ギリギリギリギリギリ・・・・・

 

リールを一生懸命に巻く!

この手ごたえは、きっと魚だ!

餌のエビを大きめに選んだのが良かったのかな・・・えいっ!!

 

ザバッ!!

 

僕「これは・・・・・ふぐ!?」

真理奈「あー、それハズレフグだよー」

雪沙「はずれなのぉ〜?」

真理奈「そう、草フグ。毒は弱いけど食べられないし、いっぱいいるから餌ドロボーなんだ」

僕「そうか・・・ハズレかぁ」

 

ガックシ。

 

雪菜「これで・・・お兄ちゃん1匹・・・雪巳お姉ちゃん0匹・・・」

雪巳「ハズレは無しにしようよー、だって食べられないんだよねー?」

僕「そうだね、さっさと外して捨てよう」

真理奈「気をつけてね、歯が鋭いから」

僕「え?・・・・・あ、ほんとだ、ガジガジ噛んでる」

 

恐いな、慎重に・・・わ!膨らんだ!!

 

真理奈「きてるよ、ほらほら!」

雪巳「ほんとー?じゃあ巻くねー」

 

ギリギリギリギリギリ・・・・・

 

雪沙「きっとフグなんだよぉ〜」

僕「・・・よし、やっと外せた、新しい餌をつけて・・・」

雪沙「こっちのフグなげるねぇ〜」

 

ぬめぬめしたフグを躊躇無く掴んで投げる雪沙ちゃん、

小5の女の子ならこういうの苦手そうなんだけどな・・・

 

雪巳「つれたよーーー」

真理奈「サバだね、これはちゃんと食べられるよ」

雪巳「うれしーー、お兄ちゃんみてみてー」

真理奈「最初の一匹にしたら上出来だよ、外してクーラーボックスに入れるね」

雪菜「・・・ぴちぴちしてる・・・」

 

いいなーいいなー・・・

って魚の取り外しも餌の装着も全部真理奈さんがやってくれてる、

雪巳ちゃん楽チンだな、でもこっちだってフグ捨てマシーンの雪沙ちゃんがいるからいいや!

 

僕「向こうがサバならこっちはでかい高級魚を釣ってやる!」

雪沙「おっきいカニがいいぃ〜」

僕「それはちょっと・・・あれは網とか使うんじゃないかな」

 

さあ、次こそいいのを・・・あ、また引いてる!!

 

ギリギリギリギリギリ・・・・・

 

僕「見えてきた!これは・・・・・タコ!?」

雪巳「こっちもきたよー・・・あー、フグだー」

雪沙「タコは捨てないよねぇ〜?」

真理奈「ほら雪巳ちゃん、ボクがフグ外してあげるから早く早く!」

雪菜「・・・・・楽しそう・・・・・」

 

こうして僕らは海釣りを満喫した。

 

 

 

 

 

真理奈「・・・・・もう1時過ぎたよ、戻る時間だよー」

僕「結構釣れたね」

雪巳「クーラーボックスいっぱーい」

雪菜「おなかすいてきた・・・です」

雪沙「ゆきさもいっかいだけつりたぁい」

僕「いいよ、じゃあ僕の竿で・・・気を付けるんだよ」

真理奈「大漁だね、サバ6匹にクロダイ2匹、アジにタコにキスに・・・小さいボラは逃がしていい?」

僕「そうだね、大きくなってからまた釣らせてもらおう」

雪巳「夢中で釣ってたから数がわからなくなっちゃったー」

雪菜「雪巳おねえちゃん・・・7匹・・・お兄ちゃん・・・6匹・・・」

雪巳「じゃあ私の勝ちだねー」

僕「でも一番大きいクロダイは僕が釣ったんだよ」

真理奈「これだけ釣ったんだからボクたちみんなの勝ちだよ!」

 

なるほど!真理奈さん、いいこと言った!

 

雪沙「つれたよぉ〜〜?」

僕「本当?どれどれ・・・ウナギ?いや、ウツボ?」

雪巳「ウミヘビじゃないー?」

雪菜「なんか・・ひかってる・・・です」

真理奈「わわわ!どうしよ、どうしよー」

僕「え?どうした?真理奈さん、これ何?」

真理奈「・・・・・リュウグウノツカイ」

雪沙「おっきぃ〜〜〜〜〜〜!!」

 

リュウグウノツカイ・・・・・って???

 

真理奈「どうしよう、これ、地震の前触れだよー」

僕「そんな魚なの?」

真理奈「1年に1度釣れるか釣れないかの・・・深海魚」

雪沙「たべられるのぉ〜?」

僕「そ、そういう問題じゃないみたい・・・」

 

丁重に外して、海に帰ってもらって・・・・・見なかった事にしよう、うん。

 

 

 

 

 

クルーザーが港に戻った。

雪沙ちゃんが元気に桟橋へ飛び降りる、

雪菜ちゃんはちょっとふらふら、雪巳ちゃんがそれを助ける。

僕はクーラーボックスを・・・って真理奈さんが担いでそのまま降りちゃった。

 

僕「重いよね?換わるよ」

真理奈「いいのいいの、これ食べるんでしょ?今からお昼ご飯だよね?」

僕「うん、お昼は第二港のレストランってことでチケット貰ってるけど・・・」

真理奈「釣った魚を料理してもらうように言っておくから、そのときにこれ渡さないと」

雪巳「釣ったのすぐ食べられるのー?うれしいー」

 

でも13匹だよな・・・4人で食べきれるか?

 

僕「ちょっと多いよね、サバ1匹だけでもじゅうぶん1食のおかずになるし・・・」

雪巳「持ち帰る?あとは夕食に回してもらうとか」

僕「いや、夕食も結構な量だし・・・」

真理奈「じゃあ、余ったのボクにくれるかなぁ」

僕「え?それは全然かまわない・・・よね?」

雪巳「いいよー」

雪菜「たすかる・・・です」

雪沙「まりなさんもいっしょにたべよぉよぉ〜」

真理奈「ボクはこの後、船の掃除とか後始末があるから」

 

ハーバーハウスに入ると慣れた様子で受付に挨拶する真理奈さん、

そのままクーラーボックスを持ってレストランの奥へ入っていく。

僕らは受付の人に食事のチケットを渡して、案内係が来るまでのんびり待つ・・・

 

雪菜「あそこ・・・」

僕「え?あ、クルーザーの予定表だね」

 

ちゃんとマリーナ号も書いてある、一番下だけど・・・

僕の名前が10時から13時の所まで黒い線で引っ張って・・・え?午後1時まで?

 

雪巳「時間オーバーしちゃったねー」

僕「それに次の人は午後2時から5時まで、って今は・・・1時半だ」

雪沙「ついかりょうきん〜?」

僕「悪い事しちゃったなぁ・・・あ、戻ってきた」

真理奈「料理人さんと話したんだけど、1種類1匹ずつでいいよね?」

 

クーラーボックスを開けて見せてくれる、

中はサバ5匹にクロダイ1匹、クロダイは中くらいの大きさの方だ、

大きい方を残してくれたんだな・・・それより早くクルーザーに帰してあげないと!

 

僕「魚はあげるけど、早く行かないとまずいよね?えっと、料金は・・・」

雪沙「えんちょ〜りょ〜きんいくらぁ〜?」

真理奈「いいよいいよ、お金はホテルからちゃんと貰うし、チップも受け取らないんだ」

雪菜「でも・・・」

真理奈「延長料金はこの魚でいいから!それよりレストラン、今から魚さばくからちょっと遅れるみたいだよ」

雪巳「ありがとー、楽しかったよー」

 

名刺を渡してくれる真理奈さん。

 

真理奈「予約入ってない日はここで指名してくれたらクルーザー出すからね、ボクの船を呼んでね」

僕「うん、また来たときのために覚えておくよ」

真理奈「じゃあねー」

雪巳「さよーならー」

雪菜「ありがとう・・・です」

雪沙「ごくろぉさまでしたぁ〜」

 

手を振ってクルーザーへと戻っていく真理奈さん、

かわいいお姉さんだったなぁ、海の女の人もいいもんだ。

 

☆ハーバーの外☆

雪沙「ねぇ〜、あそこでごはんはたべられないのぉ〜?」

僕「あそこ?ああ、外のテーブルか、いいかも知れないけど・・・」

雪巳「日陰がなくってあつそーだよー」

雪菜「誰も・・・座ってない・・・です」

僕「真夏じゃなかったら気持ちいいかもだけど・・・」

雪沙「ええ〜、あそこでたべたぁい」

僕「うーん・・・バーベキューならともかく、お刺身だしなぁ」

雪巳「それに、うるさそうだよー」

僕「うるさい?・・・・・あ、テーブルの下に猫が!確かにうるさそうだ」

 

なんていう話をしているうちに、

料理ができたらしく予約テーブルへ案内される。

 

僕「わ!おさしみだらけだ」

雪巳「こんなに釣ったっけー?」

雪菜「あまっちゃいそう・・・です」

雪沙「ゆきさのつったさかなもぉ、おさしみにしたかったなぁ」

僕「あれは無理だよ・・・それにしても多いな、ああそうか、元から用意されてたお刺身もあるからか」

 

納得、納得・・・

こう見ると真理奈さんにお魚いっぱい引き取ってもらってよかったよ。

 

僕「じゃあ、いただきまーす」

雪巳「いただきまーーーーす!」

雪菜「いただきます・・・・・です」

雪沙「おさしみだらけぇ、いただきまぁすぅ」

僕「・・・・・うん、おいしい!!」

 

豪華な刺身尽くし・・・

あれ?何か足りないような?

ええっと・・・あ、2番めに大きかったサバが無い!!

 

雪巳「ねー、お味噌汁の中のこのお団子なーにー?」

僕「どれどれ・・・・・つくねだね、これは・・・サバのつくねだ!!」

 

そうか、つくねにしてお味噌汁に入れてくれたのか、

他のお客さんのお味噌汁は・・・うん、ワカメくらいしか入ってない、

確かにお刺身が多過ぎるから、こういう変化球はかなりうれしいかも・・・

 

雪巳「タコおいしー」

雪菜「貝も・・・おいしい・・・です」

雪沙「あまったら外の猫にあげようよぉ」

僕「・・・前から思ってたんだけど、みんなよく噛んだほうがいいよ」

雪巳「うんー・・・ママが悪いのー」

雪菜「あんまり噛むと・・・虫歯になるって・・・」

僕「でも、ウチ来てからはちゃんと磨いてるんだし・・・」

雪沙「はやくたべないとなくなっちゃうのぉ」

 

・・・家族の習性だから仕方ないか、

あまり噛まない事で少ない食事をお腹に長く溜めてるのかも知れない、

でも沢山の量を噛まないと太ると思う、三姉妹みんなビッグマザーみたいになったら・・・・・やだ。

 

雪沙「おひるおわったらどこいくのぉ?んぐんぐ」

僕「そうだな・・・遊園地の方をみてみよう」

雪巳「乗り物どんなのがあるかなー」

僕「ガイドによるとゴーカートくらいしかないみたいだけど・・・」

雪菜「あとプールもある・・みたい・・です」

僕「一旦ホテルに戻って水着持ってくる?」

雪巳「ちょっと入ってみたいー」

雪菜「でも・・・食べてすぐより・・ちょっと休みたい・・です」

雪沙「おへやですずんだらいこぉ」

僕「そうだね、ホテルで1時間くらい休憩してから行こう」

 

・・・・・なんだかんだ言ってお刺身、あっという間になくなってるよ・・・

 

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