外に出ると、もう暗くなってる。

最後にでっかい荷物が増えちゃったな、歩くの大変・・・

 

雪沙「その馬のぬいぐるみ、どうするの〜?」

僕「んっと・・・也幸くん、いる?」

也幸「・・・(ぶるんぶるん)」

雪沙「え〜?なりゆきが、ゆきさにくれるって〜」

僕「じゃあ、雪沙ちゃんのものだ!」

雪沙「ほんとにいいのぉ〜?なりゆきぃ〜、おにぃちゃぁ〜ん」

也幸「・・・・・(コクコク、コクコクコク)」

雪沙「なりゆきはぬいぐるみもう貰ったからいいってぇ〜」

僕「あ、あのサイコロのキャラのか・・その時、雪沙ちゃんのは買わなかったもんな」

也幸「・・・(コクン)」

 

タクシー乗ろう、タクシー・・・でもデパートのタクシー乗り場は混んでる。

 

僕「よし、駅前からタクシー乗ろう」

雪沙「あっちだね〜」

也幸「・・・・・」

僕「飛び出しちゃ駄目だよ・・・よし、渡って!」

雪沙「なりゆきぃ〜、はぐれちゃだめだよ〜?」

 

・・・駅前のタクシー乗り場はそれほど並んでない、

おまけにお客さんが良くさばけてる、あれならすぐだろう。

 

僕「さ、並ぶよ」

雪沙「なりゆきこっちこっちぃ〜」

也幸「!!!!!」

 

あれ?どうした?

也幸くん、びっくりした顔で・・あ、逃げた!

雑踏の中へ!あっという間に見えなくなっちゃったぞ!?

 

僕「ちょっと、也幸くん!!」

 

僕の横を騒がしい何かが通り過ぎる、それは・・・

 

☆また謎の巨大キャラ☆

僕「あ・・・こいつのせいか」

雪沙「ど〜しよぉ〜」

僕「荷物見ててくれる?探してくるから」

雪沙「ゆきさがつれてくるぅ〜」

僕「え?あ、ちょっと!」

 

荷物を置いて雑踏に消える雪沙ちゃん、

大丈夫かな・・・2人とも迷子になったら大事だぞ!?

雪沙ちゃんには防犯ブザー持たせてあるから、ある程度は大丈夫・・だと思いたい。

 

僕「それより也幸くん・・・このまま行方不明になったらどうしよう」

 

荷物で僕も雪沙ちゃんも両手塞がってたもんな、

しっかり手を繋いでおくべきだった・・・悪いのはこいつだ、くそっ!

意味不明のとうがらしキャラクターめ!何の宣伝だか知らないが買ってやらないぞ!!

 

 

・・・・・

 

 

あれから5分・・・心配だ。

あの変なのも、いなくなったというのに・・・

どこまで探しに行ってるんだろう、まさか、2人とも事故に!?

 

雪沙「おにぃちゃぁ〜ん!」

僕「よかった・・・どこまで逃げてたの?」

雪沙「ペットショップで猫みてたよ〜」

也幸「・・・・・」

僕「こら!勝手に逃げちゃ駄目だぞ」

 

とはいえ恐いものはしょうがない・・・か?

でも道路に跳び出たら大変だ、こういうしつけはちゃんとしなきゃいけないのになぁ。

 

僕「あれ?何持ってるの?」

也幸「・・・・・」

雪沙「おみせでいらない猫のトイレもらったんだって〜」

僕「まさか、勝手に持ってきたんじゃ?

也幸「・・・(ぶるんぶるん)」

雪沙「ゆきさもいたからほんとだよぉ〜」

僕「そうか・・・ピンクの容器が確かにあちこち摩れてるもんな」

 

こういう時って子供は有利だよな、

特に也幸くんがじーっと見てたら店員さん、あげたくなっちゃう。

 

僕「さあ、タクシー乗ろう」

 

 

 

 

 

タクシーを降りるとマンションについた、

也幸くんは何事もなかったように飴玉をコリコリ・・・

人の苦労も知らないで・・でもまあ、いいか、楽しんだようだし。

 

雪沙「あ〜〜!」

僕「あ・・・」

也幸「!!!」

 

雪沙ちゃんのお兄さんたち、

つまり三悪兄弟がマンションの郵便受けをあさってる!

なんて奴らだ・・・監視カメラがあるのに・・・よーし、こうなったら・・・

 

僕「雪沙ちゃん、防犯ブザー貸して」

雪沙「え〜?・・・・は〜い」

僕「よーし・・・隠れてて」

 

隠れた雪沙ちゃんとこへ荷物を置いて・・・

気付かれないよう、ゆっくりゆっくり近づいて・・・

・・・・・よ〜〜〜し・・・いまだ!!!

 

ビ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

 

わはは!慌ててる慌ててる!

逃げた逃げた、一目散に逃げてった!!

1人コケてるし!気分がいいなぁ〜・・・

 

僕「さて・・・これ、どうやって止めるんだ?」

 

ビ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

 

雪沙「うるさ〜い」

僕「これ、どうやって止めるの?」

雪沙「しらな〜〜い」

 

どうすればいいんだ・・・このっ・・・このっ!

・・・やばい、このままだと変に人が来ちゃう、急がないと・・・

でも、仕組みがわからない・・・時間がくると止まるとか?どのくらい待てばいいんだ?

 

ぐいぐいっ

 

僕「あ・・也幸くん」

也幸「・・・・・」

僕「止められるの?はい」

 

ビ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・ビッ!

 

僕「・・・・・止まった」

雪沙「ど〜やったの〜?」

也幸「・・・・・」

 

謎な子だ・・・

 

 

 

雪沙「ただいまぁ〜」

僕「ただいま」

 

玄関にハイヒール・・・美鈴義姉さんか!

 

也幸「!!!」

 

たたたたた〜〜!!

 

雪沙「なりゆきぃ〜!くつちらかしちゃだめ〜!」

 

僕の部屋へとんでいく也幸くん・・・

おお!雪沙ちゃんが也幸くんの靴を綺麗にならべている!

雪沙ちゃんだって最初来た頃はちらかしてたのに・・・変わったもんだ。

 

ガチャ

 

僕「ただいま」

美鈴「あら、おかえりなさい、遅かったわね〜」

 

也幸くんはすでに美鈴ねえさんの胸の中で甘えきっている・・・

 

雪沙「いっぱい買ってきたよ〜」

雪巳「冷蔵庫入れるの手伝うねー」

雪菜「あ・・おっきいぬいぐるみ・・・」

雪沙「なりゆきがふくびきであてたんだよ〜」

美鈴「偉いわね〜、その小さなぬいぐるみは?」

雪沙「それは買ってもらったんだよ〜」

僕「そうだ!今夜のご飯・・・はい、いかめし」

 

机の上に置く。

 

雪巳「こんなにー!」

母猫「にゃあにゃあにゃあにゃあにゃあ」

僕「お、匂い嗅ぎつけてきたな!」

雪沙「いか、ちょっとあげていい〜?」

美鈴「イカは駄目よ、猫の体には毒になるから」

雪菜「猫の缶詰あけてくるです・・・」

雪巳「雪沙、台所に買い物持ってくよ〜」

僕「雪菜ちゃん!これ、猫の新しいトイレ、はい」

 

3姉妹が部屋を出て行き残ったのは僕と美鈴義姉さんと、

ゴロゴロ甘える也幸くん・・・母猫は雪菜ちゃんが持っていっちゃった。

 

美鈴「そうそう、メール見たわよ・・・で、どうするの?」

僕「う〜ん、僕はもちろん追い返したいんだけど・・・」

美鈴「はっきりそう言えばいいじゃない」

僕「でもなんか、弱み握られてるみたいで・・・」

美鈴「もう・・・あの子たち、あの姉が来たら一気に居心地悪くなっちゃうわよ?」

 

それはなんとなくわかるけど・・・

 

美鈴「・・・ま、仕方ないわね、今回は助けてあげましょう」

僕「助かります、ありがとう」

美鈴「来るのはあさってだったわね?」

僕「はい、あさっての夕食前だとか」

美鈴「いいものがあるのよ、明日、仕事行く前に郵便受けに入れておいてあげるけど・・・」

 

三姉妹が戻ってきた、

雪菜ちゃんは麦茶とお箸を持ってきている、気が利くなあ。

 

美鈴「みんな、あさっての夕方以降、暇?」

雪巳「予定ないよー」

雪菜「ひま・・・です」

雪沙「なぁに〜?どこかつれてってくれるの〜?

美鈴「連れていく、じゃないけど、家にディナーショーの招待券があるの」

 

ディナーショー!?

そんな大それた・・・

 

美鈴「それが3名さまご招待なんだけど、私の奴隷・・ううん、夫が忙しくて行けなくって」

 

モソモソと美鈴ねえさんの胸から這って移動する也幸くん、

何かと思ったら量り売りで買った飴をまた口に入れて・・・

そしてモソモソとまた美鈴ねえさんの胸の中へはまって、うっとり・・・

 

美鈴「それで代わりに行って来てくれないかなーってね」

雪巳「いいのー?ほんとにー?」

僕「でも・・・3人ってことは保護者は?」

美鈴「ま、大丈夫でしょう、この子たちだけで」

雪沙「さんにんって〜、なりゆきはぁ〜?」

美鈴「確か10歳以上って年齢制限あったから、也幸くんはお留守番ね」

雪菜「何のショー・・・ですか」

僕「そうだ、ディナーショーってタキシードだのドレスだの着てテーブルマナーも・・・」

美鈴「そ〜んな大げさなショーじゃないから安心して、温泉の宴会場レベルだから」

 

でもなぁ〜・・・

 

僕「雪巳ちゃん、ちゃんと3人だけで行ける?」

雪巳「行き先どこー?」

美鈴「確か普通のホテルだから、ここからタクシーで行って戻れば迷うことも危険な事も無いわ」

僕「そうですね、マンションの入り口で乗せてホテルの入り口で降ろして、帰りもその逆なら・・・」

美鈴「そういうこと。それ程遠くないからタクシー代も凄く高くはならないし」

 

それなら大丈夫そうだ。

 

美鈴「ホテル側への説明やタクシーの手配は私がしておくから」

僕「そうだ!雪巳ちゃんたち、タクシー代がもったいないからって歩いて帰ったりしちゃ駄目だよ」

雪巳「道わかんないからむりー」

雪菜「ほんとに・・・行ってきてもいい・・・ですか」

雪沙「で〜、なにがあるの〜?それ〜」

僕「豪華な夕食を食べながら、ショーを見るんだよ」

美鈴「いけない、もうこんな時間!じゃあ行くわね」

 

えっ、もう!?

雪香をどうするって話は・・・!?

 

美鈴「後の詳しい話は帰ってからメールするわ」

僕「あ・・・はい」

美鈴「さあ、也幸くん、このまま持って帰っちゃいたいくらいだけど時間よ」

 

あ〜あ、よだれたらして・・・

美鈴さんの服を両手できゅっと掴んで離したくないみたいだ。

しっかりおっぱいに顔をうずめて・・いいなぁ・・って羨ましがってどうする!

 

美鈴「こちょこちょこちょこちょこちょ・・・」

也幸「!!!〜〜〜!!」

美鈴「はい、外れた。じゃあみんな、またね」

雪巳「またねー」

雪菜「おやすみなさい、です・・・」

雪沙「でぃな〜しょ〜たのしみぃ〜」

僕「じゃあメールで・・・」

美鈴「也幸くんもばいば〜い」

也幸「!!!(手をぶんぶんぶんぶん)」

 

急ぎ足で帰っていった美鈴ねえさん。

わざわざ来てくれて・・・まあ、僕が帰ってくるまでに、

雪巳ちゃん雪菜ちゃんから様子でも聞き出してたのかも知れないけど。

 

僕「さあ、いかめしを食べよう!」

 

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