
雪巳「レストラン大きいー」
雪菜「お土産も・・・売ってるみたい・・・です」
雪沙「でもまだおひるだよー?」
僕「疲れたからデザートか何か食べよう」
雪沙「わぁい、おやつおやつぅ」
身も心も疲れたプールを終えてレストランへ・・・
あれ?中はガラーンとしてて人がいない?本当に誰もいない・・・
僕「やってないみたいだね」
雪巳「でも涼しい〜」
雪菜「レストランの・・・ぬけがら・・・」
雪沙「つぶれちゃったみたいー」
僕「でもテーブルも椅子も綺麗・・・あ、あそこ!」

カウンターに冷水機があって、
「ご自由にお飲みください」って書いてある。
エアコンがついてる事といい、ちゃんと整備はされてるみたいだ。
雪巳「お水くんでくるねー」
僕「手伝うよ」
雪沙「ゆきさがおにぃちゃんのはこぶ〜」
僕「あ、ありがとう」
雪菜「トイレいってくる・・・です」
レストランの窓からプールが覗ける、
あれだけ人がいるのに、なんでここ潰れちゃったんだろ?
・・・そうか、きっと港の食堂がお客さんを取り合ってたから、みんなあそこで済ますのかな。
雪沙「ん〜、せなかちょっとひりひりするう」
僕「どれどれ?あ、紅くなってるね」
雪沙「お水でひやす〜〜」
汲んできた冷水をピチャピチャつける。
僕「日焼けも酷いと火傷になっちゃうから、ホテルで薬塗ったほうがいいかな」
雪巳「私もちょっと焼けてきたかなー」
僕「うーん・・・どうだろうね、帰る頃には焼けてるかも」
雪巳「今はどうー?みてみてー」
シャツの首のところをずらし、
水着のヒモの跡をみせてくる・・・
僕「ちょ、ちょっと焼けてるね」
雪巳「やっぱりー?水着の跡ってすぐ治るよねー?」
僕「う、うん・・・・・多分」
それより中1の水着の跡を、
あんな風に見せられた事にドキドキ・・・
雪沙「ゆきさも〜〜」
僕「こ、こら、ここで服を脱ぐんじゃない!」
雪菜「ただいま・・・です」
僕「おかえり・・・あれ?そのアイスどうしたの?」
雪菜「買ってきた・・・です」
いつのまに!そしてどこで!?
雪菜「お土産売り場にあった・・・です」
僕「どこどこ?あ、あそこか」
雪巳「他に何か売ってたー?」
雪菜「シャツとか・・・帽子とか・・おもちゃ・・・」
雪沙「みたいみたーーい」
僕「それよりアイスのお金出してあげるよ、いくら?」
雪菜「400円・・・です」
ちゃんと渡してあげて、と。
僕「ありがとう・・・じゃあ、いただきます」
雪巳「いただきまーす!・・・おいしいねー」
雪菜「私は・・・モナカです・・・んむ・・・・」
雪沙「かき氷アイスおいしい〜〜、おにぃちゃんもひとくちぃ」
僕「ありがと・・・んー、おいしいね、じゃあ僕のカップアイス1口あげる」
雪菜「私のモナカも・・・かじって・・・」
雪巳「もう1個買っちゃおかなー」
僕「あんまり食べると、お腹壊すから!」
・・・なんか心が温かくなる。
人のいない、レストラン跡地の休憩所で、
100円のアイスを分け合って食べる・・・なんか家族だ。
豪華な食事ばかりで忘れてたけど、こういうのも幸せだな・・・
今までも三姉妹は数少ない食べ物や元気を、こうして分け合っていたのだろう。
僕「・・・・・さあ、みんな食べ終わったね」
雪沙「ごみすててくる〜」
雪巳「お水飲んだコップも戻すねー」
僕「えらいえらい・・・最後にお土産見ていこう」
雪菜「椅子ちゃんと戻すです・・・」
みんなしっかりしてる、
特に雪沙ちゃん、僕の家に来たばっかのときは、
靴を脱ぎちらかしたり食事もボロボロこぼしてたよなー・・・
レストランと繋がっているお土産売り場へ入る。
僕「静かだね」
雪巳「誰もいないよー?」
雪沙「でもいっぱいうってる〜」
僕「商品は豊富だね、貝殻のアクセサリーとかもある」
雪菜「ひものもある・・・です」
たくわんまで売ってる、
麦わら帽子もあって、PIKOのシャツも・・・
こっちは・・・アイスが入ってる、さっき食べたやつだ。

雪沙「これおもしろ〜い」
僕「昔のおもちゃだね、木のやつだ」
雪菜「こういうの作れる人・・・すごい・・です」
雪巳「でも買ったら困りそー」
僕「1日で飽きそうだよね、でも飾り物みたいなもんだよ」
・・いや、也幸くんなら1ヶ月はもちそうだw
僕「買いたいのあった?」
雪沙「これ〜〜」
僕「貝殻の髪留めだね」
雪菜「これがいいです・・・」
僕「初島のポストカード・・・こんなのでいいの?」
雪菜「思い出に・・・する・・です」
雪巳「これ買っていいー?」
チリンチリン♪
僕「風鈴か〜、あるといいね、よし買おう!」
合計は・・・1400円か。
代金を払わなきゃ・・・ってどこへ?
僕「雪菜ちゃん、どこで払うの?」
雪菜「あそこ・・・・・です」
受付っぽい所に壊れたレジが置いてある、
その横に木でできた、しっかりした貯金箱が・・まさか!
「代金はこちらへお入れ下さい」
ここまで無人にしていいのだろうか?
まあ、離島だから悪い事しても船で出る前に捕まるか。
雪巳「黙って持ってく人とかいるのかなー」
僕「いたら嫌だね・・・はい、1400円、っと」
雪菜「監視カメラとか・・・ない・・ですか」
僕「あるかもね、従業員がいないからそれくらいはしてそう」
雪沙「いるよ〜〜?でぐちでみはってるぅ〜〜」
まさか・・・またか!?

猫「・・・・・」
僕「ちゃんとお金入れたかチェックしてたみたいだね」
雪菜「目、そらしたです・・・」
雪巳「働き者の猫ばっかりー」
雪沙「おきゅうりょうはおさかなぁ〜?」
僕「餌あげてる人はちゃんといるんだろうね、さあ出よう」
外は夕方・・・
プールから帰るお客さんの流れができてる。
僕「まだちょっと蒸し暑い・・・」
雪沙「あしたもくるぅ〜?」
僕「うーん、でも混んでるし海水だしなぁ」
雪巳「じゃあ今夜くるー?」
僕「それはちょっと・・・」
雪菜「あ・・・あれ・・・・・綺麗」

丘の上では植物園の高い木木が黄昏ている、
まるで僕たちを見送ってくれているようだ。
雪巳「せっかく水着買ってもらったから、家に帰ったらプール行こー」
僕「うん、それがいいよ、お友達と行っておいで」
雪沙「ゆきさはおにぃちゃんといく〜」
雪菜「そのときは・・・私も・・・行く・・・・・です」
僕「みんなで行こうよ、豊島園でもサマーランドでも」
・・・とはいえ知り合いに見つかったら、ちょっと恥ずかしいよな。
雪沙「ぜったいだよぉ〜?」
僕「はは、多分・・・・・ね」
雪菜「たぶん、は、いや・・・です」
雪巳「来年でもいいよー?」
僕「か、考えとくよ、うん」
そろそろ決断を迫られてるのかな、僕。
家に戻ったら本格的に色々考えて調べよう、
養育費がどれだけかかるかとか、美鈴姉さんとかにも色々聞いて・・・

やっぱり無人な正門をくぐり、
ホテルへ戻ろうと港へ向かって歩く・・・
チリンチリンチリン♪
雪巳「ほんとに良い音ー」
僕「気に入ったみたいだね」
雪巳「ホテルにもぶら下げるねー」
雪菜「・・・・・(ぎゅっ)」
僕「はは、雪菜ちゃんは僕にぶら下がってるんだ」
雪沙「ゆきさも〜〜」
雪巳「私もお兄ちゃんにぶらさがるー」
僕「わわ!服がのびちゃうから、そんなに引っ張らないで!」
・・・3人1度にぶら下がってきたら重いよ・・・
ほんと、この子たちの僕への想いも、重たいよなぁ・・・
雪巳「ねー、来年は隆幸連れてきちゃ駄目ー?」
雪菜「雅幸も・・・ここならきっとかんしゃく起こさないです・・・」
雪沙「也幸が来たらすっごくよろこぶよぉ、ねこだらけだもぉん」
僕「来年・・・来年かぁ・・・」
雪巳「ママもパパも来れたらいいなー」
雪菜「雪音と雪絵も・・・泳げるようになる・・・です」
雪沙「みすずねえさんもつれてきてもいいよぉ〜?」
・・・やっぱり本当の家族とも来たいよな、
血より濃い水は無いっていうし、寂しくなってきちゃったのかな?
そうだよな、ネズミーランドとシー行ったときは1泊2日だったし、
マザー牧場でもっと外泊したときの雪菜ちゃんはホームシックにかかってた。
僕がこの子たちと本当の家族になるのは・・・しっかりけじめをつけてからだろうな。
雪巳「む、無理にじゃないよー?」
雪菜「お兄ちゃんがいるのが・・・一番です・・・」
雪沙「おにぃちゃんとふたりっきりでもいいよぉ〜、そのほ〜がいい〜」
あれ?三姉妹が、あせってる?
きっと変な表情してたんだろうな僕が。
確かに、この子たちが家族の事をこうやって語るの珍しいから・・・

僕「あ、あれ見てごらん、スキューバダイビング受付だって」
雪沙「すっきゅ〜ばぁ〜〜?」
僕「そう、海に潜って泳ぐやつ」
雪巳「簡単にできるのー?」
僕「確か2・3時間くらい授業受ける必要があったかな」
雪菜「眼鏡かけて・・もぐれ・・・ますか」
僕「難しそうだね、お金もかかるし、雪菜ちゃんがやるなら高校に入ってからがいいかも」
雪沙「でもこどもよ〜も、ほしてあるよ〜?」
僕「ほんと・・・って、あれ沢庵だよ?」
雪巳「まぎらわしーーー」
さて、港からホテル直行バスを使おう・・・
もどる |
めくる |