美鈴「んもう・・はい、弟くんの分をあらためて」

僕「あ、ありがとう・・でもいいんですか?6缶入り、全部開けちゃって」

美鈴「どうして?・・あ、ウチの?ちゃんと私と君のお兄さんの分は別にあるわよ、ほら」

僕「ほんとだ、そっちは5缶入り・・って2人暮らしなのに5缶なんですか?」

美鈴「だってほら、今ここで1本飲んでるじゃない、私」

 

あ、そっかそっかそっか、それで3本ずつになるのか。

 

母猫「にゃあにゃあにゃあにゃあにゃあ〜〜〜」

美鈴「あーーー、この猫うるさいわね!弟クン、猫缶買ってきて」

僕「ええ?今からですか?」

美鈴「そう、あとトイレの猫砂とゴミ袋もね、ほら急いで!」

僕「は、はいっ!!」

 

 

 

なんだか追い出されたぞ・・・

まあいいか、とマンションの1階にエレベーターがついた、

近くのコンビニだと不安だから大きいコンビニ行くか・・・バイクのキーも持ってきたし。

あ、まだ相談所の車がある、車にしっかり文字が書かれてるから一発でわかるな、

ということはまだ管理人と話を・・・相談所の人が管理人に丸め込まれて、雪沙ちゃん取られたら・・

 

僕「ってそんな心配は無いか」

 

と言いつつ管理人の布団に無理矢理入れられ抱きつかれてる雪沙ちゃんの、

えぐえぐ泣いてる姿を想像して、胸がモヤッと、しめつけられるような感覚になった。

 

僕「・・・守ってあげなきゃ」

 

バイクに乗ってコンビニへ・・・

あそこをああ行って・・・あったあったあそこだ、

雪巳ちゃんたちにジーンズメイトで服を買ってあげた帰りに寄った、

大きいコンビニ・・・ペット用品も結構あったはずだ、全部揃うはず・・・バイクを止めてメットを脱いで・・

コンビニ前ではまた、高校生くらいのグループがたむろして・・前はここに確か雪香ちゃんが・・って、ああっ!?

 

雪香「おっ?おひさ〜」

僕「ゆき・・か・・・ちゃん!?」

 

☆雪香が!!☆

 

黒い!!

 

僕「いつからガングロになったんだ?」

雪香「ちがうっしょ〜、沖縄で焼いてきたってば」

僕「沖縄行ってきたんだ・・・」

 

どうりでお祭りで見ないと思ったら。

 

雪香「マジ大変だったよー、台風で飛行機飛ばなくって最悪」

僕「だからってそんなに焼かなくても・・・」

雪香「おかげで1泊追加んなったから1晩余計にパパにやられてアソコ今でもヒリヒリしてて〜」

僕「な!!」

雪香「お金全部パパ持ちだから文句言えないっしょ〜、なんかソンした気分なんだよね〜」

 

あいかわらず、なんちゅう女だ・・・

ん?近づいてきた、なんだ?僕の耳元へ・・・

 

雪香「だから〜、ちょっとおごってよ〜」

僕「や、やだよ・・メシおごらされたし」

雪香「アレはアレで情報あげたじゃん」

僕「あんなの情報に入るかっ!」

雪香「・・・どう?口でやったげるけど・・・5000円でいいよ」

 

ななななな・・・!!

 

雪香「飲むなら1万。どう?」

僕「お、おまえは・・・お断りだっ!!」

雪香「あ!逃げた」

 

コンビニへ駆け込む!

はぁ、はぁ・・・胸が変な風にドキドキしてる・・・

まったくあいつは、そんな事して沖縄行ったり小遣い稼いだりしてるのか・・・

 

僕「乱れてるなあ・・・」

 

そうそう、猫缶に猫砂にゴミ袋、と・・・

 

 

 

 

 

マンションに帰ってきた。

帰り道、雪香の事を考えると少し胸が痛くなった。

そういえば雪巳ちゃんだって、ネズミーシーの夜に・・・

それに、家にいても三姉妹が、たまにHなことをしてくる・・・

ひょっとして三姉妹って雪香ちゃんと同じなのかも、と同時に雪香のパパと僕も似たようなもの・・・?

 

ガチャ

 

僕「ただいま」

美鈴「はい、おかえりなさい」

也幸「・・・・・」

僕「ええっ!?也幸くん・・美鈴ねえさんの胸の中に!」

雪沙「すっかり甘えてるよ〜」

 

気持ち良さそうにゴロゴロと・・・

僕がいない間に、一体何があったんだろうか!?

 

美鈴「さあ、みんなお風呂入ってらっしゃい、あと歯磨きもね」

雪巳「はーい」

雪菜「入る・・・です」

雪沙「ほら〜、なりゆきもいくの〜」

也幸「・・・・・」

 

べったりで離れたくないみたいだ。

 

美鈴「ほら、お風呂入ってらっしゃい、ね?」

也幸「・・・(コク)」

 

素直に離れてみんなと廊下へ・・・

美鈴姉さん、あっという間に手なずけたみたいだ、

さすがというか何というか・・・ちょっと恐いくらいだ。

 

美鈴「で、買ってきてくれた?」

僕「はい、これを・・・」

母猫「にゃあにゃあにゃあにゃあにゃあ」

美鈴「あけてあげて、はい、お皿」

僕「じゃあここへ・・・」

 

パシュッ!!

 

缶から皿に落とすと物凄い勢いで食べてる、

夕食あげたのに、こんなにお腹空いてるのはやっぱり仔猫に母乳をあげるからかな?

 

美鈴「やっぱり猫には猫専用の餌ね」

僕「でもハムとか美味しそうに食べてましたよ?」

美鈴「それって本当はいけないのよね、人間には良くても猫にはいけない物とかいっぱいあるから」

僕「そうなんですか?」

美鈴「ええ、塩分は人間の量だとあきらかに取りすぎになるし、イカやタコ、玉葱は猫には毒になるわ」

 

そうだったのか・・・

 

美鈴「しょっぱい物なんかは、いくら食べても猫は満腹感を感じなかったりするみたいだし」

僕「それでこんなにせがんでたのか・・・おお、がっついてる、がっついてる」

美鈴「さて・・・弟クン、君のいない間にあの子たちから、また色々聞かせてもらったわ」

 

ぎくぎくぎくぎくぎっくううううう!!!

 

美鈴「あいかわらずお金で解決する事が多いようね」

僕「は・・・はい」

美鈴「あんまり過度に、お金に頼る所を見せちゃ駄目よ?」

僕「心がけては・・いるつもり、だけど・・・」

美鈴「お金さえあれば、って意識をあんまり植え付けると、大変な事になるから気をつけなさい」

 

そうだよな、さっきコンビニで会った雪香みたいに、口で5000円、とか・・・

 

僕「あの、美鈴ねえさん・・」

美鈴「なあに?」

僕「さっき、雪巳ちゃんたちの姉の、雪香ちゃんに会ったんだけど・・・」

美鈴「なにか言ってたの?」

僕「その・・・あいかわらず、パパ作って、沖縄とか連れて行ってもらって、その・・・」

 

言いにくい・・・

 

美鈴「援助交際してるのね?」

僕「うん、それで・・・」

美鈴「弟クンも誘われたの?」

僕「そ・・でも、ちゃんと断って逃げたから!」

美鈴「ま、君にそんな度胸無いでしょうしね」

 

あっさり言うなあ・・・

 

僕「それで考えたんだけど、僕だって、雪巳ちゃん達に対して、そんなに変わらないんじゃないかって・・・」

美鈴「あら、弟クンはそんなつもりで雪巳ちゃんたちと住んでるの?」

僕「とんでもない!そんな気はまったく・・・でも・・」

美鈴「まあ、体の関係がなくっても、似たようなものかもね」

僕「そんなぁ!!」

 

フォローの言葉は!?

 

美鈴「そう思うんなら、あの子たちを切り捨てる事ね」

僕「うー・・・」

美鈴「・・・・・大丈夫よ、安心しなさい、あの子たちはそんなつもりじゃないわ」

僕「本当に!?」

美鈴「もちろん下心はたっぷりあるけど、ね」

 

・・・どっちなんだよ。

 

美鈴「いい?援助交際は、まずお金ありき、ね」

僕「うん・・・売春、ですよね・・・」

美鈴「そう、人としてゲスな行為。売るほうも買うほうも」

僕「僕も、あの子たちを、お金で雇ってる・・・」

美鈴「弟クンの場合は、あの子たちありき、でお金を使っている、そうでしょ?」

 

そうだ・・・よな?

 

美鈴「あの子たち3人が君の恋人だとするわね」

僕「な!!」

美鈴「たとえばよ!すぐ真に受けるんだから・・・」

僕「す、すみません・・・」

美鈴「で、恋人とデートする時のお金って、援助交際とは言えないでしょ?」

 

なるほど、わかりやすい。

 

美鈴「同じように、娘に買ってあげる服も援助交際じゃないでしょ?」

僕「・・・そう聞くと、楽になります」

美鈴「でも、あの子たちは娘でも恋人でもないのよねー・・・」

僕「じゃ、じゃあどういう事なんですか!」

美鈴「雇われメイド。元々そういう約束でしょ?」

 

でも相手は、まるっきり子供だ・・・

 

美鈴「ようは君の心の持ちようよ」

僕「僕の考え1つで、娘にも恋人にも、メイドにもなる、と」

美鈴「もちろん援助交際相手にもね」

僕「う・・・わかりました、気をつけます」

美鈴「よろしい。あと・・・あの男の子は一体どうしたの?」

 

也幸くんのことか。

 

僕「えっと、台風の日に猫を拾ってきて、それで・・・」

美鈴「それで猫と一緒に飼うの?」

僕「そんな!飼うだなんて!」

美鈴「そのうち他の子もどんどん来ちゃいそうねぇ」

僕「・・・はい、それで僕も、ちょっと困ってます・・・」

 

母猫は何食わぬ顔して毛づくろいしてる・・・

 

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