僕「もうすぐ5時か・・・」

 

本屋からの帰り、携帯電話の時計がもうすぐ夕方である時刻を表示していた。

部屋で1日中ゴロゴロしているうちに、あっという間だったなあ・・・そろそろ三姉妹も帰ってくるだろう、

僕の手にはネズミーランドとシーのガイドブック、楽しみなあまり、つい買ってきてしまった。

 

僕「行けるといいな・・・やっぱり僕も夏休みの宿題、手伝うべきだな・・・」

 

マンションの前へ・・・あ、あれは、雛塚家の三悪兄弟!

弟を虐めているようだ、服を脱がしてる!?ズボンのポケットからチャリーンとコインが落ちた!

それを慌てて拾おうとするも三悪兄弟の一人に拾われて・・・あーあ、蹴られちゃってるよ。

取り戻そうとするも三対一、しかも体が一回り二回り大きい兄だもんな・・・かわいそうに。

あの弟は確か活発な・・・えっと・・・そうだ、小学4年生の隆幸、だっけ。確かそうだ、そのはずだ。

 

隆幸「返せよー!それ、雪菜おねーちゃんから貰った大事な500円なんだからー!」

悪兄1「おい、これで雪絵と雪音の合わせて1500円だぜ!」」

悪兄2「これで雅幸が使ってなかったら2000円だったのによー」

悪兄3「もう1度殴ってみるか?やっぱり隠してるかもしんないぜー」

隆幸「雪菜おねーちゃんが、せっかくくれたのにー!!」

 

・・・・・これはむかつくなあ、三悪兄弟め・・・

雪菜ちゃん、僕があげた5000円のうち2000円を弟妹にあげてたのか、

まあそれは自由な使い道だから別にいいんだけど、それをあの三悪兄弟が回収してやがる・・・

 

悪兄1「とりあえずこれで何か食おうぜー!」

悪兄2「あと500円くらいありゃラーメン食えるんだけどよー」

悪兄3「マクドナルドにでも行くか、ポテト食いてえー!」

 

うーん、とっつかまえるべきか?

こういう時にちゃんと捕まえて叱れる大人にならないと・・・

でも兄弟喧嘩だよな?いや、窃盗だ!だけど雛塚母とかうるさそう・・・

 

隆幸「グスン・・・・・・グスン」

 

1人残された弟・・・

泣いちゃってる、僕は近寄って様子を伺う・・・

少年の見上げた目が真っ赤だ、そして僕を、睨んでいる!?

 

隆幸「・・・・・お前のせいだからな!!」

 

ぼこっ!!

 

僕「ぐわっ!」

 

たたたたたたた・・・・・

 

殴って逃げてった・・・なぜに僕が!?

まあいいや、家に戻ろう・・・何だか不条理だなあ。

 

 

 

僕「ただいま・・・」

 

玄関には可愛い靴が一足・・・

綺麗に揃えてある所を見ると雪菜ちゃんかな?

部屋に戻ると案の定、テーブルの上で勉強している。

 

雪菜「・・・・・・・」

僕「ただいま」

雪菜「・・・・・・・・・・うん」

 

そばには洗濯物が綺麗に畳んである、

ちゃんと家事をやる事やってからお勉強か。

夕食は確か今日は雪巳ちゃんの作る番だっけ・・・

 

僕「あ、そうだ・・・雪菜ちゃん、ちょっといい?」

雪菜「・・・・・うん」

僕「えっと・・・弟くんたちにお金、あげたでしょ?」

雪菜「・・・・・うん」

僕「それ・・・あの悪いお兄ちゃんたちに、取られてたよ」

 

ピタッ、と鉛筆を持つ手が止まる。

まるで金縛りのように・・・まばたきだけはしてるのが眼鏡ごしに見える。

 

雪菜「・・・・・はやく使ってって・・・言ったのに・・・」

僕「やっぱり、ちょっとは考えた方がいいかも、作戦じゃないけど」

雪菜「・・・・・・・・うん」

 

再び鉛筆を動かしはじめる、

心を痛めちゃっただろうなあ・・・

でも、ちゃんと教えてあげておかないと。

 

雪沙「ただいま〜〜〜」

 

ぢゃらぢゃらぢゃらぢゃら・・・

 

僕「おかえり・・・あ、また駄菓子買って!」

雪沙「へへへ〜、今日は500円だけだよ〜?」

僕「それより小銭の音ジャラジャラさせて」

雪沙「だって〜おサイフ持ってないも〜ん」

僕「だからって・・・そうか、サイフ持ってないのか・・・」

 

あの三悪兄弟に見つかったらどうするんだ?

そうだ、これから危険だよな、雪菜ちゃんが弟妹にお金渡した事がわかった以上、

雪巳ちゃんたちだって狙われる・・・金額も大きいから、より気をつけないといけない。

 

僕「帰ってくるとき、悪いお兄ちゃんに見つからなかった?」

雪沙「え〜?いなかったよ〜?」

僕「見つかったら取られちゃうでしょ?気をつけるんだよ」

雪沙「ぢゃ〜・・・今度から一緒に買いにいこっ」

僕「僕と?うーん・・・・・うん、いいよ」

 

壁にもたれて座り、菓子袋からアイスを出す雪沙ちゃん。

 

雪沙「うれし〜な〜おにぃちゃんとデートのやくそくしちゃった〜」

僕「ええーっ!?」

雪沙「早く明日にならないかな〜〜」

 

デート・・・

まあ、「女の子と2人っきりで一緒に買い物」ってデートだよな。

ただ、相手が9歳も年下でしかも小学5年生となると・・・僕は単なる保護者じゃん。

 

僕「あ、そういえば・・・雪沙ちゃん、ランドセルは?」

雪沙「そこだよ〜」

僕「え?あ・・・ある、一旦帰ってから買い物行ったんだ」

雪沙「だって〜、学校の帰りに買っちゃいけないんだよ〜、買い食いダメ〜」

僕「えらいえらい、ちゃんとわかってるね」

 

そうだ!買ってきた本を・・・

 

僕「ネズミーランドの本、買ってきたんだ・・・はい」

雪沙「わぁ〜、たのしそ〜〜」

僕「シーの方を読むから雪沙ちゃんはランドの方ね」

雪菜「・・・・・ゆきさ、夏休みの宿題・・・」

雪沙「うん〜、わかってるよ〜、あとで〜〜」

 

ネズミーランドの本を夢中に読みはじめた雪沙ちゃん、

アイスで口べっとりにしながら・・・ほんっとに子供だなぁ。

無防備に膝をたてて座ってるもんだからパンツ丸見えだし・・・

 

雪巳「ただいまーー」

僕「おかえり。汗ずいぶんかいてるね」

雪巳「うん!だってほらー」

 

スカートに手をかけ・・・

 

ぶわさっ!!

 

雪巳「最後、体育だったのー、ほらー、スパッツはいたままー」

僕「う・・・暑く・・ない?」

雪巳「今日は涼しい方だったよー?汗はかいたけどー」

僕「そうなんだ・・・そういえば曇ってたよね」

雪巳「まだ夏になりきってないからー」

 

・・・・・いつまで見せてるんだろう、スカートの中を・・・

 

僕「シャワー、あびてきなよ」

雪巳「そうするー、終わったらご飯つくるねー」

僕「うん・・・」

 

廊下に出て行った・・・

ど、どきどきどきどきどき・・・

雪沙ちゃんがスカートめくって見せた時とは、

なんてゆーか、迫力が違うよな、背の高さだってあるし、

それに、スカートの中からスパッツの甘酸っぱい匂いが・・・あぁ・・・

 

雪沙「おにぃちゃん、かたまってるぅ〜」

僕「い、いやその・・・あ、乗りたい乗り物あった?」

雪沙「まだ見始めたばっかり〜」

僕「そうだよね・・・うん・・・」

雪菜「・・・・・おにいちゃん、この計算・・・どうすればいいの・・・?」

僕「え?どれどれ・・・それはね・・・」

 

勉強を見てあげる・・・

・・・・・キャミソールの谷間から幼いふくらみが・・・

駄目だ、最近の僕はこんな所にばかり目が行っちゃう!!

 

雪菜「・・・・・それで?」

僕「え?あ、ごめん、ちょっとぼーっとしてた、それでね・・・」

雪菜「うん・・・」

 

せっかく真面目に僕の教えを聞いてくれてるんだ・・・

数式を教えているうちに僕の鼻と雪菜ちゃんの頭が近づく・・・

くんかくんか・・・いい匂いだなあ・・・さわやかで女の子の髪の匂い・・・

さっきの汗っぽい雪巳ちゃんのスパッツ臭も興奮したけれど、

雪菜ちゃんのこういうのも、じゅうぶん僕を興奮させ・・・ってトリップしちゃ駄目!!

 

雪菜「・・・・・うん、わかった・・・です」

僕「ははは、じゃあ、がんばって」

雪菜「うん・・・」

 

顔を離して遠ざかる・・・

危険だ・・・うーん、教師が教え子に手を出す心境がよくわかる、

あんなに幼くったって女の子は女の子だ、ここはもっと幼く安全な雪沙ちゃんの方へ・・・

 

僕「どう?ガイドブック」

雪沙「おひょひひょいほお?ふぐふぐ」

僕「あ、物食べながら喋っちゃ駄目」

雪沙「ん・・・あめだよぉ〜〜?んぐんぐ」

僕「あめだったらなおさらだよ、喉に詰まっちゃうでしょ?」

 

そばにある袋は・・・イチゴミルク飴か。

 

雪沙「あ〜〜〜んして〜」

僕「え?」

雪沙「あげるから〜あ〜〜ん」

僕「う、うん・・・あーん」

雪沙「あめだからも〜ちょっと口すぼめて〜、目つむって〜〜」

 

言われるまま飴1個入る大きさに口をすぼめ突き出し、目を閉じる・・・・・

 

ちゅっ!!

 

・・・・・ころっ!!

 

僕「!!!!!」

 

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