従業員のお姉さんが待ち構えている。

 

従業員「はい、ては簡単に服と手を消毒させていただきまーす」

 

しゅっしゅ、しゅっしゅ・・・

 

園長「こちらの注意事項を守ってください」

 

どれどれ、壁に貼ってある・・・

 

・猫を追い掛け回さない、ひっぱらない

・猫に餌をあげない、餌をとりあげない

・猫を持ち出そうとはしない、勝手に連れてこない

 

そんなことする奴いるのか!

 

雪沙「よんだよ〜」

美鈴「消毒も終わったわね」

僕「あ、美鈴ねえさんが着飾ってこなかったのは、こういう事だったんですね」

美鈴「そうよ、入りましょ」

雪巳「猫がいっぱーい」

 

園内は猫、猫、猫・・・まさに猫だらけ!

 

雪菜「もうやってきた・・・です」

園長「150匹くらいいますよ、では私はいただいた猫を見てきますので」

僕「お願いします」

雪巳「あの猫おっきー」

雪沙「いぬくらいだね〜」

 

みんな想い想いに猫とたわむれる。

也幸くんも楽しそうだ・・・美鈴ねえさんもベンチで一休み、

していると膝に猫が乗っかってきて・・・ここは猫好きのパラダイスだな。

 

雪沙「なりゆき〜、たたみのへやがあるよ〜」

也幸「・・・・・」

 

畳の上に寝る也幸くん、

すると猫が群がってどんどんどんどん乗って・・・

猫に埋もれて見えなくなっちゃった!って雪沙ちゃんが猫のっけてんじゃん!

 

雪沙「おもしろ〜い」

僕「こらこら、也幸くんがかわいそう・・・でもないか」

雪沙「うっとりしてる〜」

 

猫まみれ、楽しそうだ。

雪巳ちゃんと雪菜ちゃんは・・・

猫じゃらしで遊んでる、猫たちが興奮してじゃれてる。

 

雪巳「つれたつれたー」

雪菜「すごくたのしい・・・です」」

僕「みんな人間好きみたいだね」

雪菜「あん・・・スカートに猫はいっちゃった・・・お兄ちゃん、とって・・・」

僕「いーっ!?・・・あ、出てきた」

 

よかった・・・

他のお客さんもいっぱいいるんだからさ・・・

 

 

 

美鈴「みんな、来て来て来て!」

雪巳「どーしたのー?」

雪菜「なにかある・・・ですか」

雪沙「なりゆき〜、ほらいくよ〜」

也幸「・・・・・」

 

ガラス張りの猫部屋がある、

大人猫の休憩室、そして仔猫の部屋だ、

人間に疲れて猫が休む部屋、そして仔猫を育てる部屋・・・

 

雪巳「あー、猫が運ばれてきたよー」

雪菜「お母さん猫です・・・」

雪沙「こねこも〜!なりゆき〜、ほら〜」

也幸「・・・」

僕「健康診断が終わったのかな、早速合流か」

 

まだ落ち着いてない感じだけど、

じきに慣れるだろう、ここなら猫たちも幸せに暮らせるはず・・・

 

母猫「にゃ〜〜〜」

 

いきなり母猫が猫専用出入り穴から出てきたぞ!?

そして一直線に也幸くんの所へ・・・行って、なついてる!!

 

母猫「にゃあにゃあにゃあ〜〜〜」

也幸「・・・」

僕「再会だね」

 

こう見ると離れ離れになっちゃうのは寂しいな、

でも、こうして也幸君は大人になっていくんだ、うん。

 

母猫「にゃ・・・」

雪巳「お母さん猫、もういっちゃうのー?」

雪菜「お別れみたい・・・です」

雪沙「ばいばいしなさ〜い」

也幸「・・・・・」

 

ああ、また泣きそう!!

 

僕「ほらほら、涙を拭いて!」

 

母猫が猫ハウスへ・・・

ハウスの中には也幸くんがあげた、

インチキサイコロのぬいぐるみや新幹線のおもちゃが転がってる、

さらに猫トイレも・・・美鈴ねえさんが也幸くんをなぐさめている、

雪沙ちゃんがそれを心配そうに・・・也幸くんを、またここに連れてきたいかも。

 

母猫「にゃ〜〜」

雪巳「戻ってきた!」

雪沙「仔猫くわえてる〜」

雪菜「それも・・・三毛猫・・・です」

也幸「!!!」

美鈴「ちょっと、すぐ戻さないと!」

僕「でも・・・よかったね、也幸くん」

也幸「!!!!!〜〜〜」

 

従業員があわてて飛んできた!

美鈴ねえさんが何やら話こんで、そして・・・

 

美鈴「也幸くん、君だけなら入っていいって」

也幸「!!」

美鈴「さ、お母さん猫と仔猫連れていらっしゃい」

 

猫ハウスで他の仔猫たちとも再会する也幸くん!

感動しちゃうかも・・・也幸くん泣いてるみたいだし・・・

よかったなあ、ほんと、めでたしめでたし、だよ・・・

 

 

 

猫猫園を後にして車を走らせる、

也幸くんは園長さんから貰った顔写真入り永久入場券を眺めている。

 

雪沙「三毛猫だいじにしててよかったね〜」

僕「そうだね・・って雪沙ちゃん」

雪沙「な〜にぃ〜?」

僕「ベランダから落ちてたら死んでたよ?三毛猫」

雪沙「ごめんなさぁ〜〜〜い!!」

 

あぶなかったよな・・・

 

美鈴「帰りは一気に行くわよ、私、夕飯までに帰りたいし」

僕「お任せします」

雪巳「みてー、あの看板、東京ドイツ村だってー」

雪菜「千葉なのに・・・東京・・・」

雪沙「マザーぼくじょ〜よってくぅ〜?」

美鈴「残念ながら時間が無いから、弟クンに後日ねだりなさい」

 

んな、無責任な・・・

それにしても、帰りはさらに飛ばすなぁ・・・

 

 

 

雪沙「あ〜、またネズミーランドだ〜」

雪菜「今から入っても・・・時間、ない、です・・・」

雪巳「夕方から入るひといるのかなー」

美鈴「いるわよ、平日の6時から半額近いお金で入れるチケット売ってるから」

僕「6時からだと10時閉園で、4時間遊べますね」

 

それなりに楽しめる・・・と思う。

 

也幸「・・・」

雪沙「ほら〜、みて〜、なりゆき〜、ネズミーランドだよ〜」

也幸「・・・・・」

雪沙「も〜、そればっかりみて〜」

僕「また会いたくなったらいつでも会えるね」

 

・・・・・でも交通費がかかるか・・・

 

 

 

美鈴「はい到着!」

僕「もう夕方だ・・・美鈴ねえさん、ありがとう」

美鈴「さ、みんな降りて・・私はこのまま帰るわ」

僕「ありがとう・・・面倒みてくれて」

美鈴「私も臨時収入が入ったし・・そうそう、これ」

 

何か大きい封筒を渡される。

 

僕「これは・・・?」

美鈴「初島のホテルの案内。予約しといたから」

僕「そうか・・・もう来週ですもんね」

美鈴「楽しんできてね、じゃ、またね」

雪巳「さよならー」

雪菜「また・・・です」

雪沙「ばいば〜い」

也幸「・・・・」

僕「ありがとう・・・」

 

ブロロロロロロロロ・・・

 

・・・・・行っちゃった。

 

雪巳「晩御飯作るねー」

雪菜「お掃除する・・・です」

雪沙「ゆきさも〜、なりゆきいこ〜」

也幸「・・・・・」

僕「よし、部屋へ戻ろう」

 

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