ネズミーシーの園内インフォメーションについた。

 

僕「すいません、この割引券でガイドツアーを・・・」

係員「はい、キッズツアーですね!現在行われているのはこちらとなっております」

僕「どれどれ・・・ネズミーシー、宝を探せ!トレジャーツアー・・・」

 

也幸くんに足にしがみつかれながらツアーを選ぶ。

ふむ、「3つのアトラクションと1つのショーを巡るツアー」か、

時間にして2時間から2時間半・・・料金は1人3000円、が半額の1500円になる。

 

僕「ネズミーシーのどこかにあるという『伝説の宝』を探しに行くツアーね・・・」

 

園内にあるヒントを手がかりに宝を探しに行く・・・

どういうストーリーでどういう乗り物に乗るのか興味があるな、

雪絵ちゃん雪音ちゃん也幸くんの三人が協力して宝を手に入れてくれると嬉しいかも。

 

僕「ねえ也幸くん」

也幸「???」

僕「也幸くんは、宝を探しに行くツアー、行ってみたい?」

也幸「・・・・・?????」

僕「はは、わからないか・・・まあいいや・・・」

 

申し込んじゃえ。

 

僕「すいません、このツアーを小学生3人で」

係員「ではこの申込用紙に保護者の方の同意書と携帯電話などの緊急連絡先を・・・」

僕「はい・・・子供の名前はひらがなで、か・・・ゆきえ、ゆきね、なりゆき、と・・・」

係員「代金は4500円になりますねー」

僕「5000円札で・・こら也幸くん!ズボンをほつかない!!」

 

申込書を渡し、しばらく待つと三人の名前がそれぞれ書かれたネームシールと、

ひらがなで書かれた「ぼうけん・しょうたいじょう」を貰った、なんだか楽しそうだな。

 

係員「ツアーは12時半からとなります、場所はそちらに見えます巨大地球儀の前に、

 お渡ししたネームシールを目立つ場所に貼っていただいて集合してください、お子様のみの行動になりますので、

 何か緊急事態がありましたら携帯電話に連絡させていただきます、早ければ2時半、

 遅くとも3時までには巨大地球儀前に戻りますので、保護者の方のお迎えを必ずお願いします」

僕「わかりました、では12時半に必ず連れて行きますので・・・也幸くん、行こう」

也幸「・・・・・(あむあむ)」

 

わ!シャツの裾を噛んでる!

いつのまに・・・お腹が空いたのかな?

みんなお腹を空かしてるだろうから早く戻ろう。

 

 

 

僕「・・・あれ?みんなはどこだ?」

雪菜「お兄ちゃん・・・」

僕「わ!びっくりした、後ろか・・・お待たせ」

雪菜「・・・雪音と雪絵の写真・・・お姫様と一緒に・・撮ってたです・・・」

僕「へー・・・あ、使い捨てカメラ買ったんだ!」

 

思い出のために買ってあげたんだろうな、

妹思いの姉だ、雪菜ちゃんの財布からすると1000円は大金なのに。

 

雪菜「お兄ちゃんも・・・撮ります・・・か」

僕「うーん・・・お腹空いたから後にしよう」

雪絵「はやくたべたぁ〜い」

雪音「なにかたべたぁーい」

也幸「!!!(コクコクコク)」

 

みんなを連れてベーカリーカフェへと入った。

 

 

 

女性従業員「ようこそ!何名様ですか?」

僕「5人です、4人小学生ですけど」

女性従業員「料金は先払いになっております」

僕「はい・・・大人1人に子供4人で・・・」

雪菜「このお店は・・・初めて入るです・・・」

僕「そうだね、今日はまだ時間があるからゆっくり食べていいよ」

女性従業員「ではご案内いたしますね」

 

雪絵ちゃん雪音ちゃんは豪華な店内に目をきょろきょろ。

也幸くんは・・・他の家族連れが食べてるパンを、じーーーっと見てる。

 

女性従業員「こちらへお掛けください、当店はバイキング形式となっております」

僕「はい・・・也幸くん椅子の上に立っちゃ駄目!」

女性従業員「補助椅子をお持ちしますね」

雪絵「きょ〜だれかのおたんじょ〜びぃ〜?」

雪菜「お誕生日じゃないの・・・普通の朝ご飯なの・・・」

雪音「すごぉ〜い、すごぉ〜〜〜〜〜い!!」

僕「こら也幸くん、テーブルの下に潜らない!」

女性従業員「補助椅子をお持ちしました」

僕「すみません3つも・・・手伝います」

 

補助椅子をセットし座らせる。

さて、・・・雪絵ちゃんたちは子供用でいいよな。

 

僕「さて、ジュースを汲んでくるよ」

雪菜「私も行くです・・・みんなオレンジジュースでいい・・・よね」

雪絵「なんでもいい〜」雪音「あまいならなんでもいい〜」也幸「・・・(コクッ)」

僕「ジュースは僕と雪菜ちゃんで持ってくるから、離れちゃ駄目だよ」

雪菜「雪絵・・雪音・・・・・也幸を・・・みててね・・・」

 

2人でジュースを汲みに行く。

僕は3つ持って・・・雪菜ちゃんは2つだ。

席に戻ると雪絵ちゃん雪音ちゃんは椅子をギシギシ動かして遊んでる。

 

僕「こら!落ちるからやめなさい」

也幸「・・・・・」

僕「也幸くんも、指をしゃぶるのは、みっともないからダメ!」

 

ほんっと、これくらいの子は落ち着きがないな。

也幸くんも家じゃ大人しい方だったけど、こうやって外に出ると・・・

いや、家でも結構、気ままに動き回ってたよな?猫がいるとそれにかかりっきりになるだけで。

 

僕「ジュースを置いて・・・さて、ちょっとトイレに行ってくるね、先に食べてて」

 

こういうタイミングで行かないと、

外なんかで待たされると誰かがどっか行っちゃう可能性があるからな。

 

 

 

僕「・・・ふう」

 

トイレで用を済ませて手を洗いながら考える。

ネズミーシーで朝食を取るまでに、こんなに疲れるとは・・・

やっぱり子供の、しかも大人数の世話って大変だ。

雪巳ちゃん雪菜ちゃん雪沙ちゃんを養子に貰うとなると、

予想外にもっともっともっと大変だろう、僕にそれが務まるのだろうか?

 

僕「でも・・・・・楽しいよな」

 

エッチな事をされまくってるのは別にして、

家族として真剣に考えると、今は凄く、とっても楽しい。

と同時に、家族って本当にかけがえの無い、大事なものなんだなって思う。

 

僕「・・・・・真剣に考える、良い機会だよな、これって」

 

 

 

テーブルに戻るとすでに山盛りのパンやケーキが並んでいる。

 

雪菜「おかえりなさい・・・です」

僕「うん、いいけど・・・でも・・・」

 

下の三人が、凄い勢いでがっついてる。

 

雪絵「おいしぃ〜」

 

いろんなパンをかじっては代え、かじっては代え・・・、

それぞれの種類を味わっているんだろうけど、はっきり言うと、食い散らかしてる。

 

雪音「あまぁ〜〜い」

 

こっちはケーキだけをパクパク食べてる、

パンに目もくれず、主食がお菓子って感じだ。

 

也幸「・・・・・」

 

そして也幸くんは砂糖パンの砂糖だけをじょりじょり舐めてる、

両手で持って、表面だけを、れろーっ、れろーーって・・・。

三人とも、手も口も砂糖やクリームでべとべとだ、行儀が悪いにも程がある。

 

僕「3人ともちゃんと食べようよ」

 

なんて言っても聞く耳もたない感じだ、

お腹が空いてたからしょうがないんだろうけど、

それでも「残さない食べ方」くらいはちゃんと教えないと。

 

雪菜「一度取っちゃったから・・・戻せないです・・・」

僕「うん、これはちょっと食べきれないね」

雪菜「残したら・・・お金余分にかかる・・・ですか・・・」

 

・・・・・まあ、そんな事はないから謝れば大丈夫か。

家に持ち帰りにしてもらおうかな、と思ったけど、僕が頑張って食べればいいか。

 

僕「まあ・・しょうがないか。あ、フルーツもあるんだね」

雪菜「これ・・・なんていう食べ物・・・ですか」

僕「杏仁豆腐だね、杏仁フルーツか・・・よし食べよう!食べ終わったらお土産買いに行くからね」

 

お昼ご飯は、行儀良く食べられるものにしたほうがいいな。

 

 

 

遅い朝食を終え、みんなお腹が満足したみたいだ。

そして次に連れて来たのはお土産売り場、今のうちに買っておいた方が混まなくていい。

 

僕「何でもいいって訳じゃないけど、欲しいの買ってあげるよ」

雪絵「ほんとぉ〜?」雪音「あれとあれとあれとぉ〜」也幸「!!!」

僕「1人3つまで!値段があんまり高いのは駄目!ちょっと高いのなら1つだけね」

 

ってそんな話も聞かず選んでる。

ここ凄く広いから、迷子にならないように見張ってないと・・・そうだ!

 

僕「雪菜ちゃんは雪絵ちゃん雪音ちゃんを見ててね、あ、雪菜ちゃんも買っていいから」

雪菜「うん・・・雪巳お姉ちゃんや・・・雪沙のは・・・」

僕「それは僕が買うよ、で、僕は也幸くんと・・・あ!もういない!じゃあ探してくるから!!」

 

どこだどこだどこだ・・・

そんなに遠くは行ってないはずだぞ・・・

 

僕「・・・・・いた!そんな所で何やってるの!」

 

一番下の棚、巨大クッションが並べてある上に寝そべって、

その感触を楽しんでる・・・1人アトラクションって感じだ、

気持ちはわかるけど、汚しちゃったら全部買わなきゃいけなくなっちゃう。

 

僕「欲しいの3つ買ってあげるから、おいで」

也幸「・・・・・(ごそごそ)」

僕「奥に潜らない!猫じゃないんだから」

也幸「・・・・・・・(うるうる)」

僕「顔だけ出しても駄目!ほらほら!」

 

傍若無人とはこのことだな。

小1のおもしろ思考に構ってたらきりがない、

ぐいっと引っ張り出して2人でお土産を物色しよう・・・

 

僕「雪巳ちゃん雪沙ちゃんのをまず買おう・・・」

也幸「・・・・・」

僕「雪沙ちゃんはジェリービーンズだったよな・・・あった」

也幸「・・・・・・・」

僕「雪巳ちゃんは自宅で作れるデコレーションケーキセット・・・どこだろ」

 

ぽーっとあたりを見回してる也幸くん、

しっくり来る物がないのか、物がありすぎて選べないのか・・・

 

僕「あったあった、あとみんなにまとめてクッキー・・・」

也幸「!!!」

僕「わ!どうしたの!どこ行くの!」

 

ぴゅーーーって走っていった先は・・・

 

僕「はぁ、はぁ・・・」

也幸「ー!ー!ー!」

僕「ここは・・・ペット用品!?」

 

そして也幸くんが抱えたのは、爪とぎ板!

 

僕「それって、ソヨカゼのお土産?」

也幸「!!(コクコク)」

僕「いいけど・・・也幸くんのは?」

也幸「・・・(ぶるんぶるん)」

僕「也幸くんのはいらないからその分、ソヨカゼのを買って欲しいって事か」

 

健気だなー・・・

 

僕「わかった、じゃあ買うけど、也幸くんのをもう1個買ってもいいよ」

也幸「!!!」

僕「走らない!まったくもう」

 

さて、美鈴ねえさんのお土産も選ばなきゃな・・・

 

 

 

雪菜「お兄ちゃん・・・」

僕「わ!びっくりした、いつのまに後ろに・・・お土産決まった?」

雪菜「うん・・・3人でまとめたです・・・」

僕「文房具がいっぱい・・・これだけでいいの?」

雪菜「はい・・・鉛筆と・・ノートと・・消しゴム・・・下敷きもいいですか・・・」

 

ぬいぐるみとかは無いみたいだ・・・

そうか、ネズミーランドのグッズだから云々よりも、

普段の生活で足りないと支障の出る物を買っちゃったんだな、そりゃそうか。

 

雪菜「これも・・・雪絵と雪音に・・・駄目で・・・すか」

僕「わ!ちっちゃい絵本だね、手のひらサイズ」

雪菜「1つ500円が2冊で・・・1000円です・・・」

僕「いいよ、白雪姫とオズの魔法使いか、買ってあげる」

雪絵「わぁ〜〜〜い♪」雪音「わぁぁ〜〜〜〜い♪」

 

一緒にレジへ並ぶ・・・

也幸くんもミニ絵本が気になるみたいだ。

 

僕「レジ済ませてから読ませてもらいなよ」

雪菜「お兄ちゃんのは・・・何です・・・か?」

僕「ソヨカゼの爪とぎと、雪巳ちゃん雪沙ちゃんのお菓子と・・・」

雪菜「オルゴールがある・・・です」

僕「これは也幸くんが欲しいって・・・こら絵本読まない!」

也幸「!!!(ビクビクビク!!!)」

僕「あと美鈴ねえさんにはこれ!調味料セット」

 

よく兄を待たせて僕の家へ来てくれるからな、

放置プレイで無い限り悪いことしちゃってるから、

これで間接的に兄にお詫びしよう、美鈴ねえさんのとびきりの料理で・・・

 

僕「僕の分は、みんなで食べようと思ったクッキーとチョコ・・・」

雪菜「あ・・・レジが開いたです・・・」

僕「そうだね、ごめんごめん。すみません、これ全部一緒で・・・」

 

2万円くらいで収まるといいなぁ・・・

 

もどる めくる