タクシーでジーンズメイトへやってきた。

昼間は店員さんもちょっと多目なんだな、女性店員ばかり・・・

水着売り場はどこだっけ・・・あった、カップルがいちゃついてる。

 

雪巳「どれもいいなー」

雪菜「サイズが・・・わかりにくい・・・です」

雪沙「もっとちっちゃいのどこー?」

僕「ええっと・・あ、店員さん!この子たち見てあげてもらえます?」

店員「いいですよー」

僕「じゃあ僕は他を見てるから、好きなの選んでね」

雪巳「えー、お兄ちゃん選んでくれないのー?」

雪菜「色とか・・・何色が・・・ですか・・・お兄ちゃん・・・」

雪沙「おにぃちゃんみずぎつけてくれないの〜?」

僕「こらこら!好きなのでいいから、自由に選んで!僕はお金払うだけだから!店員さんお願い!」

店員「はい、終わったらお呼びいたしますので」

 

僕は靴下でも買おう・・・

パンツ、はいいや、帽子・・・

日差し強そうだよな、1つ買うかな・・・

 

雪巳「これサイズ小さいよー」

雪菜「あの・・これの色ちがい・・・あるですか・・・」

雪沙「ちょっとおおきいけどこれでいいかな〜?」

 

好きに選んでるな・・・

確かに恋人同士なら選んであげたいけど、

9月にあの子たちと別れてから、僕が選んだ水着を着るのは複雑だろうし・・・

 

僕「・・・別れてからでも挨拶し合える仲ではいたいかな」

 

そうだよな、もう夏休みは半分過ぎてるんだ、

初島から帰れば残り2週間・・・別れを意識し始める頃だ、

ずっとこの生活が続く訳ないし、続けてはいけないんだと思う。

 

僕「・・・・・あの子たちが本当の妹だったらなぁ・・・」

 

妹だったら・・・欲情しなくて済むし。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・多分。

 

雪巳「ねーお兄ちゃーん、試着するから見にきてー」

僕「い、いいよ!忙しいから!」

 

あー忙しい忙しい、

Gパン買おうかな〜・・・

こっちは・・・ベルトがいっぱい、1本買おうか・・・

 

雪沙「あ〜はずれちゃった〜」

雪巳「雪菜、おっぱいちょっとおおきくなったー?」

雪菜「かもしれない・・・」

 

ベルトベルトベルト!!

 

ガチャガチャガチャガチャッ!!

 

僕「あ!・・・全部落ちちゃった」

 

戻さなきゃ・・・・・

 

 

 

雪沙「おにぃちゃ〜ん、おわったよぉ〜?」

僕「そ、そう・・・」

雪巳「レジしてるよー?」

僕「もう?わかった、待って待って」

雪菜「お兄ちゃんも・・・買った・・・ですか」

僕「海水パンツじゃないけどね」

 

レジを済まして、っと・・・

あれ?三姉妹の水着は?もう袋に包まれちゃってるっぽい、

結局見なかったな、まあいいか、初島行ってから着た姿を見せてもらおう。

 

店員「2万8350円になります」

僕「じゃあカードで・・・」

店員「かしこまりました」

 

僕のは別の袋に包まれる、

丁度いいや。水着の袋は雪巳ちゃんに渡して・・・

 

雪巳「ありがとー」

雪菜「ありがとう・・・です」

雪沙「ありがとぉ〜だいすきぃ〜」

僕「はは、初島楽しみだね」

雪巳「うんー、はやく泳ぎたーい」

 

会計を終わらせて店を出た、

タクシーに乗って・・・あ、そうだ!!

 

僕「すみません、駅前まで」

雪沙「おひるごはん〜?」

雪菜「炊いたお米・・・あまっちゃう・・・です」

僕「違うよ、ちょっと買い物」

雪巳「あと何がいるのー?浮き輪ー?」

僕「違うよ、明日の切符」

雪巳「そっかー、電車だもんねー」

 

夏休みだから当日の切符売り場、混みそうだもんな。

こういう子たちに長く待たせるのは良くない、ついでに帰りの切符も買っておこう。

 

 

 

僕「駅が見えた」

雪菜「行列・・・できてる、です」

僕「ほんとだ、緑の窓口にいっぱい、スロープもできてる」

雪沙「じかんかかっちゃう〜」

僕「うーん・・・でも当日はもっと混むだろうしな」

雪巳「みんなでならぼーよー」

僕「とりあえず降りよう、運転手さん、そこで」

 

代金を支払い降りて、

みどりの窓口の列につく・・・

 

僕「30分以上はかかりそうだね」

雪沙「あつい〜〜」

雪巳「中に入るのに30分かかりそー」

僕「30分待つのはつらいか・・・先に帰る?」

雪菜「一緒に・・・並ぶ・・・です」

 

買った水着の袋を覗き込んでる雪菜ちゃん、

雪巳ちゃんは背伸びして列の最前列を覗いている、

雪沙ちゃんはあっちこっちをキョロキョロ・・・目が止まった!?

 

雪沙「おいしそ〜〜」

僕「どれどれ・・・あそこ?31アイス」

雪沙「うん〜♪」

僕「暑いし、あそこで涼んでくる?みんなあそこで待ってるといいよ」

雪菜「私は・・・残る・・・です」

雪巳「食べるんだったら買ってくるよー?」

僕「うーん・・・そうだな・・・」

 

甘いかも知れないけど、

暑い中、一緒に並んでくれるんだから・・・

 

僕「じゃあ4人分買ってきて、えっと・・・2000円で足りるよね?はい」

雪巳「雪沙なんにするー?」

雪沙「んっと〜・・・いっしょにいってきめる〜」

雪巳「雪菜はー?」

雪菜「・・・お兄ちゃんと一緒、で、いい・・・」

雪巳「お兄ちゃんはー?」

僕「んー・・・そうだな、適当でいいよ」

雪巳「わかったー、雪沙いこー」

雪沙「いってくるねぇ〜」

僕「あっ、車に気をつけて!!」

 

並ぶ列が少しずつ進む、

考えてみれば明日から帰省ラッシュだったよな、

帰りも16日だから・・・指定席は望み薄かも知れない。

 

雪菜「お兄ちゃん・・・」

 

きゅっ、とさりげなく手を握ってきた!

雪巳ちゃん雪沙ちゃんは31アイスクリームのお店の中・・・

 

雪菜「ちょっとだけでも・・・こうしてたい・・・です」

僕「そそそそそ、そう・・・うん、い、いい、よ・・・」

 

とはいえ、これだけ人が並んでるところで・・・

誰に見られてるかわからない、き、緊張するなぁ、どきどき・・・

手のひらが、もう汗ばんできちゃった・・・一緒にお風呂入る仲なのに、手繋いだだけで・・・

 

雪菜「旅行、楽しみです・・でも・・・」

僕「心配でもあるの?」

雪菜「ふたりっきりに、なれる、チャンスが・・・少なくなりそう、です」

僕「そう・・そうかも、ね」

雪菜「いつもも・・なかなか、ふたりっきりに、なれなくって・・・」

 

そうか・・・そうだったっけ。

雪菜ちゃんは真面目だから手が空くとすぐ仕事を探しちゃうもんな、

2人っきりになりたいシグナルも出してたかも知れないけど、気付いてあげられなかったかも。

 

雪菜「お兄ちゃん・・・夏休みが終っても・・・会って・・くれます・・・か」

僕「ええっと、えっと・・・」

 

僕の胸におでこをつけ、小声でつぶやく。

 

雪菜「恋人どうしなら・・・会えますよ・・・ね」

僕「ちょ、ちょっと、こんな所で・・・」

雪菜「・・・・・もっと大きい声で、言う・・です・・・よ」

 

これはまさか、脅してる、のか!?

 

僕「あ、後で聞くから!」

雪菜「いま・・ききたい、です」

僕「ちゃんと考えるから!考えてるから!!」

 

恐い・・・

繁華街のど真ん中で貞子を見た気分だ。

 

雪菜「・・・・・」

僕「えっと・・・落ち着いて」

雪菜「・・・・・・・・・・好き」

 

列の前後を見れない・・・

 

後ろのおばさん「ほら、前進んでるよ!」

僕「あ、はいっ!!」

 

雪菜ちゃんを引っ張って前へ!

あ、雪菜ちゃん泣きそう・・って僕も泣きそうだよ。

 

雪巳「ただいまー」

雪沙「はぁ〜い、おにぃちゃん♪」

僕「わ!・・ありがとう、いただくよ」

雪沙「ゆきなおねぇちゃんも〜」

雪菜「・・・・・うん」

 

アイス甘い・・・

冷たくっておいしいけど、

もうたっぷり涼んじゃったからなぁ・・・はは・・・

 

 

 

駅員「お待たせいたしました」

僕「ええっと、明日朝発の熱海行き新幹線と、16日熱海発の午後、折り返しを指定で大人2枚子供2枚・・・」

駅員「・・・こだま号でしたら朝9時7分発で喫煙席なら4席開いていますが」

僕「喫煙席だって、タバコ、どう?」

雪巳「がまんするよー?」

雪菜「座れるなら・・いい・・・です」

雪沙「へっちゃらぁ〜」

僕「じゃあ、それで」

駅員「はい・・・帰りは全て埋まっていますね」

僕「そうですか・・・じゃあとりあえず行きだけでいいです」

 

帰りは帰りでまた考えよう。

 

僕「・・・・・支払い完了、切符ももらったし・・・帰ろう」

雪巳「ねー、お金もったいないからバスで帰ろうよー」

僕「でもバス待つの暑いよ?」

雪菜「がまんできる・・・です」

雪沙「おかねつかいすぎるのだめ〜〜〜」

 

気にかけてくれてるのか、

それなら無理にタクシーよりバスのがいいな。

 

僕「よし並ぼう、そのかわりアイスはもうないよ」

雪巳「2本はお腹こわすからいいよー」

雪菜「おいしかった・・・です」

雪沙「バスがくるまでおはなししよ〜」

僕「あ!もう来ちゃった、お話はバスの中でね」

 

・・・・・明日の旅行、大丈夫かな・・・雪菜ちゃんが・・・こわい。

 

 

 

 

 

夕食とお風呂が終わり、

みんなで明日の準備・・・

リュックに入れる着替えの量も多目だ。

 

僕「パジャマは持っていかなくていいよ、向こうに浴衣があるから」

雪沙「ぱうだ〜はまだいれないね〜」

僕「明日の朝使うからね」

雪菜「小説・・・どれ持って行くか迷う・・・です」

雪巳「水着はまとめて私のリュックに入れとくねー」

僕「後は・・・こんな所だな」

 

4人分の着替えだけでも結構重い、

いっそ大きい、車輪付きの旅行カバンにすればよかったかも、

でも海外行く訳じゃないし、帰りの荷物は宅急便にすればいいし。

 

僕「さあ、寝坊しないようにもう寝るよ、

ちゃんと寝なきゃいけないからみんな自分の寝室に戻って!」

雪巳「はーい、おやすみー」

雪菜「おやすみなさい・・・です」

雪沙「お〜や〜す〜みぃ〜〜〜なさぁ〜〜〜い♪」

僕「なぜ歌う!!」

 

・・・・・それだけ楽しみなんだろうな。

僕も僕で、覚悟して行った方がいいだろう、

あの子たちの事をどう思っているか、どうしたいか・・・

 

僕「結論出せるように、努力しよう」

 

ちょっと恐いけど・・・

さあ、寝るぞ!目覚ましセット・・はもうされてる、

いつのまに!それでは・・・おやすみなさーい・・明日は泳ぐぞ〜〜・・・

 

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