ふと、よく鳴く猫を思い出す、ひっきりなしに鳴いてくる猫・・・
お腹が空いてたり、遊んで欲しかったり、怪我をしていたり、怒っててもずっと唸ってる。
必ず何かの苦痛を伴っている・・・だから舞奈ちゃんも、何かが苦しくて也幸くんに話をしているに違いないと思った。
舞奈ちゃんが苦しくて話しかけていて、話すことで楽になっているのなら、
ずっとずっと話を聞いてあげて楽にしてあげたい、だから公園には毎日通ってあげないといけない、
いつまで続くかわからないけど・・・1度だけ、夏休み最後の日にお別れしそうになった時は涙をこらえるので必死だった。
舞奈ちゃんにお別れのバイバイをいっぱい、いっぱい振った・・あんな思いはもう、したくない。
だから2年生になっても3年、4年、クラスが変わっても学校が別々になっても、公園で話を聞いてあげよう。
そう誓った也幸くんが、舞奈ちゃんがお喋りな本当の理由・両親が仲が悪くて冷戦状態のため舞奈ちゃんがひっきりなしに喋って、
何とか沈黙の家庭に賑やかさを醸し出そうとしていたため、というのを知るのは中学に入ってから聞かされる事となるのであった。
ここからまず東京駅へ行かなくては・・・とりあえず切符売り場に並んでみた。
とりあえず赤いボタンを押すが何も起きない、それは取り消しボタンだ。
おじさん「切符を買いたいのかい?じゃあね、おじさんが買ってあげよう」
おじさん「どこまで行くんだい?人の邪魔になるからあっちでお話しよう」
これもひとつの才能なのか、逃げた先は女子高生のお姉さんたちだった。
女子高生B「裏も何か書いてある・・・とうきょうえき、そのあと、とみうらえき・・・」
女子高生C「富浦って千葉の下のほうだよねー?うっそー1人で行くのー?」
女子高生A「こっから東京駅は真っ直ぐだけど・・・香織、あんた駅には入るんでしょ?ホームまで送ってあげなよ」
女子高生C「んー・・・わかった、じゃ、買ってあげるけど乗ってからは知らないからね」
ガマ口から1000円札だけを抜いて富浦駅までの子供料金を買ってもらう・・・
戻ってきた香織お姉さんは細かいおつりを也幸くんに返す、ありがとう、という感じでコクコク頷く。
女子高生C「うんー!じゃあ・・・なり、ゆき、くん?いこうっ」
後ろで香織お姉さんが切符を入れてくれた、開いたゲートを駆け抜ける!
女子高生C「ついたら駅員さんか親切そうな人に富浦行きの乗換えを教えてもらってね」
空いてる席は無い、しょうがないから反対側の扉に背をつけて、ぼーっと立つ事にした。
せっかく会っても、ぷーいっ、とそっぽを向かれたら・・・也幸くんは泣いちゃうだろう。
公園でいつも会っていた猫が急に来なくなった時を思い出し、じわっ、と目に涙が止まる。
女性「・・・でも、私もあんな子供欲しいなぁ・・・ねぇ・・・」
そういう目に見えないオーラをビンビンに感じ取っていたのだった。
同じおっぱいが大きくても雪巳お姉ちゃんと、どうしてこうも違うのだろう?
不思議がる也幸くんだったが、目と目が合ったらわかってしまうのだから、しょうがない。
嘘をついているか目を見たらわかる、といつか雪菜お姉ちゃんが言ってたのを思い出した。
たまに雪沙お姉ちゃんが「うそぢゃないってぇ〜」と言いながら嘘をついている事が何度かある、
その時はきまって声が微かに震え、言った後に変な間が入る・・・そういう微妙な空気を也幸君は感じ取っているのだ。
ここを降りて、次は「とみうら」という駅まで行かなきゃいけない!
どきどきしながら扉の前で足踏みする・・・試練を乗り越えるたびに猫猫園が近づく!大冒険はまだ始まったばかりなんだ!!