僕「牛丼特盛りつゆだく、玉子とおしんこ!」

 

注文を済ませると、さっき買ったチケットを確認する・・・

ネズミーランドにネズミーシーか、すごくわくわくしてきた。

こういう遊園地系は随分とご無沙汰だったからなあ・・・

 

ウィーーン

 

店員「いらっしゃいませ〜」

 

セーラー服の派手なコギャルが入ってきた、

そして僕の隣に座って・・・あれ?こっち見てる?

 

コギャル「あんたこの前、ウチの妹連れてたよね?」

僕「え?・・・あ!雪巳ちゃんたちの・・・」

コギャル「やっぱり!間違えてなくてよかったー・・・」

 

コンビニの前で会った、雪巳ちゃんたちのお姉さんだ!

 

僕「えっと・・・」

コギャル「雪香だよ、ゆ・き・か」

僕「雪香ちゃん・・・学校の帰り?」

 

僕の前に牛丼が運ばれた。

 

雪香「あ、あたし牛鮭定食!・・・・・そだよ、学校の帰り」

僕「あ、そういえば・・・帰るって、家には帰らないの?」

雪香「あんなゴミ屋敷やーよ、弟も妹もウザイし」

僕「ひょっとして、野宿?」

雪香「んなわけないっしょ、パパがウィークリーマンション貸してくれてるしー」

 

そうか、お父さんが・・・って、ええ?

 

僕「パパって、ひょっとして・・・」

雪香「そ、エンコー相手」

僕「え!・・・しー、そんなこと、こんな所で口に出しちゃ駄目だよ!」

 

まわりの社会人の目線が痛い・・・

 

雪香「あんたもアタシの妹使って、んなことやってんでしょ?」

僕「いー!?や、やってないってば!」

雪香「ほんとー?しゃぶらせるくらいはしてんじゃねーのー?」

 

昼間からなんて会話を・・・

今度は雪香ちゃんの前に牛鮭定食が置かれる、

うぅ、店員の顔を見れないよ・・・この爆弾コギャルめ!!

 

僕「ここでそんな会話するなよ・・・」

雪香「いいじゃーん、あ、図星だったからヤバイんだー」

僕「・・・・・もう相手にしない」

 

目の前の牛丼に玉子をかける。

 

雪香「みんなー、この人、私の小学生の妹をはだ・・」

僕「こらー!!」

雪香「むぐむぐ・・・んにすんだよー!」

僕「いいかげんにしろよ!」

雪香「ったく・・・じょーだんもわかんねーの?」

 

冗談と言えば何でも済むと思ってんのか?こいつは・・・

 

僕「もう話かけるな」

雪香「はーい・・・さっさと食べて今日も稼ごーっと」

僕「・・・・・」

 

こんな奴が雪巳ちゃんたちのお姉さんだなんて・・・

まあ、あの三悪兄弟の姉、だっけ?だから仕方ないか。

まったくもう・・・さっさと食べてここから離れよう・・・

 

雪香「ふう、ごちそうさま」

僕「なぬっ!?は、はやっ!!」

雪香「じゃあ後は頼むね、お・に・い・ちゃん」

 

あ、逃げた!!

 

店員「あ!食い逃げ!」

雪香「そいつが払うってー!」

僕「おいおいおいおいおい!!!」

 

『おにいちゃん』て言った1秒後に『そいつ』かよ!!

 

店員「あの、お客様・・・」

僕「あ、う、うん、490円だよね・・・払います・・・」

店員「いいんですか?」

 

くそ・・・まあいいや、面倒な事はごめんだから・・・

 

 

 

 

 

僕「ただいまーーー」

 

玄関でわざと大きな声をあげる、

また雪菜ちゃんがあんな事してたらやばいから・・・

ゆっくりゆっくりと部屋に戻る・・・雪菜ちゃんは・・・・・いない。

 

僕「ふう・・・さて」

 

ビデオテープを取り出し押入れに仕まう。

今後、気をつけなくちゃな・・・あの子たちには刺激が強すぎるから・・・

 

雪菜「おかえりなさい・・・」

僕「わ!いつのまに!」

 

後ろに亡霊のように立っていた!

 

僕「たたたたた、ただいま・・・」

雪菜「ん・・・お兄ちゃん・・どうしたの?」

僕「そそそそそそそそそそ、その、そうだ!こここ、これ」

 

チケットを手渡す。

 

雪菜「あ・・・ネズミーランド!!」

 

☆ネズミーチケット☆

 

僕「うん、これって正確にはチケット引換券だけどね、当日ランドでチケットにしてもらうんだ」

雪菜「わぁ・・・ありがとう!!」

僕「お礼は宿題全部終わってから、でしょ?」

雪菜「・・・・・うん」

僕「頑張ってくれないと、これが無駄になっちゃう」

 

そそくさとランドセルから教科書を取り出してる・・・

辞典を広げて、早速宿題に取り掛かりはじめたようだ。

 

僕「さて、じゃあ僕は、と・・・」

 

そうだ、チケットの手配は済んだけど問題は泊まる所だ、

まあ一旦この家に帰ってきてもいいんだけど、どうせなら・・・

パソコンの前に座って電源を入れる、メールをチェック・・・来てる!美鈴姉さんからだ!

えっと・・・『Re:ネズミーシーで一発したい』おいおい、こんなメールタイトルで出したっけ!?

送信済みメールを確認して・・・ほっ、ちゃんと『ネズミーシーで一泊したい』てある、美鈴姉さんの悪戯か。

 

なになに・・・『ここに電話しなさい、番号は絶対口外しない事、紹介者は高神厳三郎、登録番号は878000751と伝える事』

電話番号がある・・・本当に大丈夫かな?あれ?続きがあるぞ『予約は1回しか使えません、それと私へのお土産は1万円以上で!』

はいはい、わかりましたっと。1万円のお土産って何買えばいいんだろう?まあ適当でいいか、食べ物さえ避ければ大丈夫だろう。

さて、メモして・・・玄関へ行って早速電話をかけてみる、ってこれどこに繋がるんだ?ちょっとドキドキ・・・ワクワク・・・

 

女の声「はい、こちらは東京ネズミーリゾート総合インフォメーション・スポンサー受付でございます」

僕「えっと、シーの中にあるホテルの予約をしたいんですが」

女の声「はい、ホテルパンナコッタのご予約ですね、スポンサー登録者ご本人様でしょうか?」

僕「いえ、違いますが・・紹介者は高神厳三郎、登録番号878000751です」

女の声「878・・000・・・751ですね、少々お待ちください」

 

大丈夫かな・・怒られたらどうしよう・・・コラーって。

 

女の声「確認いたしました、希望日の方をお願いいたします」

僕「7月22日の夜、一泊だけなんですが、4名で」

女の声「7月22日火曜日の夜、4名様ですね、チケットの方はもうご購入済みでしょうか?」

僕「はい、しっかり買ってあります」

女の声「まことにありがとうございます、では宿泊ガイドの方を郵送させていただきますのでご住所とお名前を・・・」

 

ガチャ、と玄関が開いて雪沙ちゃんが帰ってきた!

 

雪沙「ただいまー」

僕「しーーー!!」

 

電話中の僕に気がついて口を塞ぐ雪沙ちゃん、

とことこ近づいて僕が持っているメモとチケットを覗き、

チケットを抜き取って声を出さないまま大喜びをしぐさをしている!!

 

女の声「・・・はい、ありがとうございました、予定日が迫っておりますので速達で送らせていただきます」

僕「これで泊まれるんですか?」

女の声「はい、それではお部屋のほうはいかがなさいましょうか」

僕「そういえば種類が沢山あるんですよね・・・」

女の声「現在ご用意できますのは、1泊50万円のロイヤルスイート、1泊15万円のシーサイドスイート・・・」

 

おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!

 

僕「いちばん・・・安いのは?」

女の声「ハーバールーム、こちら寝室が2人1部屋の2部屋に分かれておりまして、6万2千円になります」

僕「う・・・じゃあ、それで」

女の声「かしこまりました、ネズミーリゾート一同お待ちしております」

僕「はい・・・・よろ・・・しく」

 

ガチャ・・・

 

雪沙「ネズミーネズミーネズミーランド〜〜〜!!」

僕「こらこら、そんなにはしゃがないの!」

雪沙「しゅくだいするね〜〜〜!!」

 

チケット引換券を持ったまま僕の部屋へ・・・

それにしても1泊6万2千円って・・・さすがに緊張するなあ、

ま、まさか1人6万2千円!?い、いや、1部屋での値段のはずだ・・・うん。

それにしたって1人1万5千5百円の計算になる、おそるべしネズミーシーの殿様商売、

でも本来なら予約でいっぱい・・・さらにおそるべし・美鈴姉さん!・・・お礼のメール出しとこ。

 

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