☆也幸くんの大冒険☆
9月15日(月・祝)マンション9階、朝8時22分・・・・・
雪香「ほらほら起きた起きた起きた!!」
布団をひっぺがされた少年が2人、
1人が眠そうに立ち上がって目をこする。
隆幸「んー休みなんだからもっと寝させてくれよー」
雪香「なーに言ってんの!もう朝ごはんできてるんだから!」
ふと布団の重さに気がつく少女・雪香。
雪香「ん?あー也幸!あんた布団にしがみついて!猫じゃないんだから!」
也幸「・・・・・(ふぁぁぁ)」
掛け布団をゆすられ、ぽとっ、と落ちる少年、
今回のこのお話の主人公、小学1年生の也幸くんである。
雪香「ほらほら・・・あーもう雅幸もリビングで2度寝しないの!」
雅幸「・・・雪香お姉ちゃん・・・ママに似てきた・・・」
雪香「ちょ、ちょっと!最近デブってきて気にしてんだから!」
とことこと台所へ行く也幸くん、
そのまま通り過ぎてトイレへ・・・入った。
ドアの内側に貼ってある猫のカレンダーを見ながらうっとりして用を済ませる。
也幸「・・・・・」
雪香「ほら、ちゃんと手ぇ洗った?ちゃんと台を持ってきて!」
ずるずると也幸くん専用の踏み台を洗面所へ・・・
手を洗うと今度は台所の椅子の前に置いて駆け上がった。
ちょこんと座るとそれなりに作ってある朝食、目玉焼きとソーセージとハムとご飯だ。
隆幸「今日はハンバーグねーのー?」
雪香「贅沢言わないの!昼に雪巳が来るから作ってもらいなよ」
雅幸「今日、雪香お姉ちゃん、バイト・・・行くんだ・・・」
雪香「昨日休んだかんね、今日は開店から閉店までみっちり入ってるから」
也幸「・・・・・!!」
ふりかけに手を伸ばすが届かない也幸くん。
雪香「あ、これ?ほい、かけすぎんじゃないよ」
也幸「〜〜〜♪」
雪香「じゃ、いただきまっす」
雅幸「いただきます・・・」
隆幸「いただきーーーんぐんぐ」
ぺちゃくちゃもぐもぐ食べる也幸くん、
そのまわりで、食事中でも会話は弾んでいる。
雪香「こら隆幸!もう急いで食べなくてもいいんだからさ、ゆっくり噛んで食べなよ」
隆幸「いいのいいの!早く食べてまた寝てーから!」
雪香「また寝んの?ちゃんと歯磨いてからにしなよ、あと外で遊んできたらー?」
隆幸「昨日1日中遊んだから!今日は家でごろごろさせてくれよー」
也幸「・・・・・・・(むぐむぐむぐ)」
会話を聞いていない風で聞いている風で実はどうでもいい也幸くん。
雪香「夜はまた寿司の余り持ってくっから!」
雅幸「・・・ちょっとお寿司・・・飽きそう・・・」
雪香「贅沢言わないの!無料なんだから、タダよタダ、わかる?」
雅幸「・・・あと・・・雪香お姉ちゃんにもうちょっと・・遊んで欲しい・・・」
雪香「昨日遊んでやったじゃん上の家から借りたドンジャラで、雪沙まで借りてさ」
ビクビクッ、と雪沙という言葉に耳を反応させる也幸くん。
雪香「上の家で遊んでもらってきたらいいっしょ」
雅幸「だって・・・雪菜お姉ちゃん迷惑そうな顔・・するもん」
隆幸「雪巳ねーちゃんも長くいると、でてけーって顔になるー」
雪香「ま、しょうがないっしょ、あそこは今、新婚さんみたいなもんだから」
也幸「・・・・・・・・・・(くっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃ)」
なんだかんだいって食卓の料理はほとんど片付いていった。
隆幸「でもなんで僕だけ也幸と一緒の部屋なのー?ずるいよー」
雪香「なーに言ってんの、台所以外4部屋も貰えて贅沢言ったらバチあたるっつーの」
隆幸「4部屋だったら1人1部屋でいいじゃんよー」
雪香「しょうがないっしょ、1部屋は下の荷物でいっぱいになっちゃったんだから!」
雅幸「僕の部屋にも・・・ちょっと置いてある・・・」
こくこくお茶を飲む也幸くん。
雪香「どーしても1人で寝たいならリビングか台所に布団敷きなよ」
隆幸「えー踏まれちゃうよー也幸を雪香ねーちゃんの部屋で寝かしてよー」
雪香「あたしゃ遅くまで勉強があるっつーの、今までさんざんさぼってたから大変なんだって」
隆幸「もー也幸を上の家に押し付けちゃおうよー」
雪香「無理無理、雪巳雪菜雪沙がいて家の中の家に雪絵と雪音までいんだから、さすがにむりっしょ」
手を合わせて椅子を降りる也幸くん、
他のみんなもほぼ同じタイミングで食べ終えたようだ。
雪香「ごち〜あーもう時間ない、雅幸、食器ちゃんと洗っておくんだよ!」
雅幸「・・・わかってる・・・はやく帰ってきて・・・」
雪香「はいはい、上が駄目なら下の家で遊んでもらってきたら?」
隆幸「えー兄ちゃんたちいじめるだけだしママもパパも忙しいもん」
雪香「だったらテレビでも見て!上の借り物だから暴れて倒すんじゃないよ」
歯を磨きながら着替える雪香。
雅幸は食器を洗い場へ運びはじめ、
隆幸はトイレへ・・・也幸くんは踏み台を持って洗面所へ。
也幸「・・・・・(しゅごしゅごしゅご)」
夏休みの途中まではなんであんなに大変な家だったんだろう?
今は凄くちゃんとした家にいる、と不思議に思いながら歯を磨く。
ご飯もちゃんと食べられるし、新しいお布団でぐっすり眠れるし、
虐める嫌な3人の兄もいない、お酒臭く暴れ熊みたいな父もガミガミうるさい母もいない、
いないといっても1階へ行けばいつでも会える、なんだかとっても都合がいいのを理解ではなく感じ取っている。
也幸「・・・・・・・・(ごぼごぼごぼ)」
ずっといなかった一番上のお姉ちゃんはやさしくなって帰ってきたし、
そして大好きな5人の姉は19階から階段を上がれば会うことができる、
こっちで一緒に住んでる2人のお兄ちゃんがあまり行かないのを不思議に思うものの、
僕が行ってもいいのは一番大好きな猫のソヨカゼがいるからだという事で納得している、
細かいことはよくわからない也幸くんの結論・・・でも也幸くんにとっては「ソヨカゼに会える」それだけで何の文句も無いのだ。
雪香「じゃ、行ってくんねー」
雅幸「行ってらっしゃい・・・」
隆幸「いっぱいお金もらってきてー」
雪香「もっちー!家賃も安くしてもらってるけど馬鹿になんないかんねー」
也幸「ーーーーー!!(手ぶんぶん)」
バイトに出かけた雪香。
食器を洗い始める雅幸。
リビングでテレビをつけた隆幸。
也幸「・・・・・・・」
歯磨きが終わり着替え始める也幸くん。
隆幸「テレビつまんねーテレビゲームほしーなー」
也幸「・・・・・・・・・〜♪」
雅幸「也幸出かけるの・・・上?」
也幸「!!!(コクコクコク)」
雅幸「あんまり・・・雪菜お姉ちゃんの邪魔・・したら駄目だよ・・・」
鼻歌交じりに靴を履いて外へ出る、
エレベーターの前でぴょーんとジャンプし上ボタンを押す・・・
待ってる間、そわそわする・・・早く会いたい!大好きな大好きな、ソヨカゼに!!
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めくる |