雪巳ちゃんが帰ってきて、夕方の食卓。

雪菜ちゃんの作ったハンバーグが美味しい・・・

猫たちはロフトの部屋に閉じ込めてすでに猫缶をあげてある。

 

雪沙「ね〜、猫みないけど、もうあげちゃったの〜」

也幸「・・・・・」

僕「あ、そうそう、猫だけど、場所移動させたから」

雪巳「どこにー?」

僕「ロフトの部屋だけど、そこ、猫の部屋にしたから也幸くん以外、立ち入り禁止だからね」

 

後で貼り紙でも作ろう。

 

雪沙「え〜?なんで〜?仔猫さわりた〜い」

僕「駄目!母猫が迷惑そうだったし、あんまりいじったら可哀想だよ」

雪巳「ロフトの部屋ってどこー?」

僕「奥の・・・って入ったことなかったっけ」

雪沙「ロフトってなぁに〜?」

僕「中2階っていうか天井部屋っていうか・・・」

雪菜「なりゆき・・・世話・・ちゃんとしてね・・・」

也幸「・・・・・・・・(もぐもぐコクコク)」

 

でも也幸くん、猫トイレの取替えとか部屋の掃除はさすがに無理だよな?

 

僕「也幸くんがやれない事は雪菜ちゃん、見てやってあげられる?」

雪菜「はい・・・です」

雪沙「え〜?ゆきさがやる〜」

僕「猫さわりたい気持ちはわかるけど・・・部屋から出てきたらさわってもいいよ」

雪巳「ほんとー?」

僕「うん、でもロフトの部屋に入っちゃったら追いかけたら駄目だからね」

雪沙「は〜い」

 

ちゃんと猫に安全地帯作ってあげないと、ストレス溜まっちゃう。

 

也幸「・・・・・」

 

あれ?也幸くん、もう食べ終わって椅子から降りた。

 

雪沙「ごちそうさまだって〜」

 

ててててて、と廊下へ・・・猫が心配なのか。

もはや也幸くんは、あの猫一家の一員だもんな。

雪沙ちゃんたちみたいにいじくり回す事もないだろうけど・・・

ちょっと気になるから後で見てみよう。って雪沙ちゃんたちも気になるだろうな・・・

張り紙には注意事項をいくつかまとめて書かなくちゃ。夕食食べ終わったら早速作ろう。

 

 

 

 

 

ご飯が終わって部屋に戻る・・・

お?携帯電話が光ってる、着信アリって、

どれどれ・・・見たことのない電話番号だな、

携帯からだ、間違い電話か?一応確認してみるか、

返信ボタン押して、っと・・・誰が出るんだろうか?・・・・・

 

プルルルル・・・プルルルル・・・

 

僕「もしもし?」

雪香「もっしー?雪香だけどー?」

僕「お、お前!何で僕の電話番号を!」

雪香「え?・・・あ、掛けなおしてくれたんだー」

僕「くれたんだー、じゃない!何で僕の携帯の番号知ってるんだ!」

 

まさか雪香だったとは!!

 

雪香「前にファミレスで、ちょちょっとねー」

僕「勝手に盗み見たのか!?」

雪香「聞くの面倒くさかったから省略しただけー」

僕「・・・それで何の用だ」

雪香「チョーヤバいんだけどー・・あ、ヒロキが戻ってきた!後でかけなおすねー」

 

プツッ・・・ツー・・ツー・・ツー・・・

 

なんて女だ・・・まったく・・・

これからは絶対に油断しないでおこう、

何かおごらされそうになったら逃げなきゃ。

 

僕「そうだ、貼り紙作ろう」

 

大きい紙にマジックで・・・

机にうつらないように漫画でも下にひこう。

そして・・・也幸・雪菜ちゃん以外立ち入り禁止、と・・・

って、これじゃあ僕も立ち入り禁止だ!書き直し、っと・・・

・・・・・雪沙・雪巳ちゃん立ち入り禁止、っと・・・さらに、

雪菜ちゃんは掃除の時以外立ち入り禁止、これでいいかな、猫缶は僕があげよう。

他の細かいルールは・・・食事のとき以外はドアをひらいておくこと、それと・・・

 

雪沙「おにぃちゃんなにやってるの〜?」

僕「ん?これは貼り紙。猫の部屋のドアに貼るの」

雪沙「テレビつけていい〜?」

僕「いいよ、好きなの見な」

雪沙「は〜い、でも見たい漫画まであと20分ある〜」

 

スイッチを入れるとニュースだ。

きっとこのチャンネルなんだろう、

雪沙ちゃんは大して見たくもない画面をぼーっと見ている。

 

キャスター「続いては子供が巻き込まれる犯罪が相次いでおります。

今日お昼ごろ、公園で遊んでいた9歳の女の子が車に押し込まれそうになる事件があり・・・」

 

物騒だなぁ、雪沙ちゃんだってまだ11歳、気をつけてもらわないと。

 

キャスター「また、今日午後、中学2年生の少女を現金を渡して猥褻行為したとして、

会社役員の男が逮捕されました、警察では複数の余罪があると見て・・・」

 

くるっ、とこっちを見る雪沙ちゃん!

 

雪沙「お兄ちゃん、ゆきさにわいせつなこ〜い、した〜?」

僕「な!!!・・・なにを言ってるんだっ!」

雪沙「ちがうよね〜?ゆきさがお兄ちゃんにわいせつなこ〜いしたんだよね〜♪」

僕「そ・・・そう・・・だね」

雪沙「だからぁ〜、たいほされないよね〜?」

 

・・・・・雪沙ちゃん、わかってるんだかわかってないんだか・・・

小5の言う言葉は恐ろしい・・・かしこいのかアホなのか、よくわからん・・・

多分、アホなのは僕なんだろうな、いろんな意味で・・はは・・・雪沙ちゃんめ!!!

 

僕「雪沙ちゃん、知らないおじさんには気をつけるんだよ」

雪沙「うん〜、知ってるおじさんでもかんりにんさんならにげる〜」

僕「えらいえらい、かしこいよ」

 

なんて言ってるうちに貼り紙が完成した。

 

僕「よし、貼ってこよう」

 

セロテープ、よりはガムテープがいいよな・・・

猫部屋へ・・・扉が閉まってる、いつもは開けておかないと、

母猫が出入りできなくって困っちゃう・・さすがにずっと閉じ込めるのは可哀想だからな。

 

ぺたぺたぺた・・・完了!

 

ドアを開けて・・・

ついでに中の様子も・・・

ん?也幸くん・・・いる?いない?

階段を登ると・・・いた、也幸くん、寝てる!

母猫と、仔猫三匹と一緒に、ロフトに横になって寝てる・・・

 

・・・そっとしておこう。

 

お風呂や歯磨きはもっと後でいいだろう。

今は邪魔しないように・・・階段から降りると雪菜ちゃんが、

丁度、猫の飲むお水を取替えに来てくれていた。

 

僕「也幸くん、上で寝てるよ」

雪菜「うん・・・後で・・お風呂連れてく・・です」

僕「遅くなってもいいからね」

 

廊下に出ると雪巳ちゃんが貼り紙を読んでいた。

 

僕「こういうことだから」

雪巳「うんー、出てきたらさわってもいいんだよねー?」

僕「無茶しなきゃね」

雪巳「じゃあ、猫じゃなくてお兄ちゃん触ってあそぶー」

僕「ええっ!?」

 

僕のシャツに手を入れ、胸をまさぐってきた!?

 

雪巳「それともー・・・お兄ちゃんが・・・さわるー?」

 

色っぽい目・・・誘われてるううう!!

 

雪菜「あ・・・也幸、起きた・・・」

 

部屋から聞こえたその声にビクッ、と手を引っ込める雪巳ちゃん!

あわてて逃げてく・・・そりゃそうだ、也幸くんに変な場面は見せたくないだろう。

ゆっくりと雪菜ちゃんが出てきた、ちょっと表情に迫力があるというかなんというか・・・

 

僕「也幸くん、お、起きたの?」

雪菜「ううん・・・寝てる・・・」

僕「そ、そっか・・・」

 

そのまま廊下を歩いて行った・・・

なんか、背筋が寒い・・・首筋も・・・

お風呂入って、さっぱり・・しよう・・・ははは・・・

 

 

 

結局、この日はもう雪香からの携帯はかかってこなかったのだった。

 

もどる めくる