
雪沙「ついたぁ〜〜」
雪菜「まぶしい・・・」
雪巳「いい天気だねー」
僕「港まで結構歩くな・・・タクシー乗ろうか」
雪巳「歩こうよー」
雪菜「歩ける・・・です」
雪沙「おみやげやさんもみてく〜」
まだ午前10時ちょっとなのにお土産やさん結構開いてるみたいだ、
それをちらほら見ながら港へと続くアーケード街をみんなで歩いて行く。
僕「海産物が多いね」
雪巳「漬物もあるよー」
雪菜「マクドナルドも・・・あるです」
雪沙「コンビニもあるよ〜」
僕「そりゃそうだ、普通の街なんだもん」
観光地っていっても、ちゃんとした市だもんな。
パチンコ屋だってあるし・・・マンションがやけに多いな。
僕「そういえばニュースでやってたね、
古いホテルがいっぱい潰れてマンションになってるって」
雪巳「住む人いっぱいいるのー?」
僕「うん、横浜まで通勤圏内だし、それに温泉付きマンションだし」
雪菜「うらやましい・・・お風呂いっぱい入れて・・・」
雪沙「ぢゃ〜ここにべっそ〜もと〜よ〜」
僕「はは、そんなこと僕に言われても」
それにしても急な下り坂が続く、
楽といえば楽だけど車とか急に来たら恐いな。
雪沙「あんないひょ〜しき〜」
僕「このまま真っ直ぐ行くと海で、そっから右がフェリー乗り場か」
雪巳「その先はロープウェイだってー」
雪菜「熱海城が・・あるです・・・」
雪沙「おにぃちゃ〜ん、これなんてよむの〜?」
僕「ええっと・・・秘宝館・・・ひほうかん!?」
なんでお城の隣に秘宝館があるんだ!
雪沙「ひほ〜かんってどんなのぉ〜?」
僕「そ、それは・・・大人のお城だよ」
雪沙「え〜ゆきさはいれないのぉ〜?」
僕「うん・・さ、いこいこ、フェリー乗り場へ!」
雪菜「ロープウェイ・・・乗ってみたい・・・」
僕「か、帰りに暇があったらね!」
雪巳「おにーちゃん汗かいてるー」
僕「あ、海が綺麗だよ、ほら!!」
ざざ〜〜〜っ、と波の音が聞こえる!
眩しい太陽に照らされて、本当に美しい・・・
雪巳「おっきい船がみえるー」
雪菜「お魚・・・釣ってる人がいっぱい・・・です」
雪沙「しまどこぉ〜?と〜くにみえるあそこ〜?」
僕「あそこかな?楽しみだね」
雪菜「フェリー乗り場・・・あそこです・・・」

海に沿って行けばいいようだ、
長い釣竿で魚を狙ってる人いっぱいいるな、
初島ついたら釣りはどうしよう、竿とか貸してもらえるはずだけど・・・
雪沙「ねぇねぇおにぃちゃ〜ん、はつしまってなにがあるのぉ〜?」
僕「確かホテルに民宿に後は植物園にプールにゴーカートに・・・」
雪沙「なにしてあそべるのぉ〜?」
僕「釣りでしょ、スキューバに、もちろん泳ぎに、後は・・・」
雪菜「・・・木陰でゆっくり本読んでるだけでも・・・いいです」
僕「雪菜ちゃんにはそれが似合いそうだね」
雪巳「お店ってあるのー?こっちで買ってかなくていいー?」
僕「スーパーが軽くあって、後はホテルの中で大体揃ってるみたいだよ」
雪巳「足りないのあったら私だけでもこっち戻って買ってくるよー?」
僕「ありがとう、まあ大丈夫だとは思うけどね」
と言っているうちにフェリー乗り場に到着だ、
人は結構いる、夏休みだし、お盆前だもんな。
でも客層は釣り目的メインのおじさんが多い感じ、
後は普通に家族連れとか男女グループだとか・・・
さあチケットを買おう、売り場に並んで・・片道23分かぁ。
僕「あれ?雪菜ちゃんは?」
雪沙「なんかとってるぅ〜」
雪巳「案内所だってー」
僕「初島の観光パンフか何かかな?」
雪菜「・・・・・初島の地図・・・です」
ええっと、港があってホテルがあって、
灯台があって植物園があってプールがあって・・・
冒険島って感じでわくわくしてきちゃう、宝は何だろう。

僕「順番が来た!・・・大人1枚子供3枚で」
大人1000円ちょっと、子供500円ちょっとか、
さらに指定席が500円プラス・・・人多いし指定にしよう。
僕「すみません、それを全部指定席で」
受付のお姉さんが空席をチェックする・・・
出てきた、買えるみたいだ、さらに2000円上乗せして、と・・・
僕「さあ買えたよ」
雪巳「外もう並んでるよー?」
雪菜「フェリー待ってるみたい・・・です」
僕「大丈夫、指定席買ったから」
雪沙「まどぎわがいい〜〜」
僕「わかったからおとなしく待ってよう」

外の列はどんどん伸びてる、
僕らは待合所の室内で涼しくのんびり待つ・・・
雪菜「トイレ行ってくる・・・です」
雪沙「あ〜、れ〜すいだ〜のんでくるねぇ〜」
席を外す2人、
僕はぼーっと海を見つめる・・・
向こうからやってきたフェリー、あれかなぁ?
さわさわさわっ
僕「!!!」
ビクビクビクッ!と耳に何とも言えないくすぐったさが!
何だ?と思って隣を見ると、雪巳ちゃんが長い髪をつまんで、
僕の耳の中をくすぐってきていた!びっくりした・・・僕はあわてて耳をほじる。
雪巳「びっくりしたー?」
僕「い、いたずらするんじゃないって」
雪巳「・・・・・感じたー?」
僕「馬鹿言ってないで・・・」
雪沙「おふねきたよ〜」
戻ってきた雪沙ちゃんがフェリーを指さす、
ゆっくりゆっくり接岸した頃には雪菜ちゃんも戻ってきた。
・・・・・まだ耳をくすぐられた感触が残ってる、中1の髪って・・気持ちいいかも。

雪沙「のりにいかないのぉ〜?」
僕「まだ開いてないみたいだし、列がなくなってからで平気だから」
雪巳「制服のお姉さんがでてきたよー」
僕「ほんとだ、誰か呼んでるみたい」
雪菜「・・・別の列ができてる、です」
ちょっと耳を澄ませてみよう。
女性係員「初島ゴージャスホテルへご宿泊の方の列はこちらでーす・・・」
僕らだ!!
僕「行こう!」
雪沙「え〜〜?」
雪巳「やっぱりー?」
雪菜「急ぐ・・です」
僕「物とか落とさないようにね!」

もう乗り込みはじめてる、
まさかホテル宿泊客を先に入れるとは・・・
わざわざ指定席買う必要なかったかも、先に教えてくれよ・・・
女性係員「宿泊者の方ですか、お名前は・・・」
僕「はい、えっと・・・」
確か僕の名前で予約してあるはずだ、告げると
確認するお姉さん、ボードに宿泊予定者リストがあって、
僕の名前があるかチェックしてるってことは、船じゃなくてホテルの人なのかも?
女性係員「確認終わりました、では入船券をいただけますでしょうか」
僕「はい4人、あと指定席券が・・」
女性係員「そちらは結構です」
中で確認するのかな?
まあいいや、入ろう・・・思ったより広いな、
横幅は飛行機の座席の倍くらいありそうだ。
僕「指定席はどこだ・・どこだ・・・」
上かな?下は違うよな・・って一番前に来ちゃった。

僕「ここか!」
3人掛けの立派な椅子が4組、
12席限定の特別席だ、そしてここは船の一番前!
前面ガラス張りで、船の進行方向をゆっくり見ながらくつろげる。
雪巳「どの席ー?」
僕「席番は・・・1番から4番だ」
雪菜「こっち1番2番3番・・・こっちは4番5番6番・・・」
雪沙「どっちもいちばんまえだぁ〜」
僕「じゃあ雪巳ちゃんたちはそっちね、1番2番3番」
雪巳「えー、お兄ちゃんだけ別に座るのー?」
雪菜「窓際・・・座って・・・です」
雪沙「おにぃちゃんが窓際でいいよ〜?そのかわりゆきさ、そのとなりねぇ〜」
僕「う・・・もめるから駄目!ほら早く座って!他のお客さん来るよ?」
雪巳「はーい」
雪菜「はい・・・」
雪沙「ぢゃあゆきさ、まんなかぁ〜」
結局、1番の窓際は雪菜ちゃん、
その隣の2番席は雪巳ちゃんで、
通路側の3番席には雪沙ちゃん、
そして通路を挟んで4番には僕。
雪沙ちゃん、前を見ながらも僕をちらちら見てる。
雪沙「そのいす動かないのー?」
僕「え?回転はしないと思うけど」
雪沙「ちがうのぉ〜、詰められるぅ〜?」
僕「あ、間の通路が邪魔ってことか、無理だよ固定されてるもん」
雪沙「ん〜・・・ぢゃあがまんするぅ〜」
窓越しに見える船の外では船員が出航の準備をしてる、
う、なんかジロジロ見られてる・・・ちょっと恥ずかしいぞ。
後ろを見ると、一般客もこの特別席をじろじろ覗いてるし・・・
雪巳「あー、階段が外れたー」
雪菜「もう出るみたいです・・・」
雪沙「はやくつかないかなぁ〜〜」
僕「船員もみんな乗り込んだみたいだね」
雪巳「動くよーーー」
ピーーーーー!!!
汽笛とともに船がゆっくり進みはじめた、
23分後には初島だ、わくわくするな、船は旋回して・・・
大海原、といったら大げさだけど沖へと進んでいく、思ったより揺れないな。
雪沙「しぶきがあがってるぅ〜」
僕「あそこに大きい船が!」
雪菜「タンカー・・・乗ってみたい・・・です」
雪巳「あっちは釣り船だよー?」
僕「初島についたら釣りするのもいいね」
・・・・・しばらく乗っていて気がついた。
僕「そういえば・・・他にお客さん来ないな」
雪巳「これだけたってもこないなら、もうこないんじゃなーい?」
雪菜「貸切かも・・・です」
雪沙「ぢゃ〜窓際いくぅ〜」
僕「こらこら!まだ指定席チェックも終わってないのに」
ていうか、チェック来ないかも・・・
船員自体、外から覗いてきてただけだし。
まあ、来たら戻ればいいか・・・雪沙ちゃんは僕の真後ろの席へ、
雪菜ちゃんも雪巳ちゃんの真後ろへ、これで4人とも窓際に座った。
って言ってもまわりは海なんだから、大して変わった景色がある訳じゃ・・・
雪沙「・・・・・」
僕「わ!いつのまに隣に・・・」
雪沙「し〜〜〜〜〜!」
知らない間に僕の隣に移動してた雪沙ちゃん、
いつのまに・・・他の2人はそれに気付かず窓の外を見てる。
雪沙ちゃんは黙ったまま僕の胸にもたれてゴロゴロ甘え放題・・・
雪沙「〜〜〜♪」
首筋に腕までかけてきて!
あ、ちゅ〜される!ちゅ、ちゅ〜〜〜って!!
むぎゅ!
雪沙「いたぁ〜い!みみちぎれるぅ〜」
雪菜「・・・お兄ちゃんに迷惑かけちゃ・・駄目」
僕「はは・・・おとなしくしてようよ」
雪沙「も〜〜〜」
雪巳「あー、島が見えてきたー」
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