ぴんぽーーん、ぴんぽーーーーーん

 

僕「・・・・・ん?もう朝か?いや・・・夜中、だよな?」

 

布団を出よう・・わ!また三姉妹にガッチリ抱きつかれてる・・・

それを這い出して・・・時計は3時ちょっとか、朝といえば朝と言えなくもない。

 

ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽーーーん

 

僕「あー、うるさいうるさいうるさい!!」

 

管理人か!?

外は物凄い暴風雨だ、

どうせ「雪沙ちゃんが怯えてないか心配で」とかだろ?

もうここまできたら立派なストーカーだぞ!いい歳こいて!

さすがに怒鳴っていいよな?玄関の監視カメラを覗く、そこには・・・

 

僕「・・・・・え!?」

 

ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽんぴんぽん、ぴんぽーーーん

 

☆也幸くん&猫たち☆

 

カメラを見上げる幼い少年・・・

ずぶ濡れの也幸くんが、これまたずぶ濡れのダンボール箱にずぶ濡れの猫の詰め合わせを持って、

その箱の角で何度も何度もインターフォンを押している、この夜中に公園まで、猫を助けに・・・!?

 

ぴんぽんぴんぽん、ぴんぽんぴんぽん・・・

 

僕「・・・はっ!早く入れてあげないと」

 

階段前扉のロックを外してあげる、

しかしそれに気付かないのかインターフォンを押し続けている・・・

僕はマイクでやさしく也幸くんに話す。

 

僕「もう下の鍵は開いてるから、普通にドアノブ捻れば入れるよ」

 

ビクッ!と僕の声に反応したのち、

ドアの前へ・・・あれ?潜らない?立ち往生してる・・・

あ、両手が使えないからか。ダンボール一旦置けばいいのに・・・置いた。

で、ドアを開けて、ダンボールを・・ああ、ドアが閉まった!困ってる困ってる!

足か何かでつっかえておけばいいのに・・もう一度ロックを外してあげて・・・面白いなぁ。

 

也幸「・・・・・」

 

さすがに今度は学習したのか猫入りダンボールを足元に置いてから、

ドアを開けてダンボールを引きずって・・通った、再び箱を持って階段を・・・

こっちのドアも開けてあげなくちゃな、玄関を・・・うお!すごい暴風雨!也幸くんが飛ばされそうになりながらやってきた!

 

僕「ほら、早く入って入って!」

也幸「・・・・・」

 

バタンッ!!

 

あ〜あ、こんなにビショビショになって・・・

 

雪巳「どーしたのー?ピンポンピンポンうるさいー」

雪菜「あ・・・也幸・・・」

雪沙「ふぁ〜〜〜・・・いまなんぢぃ〜〜?」

僕「みんな起きちゃったんだ・・・バスタオル持ってきて!いっぱい!」

雪巳「わかったー」

 

う、也幸くん震えてる、

髪の毛から雨の雫がぽたぽたと・・・

服もシャツから半ズボンまでビッショリ。

 

僕「重いよね?猫、こっち渡して!」

也幸「・・・・・」

僕「んしょ・・」

 

あ、箱がすっかりふやけて底が抜けそう・・・

って、也幸くん猫を渡したらUターンしてまた外へ行こうと!?

玄関を開け・・わっ!びゅーっ、と飛んでいっちゃいそう!危険だ!!

 

僕「無理して帰らなくていいよ!台風が過ぎるまで、せめて朝までここにいなよ」

也幸「・・・!!!」

僕「ほらほら、危ないから玄関閉めて!」

 

鍵も閉めて、と・・・

 

雪巳「タオル持ってきたよー」

雪菜「ミルク・・・あっためてるです・・・」

雪沙「なりゆきこっち〜〜」

 

うわ、也幸くんの靴、

元からボロボロだったんだろうけど泥水でふやけて、

これはもう履けないな・・それより足の裏が真っ黒・・・

 

僕「まず先に足だけ拭いて、みんな僕の部屋へ!」

 

猫を運んで、と・・・

 

 

 

灯りをつけた僕の部屋、

テレビのスイッチを入れるとNHKでは台風情報・・・

もうすぐ関東上陸、って事はお昼には通り過ぎてくれそうだ、

 

三姉妹のほうへ目をやる、

雪巳ちゃんはバスタオルで母猫を丁寧に拭き、

雪菜ちゃんはバスタオルで仔猫を1匹ずつ丁寧に拭き、

雪沙ちゃんはバスタオルで裸の也幸くんを丁寧に拭いている・・・

脱ぎ終わった服は洗濯してあげないと・・・そうだ!

 

僕「一通り拭き終わったらお風呂に入れてあげて」

雪巳「猫をー?毛とかいいのー?」

僕「ちがーう!也幸くんを・・・あ、猫も洗おうか、野良だったんだし」

雪菜「もうすぐミルク・・・あったまる・・です」

雪沙「ぢゃ〜おふろはいろ〜」

也幸「・・・・・???」

僕「也幸くん、雪沙ちゃんにお風呂でよーく洗ってもらうんだよ」

也幸「!!!」

 

僕は・・・一緒に入らなくても大丈夫だよな?

台所でミルク番をしながら猫用の食べ物でも探すか・・・

 

雪巳「このおっきー猫、拭いてあげたのに毛ずくろいしてるー」

雪菜「みんな・・・お風呂に運ぶ・・です」

雪沙「なりゆき〜、ここのお風呂おっき〜んだよ〜?」

也幸「・・・・・」

僕「也幸くん、シャンプー使っていいからね」

 

お風呂に運ばれる猫たち、

雪沙ちゃんに強引に引きずられていく也幸くん・・・

残ったのはボロボロの段ボール、捨てていいよな?・・・あれっ?

これは・・・ダンボールの隅っこにあるプラスチックのおもちゃ、これって、

僕が也幸くんにあげた、新幹線のおもちゃじゃないか!なんでこんなところに・・・

 

僕「隠してたのかな?ここに・・もしくは、仔猫のおもちゃにってことで、猫にあげたとか・・・」

 

そう考えると也幸くんって、凄くピュアで良い子なんじゃ!?

・・・・・きっとお腹空いてるんだろうな、朝食くらいはご馳走してあげよう。

今日は僕が作るかな、そうだ!ミルクがそろそろホットになってるはず、台所へ・・・

 

 

 

僕「あ、ちゃんとミルクの火が消してある」

 

このへんにぬかりがないのが、さすが雪菜ちゃんだよな。

弱火で暖めなおして・・・今から朝食作ると完成は4時半とかになりそうだ、

食べるのは5時・・・早すぎるけど也幸くんや猫たちには早くお腹を満たして欲しい。

 

僕「ハムとかあるな〜・・・あと・・猫にはシーチキンとミルクだけでいいかな?」

 

多めに作らないと・・・

とはいえ小1だから半人分だよな・・・?

ん?廊下づてにお風呂から騒がしい声が聞こえる・・・

 

雪巳「きゃーーーーー!!」

 

ななな、何があった!?

僕は慌てて廊下を走りお風呂を覗く!!

 

ガラッ!!

 

僕「どうした!?」

雪巳「仔猫におっぱい吸われてるのー」

僕「あっ!ほんとだ・・・」

 

ちっちゃい三毛猫が雪巳ちゃんの乳首に吸い付いてる!

 

雪巳「お乳出ないのにー」

僕「そ、そうだね・・・」

 

僕は慌てて目を手で隠す、

でも・・・ちらっ、と指の間からおっぱいを・・・

うーん、まだ仔猫とはいえ、えっちぃ・・・うらやまし・・いや、なんでもないぞ!

 

雪菜「・・・ねこさん・・・きたないよ・・・」

 

母猫が湯船に座ってお風呂のお湯をぺろぺろ飲んでる、

雪沙ちゃんは・・・也幸くんを洗うのに一生懸命だ、されるがままの也幸くん。

 

雪沙「おちんちんもちゃんと洗ってあげるね〜」

也幸「・・・・・」

雪沙「たまたまよく洗わないとかゆくなっちゃうよ〜?」

 

うーん、大事でなくて良かった・・・よな。

 

雪巳「くすぐったーい!離れないよー、お兄ちゃんとってー」

僕「い!?う・・・うん」

雪巳「はやくーー」

 

仔猫の体を持って・・・

あ、コイツ、雄かぁ、どうりでスケベなはずだ・・・

んしょ・・・無理に引っ張ると、おっぱい引っかかれそうで恐いな・・・

 

・・・・・ちゅぽんっ!!

 

僕「抜けた」

雪巳「ありがとー」

 

すぐに胸を腕で隠す雪巳ちゃん、

だからその基準はなんなんだっての・・・

仔猫引き離す事はさせておいて・・・まあいいや。

 

雪菜「お母さん猫・・洗うです・・・」

雪巳「そだねー、私と雪沙でおさえよっかー」

雪沙「も〜ちょっとまって〜、なりゆきのおしりあらってるから〜」

 

も、もういいだろう・・・台所に戻ろう・・・

 

僕「じゃ、後よろしく」

雪巳「うんー・・・雪菜、シャンプー取ってー」

雪菜「はい・・・」

 

猫が逃げないように、しっかり閉めて、と・・・

まったくお騒がせな猫め・・・でも大事じゃなくて良かった。

 

雪巳「きゃー!きゃー!きゃー!!」

僕「今度はどうした!?」

雪巳「蚤がいっぱい出てきたー!」

雪沙「ぴょんぴょんしてる〜」

雪菜「や・・・髪の毛に・・つく・・・」

 

あーあ、お母さん猫からか・・・

野良だもんな、仔猫はまだ母猫が舐めて蚤を外せるけど、

あれだけ大きい母猫だと・・・あ、助けに行かなくていいよな?

へたに開けたら蚤が飛んでくるし、洗い中の母猫とかも逃げちゃうかも。

後は彼女たちに任せよう、一応、虫刺されを用意しておいてあげるとするか。

 

僕「もう1度よーく洗って蚤を落とすんだよー!」

雪巳「わかってるー」

母猫「ふにゃああああああ!!」

雪菜「爪・・・たてないで・・・」

雪沙「なりゆき〜、お風呂もぐっちゃだめ〜〜」

 

・・・・・実は楽しそうだな。

 

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