ウェスタンエリアを通ると美味しそうな匂いがしてきた。
雪沙「あ〜、くまさんのカレーハウスだってぇ〜」
僕「本当だ、従業員のお姉さんもネコミミならぬクマミミつけてる」
雪沙「おひるごはん、あそこがいい〜」
僕「うん、値段もかなり安いみたいだし、雪絵ちゃんたちと合流したらここかな」
雪沙「おもちかえりもうってるよぉ〜?」
本当だ、レトルトパック・・・
ビーフ、チキン、ポークと3種類ある、後で買おう。
雪沙「ねぇ〜〜、おにぃちゃぁ〜〜〜ん」
僕「なにかな?そんなに甘えた声だして」
雪沙「カメラかったからぁ、いっしょのしゃしんほしぃ〜」
僕「そうだね、せっかく雪沙ちゃんが買ったんだから・・・どこで撮る?」
雪沙「どこがいいかなぁ〜・・・あそこがいい〜」
てけてけと駆けていった場所は・・・巨大サボテンの前だ。
僕「こ・・・これの前!?」
雪沙「うん〜、きねんになるからぁ〜」
僕「ま、まあ、雪沙ちゃんがいいなら、かまわないけど」
近くの従業員さんにお願いしてカメラを渡す、
そして僕と雪沙ちゃんはサボテンの前で、はいポーズ・・・念のためもう1枚・・・
雪沙ちゃんのハイテンションなハシャぎっぷりがカメラにちゃんと納まってるといいけど。
僕「撮影ありがとうございます、すみませんでした」
雪沙「ねぇ〜、あっちいこぉ〜」
僕「はいはい、わかったから突っ走らないで」
ウェスタンエリアを抜けるとカントリーエリアだ、
巨大な池に中央は島、その周囲を蒸気船やカヌーが回り、
さらに向こう岸には先月来た時に乗ったリバーマウンテンコースターがある。
僕「蒸気船リンカーン号、先月は結局乗れなかったんだっけ」
雪沙「まんなかの、かいぞくじまもいってない〜」
僕「じゃあ行こう、まずどっちからにする?」
雪沙「まんなかの、しまにあがってみたぁ〜い」
僕「わかった、海賊島へはどこから行くんだろう、えっと・・・」
トンネルでもあったっけ?ガイドブックによると・・・
海賊島行きイカダ乗り場、っていうのがある!ていうか、これしかない。
イカダって、丸太を繋げた、あのイカダだよな?大丈夫かなぁ・・・まあ、行けばわかるか
僕「乗り場はあっちだ・・・あったあった」
雪沙「あれにのるのぉ〜?」
僕「うん、丁度出るところみたいだ、急ごう」
イカダに乗り込む、予想以上に大きくて安心した。
ちゃんと「繋げた丸太が浮いている」感じがしてちょっと楽しい、
そして出発、先頭で係員のお兄さんがオールなのか棒なのかで漕いでる、けど・・・
僕「うーん、モーター音がうるさい・・・」
雪沙「これならすぐつくねぇ〜」
僕「うん、細かいことは気にしないでおこう」
海賊島につくとイカダ降り場で紙を貰った。
僕「何だこれ・・・あ、海賊島の地図だ」
雪沙「どこかにたからがあるんだってぇ〜」
僕「順路があるみたいだから順番に見て回ろう」
まず最初は巨大な吊り橋、
それをぴょんぴょん飛び跳ねながら渡る雪沙ちゃん、
吊り橋がこれでもかってくらいグラグラと、しなってる。
僕「危ないよ、落ちても知らないから」
雪沙「おもしろぉ〜〜〜い♪」
僕「こらこら、そんなにジャンプしてると・・・」
パンツ見えるよ、って言いたいけど、もう見えまくっている。
もう気にするのはやめよう、こういう子のパンツが見えるのは、その・・・・・仕様だ。
吊り橋を渡りきると見えてきたのは・・・
雪沙「あ〜、あれすご〜い」
僕「滝と水車小屋だね」
雪沙「中へ入れるみたぁ〜い」
お邪魔すると大きな臼が回ってる、
なかなか大仕掛けだ、海賊の島なのに社会見学みたいだな。
窓の外からはちっちゃい子供が池で遊んでる、涼しそうだ。
雪沙「おにぃちゃんなにみてるのぉ〜?」
僕「え?い、いや・・・ほらあそこ、海賊の見張り塔」
雪沙「ぢゃああそこいこ〜」
ほっ・・・よかった、水遊びしてる幼女を変な目で見てると思われないで。
まあ、そんな風に見られるかも?って心配して慌てて誤魔化した時点で僕はかなりヤバイ人なのだろう。
水車小屋を出て見張りの櫓へ進むと、その広場に見えてきたのは・・・
雪沙「いいにおい〜」
僕「海賊島の焼きたてクッキーだって、ドリンクも売ってる」
雪沙「たべたぁ〜〜〜い」
僕「うん、じゃあちょっとだけね」
雪沙「わかってるぅ〜、おそいおひるごはんがあるもぉん」
列が結構できてるな、
暑いから飲み物だけ買う人も多いんだろう。
僕「じゃあ並ぼう・・・ここが最後尾だ」
雪沙「おにぃちゃんおにぃちゃんおにぃちゃぁ〜ん♪」
僕「どうしたの、にやけちゃって」
雪沙「よんでみただけぇ〜〜〜♪」
僕「ははは、そ、そっか、うん」
なんか、くすぐったはずかしいな。
雪沙「もっとまいにちでぇとしよぉ〜」
僕「そ、そうだ、明日だけどさ、雪巳ちゃん雪菜ちゃんをお詫びも込めてどこか連れて行こうと思ってるんだ
雪沙「ゆきさはぁ〜〜?ゆぅきぃさぁわぁぁぁ〜〜〜?」
僕「もちろん雪沙ちゃんもだよ、ただ今日疲れると思うからあんまり遠くは無理だけど・・・」
雪沙「ゆきさはつかれてないよぉ〜、かえってからみんなでそ〜だんしよぉ〜」
・・・3人まとめて連れて行けば楽だけど
ここはやっぱり午前・昼・夜と分けて別々で会いたいな、
2人っきりでちゃんと、今後の事とかをあらためて、話してみたい。
僕「じゃあさ、1日を3つに分けて、それぞれ別でデートしようよ」
雪沙「え〜〜みっかをみっつにわけたぁ〜い」
僕「それも考えたけどさ、その・・・残り時間があまり無いし、それに、僕が大変すぎるから」
雪沙「おにぃちゃんがたいへんだったら、がまんするぅ〜」
也幸「・・・(コクコクコク)」
僕「良かった・・・じゃあそれで雪巳ちゃん雪菜ちゃんとも話して・・・って、也幸くん!?」
也幸「・・・・・!!」
い、いつのまに!?
そして雪沙ちゃんの袖にくっついて、クッキー屋台を見てる。
一緒に雪絵ちゃん雪音ちゃんや、ガイドのお姉さんは・・・いないよな?
〜〜〜♪♪♪
携帯電話が鳴った!
僕「もしもし!?」
お姉さん「申し訳ありません!ガイドの者ですが、也幸ちゃんがですね・・・」
僕「いま、ここにいますけど」
お姉さん「ええええええ!?ど、どちらですか!?」
僕「海賊島のクッキー屋台、の前です」
也幸くんが、クッキー買って〜、感じで雪沙ちゃんをぐいぐい引っ張ってる。
お姉さん「そんな遠い所に・・・いま、係りの者が迎えに行きますから!」
僕「はい、遠いってどこにいたんですか?」
お姉さん「ふわふわゴムの家で遊んでいただいてたのですが、出てこなくて中を探してもいなくて・・・」
僕「すみません、よく言っておきます」
お姉さん「こちらこそ本当に申し訳ございませんっ!!」
ガイドマップを見ると・・・ゴムの家は・・・あった、
エリアは隣の隣だけど、あの家って出入り口1つのはずだぞ!?どうやって来たんだろう?
途中、見張りの従業員もいっぱいいただろうし、その目をかいくぐって、しかも池の真ん中にあるこの島へ・・・!!
雪沙「もぉ〜、かってにきちゃだめぇ〜」
也幸「ー!ーー!ーーー!!!」
雪沙「え〜、へんないえにいれられちゃったから、にげてきたのぉ〜?」
也幸「!!!ーーーーー!!ーーー!!!」
雪沙「くっき〜のにおいがしたからここきちゃったんだぁ〜」
あいかわらず、何だかよくわからない会話が成立してる。
イカダで来た時には一緒に乗っていなかった・・・よな?うん、多分。
でも、それ以外でこの島へ上陸する方法って?・・・泳いで来たには濡れてないし。
お兄さん「すみませーん!」
慌てて係員のお兄さんがやってきた、
キッズツアー用の帽子かぶってるから一目で也幸くんとわかったんだろう、
逆に言うとこれだけ目立つ格好なのに、よく脱出できたもんだな、野良猫なみの素早っこさだ。
僕「すみません・・・ほら也幸くんも謝って!」
雪沙「あたまをさげるのぉ〜」
也幸「・・・・・(ぺこっ)」
お兄さん「こちらこそ申し訳ありません!さあ也幸くん、みんなが待ってるよ」
雪沙「ちゃんといくんだよぉ〜」
連れ戻された也幸くん、クッキーが名残惜しそう。
どうやってゴムの家から脱出して島に入ってこれたのか謎のままだ・・・
ネズミーランドの監視カメラで後から検証するなら、その場に立ち会いたいよ。
僕「おいしかったね」
雪沙「うん〜、もってかえりたぁ〜い」
僕「でもこれは冷めちゃうとおいしくなくなっちゃうと思う」
食べ終わって満足といった感じで唇を舐めてる、
お口のクッキーの粉を拭いてあげる・・・ほんと、まだまだ子供だ。
雪沙「ぢゃ〜あそこのぼろ〜」
僕「見張り台だね、走っちゃ危ないよ」
雪沙「おにぃちゃんもはやくはやくぅ〜」
物凄く急な螺旋階段をすいすいと駆け上がっていく、
ひらひらと丸見えのパンツも駆け上がって・・・だからまだまだ子供なんだって!
雪沙「ん〜、ここがいいかなぁ〜」
僕「ふぅ、やっとついた・・・どうしたの?」
雪沙「しゃしんとってぇ〜、はい、カメラぁ〜」
あ!ここからならリバーマウンテンコースターをバックに、
いい感じで写真が撮れそうだ、雪沙ちゃんは手すりに背をもたれかけてポーズを取ってる。
僕「じゃあ行くよ・・・はい、ポーズ」
雪沙「こんどはおにぃちゃんをとるぅ〜」
僕「え?僕を?いいけど・・・はいカメラ」
こんどは僕がネズミーランドをバックに・・・
雪沙ちゃん背伸びしながら合図も無しにパシャリと撮った。
雪沙「えへへへへぇ〜〜〜」
僕「どうしたの?ツーショットの写真はいいの?」
雪沙「ん〜、ここではいい〜、もうおりるぅ〜」
逃げるようにして見張り台を降りていった。
なんなんだ一体・・・何か企んでるんだろうか?まあいっか。
僕「そろそろ別の乗り物に行こうか」
雪沙「おっき〜おふねにのろ〜」
僕「蒸気船リンカーン号だね、じゃあイカダで島から脱出しなきゃ」
雪沙「さきにおしっこいってくるぅ〜」
僕「ええっとこの島にトイレは・・・あった、行っておいで」
楽しそうだなぁ、楽しそうな雪沙ちゃんを見てると僕も楽しい。
もっともっと楽しませてあげたいと思っちゃう、ほんっと、かわいい子だよなぁ・・・。
雪沙「おふね、おもしろかったぁ〜」
僕「そ、そう・・・良かったね」
あんまり居心地よくなかったな、
別に揺れるとか座れないとかじゃなくって、
雪沙ちゃんが大声ではしゃいで、走り回るから・・・
雪沙「しゃしんもいっぱいとったぁ〜」
僕「ひょっとして、もうフイルム使い切っちゃった?」
雪沙「ん〜、5ってあるからまだのこってるぅ〜」
蒸気船降り場から離れると丁度、お昼のパレードが始まった所だ。
雪沙「おまつりみたぁ〜い」
僕「パレードだからね、確かに人が乗ってるお神輿みたいだ」
雪沙「あ〜、しゃぼんだまぁ〜!きゃははぁ〜」
ひらひらと舞う紙ふぶき、
そして噴出される無数のしゃぼん玉・・・
夢の世界から出てきた、現実を忘れさせてくれるパレードだ。
僕「これが魔法ってやつかな・・・」
雪沙「なりゆきみっけぇ〜」
僕「え?どこどこ?・・・あ、反対側のカフェ、屋上に!」
あんな所からパレードを見下ろしてる、
羨ましいな、多分本来は立ち入り禁止なんだろうけど、
キッズツアー参加者だけの特典か何かで上げてもらえてるんだろう。
雪沙「ゆきえとゆきねが、ぴょんぴょんしてるぅ〜」
僕「それだけあの特等席が気に入ったんだろうね」
雪沙「なりゆきも、すっごいよろこんでるよぉ〜」
僕「ほんと?ただ指をくわえて、じーっと見てるようにしか・・・」
雪沙「パレードおもしろぉ〜い、ゆきさものりたぁ〜い」
って、ほんとにパレードに乱入しそうな勢いの雪沙ちゃん!
しっかりと、ぎゅうっと背後から抱いてあげると表情をあからめて、うっとり・・・
まずい、これじゃあ僕は保護者じゃなくって、思いっきり年上の恋人だ・・・いや、まずくはない・・・か!?
雪沙「かぼちゃのばしゃのぉ〜、しんでれらだぁ〜」
僕「そうだ!パレードの写真は撮らなくていいの?」
雪沙「ん〜、ゆきさがうつらないなら、いらない〜」
パレードに夢中で目を奪われてる、
雪沙ちゃんに良い物を見せられて良かったよ。
と同時に留守番の雪巳ちゃん雪菜ちゃんがちょっと可哀そう・・・
ま、明日フォローするからいっか、お土産も買ってあげたし。
今は今で雪沙ちゃんとの、そして雪絵雪音也幸くんとの時間を楽しもう。
雪沙「あまぁ〜〜い!ブーブーベアーさんからあまいにおいがするよぉ〜・・・」
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