僕「うん、僕なんかでよければ、聞くけど」
雪菜「お兄ちゃんにだけ・・・聞いてほしい・・・」
僕「わかった、聞くよ、どんな相談?」
何だか目をうるませている・・・
雪菜「その・・・お兄ちゃん・・・わたし・・・」
僕「何かあったの?何でも言ってごらん」
雪菜「すき・・・な、ひとが・・・でき・・ました」
ドキッ、とする言葉・・・
そうか、恋愛相談なのか・・・
僕「そうなんだ、へえ、でも小学6年生なら普通だよ」
雪菜「・・・・・好きなのは・・・・・お兄ちゃん」
僕「え?ぼ・・・・・・く?」
コクリ、とうなずく雪菜ちゃん、
どストレートな告白に僕の胸はドキッ、からドキドキドキドキドキ!!になった。
僕「僕が、好きなの?」
雪菜「そう・・私、恋・・したの、はじめてだから、どうしていいのか・・・わから・・ない・・です」
僕「うーーーーん・・・僕が好き、か・・・あ、ありがとう・・・」
思いっきり正直に言われてしまった、
こういうのってドラマや漫画なんかだと、
雪菜ちゃんが好きな人がいるって相談するものの、
それが僕だっていう事は濁すか言えなくって、
そんな事に気付かない能天気な主人公が一生懸命アドバイスして応援する、
っていうパターンだよな、ある意味、主人公の逃げのパターンなんだけど・・・
そんなことがまったく出来ないように、まさに釘をさすような正真正銘の愛の告白だ。
しかも「好き」だけならうまくはぐらかせられるかも知れないけど「恋した」とまで言われると、
これはもう言い逃れやとぼけようが、ないかも・・・現実はドラマや漫画みたいにはいかないものだ。
雪菜「お兄ちゃん・・・私、どうしたら・・・いいの?」
僕「どうしたら、って?」
雪菜「どうしたら・・・お兄ちゃんと・・・恋人どうしに・・なれま・・すか」
紅くなってる・・・
僕も耳の先までアツアツだよ。
雪菜ちゃんの気持ちが真剣なら、しっかりちゃんと答えてあげないと。
僕「・・・雪菜ちゃん、まだ僕と、会ったばっかりだよね?」
雪菜「うん・・・」
僕「僕だって雪菜ちゃんと会ったばかりだし、お互い良く知らない・・・よね?」
雪菜「・・・・・だって・・・でも・・・好き・・に、なっちゃった・・・です」
僕「うーーーーん・・・そうかぁ・・・」
ちゃぷっ、とタオルで顔を拭く。
僕「その『好き』っていう気持ちは、恋じゃないかもしれない」
雪菜「わたしの・・・この、きもちが・・・です・・か?」
僕「そう、いい人だなーーっていうのも『好き』だし」
雪菜「・・・・・・・胸が・・熱いん・・・です」
僕「それは、ひょっとしたら・・・羞恥心、かも知れない!」
キョトン、とした顔になった!
僕「雪菜ちゃんはきっと自分の感情をうまく理解できないんだよ」
雪菜「・・・・・?」
僕「だから、裸で他人の男の人とお風呂に入ってどきどきしたのが、恋と勘違い・・・」
雪菜「ううん・・・最初にお風呂、一緒に入ったときは・・・へいき・・でした」
僕「最初はそうでも、今になってそう感じるようになったとか・・心の成長なんて、突然だよ?」
・・・・・なんだか僕、誤魔化しに入ってるみたいだ。
雪菜「・・・・・おにいちゃんを、好きって気持ちが、いっぱいなの・・・」
僕「いつから?」
雪菜「・・・・・お兄ちゃんが、雪巳おねえちゃんや、雪沙と、なかよく、してるとき・・・」
僕「僕が雪巳ちゃんや雪沙ちゃんと仲良くしてるの見て、好きって、気付いたの?」
雪菜「・・・胸がくるしくなって、じっと、していられなく、なった、です・・・」
あちゃーーーーー・・・
決定的なことを聞いちゃったなあ、
これって完全に「嫉妬」だよ、この想いは本物だ。
僕「・・・・・えっと、雪菜ちゃん、12歳だよね?」
雪菜「はい・・・」
僕「僕は20歳・・・8歳って、離れすぎてない?」
雪菜「でも・・・好き、だから・・・どうしよう・・もない・・です」
僕「もうちょっと大人になってからじゃ、駄目、かな・・・」
浮かない表情・・・あ、泣きそう・・・
そうだよな、このくらいの年頃の子を年齢で断っちゃ失礼だ、
もうちゃんとした「恋する乙女」なんだから・・・よーし、ここは大人らしく・・・
僕「雪菜ちゃん・・・もうちょっと、その気持ちが本物か、確かめてみない?」
雪菜「え・・・?」
僕「夏休みが終わるまで、待ってほしいんだ」
雪菜「・・・・・」
僕「それまでの間、雪菜ちゃんが本当に僕の事を恋人にしたいか、考えて欲しい」
・・・・・静まる空気、
ピチョン、ピチョン、と水滴の音だけが聞こえる。
僕「僕も夏休みいっぱい、考えたいんだ」
雪菜「それって・・・雪沙にも・・・言った、の?」
僕「え?なんでそこで雪沙ちゃんが出てくるの?」
雪菜「だって・・・雪沙も、告白・・・した、でしょ?」
僕「いつーーー?」
雪菜「・・・いっつも」
僕「・・・あーあーあー、でも雪沙ちゃんの言う『好き』は、そういう好きじゃないんじゃないかな」
だって、言い方といい、行動といい、雪沙ちゃんのは軽いんだもん・・・
雪菜ちゃんのように、こうやって重い告白をするのとは、まるで価値が違う。
雪菜「・・・雪沙は・・・雪沙も・・・私と、同じと・・思う」
僕「いや、でも雪沙ちゃんは、もっと幼いし、さ」
雪菜「私より、ひとつしか・・・です」
いつのまにかじわじわ体を密着させてくる・・・
何だか「私と雪沙、どっちを取るの?」って言ってきてるみたいだ、
性格的にはっきりとそう出来ないだけで、意味合い的にはそういう事なのかも知れない・・・
僕「なおさら、もうちょっと、夏休みが終わるまで、考えさせて!」
雪菜「・・・・・またないと・・・だめ・・ですか」
僕「うん、僕もじっくり考えたい、お願い」
雪菜「・・・・・・・・・・・」
僕「だって、急に好きって言われて、僕もちょっと困っちゃってる」
あ、じわっ、て涙が!
雪菜「・・・わか・・・た・・です・・・」
僕「あああ、泣かないで!」
雪菜「・・・・・・・・お兄ちゃん・・・」
僕の胸の中に収まり体を震わせている・・・
軽くきゅうって抱いてあげる・・うーん、泣かせちゃった・・・
小学六年生の、精一杯の愛の告白・・・これは・・・あまりにも、突然で、重い・・・
僕「雪菜ちゃんも僕も、もっとお互いを知り合わなくっちゃ、ね?」
雪菜「ん・・ん・・・んんん・・・」
僕「ほらほら、泣かない泣かない!涙を拭いて!」
やさしく顔を拭いてあげる、
目が赤い・・・こりゃあこの先、大変そうだ・・・
それにしても、一番おとなしくてトロい感じの雪菜ちゃんが、
ここまではっきり言える子だったなんて・・・やっぱり賢い子は違う、
一生懸命な告白とこの涙に、ちょっと心が揺らぐなあ・・・真剣に考えてあげないと。
僕「さ、元気出して」
雪菜「ん・・・ん・・ん・・・」
僕「いいこだから、ね?お願いだから」
・・・・・しばらくしてようやく落ち着いた雪菜ちゃんと、
僕は一緒にお風呂を出た・・・ちょっと長湯になっちゃってクラクラする。
僕「はい、バスタオル」
雪菜「お兄ちゃん・・・拭いて、ほしい・・です」
僕「・・・はい、頭からね・・・顔も・・・背中も・・・後は自分で!」
雪菜「・・・前も・・・」
僕「だだだだだ、だめだよっ!」
ちょっと、わがままに、なってない、か?
雪菜「だって・・・雪沙には・・前に、拭いて、あげてた・・・」
僕「そうだっけ?1度だけそんなことあったっけ・・・って、それはちょっと、違うよ」
雪菜「・・・なんで?」
僕「だって、雪菜ちゃんたちが僕を面倒見に来てるんであって、僕が君たちの面倒を見るのは・・・」
雪菜「・・・・・」
ああ、また泣きそう!
そうか、感情が高ぶってるから、
いつもと違って変に我侭なこと言ってるのか、
精神バランスが崩れているというか・・・子供特有の表現、だと思う、
こういうのは美鈴姉さんが詳しいんだけど・・・よし、覚悟を決めたぞ!
僕「今回だけだよ?はい」
やさしく、やさしく胸を拭いてあげる、
足も・・・できるだけあそこを見ないようにして・・・
お尻も、股の間は軽くでいいよな・・・やさしぃく・・・よし!
僕「全部拭けたよ?」
雪菜「・・・うん」
僕「早くパジャマ着ないと湯冷め・・わっ!!」
拭いてあげてたバスタオルを奪い、
今度は僕の体を拭きはじめる雪菜ちゃん。
しかも、よりによって、一番大事な僕の股間から・・・!!
雪菜「お世話・・・します」
僕「そこは自分でやるよ!・・じゃあ、背中を」
雪菜「うん・・・」
後ろ向きにしゃがみ、背中や腰を拭いてもらう、
しっかりと水滴をとってくれる・・・脇の下も丁寧に・・・
胸も・・・あ、足に・・立ってあげなきゃ。くすぐった気持ちいいなあ・・・
僕「ありがとう」
頭をぽんぽん、となでてあげると少し口元が緩んだ。
僕「さあ、早く着て出よう」
下着を履いて脱衣所を出た。
すっかり夜中だ・・・さて、寝よう
雪菜「あの・・・」
僕「もう寝るよ?」
雪菜「私も・・・今夜は、一緒に・・寝たい、です」
僕「うーーーん・・・雪菜ちゃんだけ、って訳にはいかないから」
雪菜「でも・・でも・・・」
僕「・・・・・今夜は1人で考えたいから、我侭言わないで、ね?」
雪菜「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」
しずしずと部屋を出て行った。
雪菜「おやすみなさい・・・」
僕「おやすみ」
これでいいんだ、これで・・・
僕は布団に入り、雪菜ちゃんの事で眠れないかと思いきや、
風呂上りの気持ちよさと気疲れであっけなく眠りについたのだった。
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