☆海鮮バーベキュー☆

 

雪巳「ごちそーさまー」

雪菜「おいしかった・・・です」

雪沙「ちょっと舌がやけどしちゃったぁ〜」

僕「慌てて食べるからだよ、あんなに急がなくてもいいのに」

雪沙「だってぇ〜、ビーチで遊ぶ時間がなくなっちゃうも〜ん」

 

今の時間は・・・2時10分か、

3時からエステって話だから30分遊べるかってとこだな。

 

雪沙「はやくこれふくらましたぁい」

 

ホテルから出るときに買ったビーチボールを嬉しそうに振り回してる、

雪巳ちゃんのバックにはタオルとペットボトルのコーラが2本ちょっとはみ出てる。

 

僕「遊びすぎてエステに遅れないようにね」

雪巳「腕時計あるからへーきだよー」

雪沙「ゆきさもわすれないようにゆぅ〜よぉ〜」

僕「じゃあ階段降りるとこまで見ててあげる、こっちだよ」

雪菜「雪沙・・・砂浜にゴミすててきちゃだめだからね・・・」

 

海岸への降り口へつくと、

2人とも何でもないような感覚で急な階段を降りる。

 

雪巳「全然歩けるよー?」

雪沙「もっとあぶないとおもってたぁ〜」

僕「ほんと?だからって油断してちゃ・・・」

雪巳「これなら雪菜も全然歩けるってー」

雪沙「おにぃちゃん、しんぱいしすぎぃ〜」

 

・・・・・ようやく理解した、

なるほど、雪菜ちゃんは降りるの恐かったんじゃなくって、

僕に甘えて一緒に行きたかっただけなんだな、守って欲しかった、密着したかっただけ・・・

 

僕「じゃあもう行くから」

雪沙「はぁ〜〜い」

雪巳「夕御飯には戻るねー」

 

さて、雪菜ちゃんと午後のデートだ。

 

雪菜「あの・・・」

僕「・・・・・さあ、どこ行こうか」

雪菜「・・・・・・・・・いってないとこ・・・」

 

島の中心部だな、

ホテルの敷地内にある、

宿泊客用の施設・・・確か色々あったはず。

 

僕「まあ、そのへんぶらぶらしよう」

雪菜「・・・・・・・・・(コクリ)」

 

やさしく手を握ってあげる・・・

恥ずかしそうな照れ笑い・・・こう見ると、ほんとに無垢で純真な女の子なんだなぁ、

ゆっくり歩いてあげよう・・・雪菜ちゃんとなら、公園のベンチで寄り添ってるだけで3時間とか過ぎちゃいそうだ。

 

 

 

ホテルの裏を通って島の中心部へ来た、

テニスコートではお嬢様な人がラケットを振り、

パターゴルフでは家族連れが楽しんでいる・・・う〜ん、

運動系は雪菜ちゃんとはあんまり・・・あ、建物が見えてきた、

工芸品工房・・・エステハウス、雪巳ちゃんたちが予約したのはここか、あとは・・・

 

雪菜「あそこ・・・」

僕「どこ?・・・教会かぁ」

雪菜「何か書いてある・・・です」

 

どれどれ、『ウェディング体験無料受付中、

あなたもウェディングドレスを試着してみませんか?

お子様用もあります』、か・・・ちょっと覗いてみようかな。

 

僕「・・・・・あれ?誰もいない?」

雪菜「ぁ・・・・・わぁ・・・・・」

 

綺麗に飾られてる純白のウェディングドレス・・・

それにポーーーーーと見惚れる雪菜ちゃんの表情、

たまに僕を見てる顔とも似ているような・・・あ、誰か来た!

 

お姉さん「いらっしゃいませ、まあ可愛らしいお嬢ちゃん!」

雪菜「こんにちは・・・・・です」

お姉さん「お待たせしてごめんなさい、今日はお盆だから私しかいなくて・・・」

僕「いえ、いいんです、ここって結婚式もできるんですか?」

お姉さん「はいもちろん!そのための教会ですから」

 

そわそわとウェディングドレスに夢中な雪菜ちゃん・・・

 

お姉さん「よろしかったら試着してみませんかー?」

僕「雪菜ちゃん、どうする?」

雪菜「きっ・・・着てみたい、ですっ!!」

 

声が弾んで上ずってる・・・

 

お姉さん「ではこちらへどうぞ、お兄さんもいらっしゃいますか?」

僕「い、いや・・・僕は・・・」

雪菜「来て欲しい・・・です」

僕「ま、待ってるよ、ここで・・・ゆっくり着てくるといいよ」

お姉さん「ではしばらくお待ちくださいね」

 

奥へ連れて行かれた雪菜ちゃん、

僕は適当な席に座る・・・結婚式かぁ、

兄さんの結婚式は美鈴ねえさん、すごく綺麗だったなぁ・・・

 

僕「結婚か・・・僕には遠い未来の話のような・・・」

 

早くとも雪菜ちゃんが結婚できるのは4年後だ、

僕は24歳、遠いような近いような・・さすがに16歳とは結婚までは早すぎるよな、

せめて22歳くらいになったら、その時は僕が30歳か、ちょっと遅い・・・?う〜ん・・・

 

僕「って、何を真面目に考えてるんだろう・・・」

 

とはいえ、雪菜ちゃんは至って真面目なんだよな。

その気持ちにどう応えてあげるべきか、どうわからせるか・・・

子供だから駄目、なんて言ったら痛い目にあうのはわかりきってる、だからこそ・・・

 

僕「夏休みの最後に、ちゃんと答えを出してあげないといけないな」

 

・・・・・それには対象相手が、あの幼い三姉妹だけっていうのは異常かも?

いや、もちろん生まれてから、つきあった女の子が幼馴染の1人だけ、とかいうのが

決して悪い訳ではなく、それはそれで素晴らしい事だと思うけど、でも僕の場合は・・・

 

僕「恋人が欲しいとは思ったけど、ちゃんと大人の女性とつきあった事ないから・・・」

 

そういえば大学の悪友が夏休みに合コンするとか言ってたっけ、

人数が足りなかったら呼ぶとか言ってたけど、どうせ本気じゃないだろうな、

・・・・・もし呼ばれて向かいに座ったのが雪香とかだったら困るし。そんな訳ないか。

 

僕「試しにちょっとデートでもしてみたいかな、大人の女性と・・・」

 

かといって美鈴ねえさんは、なぁ・・・恐いし。そもそも義姉だし。

大学の女の子でめぼしいのは・・・急に1対1は無理だろうからなぁ〜

別に単なるデートで、その、おつきあいが前提じゃないなら、3対3とかでも・・・

 

僕「複数で会えば浮気にならないし・・・でも、ばれたら・・恐ろしそう」

 

浮気して帰ってきて寝て、朝起きたら背中に無数の引っ掻き傷とか作りそうだよな雪菜ちゃんって。

・・・これは夏休み最後の日、雪菜ちゃんにとってショックな結果を出すなら覚悟しないと・・・ぶるぶるぶる。

 

 

 

お姉さん「お待たせしましたー、それでは新婦さんの入場でーす」

 

しずしずと入ってくる純白の少女・・・

 

☆ウェディング雪菜☆

僕「か・・・・・かわいいっ・・」

 

息を呑む、とはこの事だろう、

肌の白さがウェディングドレスの純白と相まって、

日の光にきらきらと輝く・・・眼鏡のレンズも光っている。

 

雪菜「どう・・・ですか」

僕「う、うん、すごくいいよ・・・まぶしいくらいに」

 

思わず、きゅ〜〜〜っと抱きしめたいくらいだ。

 

お姉さん「すっごく似合ってますよ!これは将来が楽しみですねー」

雪菜「お兄ちゃん・・・楽しみ・・・・・です・・・か」

僕「う、うんうん、うんうんうん!!!(コクコクコク!!!)」

 

ポッと紅くなって嬉しそう・・・

 

お姉さん「サービスでお写真も撮ったんですよー、記念にどうぞ」

 

デジカメで映したのかな?

プリントアウトされた写真を渡される、

これは・・・雪菜ちゃんのすごく良い思い出になりそうだ。

 

雪菜「ありがとう・・・です」

お姉さん「将来、本当の結婚式をあげる時は是非こちらでお願いしますね!」

僕「はは・・・はい、覚えていたら、ぜひとも」

 

ブーケとかも似合ってるなぁ・・・

雪菜ちゃんって、お化粧とかすると、すっごく良くなるタイプかも。

地味そうな女の子ほど、こうも変わると綺麗に、かわいく感じる・・・眼鏡も違って見える。

 

お姉さん「ではそろそろ脱ぎましょうか」

雪菜「あの・・・あ・・・」

僕「どうしたの?ドレスがきついの?」

雪菜「・・・・・・・・・うぅん・・・なんでも・・ない・・・です」

お姉さん「それではまた奥へ・・・お兄さんもう1度待っててくださいね、今度は早いですから」

 

ドレスの後ろを引きずりながら奥へ・・・

後姿もか〜い〜な〜・・・かわゆい、ほんと。

花嫁人形か何かが動いてるみたいだったよ、写真じゃなく動画に残したい。

 

僕「でも、お人形じゃなく、正真正銘の、女の子だからなぁ・・・」

 

そう、人形よりも脆くて傷つきやすい、

大切に扱わないと大変なことになる、れっきとした少女・・・

あのウェディングドレス姿に、一気に酔い、そして一気に目を覚まさせられたような気分だ。

 

 

 

お姉さん「ありがとうございましたー」

僕「いえいえこちらこそ!」

雪菜「ありがとう・・・・・です」

 

教会を後にしてホテルへ歩く。

 

僕「無料で良いサービスだったね」

雪菜「とくした・・・です」

僕「でも、雪菜ちゃんが大人になるの待つって、気が長い商売だよねー」

雪菜「・・・・・・写真・・・お兄ちゃんと・・とりたかった・・・・・です」

僕「そうだったの?じゃあ言ってくれれば・・・」

 

それはまずいか、

旅先だからって浮かれてるとどこでどんな目で見られてるかわからないからな、

危ない危ない・・・そうか、だから教会の中では雪菜ちゃんは言えなかったんだな。

 

雪菜「でも・・将来、またここに来たいです・・・お兄ちゃんと」

僕「ははは・・・・・ありがとう」

雪菜「・・・・・そのときは・・・一緒に写真とれる・・・・・ですっ」

 

たたたたたーっ、と早足で行っちゃった!

恥ずかしくって逃げちゃったみたいだ、追いかけないと。

 

僕「ちょっとどこ行くんだー?」

雪菜「港に、海の底を見れる船が、あるみたい・・・です!」

僕「本当に?よし競争だっ!!」

 

 

 

 

 

 

雪巳「ただいまーーー」

雪菜「おかえり・・・です」

雪沙「ゆきなおねえちゃんさきにかえってたのぉ〜?おにぃちゃんは〜?」

僕「あ・・・おかえり、ちょっと汗流して着替えてたんだ、エステどうだった?」

雪巳「すっごくよかったよー、お肌つるつるー」

 

そういえば2人ともつるつるで、ほんのり良い匂いがする。

 

雪沙「せなかに、あろれぬってもらったのぉ〜」

雪巳「アロエだとー、湿疹によくきくんだってー」

僕「本当?良かったね、これで少しでも改善されるといいけど」

雪菜「もう・・・御飯の時間・・・・・です」

僕「よし、じゃあ夕食券最後の1枚を使おう!!」

 

もどる めくる