雪巳「おにーちゃーん、もう朝おそいよー?」

僕「・・・・・」

雪巳「おにーちゃん?おにーちゃーーん・・・えい」

 

バサッ!!

 

僕「・・・・・・・・んっ?掛け布団が・・あ、雪巳ちゃん」

雪巳「朝だよー、もう10時過ぎてるよー」

僕「あ、ああ・・・ありがと」

雪巳「今日は朝ごはん、持ってきてあるよー」

僕「え?・・・ああ、コーンシリアルか」

 

部屋の机に4人分置いてある、

そこには雪沙ちゃん、雪菜ちゃんが宿題をやっている、

僕を待ってくれている間も夏休みの課題を・・・偉いなあ。

 

雪巳「はやくたべよー」

僕「うん・・わかった」

雪巳「・・・!!」

 

ん?雪巳ちゃん顔をあかくして・・

その視線の先は僕の股間・・これは、朝は仕方ないんだって!!

 

僕「じゃあ、食べようかな、みんなお待たせ!」

 

いただきますの後、牛乳を入れてシャクシャク食べる・・・

フルーツも用意してある、イチゴが美味しいなあ、チーズも・・・

 

雪沙「あ〜、ミルクがノートについちゃった〜」

雪巳「もー!宿題やりながら食べるからー!」

雪菜「お口ふいて・・・ほら・・・」

 

うーん、何も変わらないように見える三姉妹・・・

ゆうべ美鈴姉さんが残していった言葉が重くのしかかる。

かなり複雑で難しい・・・矛盾に感じることも結構あるんだけど、

でも、しっかり考えれば解けるはず・・いや、ひょっとしたら義姉さん、

僕を面白がって、からかって遊んでるだけじゃ・・いや、そんなはずは・・・

 

雪巳「ねーおにーちゃーん」

僕「ん?どうしたの?」

雪巳「朝ごはん食べたら学校行くねー」

僕「何で?忘れ物?」

雪巳「ちがうよー、三者面談だよー」

 

そうか、中学ならそういうのあるよな。

 

僕「じゃあお母さんかお父さんも?」

雪巳「ううん、来てくれないから私だけー」

僕「そっか・・じゃあ二者面談になっちゃうね」

雪巳「そこで通知表貰うのー、それでねー」

僕「それで?」

 

まさか僕が親代わりとなって面談へ・・?

 

雪巳「ついでに図書室で自由研究してくるー」

僕「あ、夏休みの宿題の?」

雪巳「そうだよー、だからお弁当にサンドイッチ作って持っていくねー」

僕「うん、がんばってね」

雪巳「全部終らせたいから、帰ってくるの夕方過ぎになっちゃうからー」

 

なるほど・・・偉いな。

 

雪菜「お兄ちゃん・・・」

僕「んっ?雪菜ちゃんもどうしたの?」

雪菜「私も今日は・・このあと、おでかけしてくる・・です」

僕「そうなんだ、いつ帰ってくる?」

雪菜「夕方・・・過ぎ」

 

ということは、夕方まで雪沙ちゃんと2人っきりか。

 

僕「どこ行くの?気をつけてね」

雪菜「・・・はい」

雪沙「ゆきさは宿題がんばるよ〜」

僕「よし、頑張って終らせよう!」

雪沙「は〜い」

 

 

 

 

 

雪巳ちゃんと雪菜ちゃんが出かけ、

僕と雪沙ちゃんは2人で夏休みの宿題をやっつける。

とはいえ、もうかなり進んでいる・・・これなら明日にも終りそうだ。

 

僕「えっと、次は?」

雪沙「ん〜、おにぃちゃ〜ん」

僕「あれ、あとはこの3つだけ?」

雪沙「それとね〜・・これやりたいの〜」

僕「え?大きい画用紙・・・絵を描くの?」

雪沙「うん〜、美術なんだけど〜・・・」

僕「あ、絵の具?家にある?」

雪沙「あるけどボロボロ〜〜」

 

そっか・・・買ってあげるべき、か?

うーーん・・・まあ、これも許容範囲だろう。

 

僕「わかった、買ってあげるよ」

雪沙「ほんとにぃ〜?」

僕「うん、セットで5000円くらいだっけ」

雪沙「わ〜〜〜い♪」

僕「で、何を描くの?」

 

画用紙を丸める雪沙ちゃん。

 

雪沙「んっと〜、お題があるの〜」

僕「へ〜・・ひょっとしてご両親、とか?」

雪沙「ん〜ん、ど〜ぶつ〜」

僕「動物なら、なんでもいいの?」

雪沙「そ〜だよ〜」

 

動物ねえ・・・

犬、猫・・人間だって動物だ。

 

雪沙「おにぃちゃ〜ん」

僕「え?僕を描くの?」

雪沙「ど〜ぶつえん連れてって〜」

僕「動物園か・・・そうだな、いいよ、いつ行く?」

雪沙「いまから〜」

 

NOW!?

 

僕「今日これから?」

雪沙「だって〜、そ〜しないと夏休みの宿題だも〜ん」

僕「そうか・・・じゃあ行くか!」

雪沙「うんっ♪」

僕「じゃあ着替えて・・お昼ご飯も向こうで食べよう」

 

動物園か、久しぶりだな・・・

 

 

 

 

 

動物園直通の電車を降りた僕と雪沙ちゃん、

歩けばもう目の前には・・・雪沙ちゃんは来る途中で買った絵の具セットと、

丸めた画用紙を持って本当にご機嫌だ、足が軽やかにはずんでいる・・・

 

僕「さて、入場券買うね」

雪沙「いくら〜?」

僕「大人700円、子供350円・・2人で1050円だ」

 

中に入る・・・

夏休み初日だけあって、それなりに人がいるなあ。

 

☆動物園☆

 

雪沙「おにぃちゃ〜ん、はやくはやく〜」

僕「こらこら、はしゃぐんじゃないって」

雪沙「だって〜、おにぃちゃんと動物園デートなんだも〜ん」

 

ははは・・・かわいいな。

 

僕「で、何を描くの?」

雪沙「ん〜、なんにしよ〜」

僕「まあ、順路通りに歩いて行って決めよう」

 

のんびりと、1つ1つ動物を見て回る。

 

雪沙「あ〜、虎さん〜」

僕「寝てるね、これにする?」

雪沙「模様が大変だからいい〜」

僕「お、象さんがいるよ、これは?」

雪沙「おっきすぎるからいい〜」

僕「カンガルーさんもいいね」

雪沙「とびはねてるから、描きにくい〜〜」

 

うーん、我侭だ・・・

 

僕「たぬきさんは?いっぱいいるね」

雪沙「多すぎるよ〜」

僕「こっちは・・・猿山か、ここも駄目?」

雪沙「多い〜多いからいやぁ〜」

僕「キリンは・・・入りきらないか」

雪沙「うん〜」

僕「お、ハムスターふれあいコーナーだって」

雪沙「ちっちゃすぎるよ〜」

 

何だか全部駄目って言われかねない勢いだ。

 

雪沙「あ〜〜〜!あれにする〜〜」

僕「え?どれ?・・・あー、レッサーパンダか、気持ち良さそうに重なって寝てる」

雪沙「お水いれてくるね〜」

 

ベンチに絵の具セットを置いて、

水入れを持って駆けていく・・・

画用紙の台って今は折りたたみ式なんだな、

水入れだってそんなに大きくなく、コンパクトだ。

レッサーパンダか・・・これなら2時間くらいあれば出来るかな?

 

 

 

雪沙「いれてきたよ〜」

僕「じゃあ頑張って」

雪沙「うん〜待っててね〜〜」

 

ぽかぽか陽気の中、

一生懸命に筆をはしらせてる、

まずは下書きから・・・新品の絵の具とパレットがまぶしい。

 

雪沙「ん〜しょ、ん〜・・・」

 

もう午後1時半か、

まあ朝食遅かったから昼食も2時半くらいでいいけど・・・

ふわあ・・・暇だな・・・ジュースでも買ってくるか

 

僕「雪沙ちゃん、ちょっとジュース買ってくるけど、ここからどこか行っちゃ駄目だよ」

雪沙「は〜〜〜い」

 

少し離れた自動販売機へ向かう・・・

子供がいっぱいだなあ、さすが夏休み・・・

ん?あっちが何か騒がしいぞ?一体何が・・・あっ!?

 

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