マンションを正面から出て、2人並んでスーパーへ向かう・・・

 

僕「そうそう、雪沙ちゃんと駄菓子買いに出るとき、雪菜ちゃんのお母さんに会ったよ」

雪菜「・・・なにか・・・言ってた・・の?」

僕「娘たちをよろしくたのむって内容かな」

雪菜「うん・・・」

僕「あとは・・・なんならずっと引き取ってくれないか、だって」

 

僕の顔をじーーーっと見つめる・・・

 

僕「あ、前見て歩かないと、あぶないよ・・・」

雪菜「・・・・・お兄ちゃん・・・」

僕「いや、本気かどうかわかんないし、それに夏休みいっぱいまでの約束だから」

 

今度はうつむいて歩いてる・・・

 

僕「だから前向いて歩かないと、あぶないって」

雪菜「・・・・・うん」

 

前を見てるけど、ぼーーっとしてる・・・

何か考え事?と思ってるうちにスーパーについた。

 

僕「沢山買っておかないとね」

雪菜「・・・あの・・・勉強・・いっぱいしたいから・・・」

僕「え?宿題のこと?夏休みの」

雪菜「そう・・・です」

僕「勉強いっぱいしたいから・・・あ、簡単に作れる料理がいいってことね」

 

なるほど・・じゃあ手間のかからない物を中心に買おう。

 

 

 

 

 

買い出しが終わってスーパーを出る、

袋を僕は両手に、雪沙ちゃんは片手に持って、

結構傾斜のある坂を上る・・・ふう、4人分だとやっぱり重いや。

 

と、隣を学生服の男の子が自転車で走っていく、

中学生かな?勢い良く坂を走りあがって行くなあ・・・続いてセーラー服の女の子、

立ちこぎで・・・スカートの中が丸見えだ!グレーっぽいパンツが、はっきりと・・・見えちゃってる。

 

雪菜「お兄ちゃん・・・」

僕「な、なんでもないよ、急ごう!」

雪菜「うん・・・」

 

やべ、ぼーっとスカートの中を見てたの、

雪菜ちゃんに感づかれたかな?軽蔑されちゃう・・・

坂を上ると信号待ちだ、さっきのセーラー服の少女が自転車に乗ったまま待ってる、

何となく気まずいなあ・・・乗ってる少女の後姿、ブラが透けて・・そんなところにまた目が行っちゃう!

・・・あれ?あの自転車、見覚えがあるぞ・・・そういえば・・・この後姿は・・・ひょっとして・・・

 

雪菜「雪巳ねえちゃん・・・」

 

くるっ、と振り向いた!

 

雪巳「あー、雪菜に、お兄ちゃんー!」

僕「やあ、学校もう終わったんだ」

雪巳「そだよー、明日が終業式ぃー」

僕「自転車は、どう?」

雪巳「いい感じだよー、ありがとー」

 

信号が青に変わった。

 

雪巳「お兄ちゃん、一緒に帰ろー」

 

自転車を降りて押す・・・

僕らと並んでわざわざ歩く。

 

僕「先に帰ってもいいのに」

雪巳「お兄ちゃんと、一緒がいいのー」

雪菜「・・・・・」

僕「どうしたの?雪菜ちゃん」

雪巳「袋いっこ持ってあげるー」

雪菜「ううん・・・いい・・・」

 

どうしたんだ?最近変だな・・・

 

僕「あ、歩くのが速すぎたみたいだね、ごめんごめん」

雪菜「・・・・・ううん・・いい・・・です」

雪巳「あのねーお兄ちゃん、今日学校でねー、夏休みだけでもってクラブに誘われちゃったー」

僕「え?部活?入ってなかったの?」

雪巳「だってー、部費払えないからー」

僕「そうか・・でも夏休みくらいはどこか入ってもいいんじゃない?」

雪巳「だってー、お兄ちゃんのお世話があるからー」

僕「そうかそうか・・・でも、もしやるとしたら何部がいいの?」

雪巳「んー、バスケかなー、背が高いからって誘われたのー」

僕「そっか、中1にしては高いもんなー」

雪巳「でもー、腕とか足にお肉そんなについてないから、自信ないのー」

 

胸にはこんなについてるのに・・・

 

僕「でも、ちゃんと食事して鍛えたら、かなりのものになると思うよ」

雪巳「だねー、だからー、ほんとにお兄ちゃんのお嫁さんになっちゃおっかなー」

僕「ええっ!?」

雪巳「だったらこの先、ずーっとごはんいっぱい食べられるでしょー?」

僕「ば、ばかなこと言ってるんじゃ・・そうそう、今日、雪巳ちゃんのお母さんに会ったよ」

雪巳「なにかうるさいこと言ってたでしょー?」

僕「まあ・・・君たちをずっと引き取ってくれみたいな」

雪巳「えー、いいのー?」

僕「いや、約束は夏休みいっぱいまでだから・・・」

雪巳「そっかー・・・」

 

あれれ?雪菜ちゃんは?

あ、いた?後ろから僕らを観察しているかのよう・・・

話し込んじゃうと、つい早足に・・・まあ、もうマンションが見えてるからいいか。

 

僕「雪菜ちゃん重くない?」

雪菜「・・・へいき、です・・・」

雪巳「あ、お兄ちゃん、はやくー!」

 

えっ?・・・あ!別の方向から雛塚三悪兄弟の一人がやってきた!

高校の制服・・・まあ1人だから大丈夫だろう、と思ったら慌てて自転車に乗って駐輪所へ逃げる雪巳ちゃん、

雪菜ちゃんも駆け足でマンションの中へ・・・僕もそれについていく、そんなに嫌いなのか、危険なのか・・・

 

僕「ふう・・・19階を押して・・・もう大丈夫だよ」

雪菜「うん・・・」

 

エレベーターの中で少し息を切らしてる、

そんなに嫌な兄と今まで一緒に暮らしてたなんて、

しかもあんなに狭い家で・・・公園で野宿もしたがるはずだよ。

 

僕「でも、相手は1人だし僕がいるから大丈夫だったんじゃ?」

雪菜「ううん・・・絶対、買い物盗んで逃げるから・・・」

僕「やっつけてあげるのに」

雪菜「すると・・・後が・・・こわい、です・・・」

僕「そうか・・・まあ、顔を合わせない方がいいよね」

 

19階について降りると、

エレベーターはすぐに下がっていった。

僕と雪菜ちゃんは20階まで階段を上がり家に入る。

 

僕「ただいまー」

雪菜「じゃあ・・・お昼ごはん、つくる・・・」

僕「うん、よろしく」

 

買い物袋を台所に置き、1人部屋に戻るときちんと勉強中の雪沙ちゃん。

 

雪沙「おかえり〜」

僕「どう?わからない所ない?」

雪沙「うん〜、これもうすぐ終わるよ〜」

僕「結構進んでる?」

雪沙「これ終わったら感想文する〜」

僕「へ〜、何を読むの?」

雪沙「これ〜、学校で借りたの〜」

 

トロッコ、か・・・結構難しいの借りるなあ。

 

僕「間に合いそう?ネズミーランドに」

雪沙「まにあわせるよ〜」

僕「じゃあ頑張って!僕は爪でも切ってるよ」

雪沙「後で切ってあげるよ〜?」

僕「いいよいいよ、勉強に集中して!」

 

お、玄関から誰か来る・・・

 

雪巳「ただいまー・・はぁ、はぁ」

僕「どうしたの?服が乱れてるけど」

雪巳「広幸お兄ちゃんに靴脱がされそうになったのー」

僕「酷いね、新品だからか・・・大丈夫だった?」

雪巳「うんー、エレベーター全然来ないんだもーん、大変だったー」

 

・・・あ!そうか、雪巳ちゃん置いてきちゃったんだ、

そこまで気が回らなかった・・・悪い事しちゃったなあ。

 

僕「ごめん、僕が守ってあげなきゃいけなかったのに」

雪巳「うーん、私より雪菜の方があぶないからー」

僕「何かあったらすぐに教えるんだよ」

雪巳「わかってるー・・・じゃあ私も夏休みの宿題するねー」

僕「そうだね、がんばって」

 

邪魔にならないよう、ベットに背をもたれて爪を切る・・・

あ、駄菓子がちゃんとまとめてある、ゴミも捨ててある・・・

雪沙ちゃん、ちゃんと片付けてるんだ、偉いなあ、って普通か・・・

 

雪巳「雪沙ー、ここまちがってるよー」

雪沙「え〜?ほんとに〜?」

雪巳「そうだよー、早く終わらせるの大事だけどー、間違えないのはもっと大事だよー」

雪沙「あせっちゃったー」

雪巳「しっかりしないとー、ネズミーランド断っちゃうんだからー」

雪沙「わかってるよ〜、ネズミーランドにまにあうより〜、ちゃんと答えださないといけないの〜」

 

・・・・・偉い!これはほんとに偉い!

ネズミーランド行きたかったら宿題早く終わらせること、って言われたら、

普通は答え度外視で何でもいいから書き込もうとしちゃうよな・・・

それをちゃーんと解こうとするのは、偉い!こういう考えはさすが女の子、かな?

ああ見えてしっかりしている、そりゃそうだ、小学5年生だもん、しっかりしたお姉さんもいるし。

 

雪沙「ぢゃ〜、あとでこっちかわりにやって〜」

雪巳「うんー、いいよー」

 

・・・・・やっぱり前言撤回!!

 

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