雪絵「も〜おわっちゃった〜」
雪音「もーいっかいのるぅー?」
僕「だーめ!遊園地いかなくてもいいの?」
一周に思ったより時間を取られちゃった、
これから行くのは観覧車よりもっと楽しくて多彩な所だから、
変にここで時間潰して向こうでの時間が足りなくなったら可哀そうだ。
雪巳「也幸まだぼーっとしてるー」
也幸「・・・・・!」
僕「心はまだ観覧車で回ってるみたいだね」
雪絵「のどかわいたぁー」雪音「おみずどこぉ〜?」
僕「ジュース買ってあげるよ!自動販売機はっと・・・あった!」
ガシャン、とネクターを買ってあげる。
雪絵「ありがとぉ〜・・・おいしぃ〜、はい〜」
雪音「ん〜〜〜・・・おいしぃ〜!はぁ〜〜い」
あらら、1本渡しただけで雪絵ちゃんと雪音ちゃんが飲み回してる。
僕「1人1本だよ、はい、もう1本」
雪絵「えぇぇえええ〜、いいのぉ〜?」
雪音「もったいないよぉ〜〜〜」
僕「いいからいいから・・・・也幸くんも、はい」
也幸「・・・・・・(ごくごくごく)」
雪音ちゃんにネクターを渡すと、
それも少し飲んでは雪絵ちゃんに渡してる、
雪絵ちゃんはさっきまで飲んでた方を雪音ちゃんに・・・
1度先に飲み始めちゃったから、均等な量にするにはこうするしかないって感じだ、
この姉妹、ほんっとに仲がいいなあ、本当の双子な雪沙ちゃん雅幸くんよりも双子っぽいよ。
僕「雪巳ちゃんもどうぞ」
雪巳「ありがとー・・・冷たくっておいしいー」
也幸「!!!(コクコクコク)」
僕も飲みながら駅へ歩く・・・
これってちょっと行儀が悪いかな?
でもまあアイスを食べながら歩いてるカップルもいるし・・・
雪巳「えいー♪」
ぴとっ!
僕「うわっ!?」
首筋に冷たさが!!
雪巳「指ひえちゃったー」
僕「び・・・びっくりしたなー、もう」
雪巳「でも涼しかったでしょー?」
僕「涼しいどうこうより、何事かと思ったよ」
雪巳「えへへへへへーーー」
・・・なんか、からかって楽しんでる。
観覧車で耳元に息を吹きかけてきた時と同じような、
いたずらっぽい、それでいて艶っぽい表情っていうか・・・
雪絵「のみおわったよぉ〜」雪音「おにぃちゃん、けるぅ〜?」
僕「蹴らないよ、ちゃんとクズ籠へ入れないと」
雪巳「駅に自動販売機あるからそこにあるよー」
僕「うん・・・あれ?也幸くん手ぶら・・・缶は?」
也幸「・・・・・・・(さっ)」
あ、あんなところに!
車止めのポールのてっぺんに、
器用に立ててある!すごいバランスだ・・・
僕「・・・って、あれでも捨ててあるのと一緒だから!」
慌てて回収する・・・
これはこれである意味オブジェだけど、
だからって許される事じゃない。ちょっと目を離した隙に、まったく。
僕「もういい、僕がまとめて捨てるから渡して!」
雪巳「私も持つよー」
僕「ありがとう・・・駅だ、さっさと捨てよう」
こりゃあ子守どころか、
基本的な道徳も教えてあげなきゃいけないのか・・・大変だ。
再び電車に乗るとすぐ、ネズミーリゾートが見えてきた。
雪絵「あ〜さっきみえた町だぁ〜」
雪音「ひとがいっぱいすんでるぅ〜」
也幸「・・・・・」
雪巳「也幸、座っちゃだめー、すぐ降りるんだからー」
僕「そうそう、人が多いから、はぐれちゃ駄目だよ」
駅につくと乗客のほとんどが降りた、
こりゃ、ちゃんとみんなと手を繋いでなきゃ大変だ。
僕の両手には雪絵ちゃん雪音ちゃん、そして雪巳ちゃんは也幸くんを・・・抱っこしちゃった。
雪巳「もうすぐ階段だから気をつけるんだよー」
僕「急ぐ必要は無いから一歩ずつね」
雪絵「お兄ちゃんだっこしてぇ〜」
雪音「ぢゃ〜ゆきねはおんぶぅ〜」
僕「む、無理!ここは一度、人が流れるのを待とう」
横に流れて階段の脇で待つ、
これだけ人が多いと背の低い子が転んだら蹴られて大変な事になっちゃう。
それに両手が塞がってるからスリにでも狙われたら防ぎにくいし・・・よし、もういいかな。
也幸「!!!」
雪巳「どうしたのー?えー、あれー?」
僕「え?あ、エレベーターか、でもあっち待ってる人多いよ」
雪絵「かいだんすごくいっぱいあるぅ〜」
雪音「おりるのちょっとこわぁ〜い」
しょうがないな・・・急がないんだし、エレベーターに並ぶか。
雪巳「也幸降りるー?」
也幸「!!(コクコク)」
抱っこから降りた也幸くん、一直線にエレベーターへ走って行って・・・
丁度待ってる人が乗り込む所だけど満員だな、降りてまた上がるのを待とう。
・・・って見てるとエレベーターが閉じる瞬間に・・・あれれ?也幸くん、いま、入らなかったか!?
僕「って、1人で先に乗っちゃったよ!」
雪巳「えー、きっと迷子になっちゃうー」
僕「・・・雪巳ちゃん達は次のに乗ってね!」
猛ダッシュで階段へ!
ちょっと危ないけど段を飛ばして降りる、降りる、降りる!
あのエレベーターは結構ゆっくりだから急げば間に合うはず・・・・・下についた!
僕「エレベーターは・・・あそこだ!」
丁度同じタイミングで開いた所だ!
一番前にいた也幸くんがトコトコ前に出てキョロキョロ、
それに構わず後ろの人たちが押し出てくるもんだから慌てて前に走る!
僕「也幸くん!!」
也幸「!!!」
僕「はぁ、はぁ・・・勝手に1人で乗っちゃ駄目だよ」
良かった・・・なんとか捕まえた。
あのままだと、どこ行っちゃうかわからなかったよ。
也幸「・・・・・」
僕「1人で勝手に行動しちゃ駄目!・・・わかった?」
也幸「・・・・・・・・・(コクッ)」
本当に理解してるのかなあ・・・
也幸くんの手を握ってエレベーターの横で待つ、
ネズミーランド側の改札は凄い人ごみだ、出るのに時間かかりそう・・・
雪巳「お兄ちゃーん」
僕「お、来た来た」
雪音「こっちもひとがいっぱい〜」
雪絵「みんなこのまちにすんでるひと〜?」
僕「そうじゃなくて・・・とにかく駅から出よう」
切符をみんなに渡して、
ネズミーランドとは反対側の空いてる改札へ・・・
雪巳「こっちでよかったっけー?」
僕「急いでないから遠回りでもこっちから行こう」
也幸「・・・(コクコク)」
出るとこっちは普通の住宅街だ、
華やかなネズミーリゾートと真逆だな、
郵便局もあるし、高速道路も・・・でも毎晩の花火は見れてお得かも。
雪絵「ゆ〜えんちはぁ〜?」
雪音「ここどこぉ〜?バスのるのぉ〜?」
僕「違うよ、別の電車に乗るんだ、こっちこっち」
雪巳「こっち側はじめてー、あー、お兄ちゃん間違えたー?」
僕「ううん、こっちのここを抜けると・・・ほら!」
そう、逆側の改札から出ても、
ちゃんとネズミーリゾートラインの電車に乗れる抜け道があるんだ!
混んでる正面とは別の・・・JRの高架下をくぐるとワープしたかのようにネズミーな駅へ!
雪絵「わぁ〜ここすごぉ〜い」
雪音「おもちゃのくにのえきみたぁ〜い」
僕「うん、色使いが凄いよね、おもちゃ箱みたいで」
雪巳「也幸がぽかーんてしちゃってるー」
也幸「・・・・・(ぽっか〜〜〜ん)」
切符を買って・・・切符は普通のなんだよな、
ネズミーの形をした厚紙の切符でもあれば完璧なんだろうけど、
多分、法律的に駄目なんだろう。みんなに配って改札をくぐり階段を上がると・・・
雪絵「でんしゃもすごぉ〜い」
雪音「おもちゃのくにのでんしゃみたぁ〜い」
也幸「・・・・・」
あいかわらずネズミー尽くしな電車だ、
窓といい吊り革といい座席といい音楽といい・・・
無垢にはしゃぎまくる雪絵雪音ちゃん、と対照的に醒めた感じで見てる也幸くん。
雪絵「はやくのりたぁ〜い」
雪音「いちばんまえぇ〜〜」
僕「こらこら、ちゃんと並ばないと」
雪巳「也幸も乗りたいよねー?」
也幸「・・・・・(コクッ)」
とりあえず同意しておこう、って感じの也幸くん、
さすがに男の子だからか、ちょっと醒めてるような気も・・・
乗車ドアが開き乗り込む、電車内なのに座席がソファーになってるんだよなここ。
雪絵「あ〜〜〜、あっちぃ〜〜〜」
雪音「おもちゃのくにがあるぅ〜〜〜」
窓に顔をくっつけてネズミーランドを見る2人、
これ以上ないくらいの笑顔で見つけてる・・・で、也幸くんは・・・
也幸「・・・・・(じーーーーー)」
ネズミー型の吊り革をじっと見つめてる。
窓の外に目もくれず、ひたすらに・・・握りたいのかな?
僕「握ってみる?」
也幸「・・・(コクッ)」
僕「じゃあ・・・うんしょ」
持ち上げてあげると吊り革を指でチョンチョン触る。
なんてやってる間にネズミートレインが出発していき・・・
僕「・・・あ、そうだ、雪巳ちゃん」
雪巳「なーにー?涼しくてよかったー」
う・・・シャツの中にタオル入れて拭いてる、
何もこんな所で・・・うっすらスポーツブラが透けて見えるのは気にしないでおこう。
僕「行くの、ランドの方でいいよね?」
雪巳「うんー、ちっちゃい子向けが多いからランドだねー」
雪絵「おしろおっきぃ〜」
雪音「いわのやまもあるよぉ〜、とがってるぅ〜」
也幸「・・・・・(チョンチョンチョン・・・ぽこっ)」
つついた吊り輪が跳ね返って頭に当たる也幸くん、
もう着くから降ろしてあげよう・・・ランド前駅につき、
みんなで降りて改札を出た先は、東京ネズミーランドの正面だ。
僕「じゃあ入場料払わないといけないから並ぶけど、時間かかるからトイレ行っておいで」
雪巳「私連れてくねー」
僕「うん、お願い・・・也幸くんはどうしようか」
雪巳「也幸もいこー、おいでー」
也幸「・・・・・」
僕が並んだ場所を確認するとみんなでトイレへ・・・
也幸くんも一緒に女子トイレ入っていっちゃったけど、ま、いっか。
雪絵ちゃん雪音ちゃんはもう見たまんまはしゃぎまくってるけど、
也幸くんはどうなんだろう?今のところはただついてきただけって感じ。
ま、中に入ったらわかるか・・・醒めてるっていうより状況がわかってないだけかも。
僕「あ、もうチケット買える、売り場が多いから早いな」
割引券を出して、っと・・・・・
雪巳「お兄ちゃん待った〜?」
僕「丁度買ったところ。はい、パスポートとガイドマップ」
雪絵「あー、まちのちずだぁ〜」
雪音「おっきいまちぃ、ゆうえんちはどこぉ〜?」
僕「あのね、この町全部が、遊園地なんだよ」
あれ?也幸くんは・・・鳩を追いかけてる!
僕「也幸くん、こっちこっち」
也幸「・・・・・」
雪巳「もー、迷子札外しちゃ駄目だよー」
雪絵「これぜんぶゆうえんちぃー?」
雪音「うそぉ〜、ほんとぉ〜?すごぉ〜い」
初めて入る遊園地が日本最大の、っていうのはちょっと贅沢かも?
いきなり最高の所へ連れてきちゃって・・・でもまあ遊園地自体めったに行かないだろうからなぁ。
僕「みんなお腹空いてるよね?入ったらまずレストランに行こう」
パスポートを改札のように入れいよいよ園内へ!
みんなが入ると噴水の所には待ち構えていたかのように、
ネズミーランドキャラクターの着ぐるみ達が並んでお迎えだ!
雪絵「わぁ〜〜〜」
雪音「かわいいぃ〜〜〜」
着ぐるみ・・・いや、キャラクターに突っ込んでいく2人!
也幸「〜〜〜〜〜!!」
対照的に入ってきた所へ逃げる也幸くん!
僕「こら!逃げちゃ駄目!」
也幸「!!!」
雪巳「怖くないよー、おいでー」
・・・何とか雪巳ちゃんの後ろに隠れながら戻ってくる。
そうだ、也幸くん、着ぐるみとか怖いんだった、すっかり忘れてたよ。
雪絵「わぁいわぁい」
雪音「あははははぁ〜〜〜」
もふもふ抱きついてる雪絵雪音ちゃんと怯える也幸くん。
う〜ん・・・そうだ、ガイドツアーの申し込みに行かなくちゃ。
僕「也幸くん、おいで」
也幸「!!!(コクコク)」
僕「雪巳ちゃん、雪絵ちゃんたちを見ててね、ちょっとインフォメーション行ってくる」
雪巳「うんー、待ってるー・・也幸もいくのー?」
也幸「!!!!!(コクコクコクコクコク!!!)」
ぎゅぅ〜〜って僕のシャツを握ってついてきた。
もどる |
めくる |