僕「よかったよかった」

美鈴「さ、おじょうちゃんたちは部屋に戻って!私は弟クンに下での出来事を説明するから」

雪巳「はーーーい」

雪菜「・・・・・うん・・」

雪沙「テレビ見てるね〜〜」

 

来客用の居間へ入る僕と美鈴姉さん。

姉さんは部屋の片付けをしはじめた、僕も手伝わないと・・・

三姉妹はさっさと僕の部屋へ・・・ん?雪菜ちゃんがやってきた。

 

雪菜「私も手伝う・・・です」

美鈴「いいのいいの、すぐ終わるから。部屋で待ってて」

雪菜「・・・・・はぃ」

 

僕の部屋に雪菜ちゃんが入っていったのを確認すると、

ドアを閉める美鈴姉さん・・・片づけを再開しながら言う。

 

美鈴「これで望みどおりにはなったわよ」

僕「すごいですね・・・1時間であの話術、会話の仕切り・・・管理人さんも味方になってくれてたし」

美鈴「そうやって誘導しただけよ・・・やろうと思えばまったく逆だって簡単よ」

僕「管理人さんを敵に、ですか?」

美鈴「ううん、弟クンが望めば、あの子たちを家族ごとマンションから追い出すように仕向けられたってこと」

 

そっちか・・・って、すごいな、それ。

 

僕「美鈴姉さん、さすがです」

美鈴「作戦がうまくいってよかったわ・・・」

僕「どんな作戦だったんですか?」

美鈴「聞いててわかったでしょ?まず話の論点を、あの家族で一番問題なのは上の三兄弟ってことにして、

   その後、一番悪いとされていたご両親をフォローして、あの子たちには確かにあのご両親のせいで

   こうなってるけど、でも決して離れたい訳ではない、っていう事を印象付ける。その後、いかにここが、

   弟クンの家が気に入っているか、弟クンが良くしてくれてるか、弟クンが正しく接してくれているかを

   あの子たちの証言で証明しながら、さりげなく雪沙ちゃんの背中について触れて、ここにいた方がちゃんとした

   処置をしてくれるってことをね・・・そのうえで、児童相談所が一番過敏かつ深刻に受け止める『虐待』という

   ものがされてないっていう事、これをはっきりさせられれば連れて行かれる可能性は一気に無くなるわ、

   そうやって後はもう一度、この三姉妹よりもあなたたちがすべき事はその上の三兄弟の悪行についての問題ですよ、

   っていう釘を職員の方々にさしておいて、仕上げにご両親の元へ」

僕「へ〜・・・で、あのビッグマザーは?」

美鈴「後はご両親公認かどうかの確認だけよ、ベストは紙に書いてもらう事だったんだけど、まあ携帯で録音できたから」

僕「すごいな・・・これなら、逆にあの子たちを連れていかせる方法ってどんなのだろう?」

 

残ったお茶を飲む僕。

 

美鈴「そっちは簡単よ、湿疹を虐待だって証明したり、野宿の件を責めたり・・・あと、家に来させない方法なんて一言で終わりよ」

僕「え?ひとこと?なんです?それ」

 

僕を指さした?

 

美鈴「あの場で『この人、ロリコンです!』って言えば、はいおしまい」

僕「ちょ、ちょちょちょっと!!」

美鈴「それが本当かどうかは関係ないの。・・・まあ、そうなんでしょうけど」

僕「ひどいなぁ・・・」

美鈴「ようは目的を遂行するだけだから、そのためのプロセスを練っただけ」

 

美鈴姉さんの策士ぶりは、恐ろしいよ・・・

 

僕「でも、あの子たち、よくそんな作戦理解できましたね」

美鈴「そんな難しいこと言ってないわ、ただ、これからの会話でいくつかのルールを守ったらここに夏休みいっぱい住めるって話をしただけ」

僕「ルールって?」

美鈴「んー・・・企業秘密。言うの面倒くさいのと、知らないほうがいい部分があるのと、後は・・・まあ、ね」

僕「教えてくださいよ!」

 

気になるよぉ・・・

 

美鈴「まあ、ゲーム感覚でさせたことよ、ただあの子たちにとっては死活問題のね」

僕「ルールって?ねえ、美鈴ねえさぁん」

美鈴「んもう・・そうね、じゃあ1つだけ教えてあげる・・・Hな話題は禁止、そういう話をされたら笑顔で何もないっていうこと」

僕「えーっ?僕、何もしてないよーっ?」

美鈴「ほんとにぃー?」

 

じとーーーっ、とした目で見られる・・・

うぅ、胸が、ほんのちょこっとだけ痛む・・・

 

美鈴「もし、しつこく何もされなかったか聞かれたら、笑顔で『着替えしてたら逃げちゃった』とか言いなさい、って」

僕「そりゃあ逃げるよ」

美鈴「実際、それに近かったようね」

僕「な、何を聞きだしてるんですか、あの子たちから!」

美鈴「ないしょ。これ以上はないしょ。でも、後は簡単なルールよ、5・6個くらい。小学生でもできる」

 

ようやく居間が片付いた。

 

美鈴「さあ、行きましょ」

僕「はい、美鈴姉さん、そろそろ時間は・・・?」

美鈴「まだ大丈夫。だから行くわよ、あの子たちと外へ」

僕「外?外ってどこ?」

美鈴「あの子たちここに住むんでしょ?だから服よ、服!下着も!」

 

三姉妹がいる僕の部屋へと入った。

 

美鈴「みんな、話はついたわ、服とか買ってもいいって」

雪沙「ほんと〜?うれし〜」

雪菜「・・・・・ありがとう」

雪巳「でも、もう10時過ぎだよー?」

僕「あ、でも・・・あそこがあるか・・・」

 

車でちょっと行けば・・・

 

美鈴「さあさあみんな出かけるわよ、立って立って!」

 

こうして三姉妹と僕は美鈴姉さんの運転する車に乗って、

しばらく車を走らせたのち、ついたのが・・・

 

雪巳「あー、ジーンズメイト!」

美鈴「そう、24時間営業よ」

僕「そうそう、バイクでコケてズボン破けた時なんかここですぐ買い換えたりしたっけ」

 

三姉妹は車から出ると喜び勇んでお店に駆け込んだ。

 

雪巳「綺麗な服がいっぱぁーい」

雪菜「・・・みんな新しい・・・」

雪沙「ゆきさ、あれがいいよぉ〜」

 

はしゃいでる、はしゃいでる・・・

雪菜ちゃんだけは半分割れた眼鏡が気になるのか、

近くの服をじーーーっと見つめてるんだけど・・・

 

美鈴「さあ、何でも買っていいわよ!どれにする?」

雪巳「あの服、涼しそう!」

雪菜「・・・・・高い・・・」

雪沙「これと〜これと〜これと〜」

僕「じゃ、じゃあ僕は車で待ってるよ・・・」

 

引き返そうとするとムンズと背中を捕まれた!

 

美鈴「あなたが払うのよ?しっかり見てなさい!」

僕「は、はい・・・」

美鈴「下着だけ見なくていいから」

 

見たくないよ・・・

で、でも、ちょっとだけ、興味は、あるかな、

いや、ど、どんな種類があるのかとか、どうなってるのかとか・・・って!

 

雪巳「ちょっと大きめ買った方がいいかなー」

雪菜「・・・・・1人いくらまでですか?・・・」

雪沙「これもいいな〜これも〜このスカートもいい〜」

美鈴「2ヶ月過ごせる分でいいわよね?」

僕「う、うん、目ン玉飛び出るくらい高くならなければ・・・」

 

どれどれ・・・子供用ワンピース6800円・・・

今やチャイルド服はブランド状態だからなあ、高いはずだよ・・・

でも、確かにボロボロな服や肩紐が切れてるような下着では可哀想だ、

8月いっぱいは面倒見てあげるんだから買ってあげなきゃ・・・って、

本当は僕がこの子たちに面倒見てもらうはずだったようなそうでもないような・・・

 

雪巳「これ良くないー?」

美鈴「オシャレじゃな〜い!いいわいいわ」

雪菜「これ・・・・・丈夫そう・・・」

僕「うん、生地がしっかりしてるね」

雪沙「おぼうしもあるぅ〜!ほしいよぉ〜」

 

籠の中にどんどんと服が積まれていく・・・

そして靴下も入り、帽子も入り、次は・・・・・

 

美鈴「次は下着コーナーね」

僕「あ、ぼくは・・・自分の服を選んでるから・・」

 

成人男性用の方へ逃げる!

しかし、この時間帯だけあって彼女たちの声が自然に入ってくる・・・

 

雪巳「ブラ買っていいの?やっとつけられるー」

美鈴「え?今までつけてなかったの?」

雪巳「妹のシャツで代用してたからー」

雪菜「私も・・・つけたい・・・」

雪沙「ゆきさもつけるぅ〜」

美鈴「えっと、小学生は本来はつけなくてもいいんだけど、でも欲しいなら・・・」

雪菜「・・・お姉ちゃんのお古、肩がちぎれたの・・・」

雪沙「ゆきさねぇ、さいきん、おっぱいがちくちくするのぉ〜」

 

き、聞くな聞くな聞くな!!

えっと・・・このジーンズいいかも・・7900円か・・・

 

雪巳「これ、ちょっと小さいよー」

美鈴「雪巳ちゃんが大きすぎるのよ、おっぱいだけ」

雪菜「・・・私、ブラじゃなくてもいいです、これがいい・・・」

美鈴「インナーキャミソールね、でも普通のブラも1つは買っておいたら?」

雪沙「このいちばんちっちゃいのがゆきさにぴったり〜」

美鈴「ファーストブラね、心地良さそうねー、肌にもいいわ、こっちの肩紐無いブラもどう?」

 

も、もっと遠くへ・・・遠く・・・あ、お店出ちゃう・・・

 

美鈴「弟クーン!決まったわよー」

僕「あ、はーーーい」

 

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