 

雪沙「ゆきみおねえちゃんおかえり〜〜」

雪巳「ただいまー、もうお風呂はいったのー?」

雪沙「うん〜、今日これ買ってもらったの〜」

 

後ろを向いてパジャマの下をずらし、

パンツをこっちへ向ける!アリクイの柄を見せる・・・

 

雪沙「ど〜ぶつえん連れてってもらったの〜」

雪巳「連れてってもらえたんだー、絵は描けたー?」

雪沙「ほとんど〜!あした仕上げするよ〜」

僕「ほらほら、もうパンツしまいなさい」

雪沙「は〜〜〜い」

 

カバンから何か出す雪巳ちゃん・・・

 

雪巳「はい、通知表ー」

僕「あ、そうか・・・見ていいの?」

雪巳「見てー」

 

評価は・・・

そんなに良くはない、家庭科と保健体育はよさげだけど・・・

普通よりちょっと悪いくらいかな?まあ、こんなもんだろう。

 

僕「1学期ご苦労様」

雪巳「うんー」

僕「2学期はもっとがんばろうね

 

さて、仮眠してる雪菜ちゃんを起こして夕食にするか・・・

三姉妹の寝室へ行きノックする・・・返事がない?熟睡してるのかな?

 

僕「雪菜ちゃん?雪菜ちゃん?」

雪菜「ん・・・」

僕「もう夕食だよ?雪巳ちゃん、帰ってきたよ?」

 

・・・・・しばらくしてドアが開いた、

雪菜ちゃん、目が赤い・・・ひょっとして泣いていた!?

 

雪菜「はい・・・晩御飯、食べる・・・です」

僕「うん・・食べよう」

雪菜「お兄ちゃん・・・」

僕「なあに?」

雪菜「動物園のお金、ありがとう・・・」

僕「うん、それはいいんだけど・・・足りた?」

雪菜「300円、余ったです・・・」

僕「じゃあそれで、新しいノート買えるね」

雪菜「・・・・・ありがとう」

 

とまあ、こんな感じで動物園の1日は終った。

 

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