ぴんぽーーん、ぴんぽーーーーーん
僕「・・・・・ん?もう朝か?いや・・・夜中、だよな?」
布団を出よう・・わ!また三姉妹にガッチリ抱きつかれてる・・・
それを這い出して・・・時計は3時ちょっとか、朝といえば朝と言えなくもない。
ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽーーーん
僕「あー、うるさいうるさいうるさい!!」
管理人か!?
外は物凄い暴風雨だ、
どうせ「雪沙ちゃんが怯えてないか心配で」とかだろ?
もうここまできたら立派なストーカーだぞ!いい歳こいて!
さすがに怒鳴っていいよな?玄関の監視カメラを覗く、そこには・・・
僕「・・・・・え!?」
ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽんぴんぽん、ぴんぽーーーん

カメラを見上げる幼い少年・・・
ずぶ濡れの也幸くんが、これまたずぶ濡れのダンボール箱にずぶ濡れの猫の詰め合わせを持って、
その箱の角で何度も何度もインターフォンを押している、この夜中に公園まで、猫を助けに・・・!?
ぴんぽんぴんぽん、ぴんぽんぴんぽん・・・
僕「・・・はっ!早く入れてあげないと」
階段前扉のロックを外してあげる、
しかしそれに気付かないのかインターフォンを押し続けている・・・
僕はマイクでやさしく也幸くんに話す。
僕「もう下の鍵は開いてるから、普通にドアノブ捻れば入れるよ」
ビクッ!と僕の声に反応したのち、
ドアの前へ・・・あれ?潜らない?立ち往生してる・・・
あ、両手が使えないからか。ダンボール一旦置けばいいのに・・・置いた。
で、ドアを開けて、ダンボールを・・ああ、ドアが閉まった!困ってる困ってる!
足か何かでつっかえておけばいいのに・・もう一度ロックを外してあげて・・・面白いなぁ。
也幸「・・・・・」
さすがに今度は学習したのか猫入りダンボールを足元に置いてから、
ドアを開けてダンボールを引きずって・・通った、再び箱を持って階段を・・・
こっちのドアも開けてあげなくちゃな、玄関を・・・うお!すごい暴風雨!也幸くんが飛ばされそうになりながらやってきた!
僕「ほら、早く入って入って!」
也幸「・・・・・」
バタンッ!!
あ〜あ、こんなにビショビショになって・・・
雪巳「どーしたのー?ピンポンピンポンうるさいー」
雪菜「あ・・・也幸・・・」
雪沙「ふぁ〜〜〜・・・いまなんぢぃ〜〜?」
僕「みんな起きちゃったんだ・・・バスタオル持ってきて!いっぱい!」
雪巳「わかったー」
う、也幸くん震えてる、
髪の毛から雨の雫がぽたぽたと・・・
服もシャツから半ズボンまでビッショリ。
僕「重いよね?猫、こっち渡して!」
也幸「・・・・・」
僕「んしょ・・」
あ、箱がすっかりふやけて底が抜けそう・・・
って、也幸くん猫を渡したらUターンしてまた外へ行こうと!?
玄関を開け・・わっ!びゅーっ、と飛んでいっちゃいそう!危険だ!!
僕「無理して帰らなくていいよ!台風が過ぎるまで、せめて朝までここにいなよ」
也幸「・・・!!!」
僕「ほらほら、危ないから玄関閉めて!」
鍵も閉めて、と・・・
雪巳「タオル持ってきたよー」
雪菜「ミルク・・・あっためてるです・・・」
雪沙「なりゆきこっち〜〜」
うわ、也幸くんの靴、
元からボロボロだったんだろうけど泥水でふやけて、
これはもう履けないな・・それより足の裏が真っ黒・・・
僕「まず先に足だけ拭いて、みんな僕の部屋へ!」
猫を運んで、と・・・
灯りをつけた僕の部屋、
テレビのスイッチを入れるとNHKでは台風情報・・・
もうすぐ関東上陸、って事はお昼には通り過ぎてくれそうだ、
三姉妹のほうへ目をやる、
雪巳ちゃんはバスタオルで母猫を丁寧に拭き、
雪菜ちゃんはバスタオルで仔猫を1匹ずつ丁寧に拭き、
雪沙ちゃんはバスタオルで裸の也幸くんを丁寧に拭いている・・・
脱ぎ終わった服は洗濯してあげないと・・・そうだ!
僕「一通り拭き終わったらお風呂に入れてあげて」
雪巳「猫をー?毛とかいいのー?」
僕「ちがーう!也幸くんを・・・あ、猫も洗おうか、野良だったんだし」
雪菜「もうすぐミルク・・・あったまる・・です」
雪沙「ぢゃ〜おふろはいろ〜」
也幸「・・・・・???」
僕「也幸くん、雪沙ちゃんにお風呂でよーく洗ってもらうんだよ」
也幸「!!!」
僕は・・・一緒に入らなくても大丈夫だよな?
台所でミルク番をしながら猫用の食べ物でも探すか・・・
雪巳「このおっきー猫、拭いてあげたのに毛ずくろいしてるー」
雪菜「みんな・・・お風呂に運ぶ・・です」
雪沙「なりゆき〜、ここのお風呂おっき〜んだよ〜?」
也幸「・・・・・」
僕「也幸くん、シャンプー使っていいからね」
お風呂に運ばれる猫たち、
雪沙ちゃんに強引に引きずられていく也幸くん・・・
残ったのはボロボロの段ボール、捨てていいよな?・・・あれっ?
これは・・・ダンボールの隅っこにあるプラスチックのおもちゃ、これって、
僕が也幸くんにあげた、新幹線のおもちゃじゃないか!なんでこんなところに・・・
僕「隠してたのかな?ここに・・もしくは、仔猫のおもちゃにってことで、猫にあげたとか・・・」
そう考えると也幸くんって、凄くピュアで良い子なんじゃ!?
・・・・・きっとお腹空いてるんだろうな、朝食くらいはご馳走してあげよう。
今日は僕が作るかな、そうだ!ミルクがそろそろホットになってるはず、台所へ・・・
僕「あ、ちゃんとミルクの火が消してある」
このへんにぬかりがないのが、さすが雪菜ちゃんだよな。
弱火で暖めなおして・・・今から朝食作ると完成は4時半とかになりそうだ、
食べるのは5時・・・早すぎるけど也幸くんや猫たちには早くお腹を満たして欲しい。
僕「ハムとかあるな〜・・・あと・・猫にはシーチキンとミルクだけでいいかな?」
多めに作らないと・・・
とはいえ小1だから半人分だよな・・・?
ん?廊下づてにお風呂から騒がしい声が聞こえる・・・
雪巳「きゃーーーーー!!」
ななな、何があった!?
僕は慌てて廊下を走りお風呂を覗く!!
ガラッ!!
僕「どうした!?」
雪巳「仔猫におっぱい吸われてるのー」
僕「あっ!ほんとだ・・・」
ちっちゃい三毛猫が雪巳ちゃんの乳首に吸い付いてる!
雪巳「お乳出ないのにー」
僕「そ、そうだね・・・」
僕は慌てて目を手で隠す、
でも・・・ちらっ、と指の間からおっぱいを・・・
うーん、まだ仔猫とはいえ、えっちぃ・・・うらやまし・・いや、なんでもないぞ!
雪菜「・・・ねこさん・・・きたないよ・・・」
母猫が湯船に座ってお風呂のお湯をぺろぺろ飲んでる、
雪沙ちゃんは・・・也幸くんを洗うのに一生懸命だ、されるがままの也幸くん。
雪沙「おちんちんもちゃんと洗ってあげるね〜」
也幸「・・・・・」
雪沙「たまたまよく洗わないとかゆくなっちゃうよ〜?」
うーん、大事でなくて良かった・・・よな。
雪巳「くすぐったーい!離れないよー、お兄ちゃんとってー」
僕「い!?う・・・うん」
雪巳「はやくーー」
仔猫の体を持って・・・
あ、コイツ、雄かぁ、どうりでスケベなはずだ・・・
んしょ・・・無理に引っ張ると、おっぱい引っかかれそうで恐いな・・・
・・・・・ちゅぽんっ!!
僕「抜けた」
雪巳「ありがとー」
すぐに胸を腕で隠す雪巳ちゃん、
だからその基準はなんなんだっての・・・
仔猫引き離す事はさせておいて・・・まあいいや。
雪菜「お母さん猫・・洗うです・・・」
雪巳「そだねー、私と雪沙でおさえよっかー」
雪沙「も〜ちょっとまって〜、なりゆきのおしりあらってるから〜」
も、もういいだろう・・・台所に戻ろう・・・
僕「じゃ、後よろしく」
雪巳「うんー・・・雪菜、シャンプー取ってー」
雪菜「はい・・・」
猫が逃げないように、しっかり閉めて、と・・・
まったくお騒がせな猫め・・・でも大事じゃなくて良かった。
雪巳「きゃー!きゃー!きゃー!!」
僕「今度はどうした!?」
雪巳「蚤がいっぱい出てきたー!」
雪沙「ぴょんぴょんしてる〜」
雪菜「や・・・髪の毛に・・つく・・・」
あーあ、お母さん猫からか・・・
野良だもんな、仔猫はまだ母猫が舐めて蚤を外せるけど、
あれだけ大きい母猫だと・・・あ、助けに行かなくていいよな?
へたに開けたら蚤が飛んでくるし、洗い中の母猫とかも逃げちゃうかも。
後は彼女たちに任せよう、一応、虫刺されを用意しておいてあげるとするか。
僕「もう1度よーく洗って蚤を落とすんだよー!」
雪巳「わかってるー」
母猫「ふにゃああああああ!!」
雪菜「爪・・・たてないで・・・」
雪沙「なりゆき〜、お風呂もぐっちゃだめ〜〜」
・・・・・実は楽しそうだな。
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