結局、心配になったのか三姉妹みんな集まってきた。

浮かない顔の原因はこれだったのか、青ざめるはずだよ、

しかも隠してたなんて・・・怒られるとでも思ったんだろうか。

 

雪巳「ずっと熱いままなのー」

雪菜「うなされてる・・・です」

雪沙「ママびょ〜いんつれてってくれないの〜」

僕「それは酷いな・・それよりまた汗をふかなくちゃ」

雪巳「お水のませるー?」

 

ぴんぽ〜ん

 

来た!来てくれた!

 

美鈴「急患はどこー?」

僕「あ!こっちです、こっち!」

 

ひとしきりお医者さんセットを持ってきてくれてる、

かなり急いできてくれたみたいで息を切らしている・・・

 

美鈴「・・・辛そうね」

僕「はい・・・」

美鈴「どれどれ・・・」

 

隆幸くんの口をあけると、

ペンライトみたいなので中を覗き込んで・・・

 

僕「そろそろ氷まくら出来る頃なんで取ってきます」

美鈴「お願い」

雪巳「隆幸たすかるよねー?」

美鈴「診察中は黙ってて!」

雪巳「・・・・・」

 

台所の冷凍庫をあけて・・・

まだ3分の2程度しか固まってないけど、

逆にこれくらいのやわらかさが丁度いいかも。

 

僕「持ってきました」

雪巳「それをバスタオルで巻いて」

僕「はい」

 

あわただしい・・・

ナースの苦労がちょっとわかる。

よし、こんなもんでいいだろう、完了!

 

僕「どうぞ」

美鈴「ありがと・・・じゃあ熱を測るわね」

僕「はい・・・」

 

電子体温計を挟ませる・・・

真剣な表情の美鈴ねえさん。

はたして隆幸くんの運命やいかに・・・!!

 

美鈴「風邪じゃあないわね、これは日射病」

僕「えっと、じゃあ救急車は・・・」

美鈴「あと軽く脱水症状も見られるけど、一晩眠れば良くなるわ」

僕「本当ですか!?」

美鈴「ええ、でも今晩は安静にね」

 

よかったぁ〜〜〜・・・

三姉妹も安堵の表情に包まれている。

 

美鈴「弟クン、ポカリ買ってきて」

僕「へ?ポカリ?ポカリって・・・」

美鈴「大塚製薬のポカリスエット、知らない?」

僕「もちろん知ってますけど・・・」

美鈴「早く!この子を楽にしてあげたいなら、今すぐ!」

 

言われたままサイフを持って外へ!

あっつい・・・あちい・・・こりゃ太陽が出てたら日射病にでもなるよ。

ついでにガリガリくん買いたいけど、今はそんな事してる場合じゃないからな。

 

 

 

☆ポカリ☆

僕「買ってきました」

美鈴「そんなに?2本で3リットルね」

僕「多過ぎました?」

美鈴「ま、余って困るもんじゃないでしょ?雪菜ちゃんコップ」

雪菜「はい・・・」

 

ポカリをコップにそそいで、

隆幸くんをゆっくり抱きかかえて、

コップを傾けて、チビチビと飲ませている・・・

 

美鈴「これでもう安心よ」

僕「そんなもんですか?」

美鈴「ええ、そんなもんよ」

雪沙「ぢゅ〜すなのにぃ〜?」

美鈴「ジュースっていっても点滴に一番近いスポーツドリンクよ」

 

コク、コク、とゆっくり飲み込む隆幸くん。

表情が少し安らいだようだ、ゆっくり体を布団に戻す。

そして体温計を抜いて数値を確認すると聴診器とかと一緒にしまって立ち上がる美鈴ねえさん。

 

美鈴「はい終了、汗はこまめに拭いてあげてね」

僕「え・・・帰るんですか?」

美鈴「明日の朝にはケロッとしてるはずだから」

雪巳「ほんとにー?」

雪菜「ありがとう・・・です」

雪沙「よかったぁ〜」

美鈴「そうだ、雪沙ちゃんにあげたベビーパウダーつけてあげて」

僕「本当にすみません・・・感謝します」

美鈴「あ、そーだ、車にプレゼントあるから降りてきて、弟クンだけね」

 

玄関を出て階段を降りエレベーター・・・

またお説教かな、でも今日は何を言われても仕方ない・・・

 

美鈴「・・・あの子たちには、よーく言っておいたから」

僕「何を・・・ですか?」

美鈴「隠してたでしょ、あの子のこと」

僕「ええ、まあ」

美鈴「そうよね、おじやが乾いてるのに君の電話が遅かったから、どうせ君に隠して連れ込んだんでしょって思って」

 

・・・・・コナンくん並みの推理力だ!ちょっと鳥肌立っちゃった。

 

美鈴「私がしかっておいた分、君は叱らないでおいてあげてね」

僕「え?・・・は、はあ・・」

美鈴「弟クンに叱らせると、あの子たち、下手するとトラウマになっちゃうから」

僕「・・・僕ってそんなに恐いですか?」

美鈴「逆よ、いつもやさしいから。それに・・・今一番好きな異性だから、家族抜きで」

 

駐車場の、美鈴ねえさんの車についた。

 

美鈴「・・・はい、これ」

僕「これ・・・筒?・・海苔?」

美鈴「お中元じゃないわ、也幸くんへのお礼」

僕「お礼・・・?」

美鈴「そ、三毛猫のオスちゃんのおかげで40万円もらっちゃったから」

 

ゴソゴソと袋を開けて中の筒を見ると・・・

 

僕「肝油ドロップだ!」

美鈴「そう、食べすぎないように注意させてね」

僕「わかりました、責任持って也幸くんに渡します」

美鈴「・・・他の兄弟に取られちゃいそうねー」

僕「じゃあ、雪沙ちゃんに渡して管理させます」

美鈴「それがいいわね。じゃ、また何かあったら携帯に電話ちょうだい」

僕「はい、急いで来てくれてありがとう、ごめんなさい」

美鈴「いいのいいの〜じゃあね〜〜」

 

ブロロロロロロ・・・

 

・・・・・急いで帰ってった。

う〜ん・・・あ、雪香のこと相談にのって欲しかったかも・・・

まあいいか。暑いから早く家に戻ろう、ポカリの残りを飲ませてもらうとするか。

 

 

 

 

隆幸くんの所へ戻る・・・

 

僕「わ!」

雪菜「きゃ・・・」

僕「ご、ごめん!」

 

着替えてるとこだった、

忘れてたよ、三姉妹の寝室だってこと・・・

いくら一緒にお風呂入ったり誘惑したりしてても、

着替えをふいに見られるのは恥ずかしいんだよな、

僕にはなぜその場合だけが恥ずかしいのか理解できないけど、

恥ずかしがってるもんは仕方ない・・と廊下の壁に背をつけながら自己嫌悪。

 

雪菜「もう・・・だいじょうぶ・・・です」

僕「うん、ごめん・・・」

雪菜「・・・・・」

 

眼鏡の下は赤らめた顔・・・

それより隆幸くんだ!って・・・

 

僕「雪沙ちゃん、なにしてんの!」

雪沙「ぱうだ〜つけてるの〜」

僕「だからって・・・」

 

隆幸くんの上半身は掛け布団がかけてあって、

下半身は全て脱がされて、おちんちん丸見え・・・

そこにくまなくベビーパウダーをつけてあげてる雪沙ちゃん。

 

雪沙「おしりもぉ〜」

 

・・・隆幸くん、なんとなく哀れだ・・・

 

雪巳「隆幸のごはん、台所に片付けてきたよー」

僕「じゃあ三人で朝まで隆幸くんの面倒見てあげてね」

雪沙「ゆきさはもうねるぅ〜」

雪菜「おにぃちゃん・・・その・・・あの・・・」

僕「おやすみ。僕は1人で寝るから!心配しないで!」

 

ポカリを1本貰い自分の部屋に戻る・・・

肝油ドロップも持ったまま・・これは明日でいいか。

今度はちゃんと寝れそうだ、それにしても変な勘違いしちゃったな・・・

 

僕「三姉妹が怯えてたのは、隆幸くんを隠してたからか・・・」

 

アレじゃなくって良かった。

いや、良かったとか良くないとかいう問題じゃないけど・・・

明日から三姉妹も、僕に対して普通に接してくれるはずだ、多分。

 

コンコン

 

僕「・・・誰?」

雪菜「お兄ちゃん・・・」

僕「どうしたの?もう寝るよ?」

雪菜「・・ごめんなさい」

僕「弟を思っての事だよね?気にしてないから」

雪菜「それと・・・ありが・・・とう」

僕「うん、おやすみ、隆幸くんをよろしくね」

雪菜「・・・・・・・・・はぃ」

 

最後の語尾は消えそうな、か細い声・・・

気疲れもしたんだろう、僕だってしたよ・・・

でも、おかげて雪香にむかついた事なんて、どっか行っちゃった。

 

僕「明日になれば、また三姉妹の明るい笑顔が・・・見れる・・は・・・ず・・・」

 

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