日曜のお昼になった、

今日は祭り2日目、おみこしがある最終日だ、

といっても担ぐ予定はなくって、ただ見るだけなんだけど・・・

 

雪巳「ねー、お昼ご飯は屋台で買うんだよねー?」

僕「うん、そうだよ、それかどこかお店に入ってもいいし」

雪菜「天気予報・・・台風、明日の朝に来るって・・・」

僕「遅くなってくれたのか、よかったよかった」

雪沙「昨日もらったお金まだ残ってるよ〜、なに買おうかな〜〜」

 

家を出てエレベーターを下る、

エントランスから正面玄関を通ろうとしたその時・・・!

 

僕「あれ?管理人さん!」

管理人「ちょっといいかな?あー、おじょうちゃんたち、こんにちわ」

雪巳「こんにちわー」

雪菜「こんにちは・・・です」

雪沙「こ〜、こ〜んに〜ちわ〜〜・・・」

 

あらら、雪沙ちゃん、僕の後ろに隠れちゃった。

 

管理人「いやねぇ、ゆうべ、このマンションからロケット花火が飛ばされたらしいんですよ」

 

ぎくり!!

 

管理人「しかも上のほうの階から・・・お気づきになりませんでしたか?」

 

どうしよう・・・ここはしらばっくれるか・・・

いや、ここは素直に謝った方がいい、わざとじゃないんだし、

それに変に隠すとバレたときにやっかいだ、この子たちと暮らしてる事にやましさがないように・・・

 

僕「すいません、それ、僕です」

管理人「はぁっ?」

僕「ベランダで気をつけて花火してたんですが、間違っちゃって・・・」

 

あ、管理人なんとなく、しめた、って顔してる!?

 

管理人「困りますねー、いかにオーナーといえど・・・」

僕「すみません、苦情が来たんですか」

管理人「苦情が来なかったらいいって問題でもないでしょう!」

 

こ、こわっ!

管理人さん、こんなに恐い人じゃなかったはずなのに・・・

どうしてこんな剣幕で怒ってるんだろう?火事で嫌な思い出があるとか・・・?

 

管理人「オーナー、あなた1人しか住んでないならまだしも、他所のお子さんを預かってる身でしょう?」

僕「そうですね、今後、もう2度とないように・・・」

管理人「今後、じゃないでしょう!子供を教育する立場のあなたが・・・」

僕「わ、わかりました!本当にすみません!」

管理人「そんなんじゃあ、もうその子たちを預けておく事も考えないといけませんねえ・・・」

 

なぬっ!?

 

管理人「児童相談所の方に報告させていただきますから」

僕「そんな!そこまでしなくても・・・」

管理人「相談所の見解が出るまで、お嬢さん方は私が預かりましょう!!」

 

なな、なに言ってんだこのおっさんは!?

 

雪巳「あのー・・・」

雪菜「私たちが・・・悪いん・・・です」

雪沙「ゆきさがまちがっちゃったの〜〜、ごめんなさ〜〜〜い」

 

ぺこりと大きく頭を下げる雪沙ちゃん、

その頭をおもむろになでる管理人!!

ビクビクッ、としてあわてて逃げて僕の後ろに再び隠れる雪沙ちゃん・・・

 

管理人「だったらなおさら、あなたの管理不徳届きじゃないですか!」

僕「はあ・・でも怪我とかは幸い無かったですし・・・」

管理人「怪我しなかったからいいって事じゃないんですよ?」

雪沙「ごめんなさいごめんなさ〜〜〜い」

管理人「ではこうしましょう、3人も住まわせてるから大変なんですよ、1人引き取りましょう!!」

 

それが目的かーー!!

 

僕「それはちょっと話が飛躍しすぎてませんか?」

管理人「私は私なりにその子たちを心配してるんですよ!」

僕「でも、だからって・・・」

 

妙に興奮してるな管理人。

雪巳ちゃんたち、あきらかに心配そうだ。

僕がしっかりして、守ってあげないと・・・

 

僕「花火の事は申し訳なく思ってますし気をつけます、でもこの子たちは僕が預かってるんですから!」

管理人「確か・・・雪巳ちゃんだったよね、どうだい?おじさんの家に」

雪巳「嫌ー!」

管理人「なら、雪菜・・ちゃん?おじさんの家に来るかい?」

雪菜「えんりょ・・・します」

管理人「と、いうことは・・・わかりました、では雪沙ちゃんを引き取りましょう!」

僕「ええー!?なんで!?」

 

結論にしちゃうのかよ!?

 

管理人「1人は私の所で預からないと、事態は収拾しませんから」

僕「そんな理屈は無いでしょう!」

管理人「さあ雪沙ちゃん、おじさんと一緒にお祭りに行こう」

雪沙「や〜〜〜〜〜〜!い〜〜〜〜〜〜〜〜〜だ!!」

僕「三人とも嫌がってるじゃないですか!いいかげんにしてください!」

 

強引な管理人だなあ・・・

あ、管理人、顔が真っ赤になっちゃった!

 

管理人「とにかく!では今回の事は報告させてもらいますから!」

僕「ええ、どうぞ・・・さ、みんな、行こう」

雪巳「うんー」

雪菜「はやく・・・行く・・・です」

雪沙「おにぃちゃ〜〜〜ん♪」

 

僕らは逃げるように祭り会場へ足を速める、

管理人めぇ・・やっぱり雪沙ちゃん目当てで・・・

未練たらしくこっち見てる、早く視界に入らない所へ行こう。

 

雪巳「あーーーーっ、きもいきもいきもいきもいきもいっっ!!」

雪菜「ちょっと・・・気分悪くなった・・・です・・・」

雪沙「おにぃちゃ〜ん、ゆきさ、おかされちゃうよ〜〜〜」

僕「こらこらこら、三人とも落ち着いて・・・雪菜ちゃん大丈夫?」

雪菜「もう・・・大丈夫・・・です」

 

でも管理人、あること無いこと言わなきゃいいけど・・・

美鈴姉さんに相談するべきかな?事を荒立てないように・・・

 

雪巳「雪沙が悪いんだからねー」

雪菜「花火・・・気をつけなきゃだめ・・これから・・・も」

雪沙「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ〜〜〜い」

雪菜「次やったら・・・下のおうちに・・・帰されるよ・・・」

雪沙「もうしない〜〜〜〜〜」

 

・・・・・今回の一件で、雪沙ちゃんが戻される事になったら・・・

それどころか、今度はあのビックマザーの命令で管理人の所へ住む事になったら!!

そ、それだけは、どんな事があっても、絶対に阻止しないと・・・大変な事になる。

 

 

 

雪巳「今日も屋台がいっぱいー」

僕「イベントもあるみたいだね」

雪菜「あ・・・お手玉してる・・・」

僕「大道芸か、見てく?」

雪沙「おにぃちゃんが見るなら見るぅ〜〜」

 

今度は輪っかをいっぱい持って・・・

こういう技術持ってる人って、素直に凄いと思う。

・・・あ、向こうにしゃがんで見てる少女、中学生と小学生の間くらいの子、

浴衣の胸元が開いて、おっぱいが・・・ってそういうのに見とれたら、あの管理人みたいになっちゃう!

駄目だ駄目だ!・・・ふう、視線を大道芸人に戻したぞ、昨日の僕ならもっと覗いてただろうけど・・管理人が良い戒めになった。

 

ぱちぱちぱちぱちぱち・・・

 

雪巳「すごいすごーーい」

雪菜「終わっちゃった・・・」

雪沙「みんなお金入れてる〜」

僕「じゃあ僕もちょっとだけ・・・」

雪巳「私たちも入れなきゃ駄目ー?」

僕「僕がまとめて入れた事にするから大丈夫だよ」

雪菜「500円も・・・入れた・・です」

雪沙「ゆきさもなんかやろ〜かな〜」

僕「お家でね。さ、行こう」

 

小さな公園につく、

ここでは今日もフリーマーケットが開催中だ、

ビックマザーは・・・いないな、安心して見て回ろう。

 

雪沙「げ〜むがあるよ〜」

僕「このマットは・・・ダンスダンスレボリューションか、懐かしい」

雪菜「この上で・・・跳ぶ、ですか」

僕「うん、家に帰ればどっかにしまってあるよ」

雪沙「ぢゃあ、いらないね〜」

 

・・・2人でするならもう1個買った方がいいけど・・・

買わなくていいか、必要ならブックオフでまた改めて買えばいいし、

今買っちゃうと、かさばる。それに目に付いたもの何でも買う訳にはいかない。

 

雪巳「バーベキューセットだってー」

僕「2500円・・・安いな」

雪菜「ベランダで・・できる、です・・・」

雪沙「お肉ぢゅうぢゅう焼きたいぃ〜〜」

僕「これは別にベランダでやっても他所に迷惑はかけないよな・・・?」

 

って、これはもっとかさばる!

いや、買ってすぐ一旦持ち帰れば済む問題・・・

でもないや、先月、スタジアムでのフリーマーケットで買いすぎたって反省したんだ、実は。

 

雪菜「水着が・・ある・・・です」

僕「ほんとだ、子供の女の子用・・・」

雪沙「買う〜?」

僕「え?だって他の子がつけたやつじゃないの、これ?」

雪沙「それでもいいよ〜?」

 

なんか嫌だなあ・・・

ある意味、中古の下着売ってるようなもんだし。

それでもいい、って・・・雛塚家の貧乏具合が、かいま見えるよ。

 

僕「そういえば、学校の水着は?」

雪沙「あるよ〜、下のお家に置いてある〜」

僕「そういえば・・・夏休みなのに学校のプールとかは行かないの?」

雪菜「お金・・・いるです・・・200円・・・」

僕「へーっ、学校のプールなのに今は入場料取るんだ」

 

・・・そりゃそうか、小学校のプールとはいえ、

6年までいるんだから、みんなが一斉に来たら入りきれなくなっちゃう。

夏休みだから予定外の維持費とか人件費とかもかかるんだろうし・・・

 

僕「雪巳ちゃんの学校は、プールは?」

雪巳「生徒は無料だけどー・・あんまり入りたくないー」

僕「何で?嫌な事でもあるの?」

雪巳「入れるのは部活の無い日曜だけなんだけどー、お金払えば普通の人も入れるからー・・・」

僕「入れるから?・・・・・あ、なある」

 

やっぱり目立っちゃうんだろうなー、胸が・・・

どさくさにまぎれてプールの中で触る奴とかいたりするかも・・・

そう思うと、安全な所でのびのびと泳がせてあげたいよなぁ・・・

 

僕「水着は新しいのをまた別に買ってあげるから」

雪沙「ほんと〜?やったぁ〜!」

雪菜「いいん・・・ですか」

僕「うん、旅行もあるしね」

雪巳「うれしー、学校のって胸が苦しいからー」

 

・・・それは雪巳ちゃんが規格外だからなのだよ。

 

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