☆夕食の和食コース料理☆

夕食、みんなが席につくと豪華な前菜が運ばれてくる。

 

雪沙「この石な〜にぃ〜?」

僕「え?石?・・・あ、石じゃないよこれは」

雪巳「貝だよねー、なんだっけー」

雪菜「・・・・・あわび・・・です」

僕「よく知ってるね、偉い偉い」

 

従業員さんがアワビの下にある固形燃料に火をつけ蓋をする。

 

雪沙「隠しちゃった〜」

僕「こうすると火が消えた頃に蒸しあがってるんだよ」

雪巳「ねー、料理これだけー?」

僕「ううん、前菜だから食べ終わったら次のが出てくるよ」

雪菜「・・・がんばって・・・たべる・・・です」

 

小学生でも1人に1個あわび丸ごとかぁ、

ちょーっと贅沢すぎたかも知れないな、今更だけど。

 

☆夕食の和食コース前菜☆

僕「いただきます」

雪巳「いただきまーす」

雪菜「いただきます・・・」

雪沙「いただきまぁ〜〜す!」

 

まず最初は巻貝から行こう・・・

ん?他の3姉妹もみんな一斉に巻貝へ手を・・・

はは、なんだか僕もこの3姉妹の本当の兄になったみたいで嬉しいな。

 

雪巳「んー・・・」

 

ガリガリバリッ!!

 

僕「わわっ!貝噛んじゃ駄目!」

雪巳「えー、だって蓋あかないんだもーん」

僕「爪楊枝がささってるでしょ?それであけるの!」

 

雪菜「・・・・・・・」

 

パキッ!

 

僕「あ、折れちゃった」

雪菜「難しい・・・です」

僕「貸して、僕があけてあげるから」

 

力が無いから枝に負担がいっちゃったんだろうな。

 

雪沙「ん〜、おいし〜かも〜」

 

ちゅ〜ちゅ〜ちゅ〜

 

僕「その貝は吸うんじゃなくて食べるの!」

雪沙「え〜、ふたちょっとしかあいてないも〜ん」

僕「だからそれを爪楊枝で・・・」

 

ガリガリッ!

 

雪巳「かたーーーい」

僕「貝の蓋は食べられないの!その奥の身だけ!」

雪巳「そうなのー?」

 

やっぱりこんな妹、手がかかるから大変だ。

 

☆あわび〜〜〜☆

雪沙「こっちまだかなぁ〜」

僕「あ!あわびの蓋はまだあけちゃ駄目!」

雪菜「バターのいい匂い・・・です」

僕「まだ硬いから、しっかり蒸さないと」

雪巳「貝の身、にがーい」

 

・・・たく、初めて3姉妹が家に来た時を思い出すよ。

ってことは、旅行先最後の夜だけあって、はめを外してるのかな?

最初っから外しっぱなしのような気もするけど、でも喜んでいい事かな。

 

僕「はいはい、雪沙ちゃん蓋しめて・・・」

雪沙「は〜い、こっちあけてぇ〜」

僕「貝は待って・・・はい雪菜ちゃんどうぞ」

雪菜「ありがと・・・です・・・・にがいけど・・おいしい・・・」

僕「雪沙ちゃんも・・・・・はいっ」

 

なんてしてるうちに次々と料理を消化していく。

 

雪巳「味のついてる御飯、ひさしぶりー」

雪菜「たけのこが・・・すふぉくおいしい・・・」

雪沙「おさしみしょ〜ゆなくてもおいしぃ〜よ〜」

僕「喋りながら食べるのはいいけど、汚さないようにね」

雪菜「・・・アワビの火が消えた・・・です」

 

どれどれ、蓋をあけると・・・むわっ、と良い香りが広がる。

 

僕「バター蒸しでやわらかくなってるね」

雪巳「ほんとー?私もー・・・わー、こんなの食べるのはじめてー」

雪沙「ゆきさもあけるぅ〜」

雪菜「だめ・・・途中であけたから・・もうちょっと待つの・・・」

僕「うん、雪沙ちゃんはもうちょっとだけ待ったほうが、やわらかく食べられるよ」

 

殻からあわびをナイフとフォークで外して・・・

ちゃんとスライスに切って・・・ってこれ、3姉妹にもやってあげた方がいいな。

 

僕「みんなのもやってあげるから食べてて」

雪巳「えー、私このまま歯でかじるからいいよー?」

僕「駄目!口のまわりバターとあわびの汁でべっとりになるよ?」

雪菜「やわらかくても・・・切るの大変そう・・・です」

僕「うん、だから切ってあげるの、順番に回るから待っててね」

雪沙「ゆきさじぶんでしてみた〜い、じぶんでするよぉ〜」

僕「その気持ちは偉い!でも喉に詰まらせても困るからさ、雪沙ちゃんのはサイコロにして切ってあげるよ」

 

いつも料理作ってくれてるお礼のつもりでもあるし・・・

せっかくの旅行はその骨休めでもあるんだ、これくらいしてあげなきゃ。

 

僕「・・・はい雪沙ちゃんも完了!あとは食べるだけ」

雪沙「ありがと〜〜〜・・・・んぐんぐんぐ」

雪菜「ん・・・ん・・・やっぱり・・・かたい・・・です・・・」

雪巳「にがーい、あんまりおいしくなーい」

僕「そう?せっかくのあわびなのに・・・あむ・・・美味しい!」

 

やっぱ小中学生には大人の味すぎたかな?

 

☆めろん〜〜〜☆

雪沙「ふはぁ〜、へほんはひふぁ〜〜」

僕「こら!口にアワビ入れたまま喋らない!」

雪菜「デザートきちゃった・・・です」

雪巳「メロンでお口直しするー」

雪沙「んっ・・・・・するするぅ〜〜」

 

ガムみたいにアワビを吐き出した雪沙ちゃん、

注意しなきゃ・・・と思ったけど、食べられない物は仕方ない。

もったいないけど、小学生の口には合わないんだし、お腹壊されても困る。

 

雪巳「あまーーーい!」

雪沙「うん〜〜、やっぱりあまいのがいいぃ〜〜」

僕「ほらほら、お口がべとべとだよ?」

雪菜「・・・・・あわび・・・かみきれない・・・です」

僕「あ、無理ならいいから!じゃあメロン食べて終わりにしよう」

 

結局、3人分のあわびほとんど残しちゃったなー・・・もったいない。

これが贅沢っていうものなんだろうけど、これでいい訳ないよ・・・な?

う〜ん、やりすぎちゃった、よな・・・この豪華な旅行に連れてきちゃったのは。

 

雪菜「・・・・・メロン・・・おいしい・・・です」

僕「そう、良かった。じゃあ僕も・・・」

 

・・・・・確かに美味しいけど、心はモヤモヤだよ。

 

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