☆熱海駅☆

雪沙「ついたぁ〜〜」

雪菜「まぶしい・・・」

雪巳「いい天気だねー」

僕「港まで結構歩くな・・・タクシー乗ろうか」

雪巳「歩こうよー」

雪菜「歩ける・・・です」

雪沙「おみやげやさんもみてく〜」

 

まだ午前10時ちょっとなのにお土産やさん結構開いてるみたいだ、

それをちらほら見ながら港へと続くアーケード街をみんなで歩いて行く。

 

僕「海産物が多いね」

雪巳「漬物もあるよー」

雪菜「マクドナルドも・・・あるです」

雪沙「コンビニもあるよ〜」

僕「そりゃそうだ、普通の街なんだもん」

 

観光地っていっても、ちゃんとした市だもんな。

パチンコ屋だってあるし・・・マンションがやけに多いな。

 

僕「そういえばニュースでやってたね、

古いホテルがいっぱい潰れてマンションになってるって」

雪巳「住む人いっぱいいるのー?」

僕「うん、横浜まで通勤圏内だし、それに温泉付きマンションだし」

雪菜「うらやましい・・・お風呂いっぱい入れて・・・」

雪沙「ぢゃ〜ここにべっそ〜もと〜よ〜」

僕「はは、そんなこと僕に言われても」

 

それにしても急な下り坂が続く、

楽といえば楽だけど車とか急に来たら恐いな。

 

雪沙「あんないひょ〜しき〜」

僕「このまま真っ直ぐ行くと海で、そっから右がフェリー乗り場か」

雪巳「その先はロープウェイだってー」

雪菜「熱海城が・・あるです・・・」

雪沙「おにぃちゃ〜ん、これなんてよむの〜?」

僕「ええっと・・・秘宝館・・・ひほうかん!?」

 

なんでお城の隣に秘宝館があるんだ!

 

雪沙「ひほ〜かんってどんなのぉ〜?」

僕「そ、それは・・・大人のお城だよ」

雪沙「え〜ゆきさはいれないのぉ〜?」

僕「うん・・さ、いこいこ、フェリー乗り場へ!」

雪菜「ロープウェイ・・・乗ってみたい・・・」

僕「か、帰りに暇があったらね!」

雪巳「おにーちゃん汗かいてるー」

僕「あ、海が綺麗だよ、ほら!!」

 

ざざ〜〜〜っ、と波の音が聞こえる!

眩しい太陽に照らされて、本当に美しい・・・

 

雪巳「おっきい船がみえるー」

雪菜「お魚・・・釣ってる人がいっぱい・・・です」

雪沙「しまどこぉ〜?と〜くにみえるあそこ〜?」

僕「あそこかな?楽しみだね」

雪菜「フェリー乗り場・・・あそこです・・・」

 

☆埠頭☆

海に沿って行けばいいようだ、

長い釣竿で魚を狙ってる人いっぱいいるな、

初島ついたら釣りはどうしよう、竿とか貸してもらえるはずだけど・・・

 

雪沙「ねぇねぇおにぃちゃ〜ん、はつしまってなにがあるのぉ〜?」

僕「確かホテルに民宿に後は植物園にプールにゴーカートに・・・」

雪沙「なにしてあそべるのぉ〜?」

僕「釣りでしょ、スキューバに、もちろん泳ぎに、後は・・・」

雪菜「・・・木陰でゆっくり本読んでるだけでも・・・いいです」

僕「雪菜ちゃんにはそれが似合いそうだね」

雪巳「お店ってあるのー?こっちで買ってかなくていいー?」

僕「スーパーが軽くあって、後はホテルの中で大体揃ってるみたいだよ」

雪巳「足りないのあったら私だけでもこっち戻って買ってくるよー?」

僕「ありがとう、まあ大丈夫だとは思うけどね」

 

と言っているうちにフェリー乗り場に到着だ、

人は結構いる、夏休みだし、お盆前だもんな。

でも客層は釣り目的メインのおじさんが多い感じ、

後は普通に家族連れとか男女グループだとか・・・

さあチケットを買おう、売り場に並んで・・片道23分かぁ。

 

僕「あれ?雪菜ちゃんは?」

雪沙「なんかとってるぅ〜」

雪巳「案内所だってー」

僕「初島の観光パンフか何かかな?」

雪菜「・・・・・初島の地図・・・です」

 

ええっと、港があってホテルがあって、

灯台があって植物園があってプールがあって・・・

冒険島って感じでわくわくしてきちゃう、宝は何だろう。

 

☆チケット売り場☆

僕「順番が来た!・・・大人1枚子供3枚で」

 

大人1000円ちょっと、子供500円ちょっとか、

さらに指定席が500円プラス・・・人多いし指定にしよう。

 

僕「すみません、それを全部指定席で」

 

受付のお姉さんが空席をチェックする・・・

出てきた、買えるみたいだ、さらに2000円上乗せして、と・・・

 

僕「さあ買えたよ」

雪巳「外もう並んでるよー?」

雪菜「フェリー待ってるみたい・・・です」

僕「大丈夫、指定席買ったから」

雪沙「まどぎわがいい〜〜」

僕「わかったからおとなしく待ってよう」

 

☆外の列☆

外の列はどんどん伸びてる、

僕らは待合所の室内で涼しくのんびり待つ・・・

 

雪菜「トイレ行ってくる・・・です」

雪沙「あ〜、れ〜すいだ〜のんでくるねぇ〜」

 

席を外す2人、

僕はぼーっと海を見つめる・・・

向こうからやってきたフェリー、あれかなぁ?

 

さわさわさわっ

 

僕「!!!」

 

ビクビクビクッ!と耳に何とも言えないくすぐったさが!

何だ?と思って隣を見ると、雪巳ちゃんが長い髪をつまんで、

僕の耳の中をくすぐってきていた!びっくりした・・・僕はあわてて耳をほじる。

 

雪巳「びっくりしたー?」

僕「い、いたずらするんじゃないって」

雪巳「・・・・・感じたー?」

僕「馬鹿言ってないで・・・」

雪沙「おふねきたよ〜」

 

戻ってきた雪沙ちゃんがフェリーを指さす、

ゆっくりゆっくり接岸した頃には雪菜ちゃんも戻ってきた。

・・・・・まだ耳をくすぐられた感触が残ってる、中1の髪って・・気持ちいいかも。

 

☆接岸☆

雪沙「のりにいかないのぉ〜?」

僕「まだ開いてないみたいだし、列がなくなってからで平気だから」

雪巳「制服のお姉さんがでてきたよー」

僕「ほんとだ、誰か呼んでるみたい」

雪菜「・・・別の列ができてる、です」

 

ちょっと耳を澄ませてみよう。

 

女性係員「初島ゴージャスホテルへご宿泊の方の列はこちらでーす・・・」

 

僕らだ!!

 

僕「行こう!」

雪沙「え〜〜?」

雪巳「やっぱりー?」

雪菜「急ぐ・・です」

僕「物とか落とさないようにね!」

 

☆船へ☆

もう乗り込みはじめてる、

まさかホテル宿泊客を先に入れるとは・・・

わざわざ指定席買う必要なかったかも、先に教えてくれよ・・・

 

女性係員「宿泊者の方ですか、お名前は・・・」

僕「はい、えっと・・・」

 

確か僕の名前で予約してあるはずだ、告げると

確認するお姉さん、ボードに宿泊予定者リストがあって、

僕の名前があるかチェックしてるってことは、船じゃなくてホテルの人なのかも?

 

女性係員「確認終わりました、では入船券をいただけますでしょうか」

僕「はい4人、あと指定席券が・・」

女性係員「そちらは結構です」

 

中で確認するのかな?

まあいいや、入ろう・・・思ったより広いな、

横幅は飛行機の座席の倍くらいありそうだ。

 

僕「指定席はどこだ・・どこだ・・・」

 

上かな?下は違うよな・・って一番前に来ちゃった。

 

☆特別室☆

僕「ここか!」

 

3人掛けの立派な椅子が4組、

12席限定の特別席だ、そしてここは船の一番前!

前面ガラス張りで、船の進行方向をゆっくり見ながらくつろげる。

 

雪巳「どの席ー?」

僕「席番は・・・1番から4番だ」

雪菜「こっち1番2番3番・・・こっちは4番5番6番・・・」

雪沙「どっちもいちばんまえだぁ〜」

僕「じゃあ雪巳ちゃんたちはそっちね、1番2番3番」

雪巳「えー、お兄ちゃんだけ別に座るのー?」

雪菜「窓際・・・座って・・・です」

雪沙「おにぃちゃんが窓際でいいよ〜?そのかわりゆきさ、そのとなりねぇ〜」

僕「う・・・もめるから駄目!ほら早く座って!他のお客さん来るよ?」

雪巳「はーい」

雪菜「はい・・・」

雪沙「ぢゃあゆきさ、まんなかぁ〜」

 

結局、1番の窓際は雪菜ちゃん、

その隣の2番席は雪巳ちゃんで、

通路側の3番席には雪沙ちゃん、

そして通路を挟んで4番には僕。

雪沙ちゃん、前を見ながらも僕をちらちら見てる。

 

雪沙「そのいす動かないのー?」

僕「え?回転はしないと思うけど」

雪沙「ちがうのぉ〜、詰められるぅ〜?」

僕「あ、間の通路が邪魔ってことか、無理だよ固定されてるもん」

雪沙「ん〜・・・ぢゃあがまんするぅ〜」

 

窓越しに見える船の外では船員が出航の準備をしてる、

う、なんかジロジロ見られてる・・・ちょっと恥ずかしいぞ。

後ろを見ると、一般客もこの特別席をじろじろ覗いてるし・・・

 

雪巳「あー、階段が外れたー」

雪菜「もう出るみたいです・・・」

雪沙「はやくつかないかなぁ〜〜」

僕「船員もみんな乗り込んだみたいだね」

雪巳「動くよーーー」

 

ピーーーーー!!!

 

汽笛とともに船がゆっくり進みはじめた、

23分後には初島だ、わくわくするな、船は旋回して・・・

大海原、といったら大げさだけど沖へと進んでいく、思ったより揺れないな。

 

雪沙「しぶきがあがってるぅ〜」

僕「あそこに大きい船が!」

雪菜「タンカー・・・乗ってみたい・・・です」

雪巳「あっちは釣り船だよー?」

僕「初島についたら釣りするのもいいね」

 

・・・・・しばらく乗っていて気がついた。

 

僕「そういえば・・・他にお客さん来ないな」

雪巳「これだけたってもこないなら、もうこないんじゃなーい?」

雪菜「貸切かも・・・です」

雪沙「ぢゃ〜窓際いくぅ〜」

僕「こらこら!まだ指定席チェックも終わってないのに」

 

ていうか、チェック来ないかも・・・

船員自体、外から覗いてきてただけだし。

まあ、来たら戻ればいいか・・・雪沙ちゃんは僕の真後ろの席へ、

雪菜ちゃんも雪巳ちゃんの真後ろへ、これで4人とも窓際に座った。

って言ってもまわりは海なんだから、大して変わった景色がある訳じゃ・・・

 

雪沙「・・・・・」

僕「わ!いつのまに隣に・・・」

雪沙「し〜〜〜〜〜!」

 

知らない間に僕の隣に移動してた雪沙ちゃん、

いつのまに・・・他の2人はそれに気付かず窓の外を見てる。

雪沙ちゃんは黙ったまま僕の胸にもたれてゴロゴロ甘え放題・・・

 

雪沙「〜〜〜♪」

 

首筋に腕までかけてきて!

あ、ちゅ〜される!ちゅ、ちゅ〜〜〜って!!

 

むぎゅ!

 

雪沙「いたぁ〜い!みみちぎれるぅ〜」

雪菜「・・・お兄ちゃんに迷惑かけちゃ・・駄目」

僕「はは・・・おとなしくしてようよ」

雪沙「も〜〜〜」

雪巳「あー、島が見えてきたー」

 

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