♪ピューヒュルヒュルヒュル・・・

♪ピューーピューーピュー〜〜〜・・・

 

んんん?な、なんだなんだ?

 

♪ヒュルヒュルピュ〜〜〜

♪ピューピュピュピュー〜〜〜・・・

♪ピューーーーーー・・・

 

顔を何かでつっつかれてる?

なんだよ・・んったく、朝っぱらから・・・

ふわぁ・・・そうか朝か・・起きなきゃ・・でもこれ、何だ!?

 

僕「んん・・・也幸・・くん!?」

 

♪ピュピュピュ〜〜〜〜〜!!

 

これは・・・お祭りで買ったか貰ったかした、

ビニールの蛇笛だ、ぴゅーぴゅー伸びるやつ・・・

それを吹きまくって、ビニールの先が僕の顔にぽすぽす当たっている。

 

也幸「・・・・・」

 

♪ピュ〜ピュ〜ピュ〜ピュ〜ピュ〜・・・」

 

僕「・・・・・こらっ!人の顔をおもちゃで・・・」

 

たたたたた〜〜〜!!

 

僕「わ!はやっ!」

 

ぴゅーっ、て逃げてったよ、ぴゅーーって。

 

♪ピュ〜〜ヒュルヒュルヒュル〜〜・・・

 

僕「逃げながら吹いてるし!!」

 

 

 

 

 

朝食が終わり、部屋でくつろぐ僕。

・・・まだヒュルヒュルと音が廊下ごしに聞こえてくる、

猫たちの部屋でずっと吹いてるみたいだな、也幸くん、よっぽどビニール笛が気に入ったのか・・・

 

雪巳「今日も遊びに行ってくるねー」

雪菜「あの・・私も、図書館、行って、くる、です」

僕「行ってらっしゃい、あんまり遅くなるようなら連絡してね」

雪巳「夕ご飯には帰ってくるよー」

雪菜「私も・・お昼はお弁当作ったです・・・」

 

2人同時にとは珍しい。

でも、これくらいの年齢の子は、

ちゃんと外へ出て遊ぶのも健康的でいいよな。

メイドとはいえ僕にばかり拘束させる訳にいかないし・・・

玄関で2人を見送ると元気に出て行った。さて、じゃあ僕は・・・

 

僕「・・・・・ん?このゴミは・・・?」

 

・・・・・ゴミじゃない、これは也幸くんの靴だ。

ボロボロのズタズタ・・・台風がトドメをさしたんだろうな。

猫がいる間だけとはいえ、これはなんとかしてあげたい。よーし・・・

 

・・・・・お、吹いてる吹いてる

 

ピュ〜ヒュルヒュルヒュル〜〜・・・

 

猫部屋のロフトで壁に背をつけてビニール笛を吹き続ける也幸くん、

仔猫がそれにじゃれようとしてて・・すっかり猫家族に溶け込んでいる。

母猫は・・・しっぽを振って、別に仔猫がそれにじゃれている。

仔猫をじゃらすのを母猫と也幸くんが分業でやってるみたい、う〜ん、

このまま也幸くん、ずっと父猫になりきっちゃうんじゃないか不安だ・・・

 

ピュー・・・

 

笛の音が止んだ、僕に気付いたからか?

いや違う、今度は也幸くん、仔猫たちと同じように、

母猫のしっぽにじゃれはじめたぞ!?顔を近づけて手を出して・・・

 

☆しっぽ☆

ぱたぱたぱた・・・

 

左右に振られるしっぽをつっつく、

するとさらにしっぽの動きが早くなる、

それに負けずしっぽをつんつん、つんつん・・・

四つんばいでしっぽに顔を近づけて・・つんつんつんつん・・・

あ、くいっ、くいっ、てつまんじゃった!しっぽはその指から逃げ、大きくふりかぶって・・・

 

ぺしっ!!!

 

也幸「!!!・・・・・〜〜〜〜〜」

 

あはははは、しっぽで思いっきり顔をぶたれちゃった。

別に痛くはないだろうけど、也幸くん、面くらっちゃってる。

 

僕「也幸くん」

也幸「!!!(ビクビクビク!!!)」

僕「そんなに驚かないで・・あのさ、今からデパート行かない?」

也幸「!!!!!」

僕「靴がボロボロだったからさ、買ってあげるよ」

 

てけてけ、と階段を降りて・・・

僕の前へ・・を、通り過ぎて部屋を出て行った!?

あ、1回顔だけ部屋に戻って僕をじーっと見て、そして廊下を走って行った・・・

 

僕「逃げちゃった・・・何か悪い事言ったかなぁ・・・」

 

ロフトの階段を登って猫たちを見る・・・

母猫、機嫌直せよー・・・背中をなでてあげよう。

 

ぺしぺしぺしぺし!

 

うぅ・・・背中なでようと手を出したら、

しっぽでぺしぺし攻撃されてしまった・・・ん?廊下が騒がしい?

 

とたとたとたとた・・・

 

雪沙「んも〜、也幸〜、そんなに引っ張らないの〜!」

也幸「ー!ー!ー!」

雪沙「服がのびちゃうよ〜〜」

 

也幸くんが、雪沙ちゃんを、つれてきた!?

 

雪沙「おにぃちゃ〜ん、デパートつれてってくれるって、ほんと〜?」

僕「え?あ、ああ、うん、そうだけど」

雪沙「でもゆきさ〜、おひるごはんつくらなきゃ〜」

僕「でもお昼って僕と雪沙ちゃんと也幸くんだけだよね?じゃあデパートで食べよう」

雪沙「ほんと〜〜!?わぁ〜〜〜い♪」

 

って、雪沙ちゃんも行くことになっちゃった・・・

まあ別にいいけど、也幸くん、1人で僕に連れて行かれるのが不安だったのか?

それとも何か別の理由があってとか・・・あ、雪沙ちゃんは也幸くんの世話係とか?

 

雪沙「そうだね〜、猫の餌、お昼の分あげてから行こうね〜」

也幸「・・・・・(コクコク)」

雪沙「おにぃちゃ〜ん、なりゆきもデパート楽しみだって〜」

 

わかった!通訳か!!

うーん、也幸くん、抜け目ないなあ。

 

雪沙「ぢゃあ、お洗濯はやく終わらせるね〜」

也幸「・・・・・」

雪沙「いっしょにたたんでくれるの〜?ありがと〜」

也幸「・・・(コクリ)」

雪沙「でもたたむのは干し終わったあとだよ〜」

 

ほほえましい会話を背にして僕は部屋へ戻る・・・

 

プルルルルルル、プルルルルルル・・・

 

お、携帯電話が鳴ってる!急いで取らなきゃ、相手は・・・

 

ピッ

 

僕「もしもし?」

雪香「あ〜やっと出たよ・・おっそ〜」

僕「お前か!雪香!!」

 

そういえば昨日、電話が途中だったよな。

 

雪香「今、チョー困ってるんだけど〜」

僕「何があったんだ?」

雪香「それがさ〜、警察に捕まっちゃって〜」

 

ななな、なにぃ〜!?

 

僕「じゃあお前、いま警察にいるのか?」

雪香「ううん、友達ん家ぃ〜」

僕「そうか・・じゃあ釈放されたのか」

雪香「わかんな〜い」

僕「え?だって捕まったって・・・」

 

どういうことだ?

 

雪香「捕まったのあたしじゃないってば、パパ」

僕「びっくりした・・って、パパって!?」

雪香「エンコーの〜・・ニュースでやっててびっくりしちゃった」

僕「そういうことか・・じゃあ捕まったとき雪香もいたのか?」

雪香「いないよ〜、あのパパ、遊びまくってたから〜、いっぱい相手いるから」

 

なるほど・・・僕もニュースで見たかも。

 

雪香「それでヤバくなっちゃって〜」

僕「余罪を追及、ってやつか」

雪香「あわててウィークリーマンション逃げてきたんだけどー」

僕「それで今はどこに・・あ、それで友達の家に逃げてるのか」

雪香「そうなんだけど〜、次はそっちいくからー」

 

そっちって、まさか・・・!?

 

雪香「ここもそろそろいられないからさ〜」

僕「そっちって・・・雛塚家、だよね?」

雪香「なんで家になんの?そっちっていったらそこだよ、そこー」

僕「困るよ!ただでさえ3人・・・4人いるのに」

雪香「え〜、また増えた?じゃあもう1人増えても平気っしょ」

 

全然平気じゃないよ!!

 

僕「来ても入れないからな」

雪香「え〜?そんなこと言っていいのー?」

僕「な・・・なんだよ」

雪香「ばらしちゃおっかな〜♪」

僕「何をだよ!!!」

 

心当たりがありすぎる・・・

 

雪香「あさっての夜、行くからね〜」

僕「だから困るって!」

雪香「夕食ちゃんと作っといてよー?じゃねー」

僕「こらこらこら!!」

雪香「いいことしたげるからさ・・・」

 

プツッ・・ツー・・ツー・・ツー・・・

 

切りやがった・・・

あさってって!!しかも夕食前に・・・

入れる訳にはいかないよな、でも、ばば、ばらす、って・・・!?

 

僕「・・・・・美鈴義姉さんに相談かな」

 

電話・・・はこの時間はまずいよな?

お昼前だし、薬剤師のバイトとか忙しそうだし・・・

メールだな、メール・・・パソコンの電源入れて、っと・・・

 

僕「・・・・・雪巳ちゃん達には知らせたくないな」

 

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