雪菜「・・・朝・・・です・・・」

僕「・・・・・ZZZZZ・・・」

雪菜「もう・・・休みでも、お昼になっちゃう・・・」

僕「・・・・・zzzzz・・・・・」

雪菜「ご飯・・・さめちゃう・・・」

 

・・・・・こちょこちょこちょこちょこちょ

 

僕「あうっ!!・・・雪菜ちゃん」

雪菜「おはよう・・です、もう午前10時です・・・」

僕「あ・・・そんなに寝ちゃってたんだ、ありがとう、起きるよ」

 

重い体を起こして食卓へ・・・

みんなもう座って待ってる、悪い事しちゃったな。

 

雪巳「おはよー」

雪沙「おっはよ〜さ〜たべるよっ」

雪菜「待って・・・お茶入れる・・・・・」

 

コポコポコポ・・・・・・

 

僕「ありがとう・・じゃあ、いただきまーす」

雪巳「いただきまーす」

雪菜「・・・いただきます」

雪沙「いただき〜〜もぐもぐ」

 

うーん、焼きタラコ美味しい・・・

わかめアスパラサラダも、きんぴらごぼうも、みそ田楽もいい味だ、

男の一人暮らしだと、どうしても栄養が偏っちゃってたからなあ・・・

 

雪沙「もぐもぐ・・・おにぃちゃ〜ん、今日ひまぁ〜?」

僕「ん?予定は無いけど?」

雪沙「ぢゃあ、遊ぼうよ〜」

雪巳「ゆきさ、お仕事あるでしょー?」

雪菜「あの・・・食事終わったら、お電話借りても・・いい?」

僕「え?いいけど、どうしたの?」

雪菜「友達に・・・林間学校のプリント・・教えてもらうの」

僕「あっ、そうか。いいよ、FAXもあるからできれば送信してもらえば?」

雪菜「・・・・・うん」

雪沙「おにぃちゃん、ゆきさのお仕事終わったらあそぼ〜」

僕「はは、いいよ」

雪巳「私、本買いに出かけるねー、お昼には帰ってくるからー」

僕「ママチャリ使って行ってくるといいよ、防犯ブザー忘れずにね」

雪巳「うんー!」

雪菜「・・・自転車・・・乗れるように・・なりたいな」

僕「乗れないの!?」

雪菜「・・・・・うん」

僕「じゃあ練習するといいよ、でも雪菜ちゃんにはまだちょっと大きいかな」

雪沙「ゆきさのれるよ〜?たぶん〜」

雪巳「身長ぜんぜん足りないってー」

僕「雪沙ちゃんは籠に入れてもらった方がいいんじゃないかな」

雪沙「ひど〜い」

雪菜「・・・想像しちゃった」

雪巳「あはははっ」

 

なんてほほえましい朝の食卓・・・

忘れかけてた「家族」っていうものを思い出させる。

と同時に少女といえど「女の子」が3人も取り囲んで食事してると、

やっぱりなんとなく照れるというか、ちょっとくすぐったくも恥ずかしくも感じる。

まあ、雪沙ちゃんの汚い食べ方とか、みんな食べ急いでるのとか、不満がまったくない訳じゃないけど・・・

 

雪菜「ほら・・雪沙、こぼしちゃ駄目・・・」

雪巳「きゃっ!お茶倒しちゃったー」

雪沙「も〜ゆきみおね〜ちゃんのせっかち〜」

僕「あ、雪沙ちゃん拭くの速い!」

雪菜「・・・お口も拭いた方がいいよ」

 

 

 

 

 

食事が終わって歯も磨き終えた、

雪沙ちゃんは1人で洗い物・・・大丈夫かな?

雪巳ちゃんは本を買いに・・・僕があげたお金を早速使うようだ。

僕は部屋でのんびり・・・CSで何かいい番組やってないかなー、とチャンネルを・・・

 

雪菜「あの・・・」

僕「わ!びっくりした。どうしたの?」

雪菜「これ・・・」

 

FAX用紙を渡される、

中は・・・ああ、林間学校の案内だ、

行き先はマザー牧場・・・5年生とまとめて行くのか、

でも6年生は2泊3日で、22500円・・・こんなものだろう。

 

僕「今日中に銀行行って下ろしてくるよ」

雪菜「・・・・・ありがとう・・・」

僕「いいよいいよ」

 

さてテレビを・・・

 

ひしっ!!

 

僕「!?」

 

背中に温もり、髪の匂い・・・

振り向くと雪菜ちゃんが背中に抱きついてる!

 

雪菜「うれしいの・・・」

僕「そんなに・・しっかり楽しんでおいで」

雪菜「うん・・・がんばって・・・お仕事する・・」

僕「え?ああ、ここのこと?無理する必要はないから、出来る範囲で、ね」

雪菜「・・・・・・・・」

 

じーーっと背中にしがみついたまま・・・

頭をやさしくなでてあげると涙がポロッとこぼれた。

 

僕「ほらほら、嬉しいんだったら泣かない!」

雪菜「だって・・・だって」

僕「嬉しいんだったら明るくしてくれないと」

雪菜「・・うん!」

僕「ほら・・・拭いて拭いて」

 

ティッシュでぬぐってあげる・・・

眼鏡を外して涙を拭き取って・・・

 

雪菜「でも・・・・ほんとに・・・いいの?」

僕「ここにいる間はここが雪菜ちゃんの家だから、いいの」

雪菜「私・・・いっぱい服も買ってもらって・・ごはんも・・・」

僕「働いてるんだから当然だよ」

雪菜「・・・お返し・・・しきれない・・・」

 

律儀ないい子だなあ。

 

僕「ここにいる間、夏休みが終わるまでは僕の妹だから、気にしない気にしない」

雪菜「お兄ちゃん・・・」

 

ぎゅううっ、と僕の背中を抱く力が強くなる・・・

 

雪沙「あ〜!ゆきなおねぇちゃん、ずるい〜!ゆきさもあまえる〜」

僕「ええっ?・・・わっ!!」

 

正面に回って抱きついてきた!

 

雪沙「おにぃちゃぁ〜〜ん♪」

僕「こらこら!甘えたがりなんだから・・・」

雪沙「えへへ〜〜〜」

 

スッ、と背中が軽くなった、

雪菜ちゃんがどこかへ・・・部屋を出ていった。

そして雪沙ちゃんが、僕の胸の中でスリスリスリスリ・・・

 

僕「そ、そういえば、遠足って、いつ?」

雪沙「7月26日だよ〜」

僕「夏休み遠足だ!」

 

そうだよな、6年生の林間学校と一緒だから・・・

 

僕「でも日帰りだよね?」

雪沙「5年生はね〜」

僕「来年は泊まれるんだ」

雪沙「・・・たぶん・・・むり」

僕「あ、ごめん・・・」

 

背中をやさしくなでてあげる・・・

う、シャツごしのこれは・・・子供用ブラ!

いかにブラジャーぽくないファーストブラとかいうやつとはいえ、

手にその感触がかかると、何とも言えない気持ちになっちゃう・・・

 

雪沙「ど〜したの〜?」

僕「うん、ちゃんとベビーパウダーつけてる?」

雪沙「うん!寝る前と朝起きたらつけてるよ〜」

僕「背中、届く?」

雪沙「おねぇちゃんにつけてもらってる〜」

 

確かに甘い甘いベビーパウダーの匂いが・・・

 

僕「そうだ!お姉ちゃんといえば・・・兄弟姉妹全部で何人?」

雪沙「12人だよ〜」

僕「名前は?」

雪沙「ん〜とね〜、上はゆきかねぇちゃん、ひろゆきひこゆきのぶゆきおにぃちゃん、ゆきみゆきなおねぇちゃん」

僕「下は?」

雪沙「たかゆき、ゆきえ、ゆきね、なりゆきぃ!」

僕「なるほど・・・あれ?2人、いや、雪沙ちゃん入れて・・・1人足りなくない?」

雪沙「上と下は全部言ったよ〜?」

僕「あれ?全部言ったかな?聞き逃したかな・・・」

雪沙「さいごにぃ、同じなのが、まさゆき!」

僕「あ!・・・確か」

雪沙「ふたごだよぉ〜」

 

そうだそうだ、そうだった。

双子って先に出た方が姉か兄じゃなかったっけ?

でも双子なんだから『同じ』で合ってるよな、確かに。

 

僕「一番上のお姉ちゃんとは仲いいの?」

雪沙「ゆきかねえちゃん?家にこないよ〜?」

僕「来てたときは?」

雪沙「ん〜、まあまあ」

僕「普通ってこと?」

雪沙「ゆきみゆきなおねぇちゃんの方が、ゆきさと仲よかったからぁ〜」

 

まあ12人も兄弟姉妹がいれば派閥も出来るだろう。

雪巳ちゃん雪菜ちゃんが何とか雪沙ちゃんもここに連れてこようとしたのを見ても、

この三姉妹の絆というか繋がりがよくわかる。逆に他の兄弟姉妹とは・・・

 

僕「上の三人のお兄ちゃんは?」

雪沙「きら〜〜い」

僕「わかりやすいね」

雪沙「みんなおにぃちゃんみたいだったらよかったのにぃ」

僕「ぼく?」

雪沙「うん〜!だったらだぁいすき〜」

 

ははは・・・

 

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