雪沙「ばんごはんのじゅんびできたよ〜」

僕「もうそんな時間か」

雪巳「也幸呼んでくるねー」

僕「待って!雪巳ちゃんは立ち入り禁止だから・・・」

雪菜「私いってくる・・・」

僕「僕が行ってくるよ」

 

也幸くん、何して遊んでるんだろ?

ちょっと也幸くん観察が面白くなってきた。

きっとガチャポンで買ってあげたハーモニカでも吹いてる頃かな、

それとも仔猫に群がられてるとか、飴玉を転がして遊んでるとか・・・

ああいう弟ならいてもいいかも・・・猫部屋に入りロフトを上がると・・・

 

也幸「・・・・・」

僕「・・・・・おいおい」

 

ころころころ・・・

 

まだやってる!!

サイコロ転がして2が出て2回背中をなでて・・・

また転がして・・・ずっとやってたのか!?ひょっとして。

だとしたら5時間以上は・・・仔猫たちは普通に丸まって寝てる。

母猫は・・・薄目をあけて、ちょっと迷惑そうになってる、それでも也幸くんは続ける・・・

 

ころころころ・・・

 

母猫が立ち上がった!?

 

ぱくっ!

 

サイコロを咥えた!

 

ととととと・・・・・

 

そのまま階段を降りて逃げてった!!

僕が入ってきて開いたままのドアから廊下へ・・・

さすがに母猫も飽きたんだろうな・・・う、也幸くんがうらめしそうな目で僕を・・・

 

僕「ご、ごはんだよ、晩御飯。行こう」

也幸「・・・・・」

 

べ、別に悪い事してないぞ!・・・多分。

 

 

 

 

 

北海道の味覚あふれる夕食を終え、

暇をもてあます・・・雪巳ちゃんは夕食片付け、

雪菜ちゃんは読書、雪沙ちゃんは画用紙に何か絵を描いてる。

 

と、なると気になるのは也幸くんだ。

 

最近、也幸くんが何してるのか覗きに行くのにはまってる・・・

まったく予想のつかない事やってるもんな、だからこれが面白い・・・

 

猫部屋へ行く、ドアは猫の出入り用に少し開けられていて明かりが漏れている、

中に入ってロフトに上がると仔猫が3匹遊んでて、さらに母猫が・・・也幸くんのお腹の上に!、

 

也幸「〜〜〜!」

 

手をじたばたさせている也幸くん、

母猫が気持ち良さそうに寝てるもんだから動けないのか?

いや、頭の所にある、毛布の上に置いたお菓子を仰向けのまま取ろうとしているみたいだ。

 

☆お菓子〜☆

 

僕「お菓子落としで取ったやつだよね?也幸くんの分け前はこれだけか〜」

也幸「〜〜〜〜〜」

僕「取ってあげるよ、はい」

 

也幸くんの手にキャンディを渡し、

さらにお菓子を毛布ごと也幸くんの横へ・・・

これでもう好きなだけ食べられるだろう、安心した表情の也幸くん。

 

也幸「・・・・・(くちゃくちゃくちゃ)」

僕「ちゃんと寝る前に歯を磨くんだよ」

也幸「・・・(コクコク)」

 

これで解決、っと・・・

・・・・・って、母猫をどかしてあげるのが一番良かったんじゃ?

ま、いいか・・・

 

 

 

僕の部屋に戻ると三姉妹が何か集まっている、

画用紙を中心に・・・何をやってるんだ?真上から覗き込むと・・・

 

僕「・・・みんな何を書いてるの?」

雪沙「ん〜、ねがいごとだよ〜」

雪巳「短冊にお願い書いてるのー」

僕「え?これって・・・笹の絵?」

雪菜「今日は・・・七夕・・・です」

 

でも七夕は7月7日・・あ、旧七夕が今日8月7日だっけ、

仙台とかでは今日のほうが本当の七夕としてお祭りしていたはずだ。

 

雪巳「はいー、お兄ちゃんもー」

僕「ありがとう・・・じゃあ・・・」

 

三姉妹は絵の中の笹の葉に願い事入りの短冊を書き終わったようだ、

雪巳ちゃんは「お兄ちゃんとけっこんできますように 雪巳」

雪菜ちゃんは「お兄ちゃんと恋人どうしになれますように 雪菜」

雪沙ちゃんは「おにいちゃんとけっこんしたい ゆきさ」・・・ははは・・・

僕は・・・えーっと・・・「みんなが幸せになれますように」でいいか・・・

 

僕「はい、終わったよ」

雪沙「なりゆきにもかかせてくる〜」

僕「あ!あの部屋は雪沙ちゃんは駄目!」

雪菜「じゃあ・・・行ってくる・・・です」

僕「ごめんね、お願い」

 

そうか、8月7日ってことは、この3姉妹と会って丁度1ヶ月か・・・

色々あったな、そしてこれからもまだまだ色々ありそうだな、うん・・・

3人の願い事・・・僕に見られるの前提で書いてるよな?猛烈アタックだなみんな。

 

雪巳「お兄ちゃーん、雪巳の願い事見たー?」

僕「う、うん・・・大胆・・・だね」

雪巳「願い事、かなうかなー」

僕「それは・・・お星様だけが知ってるよ」

雪巳「えーうそー、知ってるのはお兄ちゃんだよー」

 

う、迫ってくる・・・ちょっとたじろいじゃう。

その間を割って入ってきた雪沙ちゃん、僕に抱きついてきたっ!?

 

雪沙「ゆきさしってるよ〜、ゆきさがおにぃちゃんとけっこんするんだよ〜」

僕「こらっ!・・・願い事はこうなったらいいなっていうのを書くだけだから、別に決定じゃ・・・」

雪沙「しってるよ〜、書くのはもくひょ〜なんだよ〜、ゆきさのもくひょ〜は、おにぃちゃんとけっこん〜」

 

お、重い・・・

雪沙ちゃんの体も、言葉も重い・・・

でも、相手は中1小6小5なんだ、だからうまく、いなさないと・・・

 

僕「3人といっぺんには付き合えないから、せめて3人とも高校・・・」

雪沙「ぢゃ〜はやいものがち〜」

雪巳「ちがうよー、取ったもんがちだよー」

僕「わわわ!2人とも、のしかからないで!」

雪菜「・・・・・お兄ちゃん・・・」

 

うわっ!いつのまにか戻ってきた雪菜ちゃん、何てタイミング!

 

僕「そ、そだ!也幸くんの願い事は?」

雪菜「・・・・・これ」

 

どれどれ・・・短冊のつもりの長方形の中には・・・

 

「ね こ ね こ ね こ ね こ な り ゆ き」

 

猫猫猫猫・・・也幸・・・

何を言いたいのかこれで推理しろと・・うーん・・・

 

僕「・・・って、2人とも、どいて!」

雪菜「お外にかざる・・・です」

雪沙「ゆきさ、かざってお星さまにおねがいする〜」

雪巳「お兄ちゃんも一緒にいこっ」

僕「う、うん、まあ・・いいけど」

 

ベランダに出て画用紙に書いた笹の葉・単座をを立てかける、

夜空に向かって祈る三姉妹・・・そういえば僕も1ヶ月前、同じように祈って、

叶えてもらったんだっけ、素敵な恋人って・・でもそれは流れ星のおかげのような・・・

 

雪菜「あ・・・流れ星」

僕「ええっ!?」

雪巳「ほんとだー」

雪沙「もういっこ〜」

雪巳「あーまたー、3つもながれたー」

僕「・・・4つ目も!」

雪菜「きっとかなう・・・です」

 

あは、あはは・・・うそだろ・・ははは・・・

 

☆流れ星☆

 

最後に念を押すかのような特大の流れ星が僕らの頭上を通った・・・・・。

 

もどる めくる