美鈴「特にお金ね、君、50代のおっさんじゃないんだから、何でも与えすぎ!」
美鈴「あれは初期投資よ、2ヶ月弱、弟クンの世話をするための服」
美鈴「いい?君が一緒に出かける時、あの子たちの服がみすぼらしかったら、君も変な目で見られるのよ?」
美鈴「だから、あの服は君の着る服と同じ意味を持つの、だからあれはいいのよ」
僕「・・・あ!そういえば美鈴姉さんの買った下着、すんごい値段・・!」
美鈴「あれを私が最初に買うことによって、あの子たちも遠慮なく服を買えるようにするね」
美鈴「そう、さらに、私の買った下着の値段以上買ったりしないためのストッパーでもあるわ」
僕「つまり、1人の買える金額の目安を作った、ってことですか?」
美鈴「もちろん!だいいち、本当に下着が欲しかったら君のお兄さんにねだるわ」
美鈴「・・・これは私が看護学校に通っていた時に、先生から聞いた話なんだけど・・」
美鈴「飢餓で苦しむアフリカのある地方にボランティアで行く時、絶対持ち込んじゃいけない物ってあるのね」
美鈴「飢餓の子供がボランティアの飲む美味しそうなジュースを欲しがる、それをあげたとする」
美鈴「でもその子は、ジュースの美味しい味を知ってしまったために、普通のろ過水では我慢できなくなってしまうの」
美鈴「やがてその子は親にジュースをねだったり、盗もうとしたり・・」
美鈴「飢えている時も、ずっとジュースが飲みたい、ジュースが飲みたいって・・・」
美鈴「1度贅沢を覚えてしまうと、普段の生活の酷さが増してしまうわ」
美鈴「あの子たちを引き取るのならかまわないわ、でも、そうと決めたんじゃないなら・・」
美鈴「まあ、今のは極端な例だし、合鍵と防犯ブザー買ってあげたのは初期投資としては秀逸だわ」
美鈴「そうね、だからといって財布の紐を堅くする必要はないわ、見極めること」
美鈴「んー、遠足が近いらしいからリュックを買ってあげる、これはギリギリセーフね」
美鈴「それはセーフ。あと、お小遣いあげたでしょ?5000円」
美鈴「んー・・好ましくはないけど、それを使い切ったからってさらにあげなきゃ、まあいいわ」
僕「でも、それは、弟を遊園地に連れて行ってあげるように・・」
美鈴「ま、あの子なら大丈夫でしょう・・何か訳ありの8000円でしょうし」
美鈴「これ以上あげると、別れた後にお金を手に入れるため万引きや援助交際するかもよ?」
美鈴「あの子たちのお姉さん見たでしょ?あんな子が量産していいの?」
美鈴「そういうこと。そうね・・・ただ、お金使っていい時もちゃんとあるわよ」
美鈴「君があの子たちとデートや旅行に行く時、それは1人の女の子としての扱いだから」
美鈴「だからネズミーシー行くお金はデート資金だからOK、好きな女の子のご機嫌取りだから」
僕「うーん・・なんだか言ってることが矛盾しているような・・」
美鈴「旅行だって、君が喜ぶためのお手伝いとしてあの子たちが付いていくんだから」
美鈴「いい?あの子たちのための旅行、じゃなく、君のための旅行、よ?あの子たちはそのメイド」
美鈴「だから、例えば旅行のときに君だけ豪華な食事、っていうのは駄目よ」
美鈴「まあ、さっきのジュースの話とネズミーシー連れて行く事の違いがわかれば、それでいいわ」
美鈴「それがわからなければ、君があの子たちを養子に貰う資格は無いわ」
美鈴「・・・本当のこと言うと、多分ここまで君があの子たちを甘やかしすぎてる事ってあまり無いように見える」
美鈴「でも、こう注意しておかないと、甘やかしすぎて取り返しのつかない事になるのが目に見えてたから」
美鈴「いいこと?今は君があの子たちに奉仕するんじゃなく、君が奉仕される側な事は絶対忘れないで」
美鈴「いい姿勢ね・・これは君には辛い事でしょうが・・はっきり言うわ」
美鈴「いいこと?赤の他人の家に子供3人だけで同居するの、いかに実の親が酷い人間でも、寂しいはずよ」
僕「あんなに明るく元気なのに・・・雪巳ちゃん、雪沙ちゃんは」
美鈴「そうふるまってるのよ、そういう性格なだけで、本当はどうしていいかわからない部分が多いはず」
美鈴「弟クン、あの子たちを女の子として意識しすぎて、逃げてばかりいるでしょ」
美鈴「あの子たちはね・・君の胸の中で甘えたくってウズウズしてるのよ」
美鈴「な〜に子供相手にはずかしがってるの?いいこと?君はここでは親代わりよ?」
僕「え?だってさっき、僕の位置はあくまでも奉仕される側だって・・」
美鈴「その話は別、一緒に考えちゃ駄目。今は『他所のお子さんを預かっている立場』での話をしているの」
美鈴「あの子たちの寂しい気持ち、甘えたい欲求を受け止められるのは、ここでは君だけ」
美鈴「でしょ?だから、甘えたがってたら、たっぷり甘えさせてあげなさい」
美鈴「んもー、甘やかしていい種類と悪い種類があるの、その区別をつけなさいっ」
つまり・・・物やお金で釣るな、心で包み込んであげろ、ってこと・・なのかな?
美鈴「もちろん君の心もわかるわ、まだ二十歳で異性に免疫ないものねー」
美鈴「彼女なら、相手が許せば一緒にお風呂も、じっくり楽しめるでしょ?」
僕「とにかく・・あの子たちが体で甘えたいなら、受け入れることに・・します」
美鈴「そうね、雪巳ちゃんだって中1なんてまだまだ甘えたい盛りなんだから」
美鈴「恥ずかしいから、体が成長してきてるからって、逃げないようにね」
美鈴「どうしても、どうしていいかわからなくなったら私に相談しなさい」
美鈴「私の忠告はこの2つ。・・・さて、まだ来ないわね・・・マッサージの続きしてあげる」
うぅ・・・とろけるぅ・・こんなの毎日されたら骨抜きになっちゃう・・・
美鈴「あの子たち、油断すると、とんでもない事しそうだから気をつけてね」