初島2日目の朝が来た、

色々と大変だった・・・夕べの秘め事の後始末とか、

こっそり部屋のお風呂に2人で入ったりとか・・・朝食も三姉妹の駆け引きが・・・

 

雪巳「どーしたのー?ぼーっとしてー」

雪菜「ちゃんと前みて歩かないと・・・転んじゃう・・・です」

雪沙「みえてきたよぉ〜、あれが第二みなとぉ〜?おふねがいっぱぁ〜い」

 

クルーザーが並ぶ港へついた・・・

今日は午前10時から予約されてるクルーザーに乗る予定だ、

時刻は・・・9時54分、もうちょっと早く来たかったかもしれない。

 

雪巳「どこに乗るのー?」

僕「まずは受付をしないと・・・あった、あそこだ」

 

☆第二港☆

ハーバーハウスへ入る、涼しい・・・

受付で名前を告げてしばらく待つ。

 

雪沙「レストランがあるー」

雪菜「ほかのお客さん・・・釣りの道具持ってる・・・」

雪巳「あー、あそこの道具なんだっけー、キューバなんとかー?」

僕「スキューバダイビングの道具だね、初心者向けスクールのポスターも貼ってある」

雪菜「スクールの場所・・・ここじゃないみたい・・・です」

 

確かにポスターに描かれてる地図は第一港の方・・・

あいかわらず雪菜ちゃんの洞察力ってすごいなぁ、と思っているうちに従業員が戻ってきた。

 

従業員「それでは埠頭の方でマリーナ号にご乗船ください」

 

マリーナ号、豪勢な名前だ。

時計は10時を超えてる、って早くしないと出発しちゃうんじゃ?

 

僕「急ごう!」

 

飛び出すように桟橋へ・・・

って船だらけでどれだかわからないぞ?

ええっとええっと・・・雪菜ちゃんが案内板を見てる。

 

雪菜「ここみたい・・・です」

僕「はじっこの方か」

雪沙「おっきいおふねぇ〜」

雪巳「それはマーメイド号だよー、ちがうよー」

僕「場所はわかった、みんな行くよ!」

 

慌しく走る・・・

まだ朝って言っていいくらいの時間なのに暑いな、

ええっとマリーナ号、マリーナ号・・・なんか並んでるクルーザーが段々小さくなってる気がする、

最初は100人くらい乗れそうなごっついやつだったのに、今は20人乗りくらいのやつだ、さらに先・・・

端っこが見えてきた、まさか最後はゴムボートだったりして、もしくは公園にある、あの足でこぐ白鳥のやつとか・・・

 

☆船はどこ?☆

僕「えっと、どれだ?ひょっとしてあの、普通の漁船!?」

雪巳「えー、あれがクルーザーなのー?」

雪沙「すごくゆれそぉ〜、おちちゃいそ〜」

僕「あれ?雪菜ちゃんは?ちょっと速く走りすぎちゃったかな・・・」

雪巳「ぼーっと立ってるよー?」

 

僕らが来た船よりも手前で立ってる、

雪菜ちゃんの前にはクルーザー・・・マリーナ号って書いてある、

あれか!行き過ぎちゃったみたいだな、戻ろう・・・端っこってイメージが強すぎちゃった。

 

雪菜「これ・・・みたい、です」

 

そこそこのクルーザー、5・6人乗りかな?

ちゃんと室内部分もしっかりしていそうだ、ってじゃあやっぱり貸切・・・!?

船長さんとかちゃんといるのかな、クルーザーだけ渡されても船舶免許なんて誰も持ってないし。

 

女性の声「待ってたよー」

 

その声に振り返ると・・・

 

☆クルーザーの女の子☆

 

女の子「声かけたのにみんな走ってっちゃって、ボクびっくりしたよ」

僕「えっと・・・君は・・・」

女の子「ボクは真理奈っていうんだ、この船の持ち主。よろしくー」

 

マリーナ号で真理奈・・・わかりやすい。

 

僕「はじめまして、えっと・・・」

真理奈「聞いてるよー、さー乗って乗って!」

 

挨拶もそこそこにクルーザーへ乗り込む。

室内は・・・涼しい〜かなり快適でそこそこ広い。

ちゃんとソファーがあって、8人座れる。さらに下へ行く階段があって、

ちらっと見えるのは・・・トイレとシャワールームか、奥は何だろう?倉庫かな?

みんなソファーへ座ってくつろぐ、テレビもあるんだ、あれ?雪沙ちゃんがソファーの後ろを覗き込んで・・・

 

猫「にゃぁ〜〜〜」

雪沙「ねこがのってるぅ〜」

僕「ほんとだ、おっきいドラ猫だ」

真理奈「あーー、また入り込んでるー!」

雪沙「かってるんぢゃないのぉ〜?」

真理奈「ちがうよ、ソファーに毛がつくし、猫嫌いのお客さんだっているし」

 

ドラ猫を捕まえて船外へ・・・

雪巳ちゃんは外でまわりを見ている、

他のクルーザーが珍しいんだろうな、雪菜ちゃんは海図に夢中・・・

 

雪沙「れ〜ぞ〜こもあるぅ〜」

僕「ジュースにお酒も入ってるね」

真理奈「パーティでココ使う事もあるからねー」

僕「あ、もう猫置いてきたんですか、早いですね」

真理奈「海に捨ててきたからね」

 

ええええええええええええええええええええ!?

 

真理奈「うそうそ、そんな顔しないでよ」

僕「・・・びっくりした」

真理奈「でも昔の船乗りは、猫連れてって大シケになると生贄で猫を投げ入れたらしいよ」

雪沙「かわいそぉ〜〜〜」

真理奈「初島の猫も、元はそういう猫の子孫かもね」

 

そう考えると、ちょっと怖いな・・・

 

猫「にゃぁ〜〜」

真理奈「あー、戻ってきちゃった、今度は陸に置いたらすぐ船を出すね」

雪沙「ゆきさ見張るぅ〜」

真理奈「本当?ボク助かるよ!」

僕「で、どこへ行くんですか?」

真理奈「それはボクの聞くことだよ、どうするの?」

僕「どうするって・・・」

 

雪巳ちゃんが戻ってきた。

 

雪巳「運転するとこも広いんだねー」

真理奈「うん、面倒臭いから操舵室でも横になって寝られるようにしてあるんだ」

雪菜「この島・・・なんで・・・すか」

真理奈「それは大島、ここから1時間もかからないかな」

僕「じゃあこっちが初島か・・・比べると初島って小さいんだなー」

 

猫がじたばた暴れはじめた!

 

真理奈「こら!ボク怒るよ!もう魚あげないよ?」

猫「ふにゃああああ〜〜〜」

真理奈「もー・・・じゃあ行ってくるね」

雪沙「ゆきさもぉ〜」

僕「い、いってらっしゃい」

 

しつこい猫を持って2人が外へ・・・

窓から港を見ると、朝釣りから帰ってきた釣り客から

魚を貰う猫がいっぱい群がってる、あ、さっき入ってきた猫もそこへ向けて一直線に・・・

 

真理奈「船だすよーーー」

 

ゴウンゴウン・・・

 

雪巳「動いたー」

雪菜「ゆれてる・・・です」

僕「すぐに安定するよ」

雪沙「ねこ、はしってったよ〜〜」

僕「加速するからソファーに座って!」

 

ポンポンポンポンポン・・・・・

 

第二港を出た、

埠頭は長い竿を垂らした釣り客でいっぱいだな・・・

ぐるっと島の裏へ回ったあたりでクルーザーが一旦止まった。

 

真理奈「どうするー?何するー?」

僕「えっと、他のお客さんは何するのかなー?」

真理奈「釣りが一番多いよ、後はスキューバとか、大島まで遊覧とか、パーティーする人もいるよ」

雪巳「釣りしてみたーい」

雪菜「ゆうらん・・・なにがみれる・・ですか」

真理奈「運がいいとイルカとかクジラとか」

雪沙「これなぁ〜にぃ〜?」

真理奈「カラオケセットだよ、パーティーの必需品だからね」

僕「釣りって、釣竿も餌も無いし・・・」

真理奈「あるよー、釣りする?」

僕「じゃ、じゃあ釣りで・・・」

 

螺旋階段を降りていった、

やっぱり下の奥は倉庫みたいだ、

ゴソゴソしたのち釣竿を4本持ってきた。

 

真理奈「餌は練り餌とエビ、両方あるよ」

僕「大きい釣竿・・・雪沙ちゃん持てる?」

雪沙「ちょっとむりかもぉ、うみにおちちゃうぅ」

雪菜「私も・・・釣りは・・・見てる・・・です」

雪巳「じゃあ私とお兄ちゃんと2人で釣ろー」

僕「うん、じゃあ2チームに別れよう!」

真理奈「だったら2本は戻してくるね」

 

釣竿借りるのはいいけど折れたら大変そうだ・・・

これ値段結構するよな?ポキッてなって弁償する事になったら・・・

気をつけて慎重にやらないと。うぅ、ちょっとプレッシャーかかる・・・

 

真理奈「じゃ、釣り場まで行くね」

 

船は沖へ・・・

とは言っても初島は離島だから、すでに沖なんだけど。

 

ザザザーーー・・・

 

クルーザーの加速と掻き分ける波音が心地よい、

綺麗なクルーザーだよな、しっかり整備されていて、

クルーザーとしては小さい部類なんだろうけど、少人数には贅沢なくらいだ。

 

雪巳「外へ出ると風が気持ちいいよー」

 

釣られて出る、

潮の匂いが風にのって香ってくる、

水面をよく見ると魚が飛び跳ねているようだ。

 

雪沙「ほんとぉ、きもちいぃねぇ〜」

僕「あんまり顔を出すと波がかかるよ」

雪菜「あ・・・おおきなタンカー・・・です」

僕「釣り船もいっぱい見えるね、そろそろ釣り場かな?」

真理奈「ついたよー、このへんがいいみたい」

 

クルーザーがゆっくり止まる、

釣竿と餌を持ってこなくっちゃ・・・よし、

あとは椅子を持ってきて・・・雪巳ちゃんも準備できたみたいだ。

 

雪巳「これ回せばいいのー?」

真理奈「そうだよ、あ!クーラーボックス持ってくるね」

雪沙「ゆきさ、おにぃちゃんを応援するぅ〜」

雪菜「・・・私は・・・見てる・・・・・です・・・」

雪巳「お兄ちゃん競争だよー?いっぱい釣ろうねー」

 

真理奈さんがガタゴトとクーラーボックスを持ってきて、

僕と雪巳ちゃんの間に置くと雪巳ちゃんの隣についてコツを説明する。

 

真理奈「ぐいって糸を持っていかれたら思いっきり巻いてね?」

雪巳「うんー、やってたらだいたいわかるー?」

真理奈「と思うよ、でも小物だと手ごたえが無い事もあるから、あんまり長く反応がなかったら巻いてみてね」

 

僕&雪沙ちゃんチームと雪巳ちゃん&真理奈さんチームの競争だ、

そしてそれを後ろで見守る雪菜ちゃんは・・・審判のようなものかな?

 

僕「よし、餌もつけたし、じゃあ・・・スタート!」

雪巳「たくさん釣った方が勝ちだよー」

僕「えー、一番大きいの釣ったら勝ちにしようよ」

 

ポチャン!

ポチャンッ!!

 

餌が海面から奥へ落ちていく・・・

 

しゅるしゅるしゅるしゅるしゅる・・・・・

 

僕「・・・・・もういいかな」

真理奈「もう固定していいよー」

 

さあ、何が釣れるか楽しみだ、

でも・・この季節って何が釣れるんだっけ?

 

雪沙「おっきぃマグロつろうねぇ〜」

僕「それは無理だよ、多分、釣竿の種類が違うんじゃないかな?」

雪巳「これってひっぱられてるのー?」

真理奈「波に呑まれてるだけだから、まだまだだよ」

雪菜「・・・・・・・」

 

おとなしく見守る雪菜ちゃん、

ひょっとして・・・酔い始めてる!?

 

僕「雪菜ちゃん、中のソファーで寝ててもいいよ」

雪菜「まだ・・・大丈夫・・・・・です」

雪沙「おにぃちゃん、ひいてるぅ〜」

 

なぬっ!?

 

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