僕「ただいま・・・」
1人で家に戻ると本当に静かだ・・・
自分の部屋に入ると老猫が寝てるのを見下ろして也幸くんが何かやってる。
僕「あれ?・・・しっぽいじってるの?」
也幸「・・・(コクッ)」
僕「あー、その猫のしっぽ、曲がってるね」
也幸「・・・・・(コクコク)」
僕「真っすぐに直したいの?多分無理だよ、もう骨がその曲がった形で固まってるから」
いや、よく見るとしっぽの毛を細かく掻き分けてるみたいだ。
僕「蚤でも取ってるの?」
也幸「・・・(ふるふる)」
僕「じゃあ・・・肌の色が気になるとか?」
也幸「・・・・・(ふるふるふる)」
僕「わかった!しっぽの毛の数を数えてるんだ!」
也幸「!!!(コクコクコク)」
僕「・・・・・・きりがないよ?」
なんて不毛な遊びを・・・
ま、也幸くんがやりたいなら、それでいっか。
也幸「・・・・・(さっ)」
僕「どうしたの?指をさして」
也幸「・・・・・・・」
僕「え?・・・あ、僕の携帯?光ってる、着信があったんだね」
也幸「・・・(コクリッ)」
誰からだろう、美鈴義姉さんが何か言い忘れたのかな?
着信を見ると・・・お、珍しい、大学の悪友からだ、早速折り返してかけよう。
僕「・・・・・もしもし?電話くれたみたいだけど」
悪友「おお!生きてたか!全然連絡ないから心配してたんだよ!」
僕「わりぃわりぃ、ちょっと色々とゴタゴタしてて」
三姉妹の事で、とても悪友の事まで気が回らなかったからな。
悪友「それでさ、お前、彼女欲しいって言ってたろ?」
僕「え?ま、まぁ、欲しいっちゃあ欲しいけど・・・」
悪友「合コンがあるんだよ今夜!男1人足りなくてさ、お前も来いよ!」
僕「今夜?ちょっと待てよ!今夜は大事な用事があるんだって!」
悪友「なんだよ、恋人できるかもしれないのに、それより大事な用事か!?」
・・・まさか『すでに間に合ってます、相手は小5小6中1です』なんて言えないよな。
僕「その・・・マンションの手続き的な、大事な話し合いがあるからさ」
悪友「さすが金持ちは違うな、きっと合コンで大人気だぜ?」
僕「とにかく!いきなり電話かけて今夜は無理だって!常識的に!」
悪友「じゃ、明日な!みんなに明日に延期って言って回るから、明日夜絶対来いよ!」
僕「明日って、明日もどうか・・・あ、切りやがった!」
あいかわらず強引な奴だ。
合コンかぁ、三姉妹と出会う前なら跳びついてたかも?
大学の合コンって事は、相手もみんな大学の女の子だよなぁ・・・
僕「・・・行くだけ行ってみるか」
ちょっと僕の異性体験相手が小5〜中1っていうのは下に低すぎる、
もっとストライクゾーンに入るような、ちゃんとした年相応な子と触れ合うのも、
僕が三姉妹に接していくうえで大事なことかも知れない、ひょっとしたらロリコンが治るかも・・・?
僕「って僕はすでに病気だったのかよ!」
と1人で突っ込んでる間に・・・
老猫「・・・・・ZZZZZ・・・・・」
也幸「・・・・・・・zzzzz・・・・・」
僕「あ〜、仲良く寝ちゃってる」
邪魔しないように書斎でも行こう。
そうだな、明日、合コンに出てみる事にするか!
って場所と正確な日時は?まぁ、大学近くの笑笑だろうけど・・・
僕「・・・さて、次の漫画は・・・あれ?」
漫画に熱中してる間にいつのまにか午後1時だ!
朝食が遅かったとはいえ、そろそろお腹が空いてきた。
三姉妹はもう帰ってきてるのかなー・・・僕の部屋に戻ってみると・・・
老猫「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃ!!」
僕「わ!ソヨカゼ、なんか喋りながら餌食べてるぞ!?」
也幸「・・・・・(ちゅうう〜〜〜)」
也幸くんが指くわえてそれを見てる。
老猫「にゃにゃにゃうにゃにゃにゃにゃ!!!」
僕「そんなにうまいか、也幸くんが猫缶あけて出してくれたの?」
也幸「・・・・・・・(ちゅうううううう〜〜〜〜・・・)」
・・・・はっ!まさか!?
僕「也幸くん、指みせてごらん!?」
也幸「!!!!(ふるふるふるふるちゅ〜〜〜)」
僕「いいから見せなさい!ほら!!」
ぐいっ、と腕を引っ張ると、
指先から血がぽたぽた・・・やっぱり!
僕「猫缶をパッキンって開けたときに切っちゃったんだ!!」
也幸「・・・(ちゅ〜〜〜〜)」
僕「マキロンとバンソウコウ持って来るから、ちょっと待っててね」
大変だ・・・化膿しなきゃいいけど。
そうだよな、小1にしてみたら、猫缶の開いた蓋だって立派な凶器だ、
ソヨカゼのために餌をあげたかったんだろうけど、ちょっとうかつだったな。
僕「救急箱・・・あった」
早速、指を・・・ってまた咥えてるし!
腕を引いて、まずは指から唾液を拭き取って・・・
わぁ、パックリいってる!マキロンで消毒して・・ちょっとしみるみたいだな。
僕「我慢して!・・・で、バンソウコウを・・・はい、おしまい」
也幸「・・・(ちゅ〜〜〜)」
僕「こらっ!今度はバンソウコウごと指咥えちゃ駄目!」
マキロンも苦いだろうに・・・
でも切ったのが手首とかでなくてよかった。
これなら1日もすれば傷口はちゃんと塞がってくれるだろう。
僕「もう・・・勝手に餌あげちゃ駄目だよ?僕を呼べばよかったのに」
也幸「・・・・・(そ〜〜〜〜)」
僕「舐めちゃ駄目!!」
也幸「!!!(ビクビクッ!!!)」
僕「あ・・・也幸くん、ソヨカゼとおんなじ手を怪我しちゃったね」
老猫「ふにゃぁぁぁ〜〜〜」
也幸「・・・・・(コクッ)」
なぜかちょっと嬉しそうな也幸くん。
いっそ、也幸くんにもエリザベスカラーが必要かな、舐めないように・・・なんてね。
雪巳「ただいまーーー」
雪菜「ただいま・・・です」
雪沙「やっとかえれたぁ〜〜」
ようやく三姉妹が戻ってきたみたいだ。
僕「おかえり、遅かったね」
雪巳「お昼ご飯作らされてたのー」
雪菜「お父さん・・・酔ってて夕方まで起きないみたい・・・です」
雪沙「も〜たいへんだったんだよぉ〜、おみやげのとりあいぃ〜」
僕「ははは、ご苦労様、じゃあ今日のお昼は回転寿司でもいこっか」
2度も昼食作らせるのはちょっと可哀想になっちゃった。
也幸「・・・・・」
僕「也幸くんも、いこっ」
也幸「!!!」
雪沙「よかったねぇ〜なりゆきぃ〜」
也幸「・・・・・・・・(コックリ)」

回転寿司屋についた、
テーブル席に5人で座る。
寿司のレーンの隣には背の高い僕と雪巳ちゃんが座り、
他の3人が食べたいものを取って配ってあげる係りだ。
そして僕の隣には也幸くんと雪沙ちゃん、雪巳ちゃんの隣は雪菜ちゃん。
僕「はい、お茶だよー」
雪巳「熱いから気をつけてー」
雪沙「ねぇ〜、いくつたべていいのぉ〜?」
僕「いくつでもいいよ、お腹こわさなければ」
雪菜「どれもおいしそう・・・です」
一皿105円の回転寿司にみんな目を輝かせている。
初島での豪華な食事より嬉しそうかも・・・也幸くんが身を乗り出して、
僕の膝の上に乗っかってお寿司を早速取ろうとするものの、うまく取れないみたいだ。
也幸「・・・・・」
僕「はは、お寿司の流れについていけないみたいだね」
雪沙「言えばおにぃちゃんがとってくれるよぉ〜?」
也幸「・・・・・!!(あたふたあたふた)」
僕「急がなくても食べたいだけ食べていいんだから!」
・・・・・さっ!!!
雪巳「あー!上だけ取ったー!」
僕「こら!お皿も一緒に取らなきゃ駄目!しかも素手で・・・」
也幸「・・・・・(もぐもぐくちゃくちゃ)」
僕「しょうがないなぁ・・・お皿も回収して、と」
也幸「ーーーーー!!!」
じたばたしてる!
雪沙「なみだでてるぅ〜」
僕「え?あ、わさびがきいたのか」
雪沙「おちゃのむんだよぉ〜」
也幸「・・・!!!」
僕「あ、今度は熱くて飲めないのか」
あわてて冷水をくんでくる雪菜ちゃん、
ようやく口の中に入れて落ち着いた也幸くんがゴクンと飲み込んだ。
僕「まったくもう、醤油もかけないで・・・」
雪巳「白いお皿がワサビ抜きって書いてあるよー」
僕「こうなったらみんなが好きそうなのどんどん取るから」
雪沙「これとこれ、なりゆきがすきそ〜だよ〜」
僕「どれ?ハンバーグ軍艦にミートボール軍艦・・・そんなのまであるのか」
ファミリー向け回転寿司屋だからな、
よく見るとジュースやデザートも充実してる。
雪菜「これ食べたい・・・です」
僕「茶碗蒸しか、僕は味噌汁を頼もうかな」
雪巳「このスイッチで呼ぶみたいー」
僕「マイクがついてるのか、よし、じゃあ・・・」
雪沙「プリンたのんでぇ〜」
僕「もう?アイスとかフルーツは最後にしようよ」
也幸「!!!(コクコクコク!!!)」
お寿司を食べながら今夜の事を考えようと思ったけど、
こんな調子なら忙しくってそれどころじゃないよな・・・・・。
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