「みゃあみゃあ・・・にゃあにゃあにゃあ・・・」

 

・・・さわがしい・・・

 

「みぃー・・みいみいみい」

 

・・・・・朝か・・・

もう朝なのはいいんだけど、

騒がしいというか暑苦しいというか・・・

 

「にゃぁ〜〜〜」

 

目を開けると目の前に仔猫・・・

ざらざらとした舌で僕の顔をなめてくる。

布団中を見ると、仔猫たちや母猫が丸まって寝てる、

そして僕の脇には・・・足?足がにょっきりとこっちを向いて・・・

かけ布団をどかすと、そこで寝ていたのは・・・也幸くん!頭を僕の足元に向けて寝てる!

 

僕「ぬいぐるみを枕にして・・・猫まで連れてきて、僕が寝てる間に入り込んできたのか」

 

ベットの中が猫の毛まみれだ・・・

って体に仔猫がよじのぼってくるし!

 

僕「起きよう・・・」

 

ベットから降りると掛け布団を直す、

也幸くんはもうちょっとだけ猫と一緒に寝てるといいよ・・・

 

 

 

 

台所では味噌汁のいい匂いが充満している。

 

雪菜「おにいちゃん・・おはよう・・・はやい・・です・・・ね」

僕「おはよう、雨上がってよかったね」

雪菜「・・・・・です」

 

淡々と料理を作っている・・・邪魔しちゃ悪いか。

 

雪菜「あの・・・味見して・・もらえ・・・ますか」

僕「うん、じゃあいただこうかな」

雪菜「これ・・・」

 

ロールキャベツか、どれどれ・・・

もぐもぐ・・・うん、ばっちりおいしい

 

僕「おいしいね、雪菜ちゃん、いいお嫁さんになるよ」

雪菜「・・・うれしいですっ!」

僕「そ、そんなに大きな声ださなくても・・・」

 

やばい、また期待させるようなこと言っちゃった・・・

 

僕「ちょっと顔洗ってくるよ」

雪菜「・・・・・はい」

 

お風呂場の洗面所へ逃げよう・・・

うかつな事言わないように気をつけなきゃ。

中に入る・・・洗濯機が動いてて風呂場では大きな人影が!

 

僕「雪巳・・・ちゃん?」

雪巳「お兄ちゃんおはよー、どーしたのー?」

僕「顔洗いにきたんだ」

 

ガラッ、とガラス戸が開き、下着姿の雪巳ちゃんが!

しかもスポーツブラが半分めくれて、し、しし、下乳まるみえ!!

 

雪巳「顔ふいてあげよっかー」

僕「いいから!いいからその・・・掃除がんばって!」

雪巳「はーい」

 

ガラガラガラ・・・

 

・・・ブラジャー直して!とは言えなかった、

雪沙ちゃんくらいなら言いやすいんだけどなぁ。

 

 

 

顔を洗い終わり廊下に出ると、

雪沙ちゃんが集めたゴミ袋をサンタみたいにして運んでる、

ああ見えて結構力あるよな、手伝ってあげようかな。

 

僕「大きいの運ぶよ」

雪沙「あ〜、おにぃちゃんおはよぉ〜、はやぁ〜〜い」

僕「たまにはね・・・大変だろ?1つもらうよ」

雪沙「だぁ〜め!ぜんぶゆきさがはこぶのぉ〜」

僕「じゃあ玄関開けてあげるよ」

 

先に行って開けてあげる。

 

雪沙「ありがとぉ〜」

僕「階段で転ばないようにね」

雪沙「だいぢょ〜ぶだよぉ〜」

 

ちゃんとしっかり働いてくれてるんだな・・・

 

 

 

自分の部屋でテレビを見る、土曜のズームインだ。

也幸くんはまだ布団の中・・外は夜のうちに雨が上がったようで、朝日がまぶしい。

 

とたとたとたとた・・・ガチャッ

 

雪沙「おふとん干すよぉ〜〜」

 

僕のベットから布団をひっぺがす!

中では也幸くんや猫たちがまだ寝てるのに・・・

それをぽいぽい捨てて、まずは掛け布団をかついでベランダへ・・・

 

雪沙「まだおひさまがひくい〜」

 

物干しじゃなくベランダの縁に干す雪沙ちゃん。

也幸くん、まだ眠そうに床で丸まってる・・・猫みたい。

母猫はちらばった仔猫を咥えて回収・・・あれ?1匹どこいった?

 

雪沙「つぎ、しきぶとん〜」

 

・・・ベランダから悲鳴が・・・

 

「・・・にゃぁ〜〜〜」

 

まさか!?

 

僕「ちょ、ちょっと、まさか!」

 

あわてて僕はベランダへ!

乗り出して干してある掛け布団を見下ろすと、

いた!三毛の仔猫が、布団の一番下にぶら下がってる!

 

僕「あぶないっ!」

仔猫「にゃあにゃあにゃぁ〜〜」

 

ばりばりばり、と自力で登ってきた!

そして僕の肩へ・・・あぶなかったぁ〜〜〜!!

 

雪沙「ど〜したの〜?」

僕「こら!仔猫、20階から落ちちゃうところだったんだぞ!」

雪沙「ごっ、ごめんなさぁ〜〜〜い!」

僕「無事だからよかったけど・・・今日せっかくもらわれていくのに」

雪沙「こっちのふとんもかくにんするねぇ〜」

 

母猫に届けて安心させよう・・・三毛くん危機一髪だったな。

 

 

 

 

 

ぴんぽ〜ん

 

インターフォンののち、入ってきたのはもちろん・・・

 

美鈴「こんにちは〜、雨あがってよかったわね〜」

僕「こんにちは、それは猫入れボックスですね」

美鈴「そう、2つ。今日はワゴン車できたからみんなで行くわよ」

僕「え?千葉までですか?」

美鈴「猫ちゃんたちを譲る先を見ておいた方が、安心でしょ?」

 

確かにそうだ。

 

雪沙「おでかけぇ〜?」

美鈴「そうよ、みんな着替えてらっしゃい。猫は?」

僕「猫の部屋です、也幸くんも一緒ですよ」

美鈴「じゃ、猫入れてきて。弟クンも着替えちゃいなさい、也幸くんも着替えさせて」

僕「はい、行ってきます」

 

猫を入れる籠を持って猫部屋へ・・・

ハーモニカの音が聞こえる、何か物悲しい、

まるで猫たちとの別れを惜しむような・・・

 

僕「也幸くん、猫連れていくよ」

也幸「・・・」

僕「母猫は僕が入れるから仔猫お願いするよ」

 

うんしょ、と持ち上げて・・・

 

母猫「ふにゃ〜〜〜」

僕「こらこら暴れるな!」

母猫「みにゃあああああ!!」

 

さっさと仔猫を3匹入れ終わった也幸くん、

母猫は・・・あっ、僕から離れて也幸君の胸に!

 

母猫「にゃ〜にゃ〜にゃ〜」

也幸「・・・」

 

・・・母猫も也幸くんと離れたくないみたい。

でも、也幸くんは涙ぐみながら母猫用の籠へ入れる・・・

母猫は也幸くんのする事なら、とおとなしく入った。

 

僕「さて、いこう・・也幸くん?」

也幸「・・・・・」

 

サイコロ人形のぬいぐるみと新幹線のおもちゃを拾った、

それを仔猫のの籠の中へ・・・お別れの餞別かな、也幸くんだって欲しいだろうに。

両手で母猫&仔猫3匹を持つとそれなりに重い・・・廊下へ出て僕の部屋ね、っと・・・

 

美鈴「ご苦労様、あと猫のトイレも持っていきましょう」

僕「そうですね、猫砂はいらないとしても容器だけでも。ついでに着替えてきます」

美鈴「也幸くんも、ほらほら」

也幸「・・・・・」

美鈴「あらあら、猫ちゃんをじーっと見つめちゃって・・・」

 

いよいよお別れだ。

 

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