☆初島☆

本当だ、もう初島が見えてきた!

どこにいたのか船員も慌しく準備しはじめてるのが窓の外に映る、

出航してもう15分くらい経ってるもんな、本当、あっという間だ。

 

僕「結局、指定席のチェックに来なかったな・・・」

雪巳「この部屋、貸し切りだったねー」

雪菜「ちょっと・・・酔ってきた・・・です」

僕「え?もうちょっとだから我慢できる?」

雪沙「ゆきさはぜんぜんへ〜きだよぉ〜?」

 

あと数分でつくけど、ちょっと心配だ。

雪菜ちゃんの方へ行って・・・確かに具合悪そう。

 

僕「誰も来ないから横になっていいよ」

雪菜「・・・・うん」

僕「ほら、椅子3つ分あるんだから・・・そうだ」

 

僕は一番通路に近い椅子に座り、

椅子の上に横になった雪菜ちゃんの後頭部を、

僕の膝の上にのせる・・・ちょっと高すぎるかな?でも表情が安らいだ。

 

僕「椅子がクッションきいてるから、それが逆にまずかったのかな」

雪菜「・・・・・」

僕「船の先頭っていうのもまずかったかな?帰りは船底に近い方がいいね」

雪菜「・・・・・・・・・」

僕「あ、眼鏡外したほうがいいね?」

 

外そうとすると、そっと手でガードされる・・・

ぽーーーっとしたまま僕を見つめて、顔を紅くしている。

 

雪沙「いいな〜、つぎゆきさねぇ〜」

雪巳「雪沙全然酔ってないからー、それにさっき甘えてたから次は私ー」

雪沙「ゆきみおねぇちゃんだってよってないよ〜?」

雪巳「雪巳はねー、お兄ちゃんに酔っちゃったのー」

僕「ちょっと2人とも静かにして!」

 

お水を飲ませた方がいいかな?

でも戻しちゃったらまずいし、

どうするにしろ、ついてからだな。

 

☆ようこそ初島アイランド☆

グラグラグラッ!!

 

僕「わ!」

雪菜「!!」

 

きゅうっ、と僕の腕を掴む雪菜ちゃん!

こう見えて力あるな、しっかり捕まえてる。

 

僕「どうしたの?」

雪沙「もうつくよ〜」

僕「あ・・ほんとだ、島が目の前」

雪巳「ようこそ初島アイランド、だってー」

僕「じゃあ降りる準備しよう、雪菜ちゃん?」

 

起き上がって荷物を持つ、

ちょっとふらっと・・まだ揺れてるもんな。

 

僕「僕が持つから」

雪菜「・・・・・へいき・・です」

僕「任せて任せて!」

雪巳「一緒に持とうよー」

僕「いいよ、さ、降りよう」

 

☆ようこそ初島へ☆

もう太陽が高い・・・

あとちょっとでお昼だからな。

 

雪巳「ついたー」

僕「うん・・・って腕絡まさなくても荷物は持てるよ」

雪巳「いいのー、いこー」

僕「待って!雪菜ちゃんたちが・・・」

雪巳「もーー」

 

振り返ると雪菜ちゃんと雪沙ちゃん、

酔ってたはずの雪菜ちゃん、全然大丈夫そうに歩いてる、

表情はちょっと暗いけど、やっぱり島に降りて安心したのかな?

 

雪菜「荷物、もう持てるです・・・」

 

ぐいっ!

 

僕と雪巳ちゃんが腕を絡ませながら持ってた雪菜ちゃんの荷物を、

強引に奪っちゃった。でもおかげで雪巳ちゃんと腕をはずせられる。

 

雪沙「おにぃちゃ〜ん♪」

 

と思ったら今度は雪沙ちゃんが手をつないできた!

・・・ま、いっか。って雪巳ちゃんも荷物なくなったのに腕絡ませたままだし!

 

僕「あ、暑いから離して!」

雪巳「えー」

雪沙「え〜〜」

僕「エーじゃないっ!」

雪菜「・・・呼んでる、です」

 

港ではバスが1台停まっていて、

船に乗るときにいたお姉さんが声をあげている。

 

☆ホテル行きバス☆

女性係員「初島ゴージャスホテル行きバスはこちらでーす」

 

島にもバスはあるんだ、当たり前か。

どうやらホテル専用の送迎バスみたいだけど・・・

宿泊客がどんどんどんどん乗り込んでいってる。

 

僕「えっと、確かチェックインは午後2時からのはずだ」

雪巳「3時間も待つのー?」

雪菜「島・・・回ってみたい・・です」

雪沙「あ〜、あっちにねこがいる〜」

僕「じゃあ、時間潰しながら歩いて行こう」

 

荷物もそんなに重くないし。

バスを横目に港を進むと・・・

 

☆食堂街☆

おじさん「はいいらっしゃい!釣りはこちらですよー」

おばさん「お昼はこちらでーす!伊勢海老が入りましたよー」

おっさん「荷物預かるよ〜食事も宿もあるよ〜」

お姉さん「スキューバはこちらで受け付けていまーす!」

小さい子「ごはんこっち〜ごはんこっち〜こっち〜〜」

お兄さん「釣り船は予約なくてもこちらで受け付けまーす!」

お爺さん「あい、初島定食1500円!サービスだぁ!」

太った猫「にゃ〜〜にゃ〜〜〜にゃぁあ〜〜〜〜〜〜」

 

客引きがいっぱい・・・

ずらっと並んだ食堂の人たちが、

バスに乗らなかった人の流れを奪い合ってる。

ホテル行かなかった半分以上が釣り目当てなんだろうな、

その中で予約せずに来た人たちを奪い合ってる・・・みんな必死だ。

 

僕「あっちとは別行こう」

雪沙「お昼はあとだねぇ〜」

雪菜「混んでるから・・・後がいい・・です」

雪巳「船の待合室に猫がいっぱーい」

僕「ほんとだ、こんなにいるんだ」

 

☆猫1☆ ☆猫2☆

☆猫3☆ ☆猫4☆ ☆猫5☆

 

ざっと見ただけで5・6匹はいる。

釣りの島だから当然か、也幸くんがいたら喜んだだろうな。

 

雪菜「・・・この猫・・・反応が・・・薄い・・・です」

僕「人間には慣れっこなんだろうね」

雪沙「これな〜に〜?」

雪巳「石碑があるよー」

僕「どれどれ・・・なんだろこれ」

 

☆石碑☆

えーっと・・・初島についての説明か。

ふむふむ・・・なるほど・・・う〜ん・・・

よし、ここは雪巳ちゃんたちに説明してあげよう、

この初島が江戸城を作るための石を切り出した場所である事、

大昔から人が住んでた歴史とか・・・ここに書かれてある事だけど、

ちょっと物知りっぽく言えば尊敬されるかも?

たまにはちゃんと大学生らしいところも見せないとな。

もうちょっと読んで、納得したように思わせといて・・・

・・・・・そろそろいいかな?雪沙ちゃんあたりは、

難しい漢字に退屈してるかも知れないからな、そろそろ・・・

 

僕「・・・・よしわかったぞ、これはね・・・」

 

・・・隣を見ると、いない!?

 

猫「にゃあ」

 

石碑の上にいる猫が僕の後ろを見てる。

 

☆案内図☆

雪巳「さっきの食堂並んでるとこの先が遊園地だってー」

雪菜「港が・・・もう1つある・・・そのずっと先がホテル・・・」

雪沙「あ〜〜バーベキューセンターってある〜おいしそ〜」

 

ずこっ!!みんな初島案内板を眺めてるよ、

・・・・・飽きて後ろに興味が行ったみたいだ。

 

雪巳「お兄ちゃーん、向こうの道行くと神社と資料館があるみたいー」

僕「わかった、そっちから行こう」

雪沙「この猫もいっしょにつれてく〜」

猫「ぶにゃん!!」

僕「こらこら!持ってきちゃ駄目!」

雪菜「ゆきさ・・・ねこ・・かわいそう・・・」

僕「ほらほら、行くよ!」

 

もどる めくる