警察署では驚愕の展開が待ち構えていた。

 

僕「だからなんで僕が共犯なんですか!」

刑事「そう決めつけた訳では・・・それともやましい心当たりが?」

僕「無いですよ!そんなもの!」

 

くそ!やっぱり来なきゃよかった!!

 

刑事「全ての疑いを調べるのが我々の仕事ですからねー」

僕「だから!僕は下着なんか盗みません!」

刑事「でも少女をわざわざ住まわせてるんだ、そういうの見たりはするんでしょう?」

僕「見ても洗濯物ですよ!子供の下着なんで興味ありません!」

刑事「あれ?管理人が盗んだのは洗濯物ですよ?しかも子供のだ、なぜ君がそれを知っているのかね?」

 

知る訳がない!まあ予想はつくけど!

 

僕「管理人がそういう趣味で雪沙ちゃんとかを見てる感じはしましたけど・・・」

刑事「じゃあ知っててなぜ通報しないんですか?通報義務は、あるんですよ?」

僕「別に後ろめたくて通報しなかったんじゃないです!そこまでするとは思わなかったから!」

 

まったくもう・・・前に間違えて捕まえようとした事を覚えてないのか?

それとも今度こそしっぽを掴んだから逮捕しようとでも?もう勘弁してくれよまったく・・・

 

僕「管理人が共犯だとか言ってるんですか!?」

刑事「・・・取調べ中です」

僕「言ってないでしょう、もし言ってたらそれは嘘です!」

刑事「そうですかー?目撃情報もあるんですよー?」

僕「盗りません!そんな人間だったら雪巳ちゃんたちと住んでいません!」

 

・・・とは言ったものの、きつい・・・

はやく誰か助けに来て欲しい・・・美鈴ねえさん、来てくれるかなぁ・・・

 

刑事「あの子たちと住む許可についてはわかっています、が、そこに性的欲求があるかどうかです」

僕「そんな目で見るんですか!?」

刑事「そういう事件だらけなのはご存知でしょう、だったら配慮があってしかるべきです」

僕「・・・別々に住めとか言うんですか?」

刑事「ご両親を呼ぶとか、しかるべき施設に、おたくのお金で入れることだって可能でしょう」

 

だめだ、犯人と決めつけて音を上げさせる事しか考えてないみたいだ。

 

僕「・・・いくら言ってもしてないものはしてませんから」

刑事「では視点を変えましょう、少女を3人住まわせて、マンションの住人からどう思われているか知っていますか!?」

僕「そんなの知りませんよ!それに最上階ですから近所とかって意識あまりないし・・・目立ってたのはトラブル起こす雛塚家くらいでしたから」

刑事「こういう噂が流れてたそうですよー、雛塚の怖いおばさんが、まだ小中学生の娘3人をオーナーに差し出して家賃免除してもらってるって」

僕「そんな!まるで、いかがわしい事をしてるみたいじゃないですか!」

 

でも・・・100%否定はできない、そのうち何%かは真実を基に語られてるんだから。

 

刑事「お金の支払いは、あったんですか?」

僕「それは・・・雪巳ちゃんたちにおこづかい程度ですよ」

刑事「雛塚家にもあったでしょう、家賃とか!調べればわかるんですよ?」

僕「・・・あ!何か月分か肩代わりはしたことありますけど・・・」

刑事「ほら隠してた!もっとどんどん本当のことを言って楽になったほうがいいですよ?」

 

いいかげんにしてくれ・・・

 

警官C「失礼します」

 

何やら刑事に耳打ち・・・この展開は!?

 

刑事「・・・ちっ」

 

睨んで舌打ちして出ていった、

取り残された僕・・・なんだ?どうしたんだ?助かったのか?

救出部隊が来てくれたんだろうか?きっとそうに違いない!でなかったら・・・泣く!

 

警官C「警部、こちらです」

警部「はい失礼しますよ・・・あらためてお話を聞かせてもらいます」

僕「え?どういう事ですか?」

警部「後でお話しますから・・・ではまずお名前と・・・」

僕「はい、名前は・・・生年月日は・・・・・」

 

急に物腰が穏やかになったけど、油断はできないよな・・・・・

 

・・・

・・・・・

・・・・・・・・・・

 

警部「はいありがとうございます、管理人も全て自白しましたよ」

僕「そうですか・・・で、何と言ってました?」

警部「見つかってくやしいと・・・管理人の趣味ももちろんですが、あなたの犯行と思わせたかったようですよ」

僕「ええーーー!?どういう事ですか!?」

警部「マンションの住民にあなたの悪い噂、少女を金で買ったとか契約者から家賃の代わりに幼い娘を奪ったとか」

 

ひ、ひでえ!ひどすぎる!!

 

警部「最近、嫌がらせとかなかったですか?」

僕「管理人からはそれっぽい感じが・・・かな?」

警部「うちの者が雪巳ちゃんたちから伺った所あったそうで、証拠として押収いたしました」

僕「どんなものですか!?」

警部「張り紙や、誹謗中傷の手紙が郵便受けに入れられていたり・・・これは読まない方がいいでしょう」

 

そんな事があったんだ・・・

ひょっとして、全部、雪巳ちゃんたちが捨ててくれていたのか!?

 

警部「印刷が管理人室のパソコンと一致しました」

僕「もうそこまで調べられてるんですか」

警部「はい、押入れから少女の下着類が何百点も・・・おそらくニュースで流れるでしょう」

 

げ・・・住所とかマンション名とか出ちゃうのかな。

 

警部「とりあえずもうお帰りいただいて結構です、お姉さんがお待ちですよ」

僕「美鈴ねえさん・・・やっぱり来てくれてたんだ!」

警部「それに心配だといって3人の姉妹も・・・早く顔を見せてさしあげなさい」

 

良かった・・・助かった!

それはいいけど最初のむかつく刑事はどこ行ったんだ!

まあいい、それより今はここを早く出たい!もう2度と来るもんか!

 

僕「では失礼します」

 

警察署のロビーにつくと・・・

雪巳ちゃん雪菜ちゃん雪沙ちゃんが抱きついてきた!

 

僕「みんな・・・」

雪巳「こわかったぁー、お兄ちゃん怖くなかったー?」

雪菜「びっくりしたです・・・でも・・・よかった・・・です」

雪沙「おうちのなかいっぱいあんないさせられてこわかったぁ〜」

僕「そうか、そんな事があったのか・・・ごめんね」

 

やっぱり僕の家の中も、

捜査書のいらないギリギリの範囲で調べられてたんだろうな。

 

美鈴「まったくもう・・・今回は苦労したわよ」

僕「すみま・・・せん」

美鈴「裏事情は後よ、それより私、パートにそろそろ行かなきゃ」

 

あ・・・もうすぐ1時だ!

 

美鈴「今日だけ特別よ、タクシーで帰りなさい」

警官「お車を用意・・・」

美鈴「私の大切な弟にさわらないでっ!!」

 

すごい剣幕・・・僕も三姉妹を守るためにこれぐらい言わなきゃいけないのに。

 

美鈴「夜に寄るから、それまで気持ちを落ち着けなさい、いいわね?」

僕「わかり・・・ました」

雪巳「お家に早く帰ろー」

雪菜「ここ、いたくない・・・です」

雪沙「はやく〜はやく〜〜」

 

・・・家までは、頑張って帰ろう!

 

美鈴「ごめんね、急ぐから、じゃあね」

僕「はい、すみま・・せん」

雪巳「タクシーきたよー」

雪菜「お兄ちゃん・・・後ろの真ん中行きます・・か」

僕「いいよ前で、みんなは後ろに乗って」

 

シートベルトを締めて・・・

こんな所で泣くのはかっこわるい、

家までは無心で帰ろう、とにかく、ぐっと我慢だ。

 

運転手「どちらまで?」

僕「はい、ええっと・・・」

 

・・・

・・・・・

・・・・・・・・・・

 

無言のタクシー・・・

三姉妹も気を使ってか黙ってくれてる、

でも、空気が重過ぎる・・・このまま家まで、もつのか・・・?

 

雪沙「あのねぇ〜、かんりにんのおじさんをけ〜さつにおしえたの、まさゆきなんだよぉ〜」

雪菜「雪沙・・・黙ってて・・・」

雪巳「はやくつかないかなー」

 

へえ・・・雅幸くんが・・・

一応、お詫びのつもりなんだろうか?

けじめをつけたかったのか・・・それよりこれからどうしよう、まずは家に帰ろう。

 

僕「・・・・・」

雪沙「・・・・・」

雪菜「・・・・・」

雪巳「・・・・・」

僕「・・・・・・・・・・」

 

あ・・・目がじわっと潤んできた、かも・・・・・

 

・・・・・

・・・・・

・・・・・

 

マンションについた、

管理人室の前では一連の騒ぎに住人がちらほら覗き込んでる。

 

住人女「管理人さん、逮捕されたって本当ですか?」

僕「はい、下着ドロで、現行犯逮捕だそうです」

住人おばさん「どうりで私のシミーズが・・・」

僕「いや、盗まれたのは小さな子供のばかりらしいですよ」

住人男「じゃあこのマンションの管理はどうなるんですか?」

 

そっか・・・代わりが必要だ。

 

僕「派遣会社に、早急に手配します」

 

あれ?雪巳ちゃんたちは?

・・・先に上かな、気を使ってくれたのかも?

変な噂を流したのが管理人とはいえ、今、雪巳ちゃんたちと行くのは、まずい。

 

住人女「じゃあ、いつになるんですか?」

僕「早急にですから、そんなに待たせません、と思います」

住人おばさん「そんな管理人を雇ってた、任命責任っていうの、あるんじゃありませんこと?」

僕「そんなこと言われても、派遣会社にお願いしていたから・・・」

住人男「でも、来てからは管理人をよく見てたでしょう、雇い主なんですから」

 

なんでこんなにも僕が責められてるんだ!?」

 

ビッグマザー「ほらほらほら、あんたたち、邪魔、邪魔!」

 

わ!みんな蜘蛛の子を散らすように逃げていった!

さすがはビッグマザー、下手に関わると酷い目にあうのは有名だからな。

 

ビッグマザー「あんたもボサーッとしてないで、とっととお行き!」

僕「はい、あ、ありがとう・・・」

ビッグマザー「わかったらでてけーーー!!」

 

こ、こっわ・・・

エレベーターで19階につくと、

三姉妹が待ってくれてた、ロックを開けてもらって上へ・・玄関の中へ・・・

 

僕「・・・・・ついたぁ」

 

あ・・・靴を脱ぐ前にへたりこんじゃった。

 

雪巳「もーちょっとだよー」

雪菜「せめて・・・部屋までは行く・・・です」

雪沙「うんしょ〜、うんしょ〜、うんしょ〜〜・・・」

 

悪いと思いながらも8割がた運んでもらう・・・

僕の部屋についた・・・バッタリと倒れこむ・・もう泣いても・・・・いいよな。

 

僕「う・・・ぅ・・・ぅ・・・」

雪巳「・・・麦茶持ってくるー」

雪菜「お兄ちゃん・・・みんなついてる・・です」

雪沙「ソヨカゼもしんぱいしてきたよ〜」

ソヨカゼ「にゃ・・・(ぺろぺろ)」

 

ぅぅ・・・ぅぅぅ・・・僕はもう・・・・・駄目・・・だ・・・・・

 

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