☆生ハムメロン☆

生ハムメロンをテーブルの端に追いやる。

 

雪香「ん〜、雪巳たち、ほんっとにアンタのこと好きだと思う?」

僕「ななな、なにを・・・それにあの子たちは、お手伝いに・・!!」

雪香「かなーり無理してると思うんだよねー、好きなフリしてるのって」

僕「フリってなんだよフリって」

雪香「お金のために甘えるの、雪巳たちの年で覚えて大変だなーって」

 

・・・・・なんか心がチクチクしてきた。

 

雪香「ほらー私はもうゴキゲン取るの慣れたけどー」

僕「あの子たちはお前とは違う!」

雪香「そんな訳ないっしょー、妹の事は私が一番知ってんだからー」

僕「全然家に帰ってないくせに」

雪香「じゃあ、アンタはどれだけ知ってんのさ?所詮他人じゃん?」

 

ぐい、とお茶を飲む雪香。

 

僕「・・・他人だけど・・・でも、あの子たちの気持ちは・・・目を見れば・・・」

 

ぶ〜〜〜〜〜っっっ!!!

 

僕「うわ!きたなっ!!」

雪香「ごめ〜ん、あんまアンタがぬるい事言うからふいちゃった」

僕「なんちゅうことを・・・あ〜あ」

 

せっかく汗だくのシャツがかわいたのに・・・今度はお茶で!

 

雪香「ほらほら、顔洗ってきなよハンカチ貸したげるからさ」

僕「もう・・・タオルはないのかよ」

雪香「ハンカチでいいっしょ、ほらほら!ついでに自分の目もよーく見て考えてきな!」

 

奪い取るようにハンカチを貰ってトイレへ・・・

 

 

 

ジャー・・・

 

僕「・・・とりあえず首から上はこれでいいだろう」

 

ハンカチで顔と頭をふく、

なんかこのピンクのハンカチ、いい匂いするな、

このまま返すのも何だか悪い・・・訳ないか、こんな目にあったんだし。

 

僕「シャツは帰って洗濯だな」

 

鏡の自分を見る・・・

・・・・・うん、やましい事はないはずだ、

雪巳ちゃんたちもきっと、信じられる・・・はず、だ、うん。

 

僕「惑わされないぞ・・・」

 

目の前にいる自分にそう言い聞かしてトイレを出る。

 

僕「えっと・・・席はここのはず、だよ・・な・・あれ?」

 

☆残念でした〜☆

テーブルの上には綺麗にたいらげられたメロンの皮が2つ・・・

そして、誰もいない・・・雪香は?女子トイレ?いや、これは・・・

 

店員「お連れ様、帰られましたが」

僕「・・・・・あんのやろ〜〜〜!!」

 

またやられたか!!

しかも、僕の分の生ハムメロンまで!!

って、なんてスピードで食い尽くしたんだ!?

逃げ足も速い・・・全て計算尽くなのか?むかつく!!

さんざんもったいつけて、あれだけ言っておいて、逃げやがって!!

 

僕「ハンカチで油断した!くそっ!!」

 

伝票をつかんで会計に向かう。

まったくもう・・・あー腹が立つ!

自分にもむかついてくるよ!まんまと騙されて!!

 

 

 

 

 

僕「・・・・・ただいま」

雪沙「あっ・・・お、おかえりなさぁ〜〜い」

僕「うん・・・ん?」

 

ちょっと様子が変だ、

焦っているというか戸惑っているというか・・・

そっか、僕がイライラして帰ってきたからだな、安心させなきゃ。

 

僕「さっき雪香ちゃんに騙されて、昼食おごらされてさ」

雪沙「そ〜なんだぁ〜」

僕「お風呂入ってくるよ、もうお湯入ってるよね?」

雪沙「う、う、うん〜・・・おせなかながすよ〜?」

僕「いいよ、それより洗濯お願い」

 

廊下を進む・・・

雪菜ちゃんが三姉妹の部屋から出てきた、

表情が硬い、まだ僕は怒った表情してるんだろうか。

 

僕「お風呂入ってくるよ」

雪菜「はいっ!・・・・・ですっ!」

僕「そんなに緊張しないで」

 

ビクビクしてる・・・

どうしよう・・・う〜ん・・・そうだ

 

僕「一緒に、入る?」

雪菜「ばんごはん、つくらないと、いけない、です!」

僕「そっか・・ごめん」

 

すかされちゃった、ちょっとショボン。

脱衣所に入り、洗濯機に雪香のハンカチを入れる、

そして濡れた僕のシャツ・・・ズボンも、パンツも・・・

 

僕「・・・・・雪香め」

 

いけないいけない、早く忘れよう。

まずはシャワーで頭を洗おう・・・お風呂場に入って・・・

 

きゅっ、きゅっ・・・シャー・・・

 

気持ちいい・・・

ちょっと泣きそうなくらいの悔しさも洗い流そう・・・

雪巳ちゃんたちが、僕を騙してる、好きでもないのに、って・・・

そりゃ確かに関係としてはメイドと主人だけど、それだけじゃないはずだ、

いや、恋愛感情抜きにしても、僕はあの子たちを・・・・・どうしたいんだ?僕は?

 

僕「夏休みだけ、預かってる・・・んだよな?」

 

そろそろ僕の意思をはっきりするべきか・・・

いや、そろそろも何も僕は一貫して立場を崩していないはずだ、

あの子たちを一時保護しつつメイドとしても雇っている一石二鳥・・・

最初のほうであの子たちの意思もちゃんと確認したし、恐いくらいなついてくれてる、

雪菜ちゃんなんて愛の告白してくれたし・・もちろん雪巳ちゃんと雪沙ちゃんだって・・・でも・・・

 

僕「さっきの態度、ちょっと気になる・・・」

 

あの子たちが超積極的なのは、僕が拒むのを見越して・・・?

だったら僕のほうから超積極的に行ったら、恐がって嫌がるんだろうか?

さっきの雪菜ちゃんなんて、そんな感じだよな、僕のほうから誘ったら断られた。

 

カタカタカタ・・・

 

脱衣所のほうで背の低い人影が・・・雪沙ちゃんだ、

うんしょ、と背伸びして洗濯機を動かすシルエットが見える。

そして出ていった、僕に何も話かける事なく、乱入してくる事なく・・・

 

僕「ちょっと寂しい・・・」

 

頭も洗い終わったし、湯船につかる。

・・・悪いほうに考えたらきりがないな、うん。

良い方に考えると・・・女の子っていうのはきっと、

押すと退くけど、退くと押してくる、っていうやつかな?

向こうが誘ってくるのに乗るのはいいけど、こっちが誘うと乗ってこないっていう・・・

 

僕「女の子経験、全然無いからな〜・・・」

 

下手すると、あの子たちに弄ばれているのかも知れない、

Hなことをされてからかわれてる・・・あ、いつのまにか悪いほうに考えてる。

いっそ、甘く見るな!って僕のほうから襲って・・ってそれじゃあ本末転倒だ、余計嫌われちゃう。

 

僕「あーもう、考えるときりがない!」

 

汗も流れたし、早いけど、もう出よう。

 

 

 

 

僕「着替え、ちゃんと用意されてる・・・」

 

雪沙ちゃんが洗濯ついでに置いてくれたのか、しっかりしてる。

贅沢言うならバスタオルで体拭いてくれるくらい・・・しないのが普通だよな。

雪沙ちゃんと一緒に入ってたら僕が拭いてあげる側になるんだし。・・・着替え完了!!

 

僕「・・・そうだ、雪巳ちゃんに会おうかな」

 

自分に自信をつけるためにも、

雪巳ちゃんにちょっと聞いてみよう。

僕について・・・ちょっと返事が恐い気もするけど。

 

僕「台所、かな?」

 

雪菜ちゃんが1人で作業してる。

 

僕「・・・雪菜ちゃん?」

 

ビクッ!!

と大げさな程に反応する雪菜ちゃん!

 

僕「どうしたの?」

雪菜「あ・・・指、切りそうになった・・・です」

僕「大丈夫?」

雪菜「切ってない・・・です」

僕「よかった・・・そうそう、雪巳ちゃんは?」

 

あれれ?雪菜ちゃん、目が泳いでる?

 

雪菜「やっきょ・・・おかいも・・の・・です」

僕「薬局?お薬買いに行ったの?」

雪菜「はい・・・です」

 

・・・・・・黙っちゃった。

薬局・・・具合悪いんだろうか?

 

僕「誰か病気?」

雪菜「なんでも・・ない、です」

僕「まさか、雪菜ちゃん具合悪くない?」

雪菜「私は・・・平気、です」

僕「私は、ってことは・・・雪巳ちゃんが病気?」

 

戸惑いながら首を横に振る雪菜ちゃん、

何か隠してる?薬局・・・雪巳ちゃん・・隠す・・・・・あ!!

 

僕「ご、ごめんね・・・じゃ」

雪菜「・・・・・?」

僕「忘れて!じゃ!」

 

台所から逃げる!

そっか・・・考えられるのは・・・アレだ。

あれ?でも、美鈴ねえさんがそういう物って用意してなかったっけ?

 

僕「でもまあ、僕の知らない世界だし・・・」

 

美鈴ねえさんに相談して薬局に行ったのかも。

このへんは変に突っ込まない方がいいだろう、

普段通りにしてよう・・・部屋に戻って、っと・・・

 

僕「・・・今度は雪沙ちゃんが見当たらない・・・ま、いっか」

 

インターネットで初島情報でも仕入れよう・・・

 

もどる めくる