僕「あっちぃ〜〜〜・・・」

 

今日は朝からやたら暑い!

月曜になったので昼食後、銀行へ雛塚家の家賃を振り込みに来たんだけど、

こんなに暑いとは・・・銀行に入ると一気に天国だ、涼しい・・・汗でシャツべとべと。

 

僕「40万円、っと・・・手数料は僕が負担しとくか」

 

偉いよなぁ也幸くん、全部家賃にだなんて。

まだ小学1年生なのに、家賃に回すっていう思考が働くのが凄いよ。

・・・そう思うと、僕が考えている以上にこの40万円は何か意味があるのかも知れない、

ひょっとしたら、家賃滞納と引き換えに僕のメイドに出された三姉妹を、助け出したいがために・・・?

それはちょっと考えすぎだろうな、そこまで頭が良かったらもっと他の使い道ができているはずだし。

 

僕「でも直感でそれを意識してたら、凄い才能だよな・・・」

 

確か昔の偉人って大家族の末っ子が多かったような気がする。

也幸くんも30年後にはノーベル賞でも取ってたりして・・・想像すると楽しいな。

 

僕「・・・あ、そうだ、僕のお金も下ろしておこう」

 

あさっての初島旅行はお金かかりそうだからな、

お盆も挟むし、離島に銀行なんてなさそうだし・・・

 

僕「・・・・・よし、これだけ下ろせば大丈夫だろう」

 

札束って呼んでもいいくらいのお金を出してサイフに入れる、

気をつけよう、銀行出た所に変な奴がいないとも限らな・・・い、いた!変な奴が!

 

雪香「ういっす!いっぱい出したねー」

僕「なんだよ、そんなに出してないぞ、お前見てたのか?」

雪香「こないだ2回も出したじゃーん、私の口と・・・」

僕「わーわーわーわーわー!」

雪香「なーにあわててんの」

 

・・・おっさんくさいセクハラギャグ言いやがって!

 

僕「で、なんだ?」

雪香「あ、そーそー、大事な話があんだけどー」

僕「なんだよ、ウチには上げないぞ」

雪香「それはもーいーよ、新しいパパみつかったしー」

僕「あっそ、じゃあもういいだろ」

 

・・・寄生されなくてよかった。

 

雪香「そんな言い方していーのー?」

僕「ああ、達者で暮らせよ、ばいばい」

雪香「・・・・あんた、雪巳たちに騙されてるよ」

 

ピタッ

 

僕「・・・・・どういう事だ?」

雪香「さーね〜♪」

僕「いいかげんなこと言うなよ」

雪香「嘘は言わないって」

僕「だったらどう騙されてるっていうんだよ!」

 

フフン、といった表情の雪香。

 

雪香「知りたい?教えてあげよっか」

僕「・・・ああ、本当ならな」

雪香「冷やし中華食べたいな〜♪」

僕「はぁ!?」

雪香「あそこの中華いこ〜よ、あそこなら涼しいからゆっくり話せるっしょ」

 

・・・・・仕方ない、

ここまできたら話を聞かないことには・・・

 

 

 

店員「ご注文は」

雪香「冷やしちゅ〜かとぉー、しゅーまいとぉ〜・・・」

僕「・・・僕はグレープフルーツジュースで」

雪香「あ、これ〜、生ハムメロン〜♪」

僕「おいおい・・でも美味しそうだな、じゃあ僕も」

店員「かしこまりました」

 

思ったより高級な感じの中華レストランだ、

何の躊躇も無くこんなお店へ強引に・・・ろくなもんじゃないな。

 

雪香「そーそー、新しいパパそっこーで見つかって良かったよ〜」

僕「・・・・・またエンコーか」

雪香「なんか芸能関係の人らしくって〜、私アイドルになるかも〜♪」

僕「むりむりむりむり」

雪香「そんなのわかんないっしょ〜、パパかなりイイって言ってくれてるしぃ〜」

 

こんなののどこがいいんだか・・・

 

僕「・・・・・で?」

雪香「あ、そうそう、みてみてみて!」

僕「なんだ?・・・・プリクラか」

雪香「そ。この人」

僕「・・・・・単なるおっさんだな」

雪香「前のパパ。ケーサツ捕まっちゃってさぁ〜」

僕「そんな証拠を僕に見せてどうしようっていうんだよ」

雪香「やっぱ捨てたほうがいい〜?そーだよねー、やばいよねー」

 

・・だめだ、すっかり雪香のペースだ。

 

僕「雪巳ちゃんたちにどう騙されてるっていうんだ?」

雪香「雪巳・・・雪巳、ねえ・・んっと・・・」

僕「ひょっとして、今、考えてないか?」

雪香「んなわけねーよ・・・雪巳たち、言った通り可哀想だったでしょ?」

僕「・・・ああ。前に言ってたよな・・やっぱりあれって、含みがあるのか?」

雪香「なにが?」

僕「雪巳ちゃんたちがいじめられて可哀想っていう話、いかそうめんとパフェおごって聞いた・・・」

雪香「・・・・・あっきれたー」

 

じゃあやっぱり、あの忠告には何か裏が・・・?

 

雪香「人におごった飯、いちいち覚えてんだ〜、みみっちぃ〜」

僕「・・・・・おい!」

雪香「んー・・・何もないよ、含みなんて、ないっす」

僕「ほんとか?」

雪香「そ、可哀想だから保護よろしくってだけ〜」

 

なるほど、だまされてただけか、安心した。

・・・・・って、ほっとしてる場合じゃない!!

 

僕「たかっただけかよ!」

雪香「ちがうよ、妹たちをさ、安心して任せられるか面接したの」

僕「調子いい事言ってるな、おい」

 

この図太さが、家を出て行きぬくために身に付けた能力なんだろうな。

 

☆冷やし中華セット☆

雪香「あ、きた〜♪」

店員「お待たせいたしました」

僕「あ、どうも・・・」

雪香「グレープフルーツジュースひとくちちょうだ〜い」

僕「こらこら!人のものまで欲しがるな!」

雪香「だっておいしそうなんだも〜ん」

 

欲深い奴だな、っていうか子供だ。17歳だし・・・

 

雪香「ごち〜♪」

 

ばりばりばり・・・

 

僕「おいおい、エビを殻ごと・・・」

雪香「おいひいっふほ〜?」

僕「黙って食え!」

 

・・・こんな所は雪巳ちゃんと一緒なんだよな〜、

こんなのでもやっぱり姉妹だからな、認めたくはないけど。

 

雪香「んぐんぐんぐ・・・」

 

ずずずずず〜〜〜〜〜っ・・・

 

・・・・・うまそうだ、

そりゃ1680円もするんだから当然だ。

昼食は済ましたんだけど、しゅうまいの1個でも仕返しにもらおうかな。

 

そ〜〜〜っ

 

ぺしっ!

 

僕「いでっ!」

雪香「自分で買えば〜?」

僕「ご、ごめん・・・素早いな」

雪香「そういうのは弟で慣れてっから〜」

僕「そっ、そうか・・・」

 

やっぱり自分で注文するかな・・・

・・・・・っておい、雪香が食ってるのっで、どうせ僕のおごりじゃん!!

 

僕「これ、僕がお金出すんだよな?」

雪香「・・・・・」

 

ひょい、ぱくっ

ひょい、ぱくっ

ひょい、ぱくっっ!!

 

雪香「ひゃひひゃぁ〜?んぐんぐ・・・」

 

3つとも口に入れやがった・・・

 

僕「わかったから早く食え」

雪香「ほ〜〜〜〜〜い」

僕「それ食い終わったらちゃんと聞かせてもらいからな」

 

・・・・・安心したのか、ゆっくり食べはじめた。

外は凄い日差し・・・これが続くようなら初島も大変だな、

日焼け止めとか用意した方がいいかも。そのへんは帰ったら調べよう。

 

雪香「・・・・・んぐ、んぐ・・・」

 

チャラチャラしたコギャルだ・・・

ピンクのブラとか平気で肩ヒモ見えてるし。

でも、顔をよーく見ると下地はかわいいよな?

ちゃんとした格好でちゃんとしてれば普通の女の子なのに、

なんでこんなのになっちゃったんだろ?やっぱり外で生きていくために・・・

 

雪香「ん・・・ん?私としたくなった?」

僕「ぬに!?」

雪香「ぬにってなによ、ぬにって。普通、なに!?っしょ」

僕「そんなとこ突っ込んでどうする」

雪香「いーよ、外暑いしホテルいこっか、お金いっぱい持ってるっしょ」

僕「おい!こんな所でそんな話・・・」

雪香「・・・・・・じゃ、話の続きは・・ホテルで、さ」

 

誘われてる・・・誘われているう!!

 

僕「・・・やだよ」

雪香「なんで?この前んじゃ物足りないっしょ」

僕「やーだーよー、いーーーーだ」

雪香「・・・隆幸かいあんたは」

僕「ごまかすな!さあ、話してもらおうか」

雪香「わーったよ、わーった・・・はなしゃーいいんでしょ」

僕「さあ、どう騙してるっていうんだ?」

 

やっと本題だ。

 

雪香「その前に汁飲ませて〜」

 

ずこ!

冷やし中華の残った汁をズズズ、と・・・

そこまで飲む奴なんか見たことないぞ!?

 

雪香「ごっち〜♪」

僕「さあ・・・」

店員「デザートをお持ちしました」

雪香「生ハムメロン〜♪」

僕「待て!話を聞いてからだ!」

 

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