☆あわわわわ・・・☆

 

雪菜「あわわ・・・ゆきね・・・どうしたの・・」

雪音「たかゆきにーちゃんがぶったー!えーんえーん」

雪絵「ゆきなおねーちゃーん、おしっこー、おしっこー」

隆幸「あー、あの猿なまいきだから石ぶつけてやる!」

雪菜「・・・たかゆき・・そんなことしちゃ、だめ・・」

雅幸「あのアイスいいなー・・・たべたいなー・・おいしそう・・」

雪絵「それよりおしっこー!もれちゃうー!もれちゃうー!」

隆幸「あ、よけた!よーし、今度はもっと大きい石なげてやる!」

雪菜「みんな、勝手なことしないで・・・あわわわわ・・・」

也幸「・・・・・・・」

 

雪菜ちゃんがいるよ、おい・・

しかも、妹弟いっぱい連れて!

うーん、あれってあきらかに、世話しきれてないぞ?

そりゃそうだ、1人で5人も連れて、しかも子供だけで・・・

どうしようか、助けてあげるべきか・・いや、でもそれだと僕があの子たちを世話することになるぞ?

 

雪音「びえ〜ん、びえ〜〜ん」

雪菜「ほら・・泣き止んで・・」

雪絵「も〜おしっこあそこでする〜」

隆幸「やりー!でっかい猿にあたったぜ!」

雅幸「あのジュースも飲みたい・・・おいしそう・・」

雪菜「はわわわわ・・・もう・・どうしたらいいの・・・」

也幸「・・・・・・・・・・・・」

 

う〜〜〜〜〜ん・・・

雪菜ちゃん、がんばれっ!!

ということで僕はジュースを2本買ってその場から逃げた。

 

 

 

僕「はい、ジュース」

雪沙「ん〜、ありがと〜」

僕「あ、結構ちゃんと描いてるね」

雪沙「気持ちよさそ〜に寝てるから描きやすいよ〜」

僕「そうかそうか・・ふわ・・僕は何だか眠くなってきたな」

 

丁度木陰になってるから気持ちいいや・・・

ジュースをゴクリと飲んだ僕は携帯電話のアイモードを見ながら、

うたた寝したり雪沙ちゃんの絵を覗いたり・・・それにしてもさっきの雪菜ちゃんたち、

大丈夫だろうか?なんでみんなして・・・そういえば出かけるって言ってたよなあ、

まさかあんなに連れてだったとは、しかも同じ動物園に・・・すごい偶然なのかも。

 

でも・・・入場料とか交通費、どうしたんだろう?

・・・あ、そうか、僕があげたお金、雅幸くんだっけ、を遊園地に連れてってあげて、

と言って渡した8000円・・・確かに動物園なら安上がりでみんなを連れて行ってあげられる、

そういえば、お手柄は雅幸くんだけど、それ以外の弟妹にもお願いしていたんだっけ?

お父さんにお願いできるタイミングを教えてもらうように・・・で、雇った500円は上の三悪兄弟に・・・

 

それでか・・・それで、あらためてお礼でみんなを動物園に・・・

そうだよな、1人だけだと不公平だよな、でもだからって5人一緒は大変だよ、

雪菜ちゃん1人でてんてこまいだったから・・うーん、助けてあげるべきだったかな?

いや、雪沙ちゃんと2人っきりで来てる事がばれたらまずいかも・・って、やましい事はないはずだぞ?

これは、夏休みの宿題を手伝うための、あくまでも業務の一環であってだな・・・って何を焦ってるんだろう僕は。

 

なんて考えてるうちに時は流れた・・・・・

 

 

 

雪沙「おに〜ちゃん、できたよ〜」

僕「え?どれどれ・・へー、結構うまいもんだ」

雪沙「おうちに帰ったら仕上げするね〜」

僕「これで、完成じゃないの?」

雪沙「おなかすいちゃった〜〜」

 

もうこんな時間か、

お昼ご飯にはずいぶん遅いな、

でもこのくらいの時間のほうが空いてていいかも。

 

僕「よし、じゃあ行こうか」

雪沙「まって〜、絵の具洗ってくる〜」

僕「そっかそっか、いってらっしゃい」

 

水道で絵の具を流す雪沙ちゃん・・

服もちょっと汚れちゃってるなあ、

帰ってすぐ洗濯しないと・・手や肌にもついちゃってる、

それを持ってきた石鹸で洗い流してタオルで拭いて・・・用意いいな、

雪沙ちゃんってこんなに機転きいたっけ?いや、雪菜ちゃんあたりが持たせたんだろう。

・・・・・ってことは、僕と雪沙ちゃんが動物園行くことを、すでに知っていた?ありえる・・

それで、あの妹弟たちと一緒にここへ・・・?そこまで考えて?偶然にしては出来すぎてたはずだ。

 

雪沙「洗ってきたよ〜〜」

僕「おっけー、何か食べたいものある?」

雪沙「ん〜、なんでもいいよ〜」

僕「じゃあ、そこにする?」

雪沙「うん〜」

 

丁度すぐそばにある「レストラン・しまうまゼブラ」へ・・

しまうま、ゼブラ・・・しまうまで、ゼブラ・・しまうま、は、ゼブラ、だよな・・・

こういう動物園のレストランのネーミングセンスといったら・・まあ、名前がどうであれ、

立地条件を考えるとライバル店は無い訳だから、どうでもいいか・・・中へ入る、

思ったとおりお客さんが少ない、のんびりゆったりと食べられそうだ、どれにしようかな・・・

 

☆レストラン「しまうまゼブラ」☆

雪沙「ハンバーグセットがいい〜」

僕「結構おいしそうだな・・・僕はカレーでいいや」

雪沙「ジュースもいい〜?」

僕「ウーロン茶ならね。席で待ってな、持って行ってあげるから」

雪沙「は〜〜〜い」

 

しばらくして2人分の料理が乗ったトレイを受け取り、

雪沙ちゃんのもとへ・・・ん?何を見てるんだ?あ、モニターがある!

いろんな動物の檻の中が映し出されている、ヒョウの赤ちゃんとか・・表では見えない部分だ。

 

僕「へー、これなら雨で動物が奥に引っ込んでも見れるね」

雪沙「でも雨だったら動物園いきたくな〜い」

僕「そりゃそうだ・・さあ、食べよう」

雪沙「いただきま〜〜す」

僕「いただきます」

 

おいしそうに頬張る雪沙ちゃん・・・

かわいいよなあ・・あの唇にキスされちゃったんだよなあ、僕が・・・

いっぱい盛られたポテトを手でつまんで食べて・・指についた塩をペロペロ・・・

 

雪沙「あ〜!なりゆき〜」

僕「え?うわっ!?」

也幸「・・・・・」

 

いつのまにか也幸くんが横に!

テーブルにアゴをのせて、じーーーっとポテトを見てる・・・

 

雪沙「これはあげないの〜」

也幸「・・・・・」

雪沙「だめったらだめ〜!」

也幸「・・・・・・・・」

雪沙「も〜!いっこだけだよ〜?」

 

ポテトを1つ雪沙ちゃんが持って也幸くんの口元へ運ぶと・・・

 

ぱくっ!

くちゃくちゃくちゃ・・・

・・・ごっくん!

 

じー・・・

 

雪沙「え〜?も〜いっこ〜?だ〜〜〜め!」

也幸「・・・・・」

雪沙「いっこだけって言ったのに〜」

也幸「・・・・・・・・」

雪沙「だ〜め!だ〜め!だ〜〜〜め!!」

 

そんな声も気にせずポテトの山を凝視し続けてる・・・

 

雪沙「ん〜〜〜・・・も〜いっこだけね〜」

也幸「・・・」

雪沙「これでさいごだよ〜〜?」

 

もう1つあげる・・・

ぱくっ、くちゃくちゃ・・ごくんっ

じーーーーーーーー・・・・・

 

雪沙「もうだめ〜〜〜!!」

 

ははは、このままじゃ雪沙ちゃん、全部取られちゃうよ。

・・・と思ったら、聞き覚えのある声が!?レジの方だ。

 

雪菜「ほら・・・みんな、お水くんで・・席について・・・」

隆幸「このハンバーグがいいー」

雪菜「だめ・・・みんな、サンドイッチ・・・」

雅幸「230円・・一番安い・・・350円の焼きそばは、だめなの?」

雪菜「6つ買うんだから・・・焼きそば買ったら帰りの電車・・・乗れない・・」

雪絵「サンドイッチはやくちょーだーい、たかゆきにーちゃんにとられるー」

雪音「はやくたべないとまさゆきおにーちゃんがぬいてたべちゃうよー」

雪菜「ちゃんと・・・渡すから・・・あれ・・なりゆき・・なりゆき、どこ・・?」

 

たたたたたーーーっ、と雪菜ちゃんの方へ走る也幸くん!

 

也幸「・・・・・」

雪菜「何してたの・・お口になにかついてる・・・あっ・・・」

 

僕らのほうを見る雪菜ちゃん!

みつかっちゃった・・・まあ、仕方ないよな。

 

隆幸「あー、ゆきさねーちゃん、ずりー!ハンバーグたべてるー!」

雅幸「ハンバーグセット・・・690円・・・僕のサンドイッチ・・230円・・・」

雪沙「なんでみんないるのー?」

 

サンドイッチ6つを持った雪菜ちゃんを筆頭に、みんなこっちへ来ちゃった。

 

雪菜「おにいちゃん・・・」

僕「やあ、雪菜ちゃんたちも動物園来てたんだ」

雪菜「うん・・・」

隆幸「ポテトもらいー」

雪沙「だめ〜〜〜!!」

僕「わ!ゆきさちゃん、ポテト全部口の中へ・・・大丈夫?」

也幸「・・・・・」

雪絵「サンドイッチー」

雪菜「あ、はい・・ゆきねも・・・」

雪音「いただきまーす!」

雪沙「ん!ん〜〜!んん〜〜!!」

僕「ほらほら、落ち着いて!ウーロン茶飲んで!!」

雪菜「・・・あれ?サンドイッチ・・・1箱たりない・・」

雅幸「・・・・・ごちそうさま・・」

雪菜「いつのまに・・もう食べた・・の?」

隆幸「やっべー!早く食べなきゃなくなっちゃう!」

雪菜「1人1箱だから・・大丈夫・・・なりゆきも・・はい

也幸「・・・・・・・・・・」

 

僕らの近くに座ってサンドイッチを食べ始めるみんな・・・

雪沙ちゃんはようやく口の中のポテトを消化しきったようで落ち着いてる。

僕もカレーちゃんと食べよう・・・それにしても、騒がしいなあ・・・ったく。

 

隆幸「なりゆきー、どうせ食べきれないだろー?いっこ貰ってやるよー」

雪菜「だめ・・・とっちゃ・・」

也幸「・・・・・・・・」

雅幸「ここのお水・・・おいしい・・・」

雪絵「はやくたべよっ!」

雪音「お水と一緒に飲むとはやいよー」

隆幸「おーい、そこのロリコンにーちゃん、何か買ってよー」

僕「ナヌ!?」

 

ロリコンにーちゃん呼ばわりかよ!

 

雪菜「・・・おにいちゃん、ごめんなさい・・・」

僕「ははは、子供の言う事だし、ね」

雪沙「はやくたべおわろ〜よ〜」

 

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