僕「雪香、大丈夫かな」
治療を受けているのを待たされている、
さすが大きい病院だ、売店でシャツ売ってて良かった・・・
雛塚家には、家の電話に出た雪菜ちゃんがちゃんと連絡してくれてるはずだ。
僕「ついでに美鈴ねえさんにもかけたけど、留守電だったなぁ・・・」
タオルで何度も体を拭く、
駆け込むときは無我夢中だったけど、
はやくお風呂に入って汚れを落としたい、シャワーでいいから!
看護婦「すみません、ご両親は・・・」
僕「まだです、向かっているとは思いますが・・・」
看護婦「そうですか、先ほど、意識を取り戻したのですが・・・」
よかった、とりあえず命に別状はなさそうだ。
男「あー君、君」
僕「はい、なんでしょう?」
男「警察の者だが、詳しく事情を聞かせてもらおうか」
そうか、そうだよな、レイプ放置の第一発見者だもん。
僕「わかりました」
警官「では早速、署まで来てもらおう」
僕「でも雪香ちゃんのご両親がまだ・・・」
警官「事情を聞くだけだから、来てくれるね?」
僕「はあ・・・・・わかり・・・ました」
まさか犯人とか思われてないよな?
この間、あんな目にあったばかりだからなぁ。
このおまわりさんも、呼びつけるにしても、もっと言い方があるだろうと思うけど。
警官「悪いね、記憶が鮮明なうちに発見状況を聞いておかないといけないのでね」
僕「雪香ちゃんも意識が戻ったみたいなんで、とりあえず安心しました」
警官「そのあたりも含めて署で伺うから、さあ、表のパトカーへ・・・乗った乗った」
嫌だなぁ、悪いことしてないのにパトカーへ乗せられるの。
そういえば僕のバイクは大丈夫だろうか?まあ、キーはちゃんと抜いてあるけど・・・
僕を後ろに乗せると隣で監視するように警官が並び、運転手の警察官がパトカーを発車させた。
警官「まずは先に現場検証に立ち会ってもらうからね」
良かった、バイクを回収できるかも。
・・・
・・・・・
・・・・・・・・・・
現場検証と警察での事情聴取が終わった、
あったこと、知ってることを伝えるのがこんなに大変だとは。
しかも雪香が家出状態で男の所を寝泊りしてる事を話したら、
なんで止めなかったんだとか家出届けを出さないとか・・・僕に言われても。
まあ、電話や話しで何度か出てきたヒロキっていうのが怪しいから僕への疑いはあまり無さそうだけど。
僕「で、帰りは徒歩かよ・・・」
雪香への聴取は落ち着いてからみたいだ、
ということは、落ち着いてないのかな・・・
あんだけスれてても17歳の女の子だ、ましてや集団レイプ・・・
僕が三姉妹にされてるようなのとは、内容も質も全然違う、ショックだろうな、
自業自得、だなんて絶対に思えない、可哀相だよ、なんとか助けてあげたい、なんとか・・・・・。
僕「タクシーで病院へ行こう」
邪魔になるようなら、すぐに帰ればいいし。
結局回収できなかったバイクが気になるけど、
今は雪香や雛塚家のみんなの方がとにかく心配だから・・・
・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
病院の待合室、
雪巳ちゃんと雪菜ちゃんが座っていた。
僕「どうだった?」
雪巳「お兄ちゃーーーん!」
僕「わ!抱きつかないで!!」
たぶん、今の僕って、臭いし。
雪菜「お父さんが・・・中でお話ししてる・・・です」
僕「そっか・・・すごく心配だね、雪沙ちゃんは留守番?」
雪菜「うん・・・です・・・美鈴さんは・・・向かってるって・・・です」
しばらく待ってると雛塚のお父さんがやってきた。
僕「いかがでしたか?」
雛塚父「2・3日、入院だそうです、本当に申し訳ない」
僕「そんな僕に頭を下げなくても・・・」
と同時に入り口から美鈴ねえさんがやってきた。
美鈴「雪香ちゃんはどうなったの!?」
僕「いま、お父さんがお医者さんと話しをしてきた所です」
雛塚父「今は・・・とにかく男性に怯えている状況です、お医者さんや私であっても、男を怖がっています」
そりゃそうだ・・・
美鈴「・・・ケアが大変のようですわね」
雛塚父「家族の女性がついてあげるようにと言われたのですが、妻はおそらく来ないでしょう」
僕「じゃあ・・・雪巳ちゃん雪菜ちゃん、交代でついてあげられる?」
美鈴「初日は、今日の所は私が付きましょう、元ナースですから、してあげられる事も沢山あると思います」
頼もしい!美鈴ねえさんが、きらきら輝いて見えるよ!!
雛塚父「よろしいんですか!?助かります」
僕「薬剤師のバイトは今日は・・・」
美鈴「午後から入ってたけど休ませてもらうわ、仕方ないでしょ?身内の事情なんだから」
・・・なんか美鈴ねえさん、もう雛塚家と親戚になるつもりで、いるみたいだ。
雪巳「私も手伝うー」
雪菜「わたしも・・できること・・・ある・・・ですか」
美鈴「ありがとう、家族がついてないとまずいものね、お願いするわ」
雛塚父「申し訳ありません、私もついていたいのですが、ああいう状況ですし、これから警察へ・・・」
僕「そうですよね、男が入っちゃいけないなら、じゃあ僕は・・・・・帰ります」
変にいて邪魔になっちゃいけないし。
美鈴「弟クン、そういう時は『自宅待機』って言っておきなさい」
僕「はいっ!おつかいがあったら連絡してください!」
美鈴「じゃ、雪巳ちゃんと雪菜ちゃんを借りるわね、お父様も・・・」
雛塚父「妻にはもう1度言っておきます、が、おそらく来ないでしょう、申し訳ない」
僕「警察にはすでに大体、報告してありますから・・・雪巳ちゃん雪菜ちゃん、辛いけど頑張ってね」
そうと決まったら早く帰ろう。
美鈴「雪巳ちゃんたち、ご飯まだよね?」
雪巳「あー、どっしよー」
僕「こっちの売店でパンでも・・・」
雪菜「もったいない・・・です」
美鈴「10時過ぎに1度そっちへ帰すわ、それまで朝食を残しておいてあげて」
そう言い残すと病室の方へ・・・
雛塚のお父さんは僕にペコペコしながら出て行った、
さて、僕はバイクを回収して家に帰らなくっちゃ、公園まで歩こう。
僕「もう、ちゃんとした朝だ・・・」
太陽が眩しい、
駅へ向かう通勤の人も多い。
バイクが無くなってる、なんてありがちな落ちは勘弁だぞ?
僕「・・・・・あったあった、良かったぁ」
キーを挿そう・・・あれ?
僕「な、なんだこれっ!?」
座席が鋭い刃物で切り裂かれてる!
酷い・・・なんでこんな悪戯を!?むかつく!
乗れない事は無いが、帰って落ち着いたら修理に出さなきゃ!
僕「くっそー犯人は誰だ・・・犯人見なかった?」
猫「にゃっ!?」
僕「知らないか・・・」

そう何度も通じるわけ無いか、
雪香の居場所を教えてくれた三毛猫もいないし。
僕「さっきはありがとう、とお仲間に伝えてね」
猫「にゃっ・・・」
僕「じゃあね、今度キャットフードでも持ってくるよ」
座りにくいバイクに跨りマンションへ向かう・・・
これ、ひょっとしたら雪香の様子を見に来た犯人がやったとか!?
だったらちゃんと被害届を出した方がいいかな、でも、こんな証拠残すような事をするか?
僕「・・・相手が雪香と同じくらいなら、ありうるな」
そんな話は後だ、早く帰ろう!
真っ先にお風呂に入ってさっぱりしたい!
まだほのかに嫌な匂いが残ってる気がするから・・・うぅ・・・
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