もう4時だ、台場海浜公園駅についた、

ここが雪巳ちゃんとの待ち合わせ場所らしいけど・・・

 

雪巳「お兄ちゃーーーん!!」

僕「あれ?どこからだ?」

雪菜「あっち・・・です」

 

わ!公園の方からやってきた!

 

僕「早めに来たの?」

雪巳「うんー、2時には着いたよー」

僕「それはまた早い・・・ちょっと早すぎだね」

雪巳「だってー、待ちきれなかったんだもーん」

雪菜「じゃあ・・・・・帰る・・・です」

 

邪魔しちゃ悪いって感じでそっと行こうとしてる。

 

僕「気をつけて帰ってね」

雪巳「晩御飯、先に食べててねー」

雪菜「お兄ちゃん・・・・・ありがとう」

 

意味ありげな笑顔で改札に入っていった。

嫉妬してない感じの、きっと満足した表情なんだろう。

 

雪巳「行こーーー」

僕「ど、どこへ!公園?」

雪巳「ううんー、もう決めてあるのー」

 

建物の中へと連れ込まれる。

 

僕「デックス東京ビーチ・・・?」

雪巳「ビルなのにビーチだってー」

僕「室内プールか何か?」

 

と思ってついた場所は・・・

 

僕「台場一丁目商店街、か」

 

レトロな町並みが再現されてる、

こういう映画あったよなー三丁目の夕日だっけ。

 

雪巳「これって100年くらい前の日本だっけー」

僕「昭和30年って書いてあるから、そんなにしないよ、せいぜい50年」

雪巳「アクセサリーやさんがあるー」

 

小さな雑貨店、

和風なものからタイとかミクロネシアっぽいのもある、

女の子ってこういうの好きそうだよなー、雪巳ちゃんはもう物色してる。

 

雪巳「このブレスレットかわいいー」

僕「木のピースのやつだね、糸が通してある」

雪巳「髪留めもいっぱいー、これ雪沙が好きそー」

僕「欲しいのあったら買ってあげるよ」

雪巳「じゃぁー・・・・・これがいいー」

 

変な木の人形・・・あんまりかわいくない。

 

僕「こんなのでいいの?」

雪巳「うんー、願いが叶う人形だってー」

僕「ボージョなんとか人形ってそういえばテレビでやってたね」

雪巳「お金もったいないから、これだけでいいよー」

僕「わかった、買ってあげるよ・・・本当にいいんだね」

 

叶えたい願い、か・・・

夢や希望は無限にあるんだろうな、

天然な子だけど、頑張りやさんだから、応援してあげたい。

 

僕「はい、どうぞ」

雪巳「ありがとー帰ったらバッグに付けよー」

僕「次の店は・・・駄菓子屋があるね」

雪巳「そっちより、ちゃんと行く所きまってるよー」

僕「どこどこ?わ!引っ張らないで!」

 

連れて行かれた場所は、いかにも古い校舎、のセットだ。

 

雪巳「ここー、お化け屋敷ー」

僕「台場怪奇学校・・・面白そうだね」

雪巳「2人ではいろー」

 

入場券を買って中に入る、

セットとはいえ特殊技術だ、

いい感じに廃墟が演出されてる・・・

 

雪巳「大きい声出したらごめんねー」

僕「う、うん・・・僕も出すかも」

雪巳「何か聞こえてきたー」

 

・・・・・

・・・・・・・・・

 

雪巳「きゃーーー!」

僕「うわ!びっくりした」

雪巳「でしょーーー」

僕「いや、雪巳ちゃんがいきなり抱きついてきたから・・・」

雪巳「えー、お化けより私がこわいのー?」

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

 

僕「ひーーーー!!」

雪巳「お兄ちゃん、変な声ー」

僕「だってほら、そこ」

雪巳「えー・・・きゃーきゃーきゃーーーー!!」

僕「雪巳ちゃん、声、大きすぎ!!」

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

雪巳「こわーい、こわーーーい」

僕「ちょっと、くっつきすぎ!」

雪巳「だってお兄ちゃんに助けて欲しいんだもーん」

僕「・・・僕はお兄ちゃんじゃなかったりして」

雪巳「えーーーーーーーー」

僕「はは、嘘、嘘」

雪巳「・・・私も入れ替わってたりしてー」

僕「ほら、そこ!!」

雪巳「きゃーーーにげよーーーー」

 

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・

 

僕「ふう、終わった」

雪巳「汗かいちゃったー」

僕「ほんと、疲れたよ・・・」

 

でも、何だかんだ言って楽しかったかな?

雪巳ちゃんも、わーきゃー騒ぐのが目的だったんだろうし。

というよりも、僕に抱きついて、その反応を面白がっていたりして。

 

雪巳「叫びすぎて喉かわいゃったー」

僕「じゃあ喫茶店でも・・・」

雪巳「ううんー、ジュース買ってあげるー」

 

自分のサイフで自動販売機からジュースを買う雪巳ちゃん、

そしてコーラを手渡し、おごってくれるみたいだ、結構うれしい。

 

僕「ありがとう、飲んで落ち着いたら次はどこ行く?」

雪巳「もっと遊びたいー」

僕「ボーリング場かなんかあったっけ?」

雪巳「隣に遊園地があるみたーい」

僕「え?・・・あ、東京ジョイポリスか、いいよ」

 

これまた体力使いそうだけど、

今日は雪巳ちゃんに、しっかりつきあってあげなくちゃ。

 

・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ジョイポリスを遊び終えると、

時間は6時半、体力を使ったのもあってお腹が空いた。

 

僕「疲れた・・・ご飯にしよう」

雪巳「うんー、安いのでいいよー」

僕「いや、夕飯はしっかり食べたいからレストランにしよう」

 

最上階の中華レストランについた、

それなりの値段・・・家で自炊してる雪菜ちゃん雪沙ちゃんに悪いかも?

 

僕「まあいいや、入ろう」

雪巳「うんー、あー、なんか綺麗ー」

僕「チャイナドレスのお姉さんだね、足が長いから似合ってる」

雪巳「私も着てみたいー」

僕「あと3年くらいしたら似合うようになるよ」

 

席に案内されてメニューを見る。

 

雪巳「難しい漢字ばっかりでわかんなーい」

僕「いいよ、僕が適当に選んでおくから」

雪巳「冷やし中華でいいよー」

僕「あるかな・・・バンバンジーやマーボー豆腐じゃ駄目?」

雪巳「あー肉まんはわかったー、でも1個850円だってー高いー」

 

エビチリサラダにマーボー豆腐にミニ炒飯に杏仁豆腐に、っと・・・

注文を済ませて窓の外を見るとフジテレビが見える、将来雪巳ちゃんが働く事になったりして。

女子アナとかは無理そうだなぁ・・・天然系アイドルとか?それもなぁ・・・う〜む・・・

 

雪巳「ねえお兄ちゃーん、去年、小6のときにねー」

僕「うんうん、どうしたの?」

雪巳「男子に、肉まんってあだ名つけられたことがあるのー」

僕「へー、それはなんで?」

雪巳「なんでか、あててみてー」

 

その言葉に雪巳ちゃんの方を見る。

・・・・・・わかったけど、それは、言わない方がいいだろう。

 

僕「明日、雪菜ちゃんと雪沙ちゃんは学校だって」

雪巳「私も中学校、行ってくるー」

僕「え?雪巳ちゃんも登校日?」

雪巳「ううんー、バスケ部の、夏休み最後の日ー」

僕「あ、そういえば誘われてるって言ってたよね」

雪巳「うんー、だから最終日だけ体験入部してくるのー」

僕「それでうまく合えば、2学期から本気で入部するんだね」

 

・・・部費が大変そうだな、

でも最近、むっちりしてきてたし、

運動を積極的にするのは良い事だ。

 

僕「そうだ!このビル、スポーツ用品店もあったよね?」

雪巳「うんー、でもまだいいよー」

僕「え?でも明日からもう始めるんでしょ?」

雪巳「・・・9月に入ってからでいいよー」

僕「わかった、雪巳ちゃんがそう言うなら・・・」

 

・・・・・今いろいろと買ってあげちゃうと、

手切れ金みたいに思われちゃうのかな?まだ結論は出してないけど。

 

僕「あ、前菜が来たよ」

雪巳「おいしそーーーーー!!」

 

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

 

夕食を終えて外へ出ると、もうすぐ7時半だ。

 

僕「暗くなったね」

雪巳「最後あそこいきたーーーい」

僕「どこどこ?・・・・・ああ、観覧車ね」

 

お台場名物の大観覧車、

今日の締めにはもってこいだ。

1周30分くらいかな?落ち着いて夜景でも見よう。

 

僕「あー、大きく見えるけど、乗り場まで遠いな」

雪巳「走っていこー」

僕「えー?わ、置いていかないで!」

 

元気だなー、

雪巳ちゃんとのデートなら、

歩く速度とか気にしなくていいや。

 

・・・・・

 

観覧車に乗ると、

ぐんぐんと高くあがっていく。

 

僕「離陸って感じだね」

雪巳「2人っきりで乗れるのが嬉しいー」

僕「う、うん、よかった、よかったね」

 

ちょこんと僕の隣に座ってきた。

向かい合ってればいいのに・・・

顔を見合わせると、距離が近すぎて、ちょっと照れくさい。

 

雪巳「あの船すごーい」

僕「どれ?・・・屋形船だね、高いよ」

雪巳「えー、あそこに住んでるんじゃないのー?」

僕「そ、それ本気で言ってる!?」

雪巳「えへへへへへーーーーー」

 

ぼけぼけな子だ・・・

 

雪巳「・・・・・」

僕「ど、どうしたの、見つめて」

雪巳「・・・どきどきしてるのー」

 

どきどきどき・・・・・

 

雪巳「あのねーーー」

僕「う、うん」

雪巳「・・・・・観覧車が一番上にあがったら・・・言うねー」

 

な、何を言うんだろう・・・

さすがに言う内容は見当がつくけど、

どういった言葉にするんだろうか?顔が赤くなってきた。

 

雪巳「外みてよー」

僕「う・・・うん」

雪巳「ネズミーランド、あれだよねー」

 

・・・・・変な空気が流れる。

いや、観覧車の空調は涼しくていいんだけど、

頂上に着いたら・・・・・僕は・・・・・雪巳ちゃんに・・・・・・・

 

僕「・・・・・」

雪巳「・・・・・・・・・・」

 

心の準備をしなくっちゃ、

ええっと、ええっと、まだ、1週間あるんだから・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

ブーーッ!!

 

僕「わ!?」

雪巳「頂上のブザーだよー」

僕「う、うんっ!!!」

 

ドキドキドキドキドキ!!!!!

 

雪巳「・・・・・お兄ちゃん」

僕「な・・・なにかな」

雪巳「私をー・・・もらってくださいっ!」

 

も、ももも、貰う・・・

養子に?それとも、お、おおおよ・・・およよよよ・・・・・

 

雪巳「お兄ちゃん大好きー、ほんとに好きー」

僕「ほんと・・・に」

雪巳「だからー、恋人になってくれるだけじゃなくー、ちゃんともらってー」

 

そう言うと、すがる様に、

ぎゅううっ、と抱きしめてきた!

 

雪巳「ねー・・・よかったらキスしてー」

僕「ぁ・・・・・キ・・・ス?」

雪巳「うんー・・・・・」

 

目をとじて、あごを上げる・・・

キスを待つその頬に、一滴の涙が・・・

でも・・でも、いまここでキスをしちゃう訳には・・・

 

僕「・・・・・」

雪巳「・・・・・・・・・」

僕「・・・・・ごめん」

 

そっとやさしく、

雪巳ちゃんの濡れた薄紅の唇に指をあてる。

 

僕「もうちょっと・・・1週間待って欲しい」

雪巳「1週間待ったら、貰ってくれるのー?」

僕「ううん・・・答えを1週間後に出すから、考えさせて欲しい」

 

パチクリと目を開けた雪巳ちゃん、

僕の指を払って・・・そのまま雪巳ちゃんの方から!?

 

ちゅうううううぅぅぅ〜〜〜〜〜!!

 

僕「!!!」

雪巳「・・・・・」

僕「ーーー!!」

 

唇を、奪われてるううううう!!!

 

雪巳「・・・・・・・・♪」

僕「!!!!!・・・・・・・・・・」

 

あぁ・・・・・

このまま・・雪巳ちゃんのものになっちゃうのも・・・

い・・い・・・・か・・・・・もぉ・・・・・

 

雪巳「・・・・・・・・んっ・・・お兄ちゃーん」

僕「ぁ・・・唇が・・・ジンジンしてる・・・」

雪巳「じゃー1週間、お兄ちゃんに気に入られるようにがんばるねー」

 

ははは・・・残り1週間、覚悟しないとな。

 

僕「さ、さあ、観覧車の景色も、もうちょっとだから・・・」

雪巳「あーーー花火ーーー!」

僕「本当だ、綺麗だね」

雪巳「毎年、この観覧車にお兄ちゃんと一緒に観に来たいー」

僕「ははははは・・・・・考えて、おくよ」

 

あ、もう8時になってる、

トリプルデートもお終いか。

楽しい1日だったなあ、でも・・・・・胸がちょっと痛むんだな、これが。

 

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