僕「・・・・・あ、おはよう、今日も食卓は荒れてるなぁ」

雪巳「おはよー・・・もー信幸お兄ちゃん、お釜からご飯手づかみしないでー!」

広幸「雅幸邪魔!あっちいけよー」

僕「こら!蹴るんじゃない!義父さんも朝からワンカップ飲まないで!」

雛塚父「うぃ〜〜〜・・・ヒック」

雛塚母「それよりあんた、今月お金足りないから入れときなよ!」

僕「またですか!?先週入れたばっかりなのに」

隆幸「也幸食うの遅いから手伝ってやるよー」

雪沙「もってっちゃだめぇ〜〜〜!!」

僕「それより僕の座る場所は・・・?」

彦幸「そんなのねーよ、立って食えよー」

雪菜「お兄ちゃん・・・場所換わる・・・です」

僕「雪菜ちゃんはいいから!まだ食べてるんでしょ?」

雪香「うぃ〜っすただいま、義兄ちゃんサイフから1万借りといたかんね」

僕「お前いつのまに!しかもそのまま出てくし!」

雪絵「ごはんおかわりぃ〜」雪音「おみそしるもおかわりぃ〜」

雛塚母「ボサッと立ってないであんたも手伝いな!」

僕「は、はい・・・ってもうご飯空っぽ!!」

信幸「夜はみんなで寿司でも食いに行こうぜー」

雛塚父「酒を・・・もう一杯・・よこ・・・せぇ〜〜〜!!」

僕「それより僕の朝食は・・・無し!?」

也幸「・・・・・」

雪巳「お兄ちゃーん、お兄ちゃーーん・・・」

僕「も・・もう・・・無茶苦茶だよーーー!!」

 

ガバッ!!

 

僕「はぁ、はぁ・・・・・夢か!!」

雪巳「お兄ちゃーん・・・汗びっしょりー」

僕「あ、おはよう・・・どうしたの?」

雪巳「朝ごはんだよー・・・汗拭こっかー?」

僕「あ・・・いいよ、みんな待ってるんでしょ?食べ終わったらお風呂にするから、」

 

出て行く雪巳ちゃん、もう9時回ってる・・・

夕べ遅くまで養子の資料を読んでたからなー・・・

内容覚えてるかな?えっと普通養子と特別養子があって、

普通は雛塚家との関係が繋がって、特別は繋がりはなくなる。

それとは別に僕が直接養子に貰って雪巳ちゃんたちを娘にする方法と、

僕の両親が雪巳ちゃんたちを養子に貰って、雪巳ちゃんたちを妹にする方法・・・

 

僕「ええっと・・・あったあった」

 

改めて机の上の資料に目を通す。

資料は美鈴義姉さんも一度全部目を通したんだろうな、

細かいメモというか注釈が鉛筆で書き込まれてる、凄くわかりやすい。

 

僕「美鈴ねえさんのお奨めは普通養子で妹にする方みたいだな・・・」

 

そうすると雛塚家の父も母も僕の義理の両親みたいな事になるのかな?

厳密には違うかも知れないけど美鈴ねえさんはそういう言い方をしていた。

で、僕の娘にしてしまう方だとその後、養子縁組を解消しても雪巳ちゃんたちとは結婚できない、

だけど妹扱いの養子なら将来結婚できる・・・養子って一言でいっても、複雑なんだな、勉強になるよ。

でも、ちゃんと僕が1人で養うって決めてるなら、いっそあえて結婚のできなくなる、娘としての養子縁組も・・・

 

僕「一応、そっちの手続きの仕方も載ってる」

 

でもそれだと、雪巳ちゃんたちが納得できないかも?

養子を申請する裁判所も、20歳の大学生が13歳の少女を娘として貰うっていうのは、

通してくれないかも知れない、元々そういう審査を考えた場合、僕の両親の養子になる選択しか無いのかも?

 

僕「調布まで行って、父さんと母さんを説得しなきゃな・・・」

 

美鈴ねえさんはついてきてくれるだろうか?

いや、これは自分でやらなきゃ!ちゃんと三姉妹を連れて、

できれば雛塚の両親も・・・うぅ・・・胃が痛くなってきた・・・これから朝食なのに。

 

雪沙「おにぃちゃ〜〜〜ん!」

僕「はいはい、今から行くから!!」

 

 

 

朝食を食べ終わり部屋に戻る、

いつもと変わらない普通の食卓なのに、

夏休みの約束期間が1週間を切ると、何か寂しく感じた。

 

僕「あの子たちをちゃんと貰っちゃえば、そんな気分にはならなくて済むよな」

 

さあ、資料をもう1度、細かく読み直そう。

見落としてるページとかあったら大変だし、

手続きの順番や必要事項、やらなきゃいけないタイムスケジュールを組まなきゃ。

 

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

 

ガチャッ

 

僕「ん?・・・あ、也幸くんか」

也幸「・・・・・」

ソヨカゼ「にゃぁ〜」

僕「と、ソヨカゼね、ちょっといま大事な資料読んでるから・・・」

也幸「・・・・・」

 

黙って壁際に座っちゃった、

まあ黙ってる分にはいいか、

ソヨカゼも隣に座って、じっとしてる。

 

僕「静かにしててね」

也幸「・・・(コクッ)」

 

さて、集中、集中・・・

 

・・・・・

・・・・・・・・・

 

びよ〜〜〜ん

 

僕「収入審査とかあるんだ、僕も受けるのかな・・・?」

 

びよよ〜〜〜ん

 

ソヨカゼ「にゃ」

 

後ろでは也幸くんが大きいゴムみたいなのをとばして、

ソヨカゼがそれにじゃれついてる、そして也幸くんの所へ持ち帰り、

再び也幸くんが、びょーーんって飛ばして・・・あれはいったい、何を飛ばしてるんだ?

 

びよよよよ〜〜〜〜ん

 

僕「わ!」

 

こっちにとんできた!

 

ぱさっ

 

頭にかぶさった、

それを手に取ると・・・

 

僕「ゴムつきの、ピンクの布?・・・PIXYって書いてある」

 

これは・・・雪巳ちゃんのスポーツブラ!!

 

ソヨカゼ「にゃぁ〜〜〜」

僕「あ、回収?はい」

也幸「!!!(あせあせ)」

 

って、そんなもの飛ばして遊んで怒られないのか!?

 

ガチャッ

 

雪沙「ん〜、なひふひ〜、あへはほぉ〜」

也幸「!!!」

雪沙「ふぁ〜〜〜ん」

 

日課の肝油ドロップだ、

雪沙ちゃんも飴食べてるのか口をモゴモゴさせてる、

あ〜〜ん、が、ふぁ〜〜ん、になっちゃってるくらいだ。

 

僕「肝油ドロップか・・・どんな味だったっけ」

雪沙「おひいひゃんほ〜、ふぁぁ〜〜〜〜ん」

僕「え?僕も?・・・・・はい、あ〜ん」

 

まあ1個くらいならいっか。

 

雪沙「〜〜〜♪」

 

かぽっ!!

 

僕「!!」

 

雪沙ちゃんが大口を空けて、かぽっと重ねてきた!!

しまった、罠か!と思った瞬間には可愛らしい舌から飴が・・・

 

僕「!?」

 

コンペイトウっぽいのが来たけど、

飴の味が、変だぞ!?甘くないというか鉄の味というか、

これは・・・血の味?唇を外した雪沙ちゃんが、いたずらっぽくニコニコしてる。

 

雪沙「のんぢゃだめだよぉ〜」

僕「え?・・・・・・・・・・え?え?」

 

手のひらに吐き出すと、そこに出てきたのは・・・!

 

僕「は・・・・・・歯!?」

雪沙「さっきぬけたぁ〜〜〜♪」

僕「こ・・こらあっ!!」

雪沙「えへへ〜〜〜〜〜♪」

僕「これは・・・・・・冗談きつすぎる」

 

悪気なく出て行った雪沙ちゃん、

飴とみせかけて抜けた乳歯を・・・恐ろしい悪戯だ!

小5の幼さと恐ろしさを実感させる、恐怖の口移し・・・

 

ガチャ

 

雪菜「お兄ちゃん・・・」

僕「わ!ど、どど、どうしたの!?」

 

今度は何がくるんだ!?

 

雪菜「これ・・・昨日学校で、保護者にって・・・」

僕「保護者・・・まあ、僕か。どれどれ・・・何の紙だろう」

 

えっと・・・最近、子供を狙った犯罪が増えています、

変質者情報もこの夏休みに多く寄せられております、か・・・

注意してくださいよ、情報はここに、子供にはよく聞いてよく話して、とか色々。

 

僕「雪菜ちゃんも、雪沙ちゃんが言ってた学校でのアンケート受けたの?」

雪菜「うん・・・1年から6年まで・・・みんな・・・・・です」

僕「そっか・・・何か書いた?」

雪菜「・・・・・・・・・・・・・・」

僕「ど、どうして黙っちゃうの?・・・雪菜ちゃん!?」

 

この沈黙が、やたら恐い!!

 

雪菜「お兄ちゃんの事は・・・書いてない・・・です」

僕「そっか、良かった・・・」

雪菜「だって・・・お兄ちゃんは・・・そんな人じゃない・・・です」

 

どういう意味で、どういう含みで言ってるんだろう?

考えてる事がわからないから恐いんだよな雪菜ちゃんって。

 

僕「・・・そうだ!歯磨きしてくるよ」

 

ガチャッ

 

雪巳「お兄ちゃーん、洗濯物1つ見なかったー?」

僕「あ・・・・あれかな?」

雪巳「もー也幸ー!それおもちゃじゃないよー」

也幸「!!!」

ソヨカゼ「ふにゃ〜〜〜!!」

雪巳「返しなさーい!洗うんだからー」

僕「はは・・・廊下にでも落としたのかな」

 

いっそ朝風呂でも入ってきたい気分だ。

 

雪巳「もー!これで遊んでいいのはお兄ちゃんだけなんだからー」

 

なぬー!?

 

もどる めくる