もう正午だ!
待ち合わせの駅へ雪沙ちゃんと来た、
雪菜ちゃんはどこだろう・・・いた!窓から海を眺めてる。
僕「お待たせ」
雪菜「あ・・・お兄ちゃん・・・・・」
雪沙「ゆきさねぇ〜、さっきひとつのくりぃむそ〜だに、ふたりですとろ〜さして・・・」
僕「はい、12時!雪沙ちゃんとはここまで!!」
雪菜「ちゃんと・・・1人で帰るんだからね・・・」
丁度、電車も来るみたいだ。
僕「切符だけ買ってあげるよ・・・えっと・・・はい」
雪沙「ありがとぉ〜〜〜」
雪菜「寄り道しないの・・・真っ直ぐ・・・ね」
元気にはしゃいで改札を入っていった。
さあ、午後4時までは雪菜ちゃんとのデートだ!
僕「えっと・・・お昼ごはんは?」
雪菜「食べてきた・・・です」
僕「そっか良かった、僕も食べちゃったから」
雪菜「雪沙がどうせ・・・一緒に食べたいって・・・お兄ちゃんに言うから・・」
僕「うん、そ、そうだったよ、オムライス一緒に食べさせられちゃった、はは」
すっかりお見通しか・・・
僕「じゃあ行こう」
雪菜「はい・・・です」
駅から出るとそこは船の科学館だ。
僕「ここも子供が多いね」
雪菜「・・・あそこ、行く・・・です」
僕「どこ?・・・あ、科学館の前にプールが!」
流れるプールだ、子供も大人もいっぱい。
僕「いいけど水着は?」
雪菜「持ってきた・・です、お兄ちゃんのも」
僕「用意がいいね、ありがとう」
食べたばっかりで大丈夫かな?
準備運動をしっかりすればいいか。
入場券を買い、水着を受け取り更衣室へ・・・しばしのお別れだ。
僕「じゃあ後でね」
雪菜「はい・・・」
さあ急いで着替えよう、
先に出て待ってあげなきゃな。
プールか・・・みんなで来てもよかったけどな。
僕「貴重品入れは・・・あった、42番が空いてる、不吉だけどいいか」
・・・多分、きっと雪菜ちゃんの事だから、
僕と2人でプールへ来るっていうのが重要なんだろう。
デートで一緒に泳ぐっていうのが良いんだな・・・そう思うと、かわいらしい。
僕「・・・よし、男の準備は早い、っと!」
急いで出て雪菜ちゃんを待つ。
女性更衣室をジロジロ見る訳にはいかないから、
まわりを見渡しながら、さりげな〜く、なんとな〜く・・・
僕「暑い・・・」
日射しがきついな、
プールはカラフルな水着・・・
女の子が多いな、あ!あの水着の少女、
胸が小さいのに大きいサイズのビキニつけてるから、
しゃがむと隙間から乳首が・・・ってそんなの覗いちゃいけない!
僕「雪菜ちゃんはまだかなぁ〜・・・きた!」

あれだ!最初から眼鏡外してきてるから、
すぐにはわからなかったけど・・ちょっとふらふらしてる、
急いで駆け寄ってあげると、じーーーっと無言で僕の顔を見てる。
雪菜「・・・・・あ・・・お兄ちゃん」
僕「はは、いま気付いたの?」
雪菜「眼鏡ないから・・・連れていってほしい・・・です」
僕「じゃあまずプールサイドで準備体操しよう」
雪菜「はい・・・・・です」
水着は初島の時のやつだ。
丁寧にあのスカートみたいなパレオとかもつけてる、
そのままで準備体操・・・暑いとはいえ、しっかりやらなきゃ。
僕「いっちに、いっちに・・・はい終了!」
さあ、泳ぐぞーーー!!
雪菜「静かな所が・・いい・・・です」
僕「そうはいっても・・・じゃあ空いてる向こう側にしよう」
奥は売店も無いし滑り台みたいな遊具も無いから、
比較的空いている。その分、本気で泳いでる人も多いけど・・・
あと人が少ないから水の温度も、なんとなくこっちの方が冷たい気がする。
僕「静かだけど・・・流れもちょっと速いかも」
雪菜「お兄ちゃんにくっついてるから・・・平気・・・です」
僕「うん、離れないようにね」
って、そこまで大げさな急流じゃないぞ?
普通に入って立ってられるくらいだ、雪菜ちゃんだって。
でも、僕の顔をしっかりと確認するかのように、じーーーっと・・・
雪菜「こうしてるだけで・・楽しい・・・です♪」
僕「そう、それはよかった・・・ははは」
雪菜「上手な泳ぎ方・・・・教えてくださ・・・い」
冷たい水の流れから雪菜ちゃんを守るように、
雪菜ちゃんも僕から流されていかないように、
しっかり体を密着させる・・・雪菜ちゃんの肌が・・・・・なんか気持ちいい。
僕「じゃあ、持っててあげるから、ね」
雪菜「・・・・・はい♪」
こうして僕たちはプールを満喫した。
着替えが終わって外で待つ・・・雪菜ちゃんが来た!
僕「喉かわいたよね、はいジュース」
雪菜「ありがとう・・・です」
僕「さあ、次は・・って博物館の中がまだだよ!」
そう、まだ表のプールだけだ、
なのに1時間以上も過ぎてる、
残りは3時間も無い、駆け足で展示物を見よう。
・・・・・
・・・・・・・・
僕「ほら、東京湾のジオラマだよ」
雪菜「これ・・・どこで・・・すか」
僕「それはフジテレビだね、ここのすぐ近く」
・・・・・・・・・
・・・・・・
雪菜「船が・・・いっぱい・・・」
僕「江戸時代の船だね、畳が入ってる」
雪菜「屋根瓦も・・・ある・・・・・です」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
僕「外に出た、次の展示物は・・・南極観測船だって」
雪菜「船が丸ごと・・・展示・・・ですか」
僕「そうだね、もう使われてない古い代のみたいだ、入ろう」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
こうして船の科学館を見学し終えたのだった。
雪菜「楽しかった・・・です」
僕「ほんとに?」
雪菜「うん・・・はい、お兄ちゃんが一緒だったから・・・」
照れるな・・・さあ次だ。
僕「あと2時間か、どこへ行く?」
雪菜「隣・・・です」
僕「へ?隣・・・わ!こっちの3倍はある博物館!」
なになに・・・日本科学未来館、
確か、ロボットや宇宙の博物館だ!
日本人初の宇宙飛行士だとか嘘ついてる人が館長なんだっけ・・・秋山さんに謝れ!
僕「2時間で回りきれるかなー」
雪菜「見たいところは・・・1つだけだから・・・」
僕「わかった、じゃあ急いで入ろう」
手を繋いで駆け出す、
急ぐっていっても小6の女の子と一緒だから、
本気で走る訳にはいかない・・・て思っているうちに、もうついた。
僕「こっちは子供だらけだ・・・」
雪菜「きっと・・・夏休みの自由研究しにきてる・・・です」
僕「そっか、雪菜ちゃんはもう終わったんだっけ?」
雪菜「・・・・・入場券・・・あそこ・・・」
僕「そうだね買わなきゃ・・・・・はい、どうぞ」
凄い建物だな、全部周るとどのくらい時間かかるんだろ?
アメリカのメトロポリタン美術館なんかは順路に沿って歩くと、
丸一日かかるらしいけど・・・さすがにそこまではいかないかな。
雪菜「ああ!!!」
僕「どうしたの!?」
雪菜「駄目だったみたい・・・です」
ええっと・・・日本最大のプラネタリウムの案内表示だ、
全席整理券配布終了、今日はもう見られないみたいだ。
僕「あー・・・朝言ってくれれば整理券取ってあげたのに」
雪菜「でも・・・見る人数、並ばないと・・・もらえない・・・です」
僕「だったら僕と雪沙ちゃんで並んだのに」
雪菜「雪沙のデートは・・・邪魔できない・・・から・・・」
僕「そうか・・・それは悪いから、しょうがないね」
まあ、先に雪菜ちゃんが誰か連れてとかもできたんだろうけど、
真面目すぎる子だからな、ちょっとでも不正と思ったらできないのかも?
でも、何とかしてあげたい・・・う〜〜〜〜ん・・・・・あれ?フロア表示をよく見ると・・・
僕「雪菜ちゃん、期間限定で普通のプラネタリウムもあるよ」
雪菜「ほんと・・・ですか」
僕「うん、ほらここ、4階イベントホールに夏休み特別企画プラネタリウムって」
とりあえず行こう!
エスカレーターを登って4階へ・・・
あった!普通のホールに移動式プラネタリウムが組み立てられてる!
僕「室内の中に、さらにプラネタリウムだ」
雪菜「風船で・・・膨らませてあるみたい・・・です」
僕「うん、夜に野外で組み立てるのかもね、整理券配ってる」
これはちゃんと見れそうだ。
お姉さん「どうぞー、あと20分ですよー」
僕「はい・・・見れるよ雪菜ちゃん」
雪菜「良かった・・・です」
さて、20分どうしよう。
雪菜「・・・宇宙の本がいっぱい置いてあるです」
僕「うん、臨時図書館かな?パソコンもある、宇宙データベースだって」
雪菜「本・・・読んでる・・・です」
僕「じゃあ僕はパソコンでちょっと調べ物してみるよ」
雪菜「・・・・・はい・・・です」
・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
僕「なるほどー・・・そういう訳だったのか」
雪菜「・・・お兄ちゃん・・・」
僕「国から日本人初の宇宙飛行士募集がかかって、それで任命されたのがここの館長、と」
雪菜「あの・・・お兄ちゃん・・・」
僕「で、NASAで訓練受けてる最中に秋山さんが先にロシアの船で宇宙へ行っちゃった訳だ」
雪菜「時間・・・きてる・・・」
僕「日本人として一番最初に宇宙へ行ったのは秋山さん、でも宇宙飛行士に最初に任命されたのが館長」
雪菜「集合・・・しなきゃ・・・」
僕「公式な宇宙飛行士としての順番でいけば秋山さんだけど、ここの館長が日本人初と言っても嘘では、ない」
雪菜「・・・・・耳・・・かんじゃう・・・から」
僕「そもそも秋山さんは日本人初の宇宙飛行士って呼ばれ方を嫌ってて、ジャーナリスト初の宇宙飛行士と呼んでくれと・・・」
雪菜「もう・・・・・・えい」
はむっ!!
僕「!!!!!」
なんだぁっ!?
耳が!耳があぁぁーーーーー!!
雪菜「プラネタリウム、呼んでるです!」
僕「あ!ごめんごめん、行くよ行くよ!!」
びっくりしたぁ・・・
本気で噛まない所が、かわいらしいけど。
お姉さん「椅子席と中央の床、お好きな方をどうぞー」
僕「あ・・・周りは椅子で、真ん中が装置を囲んで床か」
お姉さん「床はご遠慮なく寝そべってくださいねー」
雪菜「お兄ちゃん・・こっち・・・」
僕「床がいいんだね、靴を脱いで・・・ここかな」
見上げるとまだ明るい、
隣で寝てる雪菜ちゃんと顔を合わせると、
小学校時代にタイムスリップする・・・甘酸っぱい初恋の雰囲気に・・・
お姉さん「では只今より開始しまーす」
暗くなっていく、
地平線の場所に1つだけ明かりが・・・月かな?
お姉さん「はーいみなさん、これは夕日でーす」
ずこっ
お姉さん「これが沈むと一番星が、そして次々と夜空の星々が現れますのでお楽しみくださーい」
自称・夕日が沈み、
いよいよ星々がちりばめられていく・・・
雪菜「・・・・・わぁ・・・」
きゅっ、と手を握られる、
星空の下で手を繋いで見上げる僕と雪菜ちゃん・・・
ちょっとロマンティック・・・これが夏の北海道で、夜の大平原とかだったらいいのになぁ・・・
僕「・・・・・」
軽く握り返してあげると、
僕の方を向く・・・僕も見つめてあげる・・・
綺麗な目・・・って言いたいけど眼鏡に星が反射してよくわからないや。
雪菜「・・・・・♪」
再び上を眺める・・・
しばらくは・・・こうして・・・いたい・・・・・な。
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
プラネタリウムが終わるともう3時半だ。
僕「5階の喫茶店にちょっと入ろう」
雪菜「はい、です」
僕「ええっと・・・軽くケーキでも食べる?」
席について注文する。
すっかりご機嫌の雪菜ちゃんがニコニコしてる。
僕「小さくても立派だったね」
雪菜「こっちの方が、良かった、です」
僕「そっかそっかそっか」
なんだか逆に僕の方が照れくさくなるよ。
僕「そういえば明日、1週間前登校日なんだって?」
雪菜「うん・・・行ってくる、です」
僕「久しぶりに友達と会えるね」
雪菜「帰り・・・友達のおうちに寄っても・・いい・・・ですか」
僕「全然いいよ、そんなの許可取らなくてもいいのに」
律儀な良い子だ。
雪菜「あと1週間・・・です・・・ね」
僕「そうだね、あっという間だなぁ」
雪菜「・・・・・答え・・・返事を・・・待って・・・・ます」
急に緊張した声になっちゃった。
返事・・・養子に貰うかどうか、よりもこの子の場合は・・・
僕「うん、31日までには、答えを出すよ」
雪菜「おねがい・・し・・ます・・・ぅぅ・・・」
僕「な、泣かないで!ほら、ケーキが来るよ!!」
待たせるのも、可哀想なんだなぁ・・・。
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