僕「それにしてもお父さんすごいね」

雪巳「お酒いつも飲んでて、夜はああなるのー・・・」

僕「そういえばああいう時、お母さんはどうしてるの?」

雪菜「・・・広幸彦幸信幸お兄ちゃんと一緒に・・隣の部屋で寝てる・・・」

僕「うわ、自分たちだけ安全地帯だ!」

雪沙「かゆいかゆいかゆいかゆいかゆい・・・」

僕「雪沙ちゃん、もうちょっと待ってね」

 

エレベーターが19階に到着し、

出た所で暗証番号を押して扉を開け階段をあがる・・・

玄関に入ると外の蒸し暑さや大雨による湿気が嘘のように涼しく快適だ。

 

僕「とりあえずタオル持ってくるから、靴下濡れてるでしょ?脱いで!」

雪巳「靴下はいてないよー」

雪菜「私も・・・」

雪沙「かゆい・・・かゆぅい・・・」

雪巳「雪沙、もう大丈夫だからねー」

 

慌ててバスタオルやら小さいタオルやらを運ぶ。

結構濡れてる雪巳・雪菜ちゃんは両手両足を拭いて・・・

雪沙ちゃんの赤く滲む背中もふいてあげている、汗が結構すごい。

 

僕「三人ともシャワー浴びて!・・・雪沙ちゃんも軽く汗を流した方がいい」

雪巳「いいのー?」

僕「いいの!お湯ちょうど溜まってるからお風呂入ってもいいし・・・でも雪沙ちゃんは・・・背中見せて」

 

雪沙ちゃんの背中をあらためて見る、

この湿疹はどうなんだろう?お湯につけていいものか・・・

それにしてもこの青いパジャマ、汚れが酷いなあ、洗わないと・・・

 

雪沙「おふろ、はいり、たい〜〜〜」

僕「うーん・・・そうだ!!」

 

僕は玄関の電話機をとってダイヤルを押す・・・

かけた相手は義理の姉・美鈴姉さんの携帯電話だ。

 

僕「あ、美鈴姉さん?」

美鈴「なあに?弟クン?」

僕「うん、実は相談があるんだけど・・・」

 

軽く症状を説明をする。

 

美鈴「・・・わかったわ、じゃあこれから車でそっちへ行くから」

僕「ええっ!?」

美鈴「直接見た方がいいわ、あとお風呂は浸かるだけならいいから」

 

電話を切る・・・

美鈴姉さんが来てくれるのはありがたいけど、

この状況をどう説明するか・・・や、やましいことは、ない、はずだ・・・

 

雪巳「もうお風呂入っていーい?」

僕「あ、うん、雪沙ちゃんはちょっと浸かるだけならいいって」

雪菜「・・・・・ありがとう」

雪沙「おふろ、おふろ、おふろ〜〜〜」

僕「あ、足の裏よく拭いた?じゃあ行ってきて!!」

 

僕は今夜も彼女たち用のシャツを用意しに部屋へ戻った・・・・・

 

・・・

・・・・・

 

雪巳「お風呂気持ちよかったーーー」

雪菜「汗が・・・全部とれました・・・」

雪沙「おなかすいた〜〜〜!!」

 

背中の痒みがコロッと抜けたような笑顔の雪沙ちゃん、

雪菜ちゃんが丹念に湯上りの背中を拭いてあげている・・・

例によって僕の大きいシャツだけの三人・・・できるだけ見ないように・・・

 

雪沙「あ〜、アイスだぁ〜〜」

 

コンビニの袋ごしに見えるガリガリくんを見つける雪沙、

そうだ!忘れてた・・・とけてないかな・・・ちょっと溶けかかってる。

 

僕「・・・いいよ、お風呂上りに一本づつ食べて」

雪沙「わあい!うれしい〜〜!!ゆきさ、コーラあじぃ〜」

 

ガリガリできないガリガリくんはガリガリくんじゃないから、まあいいや。

 

雪巳「ありがとう!グレープフルーツ味もらうねー」

雪菜「じゃあ・・・ソーダ味・・・・・」

 

三人とも本当においしそうに食べるなあ、

雪沙ちゃんなんか袋に溜まった溶けてるのまで吸っている・・・

 

 

ぴんぽ〜〜〜ん

 

来客だ、やってきたのはおそらく・・・・・

 

☆美鈴姉さん☆

美鈴「こんばんわ、すごい雨ねえ・・・あら、かわいい子がいっぱい」

 

白く簡素な服で入ってきた美鈴姉さん、

義姉さんにだけはここの暗証番号と鍵を預けてある、

万が一部屋で何かあった時のために・・・それだけ僕が信用している人だ。

 

雪巳「おじゃましてまーす」

雪菜「こんばんわ・・・」

雪沙「こ〜んば〜んわ〜〜〜!!」

美鈴「はい、こんばんわ」

 

持ってきた大きなカバンを置いて座る。

 

美鈴「それで、患者さんは誰かしら?」

 

軽いウェーブの髪を揺らしながら少女たちを見回す。

 

僕「あ、この子です、雪沙ちゃん」

雪沙「なぁにぃ〜?このひと、おいしゃさぁ〜ん?」

僕「元看護婦なんだ」

美鈴「元ナースって言いなさい!さ、背中見せて」

雪沙「はぁ〜〜〜い」

 

背を向けシャツをめくり前かがみになる雪沙ちゃん、

美鈴姉さんが丹念に観察する・・・なでる・・・カバンに手を入れる・・・

 

美鈴「酷い汗疹ね」

僕「あ・せ・も!?」

美鈴「そう、あせも。よほど酷い環境にいたのね・・・」

 

取り出したのは塗り薬だ。

やさしく丁寧に背中へ塗りはじめる・・・

雪巳ちゃんが僕の隣に来て小声でささやく。

 

雪巳「ねーねー、あのひと、なーにー?」

僕「僕のお姉さんだよ、義理の」

雪巳「いくつー?」

僕「確か・・・まだ28歳だったと」

雪巳「じゃあ、もうおばさんだねー」

 

キッ!と鬼のような目でこっちをにらむ美鈴姉さん!

 

僕「・・・・・お姉さんだよ、雪巳ちゃん」

雪巳「えー?だって化粧も香水もきついしー・・・」

僕「しーーーーーっ!!」

 

お、恐ろしいことを・・・

美鈴姉さん、プルプル震えちゃってるよ・・・

 

雪菜「あの・・・ナースのおねえさん・・・」

美鈴「あーら、なあに?いい子ね」

雪菜「・・・外で蚊に・・・お薬・・・ありますか」

美鈴「まあ、結構やられたわね、んっと・・・はい、これ塗りなさい」

雪菜「ありがとう・・・おねえさん」

 

ほっ、機嫌を直したようだ、

怒らせるとほんっとに恐いからなあ・・・

 

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