セーラー服姿の雪巳ちゃんがみんなにお茶を入れる、

児童相談所職員の2人・・・おじさんとおばさんは、

ちょっと不思議そうな感じで学校服の三姉妹を見ている・・・

 

管理人「この子たちなんですよ、電話で話したのは」

美鈴「そう、家がいっぱいになっちゃったらしいんですよぉ」

職員の男性「詳しく話していただけますか?」

 

いよいよ始まった・・・

三姉妹は緊張した面持ちで正座している。

僕も喉が・・・お茶をゴクッと飲み、目の前の会話を聞く。

 

 

・・・・・10分後

 

美鈴「そうなの・・・雪巳ちゃん、かわいそう・・・」

雪巳「うんー・・・彦幸お兄ちゃん、ひどいでしょー」

管理人「あの三兄弟は自転車よく盗むんですよ!警察の方でもね、ずっと・・・」

職員の男性「その件は気になりますね」

 

・・・・・20分後

 

美鈴「そうなの・・・お母さんもお父さんも、いい所はあるのね」

雪菜「・・・お父さんも・・お母さんも・・・嫌い・・じゃ・・・ない・・から・・・」

管理人「そうなのかねぇ?私にはそう思えませんがねぇ」

職員の女性「やっぱり家族なんですよ、そこは」

 

・・・・・30分後

 

美鈴「そうなの・・・サラダ作るのが好きなのね」

雪沙「うん!やさいいっぱいたべるとぉ、せなかのかゆいのもなおるみたいなのぉ〜」

管理人「どれどれ、おじさんに背中見せてくれるかい?」

職員の女性「いえ、私が見ます・・・・・いい匂い、ベビーパウダーですか」

 

・・・・・40分後

 

美鈴「そうなの・・・ファンになっちゃったの?その番組見て」

雪巳「うん!でもー、お兄ちゃん、悲しいドラマは見れないって怒るのー!」

僕「い、いや、怒ってはないよ、うん・・・」

職員の男性「いやぁ、その気持ちはわかりますよ、はい」

 

・・・・・50分後

 

美鈴「じゃあ、家で一番の原因はその三人のお兄ちゃんたちなのね」

雪菜「お父さんは酔ってもぶったりしないけど・・・お兄ちゃんはぶってきそうで恐い・・・」

管理人「その割れた眼鏡・・・暴力とかはないのかね?」

職員の女性「アザとか傷とかは無いようですね、雪沙ちゃんの背中は持病のようですし」

 

・・・・・そして1時間後

 

美鈴「では、それでよろしくお願いいたします」

雪沙「いいのぉ〜?ここにすんでいいのぉ〜?」

管理人「それは、これからご両親ともう一度話してからね」

職員の男性「それでは行きましょう」

 

みんなでゾロゾロと玄関へ・・・

 

美鈴「弟クン、留守番お願いね」

僕「えっ?」

美鈴「お・ね・が・い・ね」

 

僕を残してみんな外へ・・・

1階へエレベーターで降りていった・・・

部屋に取り残された僕・・・話の流れから、みんなは雛塚家へ・・・

 

僕「さーて、後はどうなるか・・・」

 

どきどきどきどきしながら時が経つのを待った。

いてもたってもいられず玄関をウロウロウロウロ・・・

まるで動物園の熊状態だ、モニターを見つつ・・・さあ、あの子たちの運命やいかに・・・!?

 

僕「・・・・・戻ってきた!?」

 

エレベーターに・・あれ?いない?

1人いない・・・管理人さんだけがいない!

後はみんないる・・・あ、ロック開けてあげなきゃ!

なんか三姉妹の足取りが軽い?美鈴姉さんは怒ってるみたいだけど。

階段をあがってきて・・・ガチャッ、と玄関に入ってくるみんな。

 

美鈴「それでは今後ともよろしくお願いします」

職員の女性「いえいえこちらこそ・・・また様子を見に来ますので」

職員の男性「何か問題が起きましたらすぐにご連絡ください」

雪巳「お兄ちゃん、ただいまぁー」

雪沙「ただいま〜〜〜」

雪菜「ただいま・・・」

僕「おかえり」

 

職員の二人は居間へ戻って・・・

あれ?荷物をすぐに取って、もう帰る?

 

職員の女性「じゃあね、雪巳ちゃん、雪菜ちゃん、雪沙ちゃん」

職員の男性「おやすみなさい」

三姉妹「おやすみなさーーーい!」

美鈴「あ、下まで送らせていただきます!」

 

玄関から出て行った・・・

ど、どうなったんだろう???

 

雪巳「・・・・・」

雪菜「・・・・・」

雪沙「・・・・・」

僕「・・・・・?」

 

エレベーター前で「ここでいいです」とでも言われたのだろうか、

美鈴さんは降りていく2人を見送った・・・そしてカメラに向かってVサイン!?

 

雪巳「やったぁ〜〜〜!!」

雪菜「・・・・・成功・・・」

雪沙「わぁい!これで一緒に住めるねぇ〜〜♪」

 

僕に跳びついてくる三姉妹!

と、いうことはぁ・・・やっぱり・・・

あ、下の扉開けてあげなきゃ・・・っと・・・

 

僕「えっと、ほんとに、これで、いいの?」

雪巳「うん!いいのー」

雪菜「・・・うまくいった・・・です」

雪沙「これでここがゆきさのおうちぃ〜♪」

 

ガチャッ

 

美鈴「みんな〜〜〜えらいえらいえらい!!!」

 

三姉妹の頬を順番に撫でて回る美鈴姉さん!

なんだか、みんなやりとげた達成感に浸ってるようだ、

僕だけ蚊帳の外・・・ちょっとさびしいぞ、ぽっつーんっと。

 

美鈴「弟クンもご苦労様」

僕「えー?僕、何もしてないけど・・・」

美鈴「だからよ、変な余計なこと言わなかったから!」

 

それって褒めてるのかなあ・・・?

 

美鈴「これで正式に、夏休みが終わるまでこの子たちはここに住む事になったわ」

僕「本当ですか!」

美鈴「ええ、ご両親も、管理人も、児童相談所も公認!!」

 

よかったぁぁぁ〜〜〜・・・

 

僕「ありがとう!美鈴ねえさん!!」

美鈴「お礼はこの子たちにも言いなさい!ね〜〜」

雪巳「おにいちゃん、よろしくねー」

雪菜「・・・ちゃんと働き・・・ます・・です」

雪沙「9月までここがゆきさのおうちぃ〜〜♪」

 

万事、うまく行ったようだ。

 

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