僕は部屋で初島の宿泊者向けパンフレットを読む。
13日から16日までか、3泊4日、4名様、かなり豪勢だ。
さらに15日には花火とお祭りがあって、他にも宿泊者向け特典が山盛り・・・
僕「予約票もちゃんとある、僕らの部屋は・・・7階か、寝室2つ、2名ずつ・・・」
ネズミーシーの中のホテルを思い出す、
う、もしや、また襲われるようなことが・・・
雪沙「ね〜おにぃちゃ〜ん、あと洗うもの、もうない〜?」
僕「うん・・・あ、毛布があるかな、取ってくるよ」
猫部屋に猫の毛まみれの毛布があったはずだ。
部屋に行く・・・もうこの注意書きの貼り紙はいらないよな、
破って捨てて、と・・・まだ猫の匂いが残ってる、猫缶もちょっと残ってる。
僕「・・・あれ?」
ロフトの上で動く物体・・・
也幸くん?うずくまって、ひょっとして・・・泣いてるんだろうか?
階段を上がって覗くと・・・
也幸「・・・・」
僕「・・・雑巾がけ!?」
也幸「!!!」
僕「あ、続けて・・・偉いね、ちゃんと猫の毛を拭いてるんだ」
也幸「・・・(コクコク)」
毛布も片付けてある。
僕「じゃあ毛布は丸洗いするから持っていくね」
也幸「・・・・・(コクコクコク)」
僕「あんまり隅々までやらなくっていいからね、天窓とか拭かなくていいから」
背が届かないから大丈夫か。
この毛布・・・面倒だからクリーニング出しちゃっていいかな。
それにしても也幸くん、立つ鳥跡を濁さず・・・本当に偉いよ。
夕食が終わり、雪沙ちゃんは也幸くんをお風呂に入れドライヤーしてあげた。
そして僕が買ってあげた服や靴下、新品の靴を履いて・・・いよいよお別れだ。
玄関では三姉妹も揃ってお見送り、1階に戻るだけなんだけどな、物々しい感じだ。
雪巳「ズボンの中のハーモニカ、取られたりしないー?」
雪菜「持ってる飴の袋も・・・きっとすぐ、取られちゃうです・・・」
也幸「・・・・・」
雪沙「飴はみんなにあげるんだって〜、とられてもいいんだって〜」
僕「そうか・・・そうだよな」
あんなの抱えて持って行ったら取られるのが目に見えてる、
でもそれを承知で、みんなにあげるつもりで・・・泣けてくるよ!
僕「じゃあ、猫がもらわれるまでの約束だったから・・・さよなら」
也幸「・・・・・ありがとう・・・おにいちゃん・・・さようなら・・・」
僕「!!!・・・い、いま・・・喋った!?」
たたたたたたた・・・
言い逃げるようにして玄関から出ていった。
いま、也幸くん、ちゃんと・・・しゃべった・・・よな!?
雪巳「也幸が普通にしゃべったー、びっくりー」
雪菜「めったにない・・・です」
雪沙「がっこ〜でも、歌やじゅぎょ〜で声ちいさいって怒られてるんだよ〜」
うーん・・・何だか嬉しいぞ、かなり!!
雪巳「やっといなくなったー」
雪菜「これで・・・元の生活に・・もどる・・・です」
雪沙「おにぃちゃんにあまえる〜〜〜」
僕「え?うわ!そんなにくっつかないで!」
雪沙「いっしょにねよ〜〜」
そうか、也幸くんがいたおかげで、
三姉妹のアプローチも自粛気味だったんだよな、
それがいなくなって、タガが外れたみたいに・・・うわ!
僕「そんなに引っ張らないで!」
雪沙「こっち〜〜〜」
雪菜「ひさしぶりに・・・いっしょに寝る・・・です」
雪巳「みんなとならいいよねー」
僕「わかったわかった、わかった!」
みんなによってたかって犯される気分だ・・・
布団の中、みんなに密着される・・・
寝る前からこんなにくっつかれたら、眠れないよぉ・・・
熱い・・・暑いじゃなく熱い、だよ、三姉妹の体温が・・・熱い。
雪沙「おにぃちゃ〜ん、ねるまえのちゅ〜していい〜?」
僕「だ・・・め」
雪巳「お兄ちゃん、ほら、顔こっちむけてー」
僕「そ、そこは・・・おっぱいは大事にしなきゃだめ!」
雪菜「眼鏡外してるとよく見えないです・・・お兄ちゃんの顔、もっと近くへ・・・です」
逃げたい・・・
このままだと三姉妹に飲み込まれそうになる・・・
でも、飲み込まれてしまいたい気持ちも、ゼロじゃあない・・・
僕「・・・・・」
ここは我慢・・・そして・・・
後でトイレとか言って抜け出して、逃げよう・・・
はぁぁ・・・三姉妹の腕が、足が、からまってくるうぅぅ・・・
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