雪菜「お兄ちゃん・・・おはよう・・・です」

僕「ん・・・いま何月何日何時何分?」

雪菜「8月22日・・・朝9時12分・・です」

僕「ふぁぁぁあああぁぁ・・・おはよう」

雪菜「朝ごはん・・・できた・・・・・です」

 

起きるか・・・

そういえば也幸くんって、ゆうべ来なかったなぁ。

昼にお菓子落下事件があったから、なんとなく気まずかったんだろうか?

 

僕「わかった、食べに行くよ」

雪菜「あと・・・郵便・・・溜まってる・・・です」

僕「ん?ああ、そういえば開けてないね」

 

一応、郵便受けから持ってはくるんだけど、

机の上に置いて放置してる。大事そうなものはすぐ開けるんだけど、

どうでもよさそうなのはまとめて気が向いたら読むことにしてる。

 

雪菜「お台所で・・・待ってる・・・です」

僕「うん、よろしく・・・さて」

 

チェック、チェック・・・

昨日届いたクレジットカードの明細は金額だけチェックしたんだよな、

恐ろしい事になってた・・・7月分でアレだと8月はもっと凄いことになりそうだ。

 

僕「あとはダイレクトメール・・・チラシも多いなぁ〜」

 

これはいらない・・・

これは、一応取っておくかな・・・

これは確定申告でいるから仕舞っておかないと。

これは・・・お中元の案内、って遅いなぁ。

これはっと・・・ん?なんだ?東京ネズミーリゾート・・・

 

僕「こんな封筒来てたんだ、日付は・・・初島に行ってる最中に届いてる」

 

そういや、旅行から帰って来た日は猫のソヨカゼの事もあって、

届いてた郵便物はチェックをまったくせずに持ってきてたんだっけ。

で、どんな内容なんだろう?結構ぶ厚いけど、忘れ物でもしたかなぁ?

 

僕「どれどれ・・・あ、手紙が入ってる、あと何かの割引券?まずは読もう」

 

なになに・・・『先日は東京ネズミーシー園内ホテル、

ホテル・パンナコッタへの宿泊、誠にありがとうございました。

1件ほどお伝えしたい事柄がありましたので、ご報告を申し上げます。』

 

僕「・・・なんか怖い書き出し方だなぁ」

 

続きは・・・『お客様が宿泊なされた朝、眼鏡をかけてらっしゃる妹さまが、

シーツを汚してしまったと泣きながら連絡をしてらっしゃいました、

お伺いした所、寝ている間に月経が始まってしまい、起きたら血で汚れてしまったため、

慌てて洗い流そうとしたものの落ちずに困っているといった内容でした』

 

僕「えっ・・・」

 

ギョッとする内容だ・・・眼鏡の妹さまっていうと、雪菜ちゃんだな。

まだまだ文章は続く・・・『恥ずかしいので内緒にして欲しいと言われましたが、

妹さまの健康状態に関する事ですので、お手紙で事柄をお知らせることに致しました、

大変デリケートなお年頃とお見受けしましたため、また、事務手続きの都合上、

通知が遅くなってしまった事をお詫び申し上げます。汚されたシーツについては、

健康上の都合による事ですので代金の請求はいたしません、また、妹さまが、

今回のことでお心を痛めておいででいらっしゃるようでしたら、是非、次回も

当ホテル・パンナコッタならびに東京ネズミーシーにいらしていただきたく思います』

 

僕「そっか・・・雪菜ちゃんって、もう・・・いや、待てよ?それは違う・・・かな?」

 

これはきっと、シーツが汚れたのは雪菜ちゃんの初経じゃなくって、

僕が雪巳ちゃんとやっちゃったからなんじゃ!?で、そのシーツを、

気がつかないうちにこっそり雪巳ちゃんか雪菜ちゃん、もしくは2人で持ち出して・・・

ありえる、僕がお風呂とかトイレとか歯磨きとかに行ってる隙に、こっそりと洗い流そうとしてとか。

で、落ちないから、雪菜ちゃんがかしこい頭をフルに使って、ホテルの人に、自分が生理で汚したと・・・

 

僕「知らない間に証拠隠滅してくれてたとすると、相当頭の切れる子だよな」

 

ここまで賢いとは・・・背筋が寒くなるくらいだよ。

手紙はまだもうちょっとだけ続いてる・・・『つきましては、ネズミーシーならびネズミーランドの

特別割引券と、キッズツアー半額参加券を同封させていただきます、今後もホテル・パンナコッタをよろしくお願い致します』

 

僕「あ・・・ほんとだ、入場パスポート500円割引券4枚と、キッズツアー半額券3枚・・・」

 

キッズツアー、ネズミーランドとネズミーシーそれぞれあるみたいだ、

どっちも小学4・5・6年生コースと小学1・2・3年生コースがある、

キッズツアーって本来はいくらかかるんだろ?半額参加券には書いてないけど・・・

あれ?4〜6年コース、期限が8月20日までってなってる!もう過ぎてるじゃん!

しまった・・・でも1〜3年コースは27日までだ、こっちは有効期限内か、よかった。

 

僕「小学1・2・3年生かぁ・・・」

 

ふと、雛塚家のお父さんの言葉が頭をよぎった。

できれば他の子供たちも連れて行って欲しい、って・・・

雪絵、雪音、也幸くん・・・連れて行ったら喜ぶだろうなぁ。

 

僕「でも、さすがにお金を使いすぎてるよなぁ」

 

だからって、せっかくのこの招待を無視するのは・・・

ちょっと後ろめたい気もする、せっかくホテルの人が気を利かせて、

雪菜ちゃんを傷つけないためにこうした手紙を送ってきてくれたんだ、

しかも、良い思い出をあらためて残せるようにと・・これを無視したら、

逆に変に疑われるかも?で、あのシーツの事をあらためて調べられて・・・ってそれは考えすぎか。

 

僕「悪いほうに気にしはじめたら、きりがないよな」

 

だからって、行くとしてだ、

キッズツアー使うために也幸くん雪絵ちゃん雪音ちゃんの3人は決定としても、

さらに雪巳ちゃん雪菜ちゃん雪沙ちゃんも、では大所帯すぎる、

それに、だったら隆幸や雅幸、下手したら雪香やビックマザーまで連れて行くはめに!?

無理だ!僕が見張っていられるのは、せいぜい4人が限界だ、それ以上は責任が持てない。

夏休みに入る頃、動物園で弟妹を連れて目を回してた雪菜ちゃんを思い出す・・・はぐれたら大変なことになっちゃう。

 

僕「となると、連れて行けてあと1人だな」

 

残される子はめちゃくちゃ可哀想だけど、

しっかりと話をすれば、わかってくれるだろう。

まあ、雪菜ちゃんが裏でやった事については、

知らないふりを通した方が色々面倒が無くて済みそうだから・・・

あと、行くなら行くで、雛塚家の了承があらためて必要だよな。

 

僕「お父さん、酔ってないといいんだけど・・・」

 

さらに肝心なのは雪絵ちゃん雪音ちゃん也幸くんが来てくれるかどうか。

ネズミーリゾートの入口で急に怖くなって帰る、とか言われたらたまらないからなぁ。

 

雪巳「お兄ちゃーーーん!朝ごはん冷めちゃうよーー?」

僕「わかった、すぐ行く!」

雪沙「ソヨカゼはも〜たべちゃってるよぉ〜」

 

食べ終わったら、お伺いをたててみるか。

 

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