駅のホームで待つ也幸くん、
園長さんが気を利かせてくれて電車がくる10分前に富浦駅へ降ろしてくれた、
切符を買ってくれただけじゃなく、猫シールもいっぱい貰って・・・ベンチに座りリュックを開ける。
也幸「〜♪(にこにこ)」
朝にお兄ちゃんから貰ったお金でお土産も買った、
ソヨカゼ用のブラシはこれで毛をなでてあげたい!
舞奈ちゃんには猫のキーホルダー、自分用には猫の消しゴム。
結局、切符代に残した1000円以外ほとんど使ってしまい、
今ではガマ口に、ほんの僅かな小銭が残るのみ・・・お土産をにやけながら見ていると電車が来た。
也幸「!!」
東京行きの電車、間違いない!
反対側に行かないように園長さんがちゃんと教えてくれた、
今度は猫猫園に泊まりたいなと思いながら車内に座る、そしてお茶を飲む。
チョロチョロ・・・チョロッ!
也幸「!!!」
水筒のお茶が無くなった!
これが最後の一杯・・・ぐいっと飲み干す。
お昼の弁当を喉に詰まらせて、いっぱい飲んじゃったから・・・
也幸「・・・・・」
まあいいや、という感じでキャップを閉め、
窓にもたれかかって静かに目を閉じる、猫猫園では猫といっぱい遊んだ、
特に子猫が容赦なく引っ掻いたせいで生傷が目立つが、男の勲章くらいにしか思っていない。
也幸「・・・(ふぁぁぁ〜〜〜・・・)」
電車が動き始めた、
終着が東京駅だから眠って構わない、
窓辺にもたれかかって静かに目を閉じる・・・
也幸「・・・・・・・zzzzz」
遊びつかれた也幸くんは、
次の駅につく前にもう眠ってしまった・・・
夢の中で、もう1度、猫猫園の猫たちと遊ぶために。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・・・・・・
今、也幸くんが見ている夢・・・
東京の真ん中に建つ100階建ての猫猫タワー、
その最上階でチョビ髭を生やした也幸くんが皮の椅子に座っている。
舞奈「社長!お仕事です!」
沢山の書類を持ってきた社長夫人、大人の舞奈ちゃん。
机にドサッと置かれると、凄く大きな判子を也幸くんが順番に押していく。
バスッ!ドスッ!バフンッ!ボスッ!ドシンッ!
壁一面のモニターには1階から99階までの様子が映し出されている、
正面入口でチケットのもぎりをしている3悪兄、お土産売り場店長の雪香、
猫に悪さをしている客をこらしめるビッグマザー、団体客を案内しているお父さん、
掃除している雅幸隆幸に、レストランで注文を受け付ける雪絵と雪音、猫に餌をあげる雪巳、
猫を洗ってあげる雪菜と雪沙、新しい猫を連れてくる大好きなお兄ちゃん、みんな幸せそうだ。
舞奈「社長!今日はお客さんが多くて大変です!」
也幸「〜〜〜♪(にこにこ)」
舞奈「入口では列がいっぱいできてて、一番後ろは5時間待ちです!」
社長室にも猫が何十匹も放してある、
也幸くんの膝の上にはソヨカゼがすやすや寝ている・・・
舞奈「大変です!入りきらないお客さんがこの社長室まで・・・きゃー!」
也幸「!?」
いっぱい入ってきた人、人、人!
家族連れを中心に、猫を求めて何十人、何百人も入ってきた!
也幸「!!!(おろおろおろ)」
あっという間に人で埋まる!
ガヤガヤガやガヤガヤ・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
也幸「・・・・・・・・・!!???」
賑やかさに目が醒めた!
まわりは人だらけで、窮屈になっている。
電車の扉が閉まり、発車する・・・窓から見えたのは、ネズミーランドだ。
也幸「!!(ぱちくり)」
どうやら舞浜駅について、一気に乗客が入ってきたみたいだ、
その騒がしさに起こされた・・・外はすっかり暗くなり、ネズミーライドもライトアップされている。
也幸「・・・・・」
それをうっとりと眺める・・・
前に来た時は眠くなっちゃったけど、
今度は夜のネズミーもしっかり楽しんでみたいと思った。
也幸「・・・♪♪」
ネズミーランドに猫猫園の猫を放し飼いにしたら楽しいだろうな、
人が中に入ってる巨大ぬいぐるみをやめて、そうすればいいのに、と妄想する。
人間の園長は也幸、猫の園長はソヨカゼ、夢の猫猫ランドは24時間営業中!凄く楽しそうだ。
・・・・・妄想を膨らましているうちに、東京駅についた。
也幸「!!!」
みんなの列について降りる、
とりあえず流れについていけば乗り換えホームの近くには行けるだろう、
そう思っていたが、おしっこがしたくなってトイレに駆け込む・・・スッキリして出ると目を丸くする。
也幸「@@」
方向がわからない・・・
来る時の道を戻ればいい、
電車から出た流れについていけばいい、
そう思っていたのが、トイレに入った事で方向感覚がリセットされ、
どの流れについていけば、どの方向へ行けば京葉線から出られるのか、わからなくなった。
也幸「・・・・・」
とりあえず喉が渇いた、
ガマ口を開けると170円・・・
買える!と背伸びしてジュースを買い、飲んで落ち着く。
コクコクコク・・・・・ぷはぁ。
構内の時計は7時過ぎ・・・
そろそろお腹が空いてきた、
誰か知ってる人でも通らないかな、誰でもいいから・・・
也幸「!!!」
見つけた家族連れのお父さんにしがみつく!
お父さん「おっ!君は・・・確か、也幸くん?」
也幸「!!!(コクコクコク)」
お父さん「こんばんわ、児童相談所の人だけど、覚えてる?」
也幸「!!!!!(コクコクコクコクコク)」
お父さん「今日はお兄さんやお姉さんは?ご両親は?・・・・・もしかして、1人?」
迷子札の裏を見せ付ける!
お父さん「ほう・・・富浦まで行ってきたのかい?」
也幸「!!(コクッ!!)」
お父さん「凄いね、じゃあ乗り換えのホームまで一緒に行こう」
なんとかなるもんだ、と也幸くん。
長い長いエスカレーターと動く歩道を渡りホームへ・・・
お父さん「この電車だから、ちゃんと目的の駅で降りてね」
也幸「!!(コクコク)」
お父さん「ホームの前に出過ぎないように、落ちないようにね」
息子「お腹すいたー」
お父さん「よし、駅のレストランへ行こう!也幸くん、困ったらいつでも相談してね」
手をぶんぶん振ってお別れ・・・
電車に乗ると、もう乗り換えの無い安心からか、
座席に座って早々、すやすやと眠りについた・・・・・
・・・・・
・・・・・
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・・・・・
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・・・・・・・・・・
お兄ちゃん「参ったなぁ・・・もうこうなったらしょうがない!」
ふわりと誰かに持ち上げられた也幸くん、
でも危険な気配はまったくない、むしろ落ち着く。
やさしさに包まれ、抱かれながら電車から運ばれどこかに座らされた。
也幸「・・・・・!?」
うっすら目を開けるとそこは目的の駅、
也幸くんの住む街に戻ってきたのだ、うんしょ、とベンチから立ち上がる。
駅から出ようと改札に向かうと、KIOSKに並ぶお菓子に目を奪われた。
也幸「・・・(じーーー)」
売店をよく見ていると、
何かのカードを置くだけでお金を払わず買う人がいる!
あれ?見たことある!よく見ると・・・あのカードは確か・・・!!
也幸「!!!」
迷子札の入ったケースをゴソゴソし、
挟まっていたSUICAを指で引っ張り出した、
これで買える?とおそるおそるカードを渡すと・・・
おばちゃん「それはここに乗せるの、何を買うの?」
也幸「!!!」
菓子パンとスナックを適当に渡すと、
ピッ、とSUICAが読み取られ、13460と残高の数字が並んだ!
おばちゃん「はいありがとう」
也幸「!!!」
おばちゃん「え?まだ買うのかい?」
さらにお菓子を次から次へと掴むのだった。
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