雪沙「いってきまーーーす!」

雪菜「・・・いってきます」

僕「行ってらっしゃい、雪沙ちゃん鍵とパスワード無くさないようにね」

雪沙「うんっ♪ふでばこにちゃんと入れたよぉ〜」

雪菜「パスワードは・・私も覚えました・・・」

 

小学校のブラウス制服に身を包み、

赤いランドセルで出て行った二人・・・

新品の靴下が軽やかだ、でも靴はあいかわらずボロボロ・・・そうだ

 

僕「雪巳ちゃん!」

雪巳「なーに?」

僕「今日の夕食、作らなくていいや」

雪巳「なんでー?」

僕「みんなでデパート行こう!靴買わなきゃ。ついでにレストラン」

 

目が輝いてる・・・

 

雪巳「いいのーー?」

僕「いいの!何とか7時には帰ってくるから」

雪巳「何から何までありがとー」

 

弾む雪巳ちゃん、

胸もぽよんっ、て弾んだ・・・

うう、セーラー服ごしにスポーツブラが透けて見えてる・・・

 

僕「そういえば、中学校まではバス?」

雪巳「歩きだよー」

僕「ええっ?結構距離あるよね?」

雪巳「でもー、それしかないからー」

僕「・・・・・僕のママチャリで良かったら使う?」

 

もうずいぶん使ってない自転車の鍵を取り出す。

 

雪巳「自転車あるのー?」

僕「うん、バイクが故障した時に買ったんだけど・・・はい、鍵2つ」

雪巳「なんで2つもあるのー?」

僕「うちのマンション、自転車ドロボーがいるじゃん、ほら」

雪巳「あー・・・うちのお兄ちゃんー・・・」

 

納得してる・・・

 

僕「空気無いかも知れないから、そばの自転車やで入れてもらってきて」

雪巳「うん!入れてくるー」

僕「もしパンクしてたら修理してもらってきて・・えっと・・・」

 

財布から2千円札を2枚渡す。

 

僕「これで大概の修理は出来ると思うけど・・・」

雪巳「じゃあ、もう行くねー、修理時間かかるかも知れないからー」

僕「自転車置き場まで一緒に行くよ、どれかわかんないだろうから・・・」

 

一緒にマンションを降りる、

そして自転車置き場は・・・あ、あれは?

 

雪巳「お父さんだー・・・機嫌悪そう・・・」

僕「え?」

雪巳「隠れて!まだお酒残ってるかもー」

 

雛塚父が通り過ぎるのを隠れて待つ・・・行ったようだ。

 

雪巳「よかったー」

僕「うん、ほっ」

管理人「何が良かったのかね?」

 

か、かか、管理人のおじいさん!!

 

僕「い、いえ、こっちのことです・・・」

雪巳「おはようございまーす」

管理人「おはようさん・・・昨日はご苦労だったねえ」

僕「ええまあ・・・でもおかげさまで丸くおさまって」

管理人「いやいや、これからですよ、大変なのは」

僕「はあ・・・」

雪巳「お兄ちゃーん、いこっ」

 

自転車置き場へ・・・

どの自転車もしっかり鍵がかかってる、

うっかり鍵をしないと、どこかの誰かが勝手に乗り回すから・・・

 

僕「この自転車だよ、ちょっとイスが高いかな?」

雪巳「大丈夫そうだよー・・こっちがこの鍵ー?」

僕「そう、そして後輪の鍵がこれ・・・空気は・・・やっぱり抜けてる」

雪巳「じゃあ自転車やさんまで押してくねー」

僕「うん、くれぐれも事故起こさないように!気をつけて!!」

 

念を押しとかなきゃな・・・

雪巳ちゃんは僕に手を振り、

まわりを気にしながら急いで出て行った・・・

 

僕「さあて、大学は午後からだし・・・ゆっくりしよう」

 

エレベーターに乗って自宅へ戻った・・・

三姉妹の残り香が僕の部屋に充満しているようだ、

さあて・・・軽くインターネットでもしようかな・・・

 

ピンポーン

 

誰か来た?

玄関のモニターにはさっき会った管理人さんが・・・

 

僕「何でしょう?」

管理人「あのー、雛塚さんところの家賃なんですが、どうしましょう」

僕「あ、そうか・・・ちょっと忘れてた」

 

ロックを開けて玄関まで来てもらう。

 

僕「どのくらい延滞してるんでしたっけ」

管理人「2年近くなりますねぇ、さっきも言ったらあなたから貰えって・・・」

僕「うーーーーーん・・・わかりました、1ヶ月いくらでしたっけ」

管理人「払うんですかい?」

僕「ええ、2ヶ月・・いや、4ヶ月分だけ出します、ですから9月までは雛塚家の家賃を放っておいてあげてください」

 

厳密には僕が払う必要は無い、

ましてやいかに僕の家にメイドとして来たとはいえあの三姉妹を8月いっぱいまで養うんだ、

でも一応、約束は約束だし・・・でも払える限界はいいとこ4ヶ月分だろう、延滞金全部払う気は無い。

 

管理人「わかりました・・・本当にいいんですかい?」

僕「ええ、どっちみちその中のいくらかは僕のところへ戻ってくる訳ですし」

管理人「それでは、家賃の振込先を持ってきますね」

 

ここ2日ですごい出費だなあ・・・まあいっか。

あの子たちと住む道を選んだのは僕だ、これくらいで怯んでいられない。

・・・・・でも夏休みの旅行計画は、ちょっと安い所に見直す必要はあるな・・・

 

僕「さて、管理人さんが戻って来たら銀行へ行って振り込んでこなきゃ・・・」

 

ついでにお金ももっと降ろさないと・・・

デパートでは靴以外にも買いたい物があるし・・・

あと、あらためて雛塚家に挨拶する必要は・・・ないかな?

下手に行くと何か催促されそうだし、ゆうべ確認取れたからいいか?

いや、しっかりと僕自身がちゃんとした話を・・・面倒くさいし、たまたま会ったらでいっか。

 

僕「管理人さんまだかなあ・・・」

 

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