波乱?のお風呂が終わって、
三姉妹の寝室にみんな集まった。
僕「じゃあ寝よう・・・明日は早くから準備しようね」
雪巳「えー、持って行くもの、そんなにないよー」
雪菜「雪沙はもう・・・寝てる・・・です」
雪沙「ZZZzzz・・・」
僕「背中はもう大丈夫かな」
一応、薬は持ってきてある。
ソヨカゼ「にゃぁ~~~」
也幸「!!!(コクコク)」
僕「あんまり抱きしめると可哀想だよ?」
雪巳「私はお兄ちゃんに抱きしめてほしいー」
雪菜「だったら私は・・・抱きしめてあげる・・・です」
さて、灯かりを暗くして、と・・・
雪巳「お兄ちゃーん、寝る前に教えてー」
僕「何かな?」
雪巳「私と雪菜と、雪沙、誰が一番好きだったー?」
僕「何を急に・・・って、もう今夜しか聞けないか」
雪菜「聞きたいです・・・選ぶなら・・・誰で・・・すか」
そりゃあ決まってはいるけど、言い辛いよ。
雪沙「ん~~~・・・ゆきさだよねぇ~~・・・」
僕「あれ?起きちゃった?」
雪沙「・・・・・むにゃむにゃ・・・zzz・・・」
寝言か・・・・・そうだ。
僕「明日、お別れの時に、本人にだけ・・・教えるよ」
外れた人の前で言うのは失礼だからな。
也幸「・・・・・ソヨカゼ・・・・・だいすき・・・」
ソヨカゼ「にゃにゃ~~~~~~♪」
僕「いま、也幸くん・・・喋ったよね?」
雪巳「ここに来て一番大きい声ー」
雪菜「ソヨカゼも・・・すごく嬉しそうに返事してた・・・です」
心が痛む・・・でも、雛塚家じゃ絶対、飼えないよな・・・
雪沙「ゆきさもおにぃちゃんだいすきぃ~~~」
僕「こら!やっぱり起きてるな?」
雪沙「・・・・・(クークー、クークー・・・)」
雪巳「浅く眠ってるみたーい、一瞬起きて一瞬寝てるー」
雪菜「お兄ちゃん・・・みんなお兄ちゃんが・・・大好き・・・・・です」
・・・・・僕だって大好きだ、
雪巳ちゃん、雪菜ちゃん、雪沙ちゃんはもちろん、
雪絵ちゃん雪音ちゃん也幸くん、隆幸くん雅幸くん、
雪香だって、ビックマザーもバーサーカーファーザーも、
こうなりゃ三悪兄弟だって詐欺女の由優だって初島の真理奈さんだって!
もちろん美鈴ねえさんも、也幸くんの彼女の舞奈ちゃんも、管理人・・・はさすがに無理だ。
僕「あ~もう・・・僕はどうなってもいいから、みんな幸せになってくれ!」

その瞬間、
きら~~~ん、と流れ星が落ちた!
雪巳「今の願い星だよねー?」
雪菜「きっと、お兄ちゃんの願い、叶う・・・」
雪沙「やぁ~、おにぃちゃんもしあわせにならないと、いやぁ~」
あう・・・あの流れ星って、今までことごとく願いを叶えてくれたよな・・・
どうなるんだろう僕・・・怖い・・・でも、言った願いは・・・・・本心だから、仕方がないよ、な・・・
也幸「・・・・・・・zzz・・・」
ソヨカゼ「ZZZZZzzzzz・・・・・」
・・・
・・・
・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
僕「ぅ~~~~・・・」
のどが渇いた・・・
みんなに抱き着かれてるから、
汗が出て喉が渇く・・・麦茶でも飲んでこよう。
僕「・・・・・あれ?1人足りない?」
誰かいない・・・誰だ?まあいい、トイレか何かだろう。
僕「台所へ・・・」
そーっと、そーっと、起こさないように廊下へ・・・・
僕「・・・あれ?何か聞こえるぞ?」
奥の部屋・・・
声が漏れてる、テレビのつけっぱなし?
いや違う、この高い声は・・・・・雪沙ちゃんだ、また背中が痒いのかな?
雪沙「ん・・・んぁ・・・ぁぁぁ・・・・・」
そーっと、そーーーっと覗いてみると・・・・
雪沙「ぉにぃ・・ちゃぁ・・ん・・・ぁぁぁ・・・」
僕「!!!」
あれは、也幸くんがいつか福引で当てた、大きな馬のぬいぐるみ!
そのヴァイブ振動で、またがってあそこをつけて、感じちゃっている!!
雪沙「おにぃ~・・・ちゃぁ~~ん・・すきぃ~~・・もっとぉ~~~~・・・」
まずい所をみちゃったな、
こんな1人遊びをしてたなんて、
しかも僕を呼びながら・・・これは出て行ったら凄くまずい事になる、逃げよう。
・・・・・・・・・台所に無事、ついた。
僕「あれ?雪巳ちゃん?」
暗い中、何も無い食卓に座ってる。
雪巳「お兄ちゃんも、ちょっと座ってー」
僕「うん、いいよ・・あ、麦茶だけ飲ませて・・・はい、雪巳ちゃんも」
雪巳「ありがとー・・・・・おいしー」
ん・・・確かにおいしい・・・ぷはぁ。
僕「はい座ったよ、眠いから手短にね」
雪巳「あのねー、お兄ちゃんとー、ほんとに結婚したかったー」
僕「またまた・・・それに、まるで永遠の別れみたいに」
雪巳「わかるのー、もうここから出て行ったら、お兄ちゃんとはもう会えないってー」
僕「そんな事・・・・・ま、まあ、会いにくくはなる、よね」
いつでも遊びにおいで、みたいな無責任な事は、言えない。
雪巳「お兄ちゃんがもうちょっと遅く産まれるかー、私がー・・・」
僕「雪巳ちゃんがもうちょっと早く産まれていたら?」
雪巳「うんー、一緒になれたのにねー、神様って、意地悪ー」
ごめん、意地悪なのは、たぶん、僕だと思う。
雪巳「・・・ねー、遠くに引っ越しても、お手紙書いてもいいー?」
僕「まあ・・・手紙くらいなら、ね」
雪巳「ほんとー?毎日書くよー?」
僕「それはさすがに・・・季節に1回くらいで」
雪巳「会えなくてもー、お兄ちゃんが手紙見てくれるって思ったらー・・らーー・・・う・・うぅぅ・・・」
・・・・・そうか、雪巳ちゃんの中では、
きっと、みんなで夜逃げする計画なんだ、
それだと離れ離れにならなくて済む・・・・・家族とは。
僕「泣かないで・・・元気な雪巳ちゃんが好きだから」
雪巳「じゃー泣かなかったらお嫁にしてくれるー!?」
僕「ごめん・・・うかつな事、言っちゃった・・・取り消すよ、ごめん」
もう、謝るしか、ない。
雪巳「お兄ちゃんと過ごした2ヶ月、絶対に忘れないからー」
僕「僕も・・・忘れられないよ、ずっと」
雪巳「きっとー、ずっと貧乏だった私たちにー、神様がくれたプレゼントだと思うのー」
僕「そうだね・・・でも、その魔法も、もう、終わっちゃう・・・」
雪巳「魔法が解けてもー、私の初めてはー、お兄ちゃんなんだからー」
・・・・・そうだよな。
でも雪巳ちゃんが大きくなって、
友達に「あのホテルで初めてしたのー」とか自慢したりして、
いくつのときー?って聞かれて「13だよー」とか言っちゃったら、
まわりは退くだろうなー、それで足がついて僕が逮捕されたりして。そこまで天然じゃないか。
雪巳「お兄ちゃーん・・・」
僕「はい」
雪巳「好きー・・・です」
僕「ありがとう」
雪巳「お返事ー・・・明日ー・・・待ってるーーー」
そう言って出ていった・・・寝室へ戻ったんだろう。
僕もまた寝よう、その前にトイレへ・・・あれ?僕の部屋、灯かりが・・・
つけっぱなしだっけ?用を足したら消しに行こう・・・さあ、トイレに入って、っと・・・・
・・・・・・・・・・完了!
僕「消そう・・・そのまま自分の部屋で寝たら、怒られるかな」
入るとそこには・・・
雪菜「ぁ・・・」
僕「ゆ、雪菜ちゃん?どうしたのこんな夜中に」
雪菜「まだ0時前・・・です」
荷物の整理をしてるみたいだ。
僕「今から片付けてるんだ」
雪菜「やっぱり気になっちゃって・・・です」
僕「真面目だね、雪菜ちゃんって、本当に真面目・・・」
灯かりで眼鏡が光って見える。
雪菜「お兄ちゃん・・・この眼鏡・・・本当に・・・嬉しかった・・・です」
僕「う、うん、割らないように、気をつけてね」
雪菜「久しぶりにはっきり見えた人の顔・・・お兄ちゃんの顔・・・素敵だった・・・です」
僕「そんな、褒めてもらえるほど、かっこよくないよ」
雪菜「でも・・・私には・・・刷り込まれちゃった・・・・・です」
ははは、生まれたてのヒヨコじゃないんだから。
雪菜「みんな離れ離れになっても・・・大人になって・・いつか・・またここに集まっても・・いいです・・・か」
僕「う、うん・・・同窓会みたいな感じなら・・・」
雪菜「お兄ちゃんとここにいた間・・・毎日が・・・宝石みたい・・・です」
僕「そんなに綺麗なこと言われちゃうと、ちょっと罪悪感が残っちゃう」
雪菜「本当です・・・1日1日が・・・私の心の・・・宝石箱に・・・しまってあるで・・・す」
ロマンティックなこと言うなぁ、小説の受け売りかな?
雪菜「約束・・・覚えてるです・・・か」
僕「ええっと・・・あ、31日に、結論を出すっていう」
雪菜「私の・・・告白の返事です・・・お兄ちゃん・・・好き・・・です」
僕「うん、ありがとう、明日、ちゃんと・・・言うから」
雪菜「最後の宝石・・・楽しみにしています・・・です」
そう言って詰め終わったリュックを手に、
部屋を出て行った・・・きっと寝室に行ったんだろう。
僕「ごめん・・・雪菜ちゃん・・宝石なんて・・・・・欲の塊なんだよ」
ちょっとベランダへ出よう・・・
って繋がってるからベランダ伝いで三姉妹の寝室へ行ってもいいのか、
よいしょ・・・月明かりが綺麗だな、でもさすがに蒸し暑い・・・秋は本当に来るのか?
僕「・・・・・あ」
三姉妹の寝室、
その外の所で星を見上げてる少女・・・
あの背の低さは雪沙ちゃんか、遊びが終わって落ち着いたんだろう。
僕「行ってみよう」
別に飛び降りたりはしないだろうけど、
気になるからな・・んしょ・・・ぼーっと空を見続けてる・・・
僕「雪沙ちゃん、背中はもう大丈夫?」
雪沙「ん~・・・たぶん~・・・でもねむくってねむくってぇ~」
僕「塗り薬で眠くなるっていうんだから、相当きつい薬かもしれないね」
まあ、美鈴ねえさんの暗示なのかも知れないけど。
雪沙「おにぃちゃ~~~ん」
僕「どうしたの?」
雪沙「ゆきさがいいこにしてたら、またつれだしてくれるぅ~?」
僕「・・・きっと、また誰かが連れ出してくれるよ」
雪沙「ぃやぁ~~、おにぃちゃんがいいのぉ~~」
参ったなぁ・・・返答に困っちゃう。
雪沙「ぢゃ~ゆきさ、まほ~しょ~じょになって、おにぃちゃんをたすけだすぅ~」
僕「ははは・・・面白いけど、小5でその発想はどうかな」
雪沙「おつきさまにおねがいしてたのぉ~、いつかぜったい、そ~ゆ~ちから、てにいれるねぇ~」
僕「うん。何十年先かわからないけど、楽しみに待ってるよ」
雪沙「おにぃちゃ~ん、いまだけゆきさを、おにぃちゃんとおなじ、はたちだとおもってぇ~」
そんな無茶な・・・ってエアコンの室外機の上に立った!
雪沙「え~い、はたちになぁれえぇ~」
僕「・・・・・うん、雪沙ちゃんハタチだよ、美人だ」
雪沙「お兄ちゃん・・・・・好きでっす」
僕「ありがとう、嬉しいよ、ハタチの雪沙ちゃん」
雪沙「あしたぁ~、ゆきさだけ、も~ひとばんのこしてぇ~」
あーあ、もう11歳に戻っちゃった。
僕「・・・・・明日、決めるよ」
雪沙「ねむいぃぃ~~~、おやすみぃ~~~」
僕「はい、おやすみ」
寝室に戻っていった。
・・・・・そうだな、三姉妹のうち、
1人だけ、たった1人だけ、もう1晩残そう。
僕「別れが辛くなるけど、いきなりみんないなくなるのは寂しいもんな・・・」
さて、寝るか・・・
ソヨカゼと也幸くん、しっかり寄り添って寝てる、
じゃあ僕も三姉妹に寄り添って眠ろう・・・もちろん意中の、あの子のそばで・・・
僕「おやすみ・・・・・」
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めくる