ソヨカゼは疲れたのか、窓辺で横になりながらじーーっと空を見つめている。
きっとあの方向に雛塚家は走っているんだろう・・・結局、僕の選んだ行動は、正しかったんだろうか?
僕「養子に貰わなかった事で、追い詰めちゃったのかなぁ・・・」
児童相談所が告発して一家がバラバラになったり両親が逮捕されちゃうくらいなら、
そりゃあ夜逃げするよな、雛塚のお父さんも病気で、実は重そうだったから働けなくなったのかも?
借金だって多かっただろうし、家賃の滞納も・・・僕に気を使って、これ以上、僕への借金を増やさないため!?
そこまでは考えないだろうな、だったら雪香が『あんな目にあった公園のある町からはもう逃げたい』って考えた方が、
すっきり納得・・・納得いく訳ないよ!みんな急にいなくなっちゃって!僕が追い出しちゃったみたいじゃないか!まったくもう!!
僕「・・・・・うぅぅぅ・・・もう・・こんな思いは・・・したく・・なぃ・・・」
僕「・・・そうだ、決めた・・・大学出たら、ここを・・・児童保護施設にしよう」
雪巳ちゃん雪菜ちゃん雪沙ちゃんみたいな不幸な子供が増えないようにしよう!
そういった子を引き取って育てる施設にして、みんなが笑顔でいられるようにしよう!!
僕「ありがとう・・・雪巳ちゃん、雪菜ちゃん、雪沙ちゃん・・・僕の人生に・・・目的を・・・目標を、作って・・・・・くれて」
なな「えーーーだってーしろとくろのもよ〜だから、さっか〜ぼ〜るねこ〜」
まったく・・先代のソヨカゼだったら白猫だからバレーボールにでもするつもりか!?
僕「どうしてだろうね、きっと素敵な女の子を待ってるからだと思うよ」
僕「副園長先生は50代で子供はもう大人・・・来た!しぃーっ」
大学出てから必死で頑張って、やっと経営も軌道に乗って・・・大変だった。
でも、やって来れたのは僕1人じゃない、美鈴ねえさんだって、支援者のみんなだって、
大往生した初代ソヨカゼだって・・・それに、僕を取り囲んでいる児童たちの笑顔があってこそだ。
これもみんな、あの夏の、2ヶ月の出来事からはじまっている・・・みんなで撮った写真は今でも園長室に飾ってある。
そんなやましい気持ちでこのそよ風園を建てた訳じゃあ・・・・・!!
僕「わかりました、一気に3人もでしたっけ?助かりますね、ここは田舎だからなかなか希望者が・・・」
副園長「なんでも3人姉妹だそうで、園長室で待っていただいてますわ」
雪菜「うれしくって!うれしくって・・・う・・・ひっく・・・」
雪沙「私たちがんばってバイトしながら高校出て、専門学校とかも出たよー」
僕「みんな・・・苦労したんだね・・・・でも・・こんなに大きくなって・・・」
雪菜「大丈夫、私達もお兄ちゃんへの気持ち、変わってないです」
雪沙「副園長さんから聞いて、まだ独身って聞いて嬉しかったよぉ」
雪巳「ねえお兄ちゃん、今日からここで、またお兄ちゃんと暮らしに来たの」
雪菜「いいよね?私たち、10年前の続きっていうか、第2ラウンドを、したくって」
雪沙「今度はもう遠慮しなくてもいいから、お兄ちゃん、はやく決めないと大変だよぉ?」
まだ年端も行かないのに働かされたり、性的虐待を受けたり・・・
でも、そういった子供だって、自分で考えて、悪さもすれば、恋もする。
志が生まれ、本当に強い子に、良い子に育った時・・・その子の子供は、泣かない子のはずだ。
みんなで育てよう、そういう強い子、良い子、泣かない子を・・・昔泣いていた、この子たちと一緒に!!
雪巳「でぇ〜〜〜・・・お兄ちゃん、どこで寝てるの?ねぇ〜〜〜・・・」
雪菜「大きい声を出しても、平気な所?ほら、10年分・・・犯してあげたいから」
雪沙「ボディパウダーとローションと、あとハケとか色々持ってきたからぁ」
雪菜「お兄ちゃんが喜んでた理由、今ならはっきりわかるから!」
雪沙「今夜楽しみ〜、来る途中、おっきいラブホテルあったから、あそこいいかもぉ」
・・・違う意味で、僕が、泣かされそうだ・・・ひぃひぃと・・・
でも・・・でも、みんなが幸せなら、僕はどうなっても、いいや!!
逆に・・・めちゃくちゃに、して欲しいし・・・いや、間違いなく・・・・・される。
僕「みんな・・・これから・・・また、お手伝い、お願いするよ!」