7月12日午前11時47分、夏休み前最後の大学も終わり家に帰ってきた、

途中でデパートに寄って合鍵と眼鏡を受け取ってきた・・・さて、明日から、いや、たった今から、

待ちに待った夏休みだ!今日から丸々2ヶ月、のんびり自由に遊べる・・・大学生ばんざい!だ。

 

僕「ただいま〜」

雪巳「おかえりなさーい」

僕「エプロン姿で出迎えご苦労!雪菜ちゃんは?」

雪巳「朝からずっと漫画読んでるよー、雪菜のお手伝いは午後からだからー」

僕「うん、別にいいんだけど・・・」

 

今日は第二土曜日、三姉妹は学校お休みだ。

自分の部屋に入ると隅で漫画を読みふけっていた・・・

 

僕「雪菜ちゃん」

雪菜「あ・・・はい」

僕「これ・・・雪菜ちゃんの分の合鍵と眼鏡」

 

ケースを開いてさっそく掛ける・・・

 

雪菜「・・・・・わぁ」

僕「どう?しっくりくる?」

雪菜「・・・夜から昼になっちゃった」

 

そんなにすごいのか・・・

 

雪菜「全部、はっきり、見える!」

僕「良かったね」

雪菜「うん!!」

僕「それと・・・これも」

雪菜「え?もう・・・いっこ?」

 

中にはスペアの眼鏡が!

 

雪菜「これ・・・?」

僕「こっちは前の眼鏡より、ちょっと度がいいやつ。ほら、新しい眼鏡で本ばっかり読むとまた悪くなっちゃうでしょ?」

雪菜「・・・・・読書用?」

僕「そう。こっちはガラスレンズでフレームも格安だけど、前の壊れたのはレンズ繋げただけのタイプだったから、それよりは」

雪菜「ふたつも・・・すごい・・・」

 

ガラス眼鏡の方をかける・・・

 

僕「そっちは、スペア眼鏡フェアとかいって本当にものすごく安かったから気にしなくていいよ」

雪菜「これで・・・1つこわれても、安心・・・」

僕「でもガラスは本当に割れやすいから、気をつけてね」

 

再び読書の世界にこもる雪菜ちゃん・・・

もう聞いてないか・・・僕はテレビの前に座ってスイッチを入れた。

 

雪菜「あ・・・」

僕「つけない方がよかった?」

雪菜「ううん・・・あ・・・ありがとう」

 

感謝の言葉を忘れない・・・いいことだ。

 

雪沙「ごはんできたよ〜〜〜」

 

 

 

 

 

食事を終えて部屋でくつろぐ・・・

雪巳ちゃんは雛塚家に用事があるって言って降りてった、

雪菜ちゃんは台所で洗い物の最中・・・雪沙ちゃんはどこ行ったんだろ?

 

とたとたとた・・・

 

雪沙「あ〜、おにぃちゃん、食べてすぐ寝ると牛になるよ〜」

僕「そんなの誰に教えてもらったの?」

雪沙「ん〜、誰だっけ〜」

 

声だけの返事でテレビに集中・・・

 

雪沙「ね〜ね〜、おにぃちゃ〜ん」

僕「ん〜?」

雪沙「これ、なんて読むの〜?」

 

寝たまま後ろを振り返ると・・・

 

僕「ぶっ!!!」

☆good friend cat!☆

雪沙「この英語、なんて読むの〜?」

 

スカートを、おっぴろげて・・・

れっ、冷静に・・・冷静に、読んで、教えてあげないと・・・

 

僕「ええっと・・・ぐっど・ふれんど・きゃっと・・・猫は良い友達、ていう意味だよ」

雪沙「そ〜なんだ〜」

 

くるっ、とテレビの方に体を戻す・・・

何事もなかったように・・・冷静に・・・冷静に・・・

 

雪沙「おにぃちゃんありがと〜」

僕「う、うん・・・」

 

とたとたとた・・・・・

 

部屋を出ていった・・・

まだ胸がすんごくどきどき・・・

ちらっとパンツが見えちゃうのでも心臓に悪いのに、

自分であんな風にめくって・・・破壊力抜群だなあ・・・

・・・今更だけど、怒った方が良かったかな?そんなことするんじゃない、って・・・

 

雪巳「ただいまー」

僕「おかえり」

雪巳「テレビ見てるのー?ゲームしちゃ駄目ー?」

僕「いいよ」

雪巳「あ・・・ごめん、なさーい」

 

言ったはいいが慌ててあやまってる、

そうだよな、この家は僕の家なんだし、

居候でメイドの雪巳ちゃんが僕の邪魔しちゃまずいって、気付いたみたいだ。

 

僕「こういう機能があるから大丈夫」

 

ポチッとリモコンを押す。

 

雪巳「あー、画面が2つになったー!」

僕「左の画面でゲームやるといいよ、僕は右で見てるから」

雪巳「すごいすごいすごーい」

 

こんな機能でここまでびっくりされても・・・

ガチャガチャとゲームをいじってる、それにしてもきわどいズボンだなあ、

デニムの半ズボンなんだけど丈が短かすぎて、ブルーのパンツが隙間から・・・

 

雪巳「これにしよ・・どうしたのー?」

僕「いや、その、雛塚家に、何しに行ってたのかなーって」

雪巳「説明に行ったの、私から」

僕「え?両親の承諾はちゃんと出来てるんじゃ?」

雪巳「妹や弟たちにー、ちゃーんと説明してないと思ったから」

 

ああそうか、まだまだ下の子がいたんだっけ。

 

僕「お兄ちゃんとかには?」

雪巳「えっ、うちのー?」

僕「そう、あの三兄弟」

雪巳「いやっ!話たくもないっ」

僕「そうなんだ・・・で、弟や妹は理解してた?」

 

プレステ2の電源を入れる・・・

 

雪巳「うーーーん、一応」

僕「何か問題でも?」

雪巳「泣かれちゃった」

 

あらら・・・

 

僕「会おうと思えばすぐ会えるのに」

雪巳「あんまり行きたくないー・・・」

僕「あの三兄弟がいるから?」

雪巳「それもあるけどー・・・」

僕「不安や心配なことがあったら何でも言って」

 

ちょっと考え込んでる。

 

雪巳「弟や妹の世話も大変なの」

僕「そうか・・・そうだよな・・って、じゃあ今は誰が世話してるの?」

雪巳「だーれも・・・ごはんはママだけでも作れるからいいけど」

僕「それって、まずくない?」

雪巳「私は助かったよー、ここのお兄ちゃんの世話だけでいいし楽だしー」

 

・・・雛塚家、人が3人減って楽になるかと思ったらそうとも言い切れないみたいだ、

よくよく考えたらあの家族の子供で世話能力があるのはこの3姉妹だけかも知れない、

それをゴッソリを引き抜いちゃったんだから、あの家の中はどんな状態になってるんだろう?

 

僕「えっと、女子高生のお姉さんは?」

雪巳「雪香おねえちゃんはほとんど家に来ないし世話もしないよー」

僕「あ、そうだよね、聞いた覚えがある・・・三兄弟は・・・世話する訳ないか」

雪巳「いじめるだけだよー、私がよく止めてたんだけど・・・」

僕「そうか・・・ご両親は?」

雪巳「パパがまともな時は助けてくれるけど、ママはまとめて蹴っちゃう」

僕「ひどい!そうか・・・世話係がいないのか・・・」

 

悪い事しちゃったのかな?

・・・でも、よくよく考えたらこの三姉妹だって、まだまだ世話が必要な年齢じゃないか!

実際、家事をしてもらってるとはいえ、僕だって色々面倒見てあげなきゃいけないんだし・・・

 

僕「雛塚家では雪巳ちゃんも料理作ってたの?」

雪巳「うん、手伝ってたよー、でも作ったおかず全部とられちゃう」

僕「かわいそうに・・・朝も夜も、白いごはんだけ?」

雪巳「ほとんどそう、中学入ったら給食もなくなっちゃったしー」

僕「小学校では給食があったからまだマシだったんだ」

雪巳「余ったおかず貰えたしー、牛乳はいつも5本くらい余るから、全部貰って飲んだよー」

僕「5本も!おなかたぷたぷにならない?」

雪巳「でも小1から小6まで、ずっとお昼は牛乳それくらい飲んでたよ」

 

なあるほど、

それでこのおっぱいが出来上がったのか・・・

じゃあ中学に入ってからは、もうこれ以上は膨らまないのか!?

 

僕「・・・・・牛乳、好き?」

雪巳「好きとか嫌いとかあんまりないよー」

僕「そう・・・スーパーで買い出しのとき、牛乳買ってもいいよ」

雪巳「お茶とかリンゴジュースの方がいいなー」

僕「それもいいけど、発育のためには・・・」

 

くるっ、てこっちを向いた!

 

雪巳「わかったー、牛乳も買うね」

僕「あ、うん、無理にとは言わないけど、ね」

 

・・・・・変な意味に取られてたらどうしよう・・・

 

僕「そうそう、それで弟たち、なだめてきた?」

雪巳「雅幸と隆幸には、これから雪絵と雪音と也幸の面倒見なさいって言っておいた」

僕「え?あの上の三兄弟のうち2人に?」

雪巳「ちがうよー、それは広幸兄ちゃんと彦幸兄ちゃんと信幸兄ちゃん」

僕「こんがらがってきた・・・じゃあ弟2人に言ったんだ」

雪巳「そーだよ、だって雅幸と隆幸は今5年生と4年生だけど、私や雪菜がその頃はもうとっくに面倒見てあげてたもーん」

僕「そうか・・・あれ?小5って、雪沙ちゃんも小5だよね?」

雪巳「そーだよ、だって双子だもん」

僕「なあるほど、それなら納得」

 

後で時間があったら雛塚家の家族を整理して教えてもらおう。

 

雪巳「これがいいきっかけになるといいなー」

僕「自分でやるようになる?」

雪巳「それと妹弟の面倒見るようになる、ねー」

僕「・・・僕も雪巳ちゃんたちに面倒見てもらってるんだよなぁ」

雪巳「お兄ちゃんの面倒はまた別だよ、お嫁さんみたいなもの?」

 

どきっ、とする事いうなー・・・

 

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